86 / 93
第86話 我々と協力してくれ!
しおりを挟む
「俺らがここにいて良かったよなラゼル」
「もちろん」
エリックがそう言いい放ち、腰に欠けている鞍から剣を抜く。
こんな状況になれば高ランク冒険者であってもどうなるかは分からないだろう。
だが私達はS級冒険者だ。どうすることも出来ない場合もあるかも知れないが、生存の可能性は確かに上がると思う。
その時だった……三匹の竜が旋回するように飛び大地へと激しい音と同時に降り立った。
この竜はおそらくSS級ほどの力がある。
今まで戦った魔物とは訳が違い厄介極まりないだろう……。
ただこの竜を逃す訳には行かない、もしこの竜がリザースを離れれば王都の多くの人々は死んでしまうだろう……。なんとしてもここで食い止めなければ。
私は黒い渦を展開し戦闘準備を整える。
リズ達も集中して剣を握る。すると近衛騎士団の隊長2人が私達に近付いてくる。
「我々近衛騎士団は竜を一体を討伐します、主戦力はリスタ様と一緒に行きましたので……」
「分かりました、では竜2体は冒険者が討伐します。」
私がそう言うと近衛騎士団の隊長が頷く。
これで冒険者は竜の殲滅に当たることができるわけだ……。
あとは竜をいかに効率よく倒すのかだ。
正直私達4人のパーティーだと竜1体に対しギリギリだろう……。
だからこの場にいるA級冒険者やB級冒険者に協力してもらうしかない。
だか周りにいる冒険者を見ても竜に挑もうとする勇気ある者はこの場には見えない。
SS級の竜の恐ろしさはここにいる人が一番分かっているだろう。
挑む勇気があるのは数十人いればいい方だ。
「私はS級冒険者ラゼルだ! 竜を討伐するため協力してもらいたい!」
私が叫ぶと殆どの人が恐怖のためか顔を背ける……。
「か、勝てるわけねぇよ......」
「竜なんかに俺らが勝てる訳がねぇ!」
この王都にいる冒険者は烏合の衆だ、恐れるのは当然だがそれではこの街の人々を助けることは出来ない……。
少し荒療治ではあるが皆に目を覚まさせるためにはこの手しかないな……。
ラゼルは一度深呼吸をすると、声を張り上げて皆に対し言葉を投げかけたのだった――。
「恐れているのはわかる、だがここで竜との戦いに勝利出来なければ、竜はきっと王都に侵入し人々を襲うだろう! そうなれば王都の多くの人々が死んでしまう!!」
周りの人々が静かになった。誰もが竜の恐ろしさを知っているのだろう……。
だからこそ分かるのだ、私達が言っていることも正しい。
すると私の言葉を聞き少しずつ目に色が灯ってくる。
「今この時間も先ほど向かった近衛騎士団は魔物の大群と戦っている! 我々は王国の人々を守らなければならない! 頼む! 我々と協力してくれ!!」
私が最後にそう言い終えた直後、覚悟を決めたのか皆顔を見合わせ同じ方向を向く。
そう先ほどまでの恐怖は無く皆が決死の覚悟で竜に挑むつもりがあるのだろう。
これならばいける。
「お、俺らは冒険者だ! 魔物を狩るのが仕事なんだ!」
「ああ! ラゼルさんの言葉で目が覚めた! やってやろうぜ!」
勇気を出してくれた冒険者達に感謝しながら竜と相対する。
竜の方も私達を見るや否や咆哮を上げ戦いの合図が鳴るのだった。
「もちろん」
エリックがそう言いい放ち、腰に欠けている鞍から剣を抜く。
こんな状況になれば高ランク冒険者であってもどうなるかは分からないだろう。
だが私達はS級冒険者だ。どうすることも出来ない場合もあるかも知れないが、生存の可能性は確かに上がると思う。
その時だった……三匹の竜が旋回するように飛び大地へと激しい音と同時に降り立った。
この竜はおそらくSS級ほどの力がある。
今まで戦った魔物とは訳が違い厄介極まりないだろう……。
ただこの竜を逃す訳には行かない、もしこの竜がリザースを離れれば王都の多くの人々は死んでしまうだろう……。なんとしてもここで食い止めなければ。
私は黒い渦を展開し戦闘準備を整える。
リズ達も集中して剣を握る。すると近衛騎士団の隊長2人が私達に近付いてくる。
「我々近衛騎士団は竜を一体を討伐します、主戦力はリスタ様と一緒に行きましたので……」
「分かりました、では竜2体は冒険者が討伐します。」
私がそう言うと近衛騎士団の隊長が頷く。
これで冒険者は竜の殲滅に当たることができるわけだ……。
あとは竜をいかに効率よく倒すのかだ。
正直私達4人のパーティーだと竜1体に対しギリギリだろう……。
だからこの場にいるA級冒険者やB級冒険者に協力してもらうしかない。
だか周りにいる冒険者を見ても竜に挑もうとする勇気ある者はこの場には見えない。
SS級の竜の恐ろしさはここにいる人が一番分かっているだろう。
挑む勇気があるのは数十人いればいい方だ。
「私はS級冒険者ラゼルだ! 竜を討伐するため協力してもらいたい!」
私が叫ぶと殆どの人が恐怖のためか顔を背ける……。
「か、勝てるわけねぇよ......」
「竜なんかに俺らが勝てる訳がねぇ!」
この王都にいる冒険者は烏合の衆だ、恐れるのは当然だがそれではこの街の人々を助けることは出来ない……。
少し荒療治ではあるが皆に目を覚まさせるためにはこの手しかないな……。
ラゼルは一度深呼吸をすると、声を張り上げて皆に対し言葉を投げかけたのだった――。
「恐れているのはわかる、だがここで竜との戦いに勝利出来なければ、竜はきっと王都に侵入し人々を襲うだろう! そうなれば王都の多くの人々が死んでしまう!!」
周りの人々が静かになった。誰もが竜の恐ろしさを知っているのだろう……。
だからこそ分かるのだ、私達が言っていることも正しい。
すると私の言葉を聞き少しずつ目に色が灯ってくる。
「今この時間も先ほど向かった近衛騎士団は魔物の大群と戦っている! 我々は王国の人々を守らなければならない! 頼む! 我々と協力してくれ!!」
私が最後にそう言い終えた直後、覚悟を決めたのか皆顔を見合わせ同じ方向を向く。
そう先ほどまでの恐怖は無く皆が決死の覚悟で竜に挑むつもりがあるのだろう。
これならばいける。
「お、俺らは冒険者だ! 魔物を狩るのが仕事なんだ!」
「ああ! ラゼルさんの言葉で目が覚めた! やってやろうぜ!」
勇気を出してくれた冒険者達に感謝しながら竜と相対する。
竜の方も私達を見るや否や咆哮を上げ戦いの合図が鳴るのだった。
20
お気に入りに追加
658
あなたにおすすめの小説
チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?
桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」
その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。
影響するステータスは『運』。
聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。
第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。
すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。
より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!
真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。
【簡単な流れ】
勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ
【原題】
『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ゴミアイテムを変換して無限レベルアップ!
桜井正宗
ファンタジー
辺境の村出身のレイジは文字通り、ゴミ製造スキルしか持っておらず馬鹿にされていた。少しでも強くなろうと帝国兵に志願。お前のような無能は雑兵なら雇ってやると言われ、レイジは日々努力した。
そんな努力もついに報われる日が。
ゴミ製造スキルが【経験値製造スキル】となっていたのだ。
日々、優秀な帝国兵が倒したモンスターのドロップアイテムを廃棄所に捨てていく。それを拾って【経験値クリスタル】へ変換して経験値を獲得。レベルアップ出来る事を知ったレイジは、この漁夫の利を使い、一気にレベルアップしていく。
仲間に加えた聖女とメイドと共にレベルを上げていくと、経験値テーブルすら操れるようになっていた。その力を使い、やがてレイジは帝国最強の皇剣となり、王の座につく――。
※HOTランキング1位ありがとうございます!
※ファンタジー7位ありがとうございます!
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います
長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。
しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。
途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。
しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。
「ミストルティン。アブソープション!」
『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』
「やった! これでまた便利になるな」
これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。
~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~
hisa
ファンタジー
受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。
自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。
戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?
教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!!
※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく!
※第5章に突入しました。
※小説家になろう96万PV突破!
※カクヨム68万PV突破!
※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる