外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された～ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ～

第39話 伯爵との会話

　そんな話をしていると、御者から私たちに声がかかる。
　
　「もうじき広い道に出るよ～揺れも少なくなってだいぶ快適になるんじゃないかな」
　
　確かに周りの風景がガタガタ道からすこし整地されている道に変わっていくのを見る。
　
　おおかたその言葉通りで森を抜け丘を2つほど越えた所だった。
　
　「見えてきましたよ～」
　
　御者の言葉を聞いて私たちは窓から身を乗り出す。
　
　そこには大きな館が広がっていて敷地も広いようであった。
　
　前方には巨大な壁が待ち受けている。
　
　最初に来た時もしっかりと見ていたのだが改めて近くで見てみると圧倒される大きさだ。
　
　そして馬車が門の前まで到着すると、銀色の鎧を身に着けた人たちが館から出てくる。
　
　そして丁寧に馬車を止めた後、私たちの乗る荷台へやってくると声をかけてくる。
　
　「冒険者様、長い旅お疲れ様でした！」
　
　そんな鎧姿の男たちが荷台へ来ると荷下ろしの手伝いをしてくれる。
　
　すると近くにいた使用人の女性たちがこちらに来る。
　
　「それではへスター伯爵のいる部屋にご案内させていただきますね」
　
　そんな使用人の方に先導されて私たちは伯爵の部屋へ向かった。
　
　歩いてい数分、館の中に入り長い廊下を進んでいくと使用人の方が立ち止まる。
　
　「こちらになります」
　
　使用人の女性がドアをノックする。
　
　「失礼します、 冒険者様をお連れしました」
　
　そう使用人が告げると室内から声が聞こえた。
　
　「依頼は完了したかな？」
　
　その声は聞き覚えのある男性の声だった。
　
　すると使用人は扉を開け私たちが室内へ入れるようにしてくれた。
　
　室内へ入ると机の奥で金髪の男が座っていた。
　
　その金髪で端正な顔つきの男がまさにこの屋敷の主、アルガス・ヘスター伯爵である。
　
　そんな彼は私たちを向かい入れた後笑顔で席に着くよう促す。
　
　私達が椅子に座ると使用人の方々は再び退出していった。
　
　4人しかいないためかなり静かな雰囲気の中、最初に口を開いたのはリズだった。
　
　「村での魔物討伐は完了いたしました」