14 / 93
第14話 影を操る少女
しおりを挟む
待て待て待て、明らかに頭がおかしい奴だ。
しかもこれほどの魔力、私達とは別次元なのは間違いない。
これは戦ったら絶対負ける……。
いや生きて帰れないかもしれない……逃げようとしても逃げられる気がしない。
そんな事を考えているとリズを担ぎながら動こうともしない私を見て少女が口を開いた。
「私を警戒してるの?」
そう言ってニヤリと微笑む。
私はここから逃げられないことを悟る。
恐らく逃げ出そうとしたところで射程圏内であるだろう。
勝ち目はない、ならば会話をして時間を稼ぐしか……。
そう思いながら私は言葉を絞り出す。
「す、すみません……仲間を助けたいんです……見逃してくれますか……?」
そう言うと少女は私を人差し指で差した。
「仲間ね~それよりもさ仲間だと言ってくれなくて悲しかったよ~?」
な、何が言いたいんだ……?
少女は相変わらずニコニコと笑みを浮かべて口を開いた。
「ねぇ……人間ごときが龍力を手に入れようだなんて分不相応だと思わない?」
ゾワっと体中を恐怖が駆け回る。
先程までは少女の純粋な笑顔が可愛らしくも思えていたが、今となってはその笑顔が全く違って見えてしまう。
身が凍るかと思った……、何故なら少女の目も今、笑っているからだ。
私は恐怖のあまり言葉が出ない。
すると少女が口を開く。
「だから私は龍を殺してみたの、そしてそいつの力を奪った」
なんで少女はこんな話をしながら笑顔なのかが理解できないし理解したくない。
すると少女は口を開き私が恐れている事を口にした。
「だってあなたの能力......私達と同じで龍力を持ってるじゃない!」
どういう事なのか全く私の中で理解が追いつかない……。
私の能力は《コピー》じゃなかったのか?
そしてこの少女はさっき私達の龍力って言ってたけど、どういう意味なの?
他にもこいつの仲間がいるの……?
私がそう頭の中でぐるぐる考えていると、少女は口を開いた。
「仲間じゃないならさ~手加減してあげる必要はないね! あははは!!」
そう言うと少女は高笑いをしながら私の方へ向かってくる。
そして少女の腕が影と化しその影が私とリズを包んだ。
私は影に包まれる瞬間に片手を挙げスキルを発動する。
《コピーッッ!》
――――――――――――――――――――――
《影》がコピーされました。
あなたが使用できるスキル一覧
・《コピー》
・《ポイズン》
・《ブリザード》
・《影》NEW!
――――――――――――――――――――――
そう言った瞬間私の片手から禍々しい魔力のオーラが発射される。
そして少女の影と衝突し、激しい音と共に魔力が拡散してしまう。
「あはは! そんなんじゃ私に傷はつけられないよ?」
少女は黒い煙に包まれながらも無傷な様子であった。
これはきつすぎる。
そう思った時、少女の後ろから声が発される。
「そこまでだ」
声を発した先には男の剣士が立っており、黄色い前髪が揺れた気がする。
すると少女が口を開く。
「ちぇ~もう着いちゃったか~」
少女はそう言うと黒い煙が晴れた。
私は少し驚き少女の顔を見ると少女はニコッと笑いかけている。
そこで男の剣士が口を開く。
「君は何者だ」
その言葉を聞いても笑顔の止まらない少女だったが、私の顔を見て一言呟く。
「じゃあ、またね」
そう言って少女は影の中へと消えていった。
男剣士は私の方へ近づいてくる。
「君達大丈夫か?」
その問いかけに私は緊張の糸が途切れ少し声を発してしまう。
「はい……」
男剣士はその言葉を聞き安心してくれたみたいだった。
「私は王国騎士団長、リスタだ」
「私は……冒険者ラゼルです」
私が名乗り終えると男は納得したようで更に口を開く。
「君の仲間はある程度治癒魔法をかけておいたから安静にしていれば治るはずだ。」
私は驚いてリズを見ると体の傷が回復し始めている。
近くには黄色のような精霊が飛んでいるのが見える。
精霊騎士かな……と思っているとリスタは口を再び開いた。
「ラゼル、先ほどの少女についてなにか知っているか?」
「すみません、あの少女については何も知らないです……。ただ〈影〉の龍力を取り込んだとか言っていました」
「〈影〉の龍力か……情報感謝する」
そう言うとリスタは剣を握りしめ驚異的な速さで走りだし魔物を次々と殲滅し始めたのだった。
しかもこれほどの魔力、私達とは別次元なのは間違いない。
これは戦ったら絶対負ける……。
いや生きて帰れないかもしれない……逃げようとしても逃げられる気がしない。
そんな事を考えているとリズを担ぎながら動こうともしない私を見て少女が口を開いた。
「私を警戒してるの?」
そう言ってニヤリと微笑む。
私はここから逃げられないことを悟る。
恐らく逃げ出そうとしたところで射程圏内であるだろう。
勝ち目はない、ならば会話をして時間を稼ぐしか……。
そう思いながら私は言葉を絞り出す。
「す、すみません……仲間を助けたいんです……見逃してくれますか……?」
そう言うと少女は私を人差し指で差した。
「仲間ね~それよりもさ仲間だと言ってくれなくて悲しかったよ~?」
な、何が言いたいんだ……?
少女は相変わらずニコニコと笑みを浮かべて口を開いた。
「ねぇ……人間ごときが龍力を手に入れようだなんて分不相応だと思わない?」
ゾワっと体中を恐怖が駆け回る。
先程までは少女の純粋な笑顔が可愛らしくも思えていたが、今となってはその笑顔が全く違って見えてしまう。
身が凍るかと思った……、何故なら少女の目も今、笑っているからだ。
私は恐怖のあまり言葉が出ない。
すると少女が口を開く。
「だから私は龍を殺してみたの、そしてそいつの力を奪った」
なんで少女はこんな話をしながら笑顔なのかが理解できないし理解したくない。
すると少女は口を開き私が恐れている事を口にした。
「だってあなたの能力......私達と同じで龍力を持ってるじゃない!」
どういう事なのか全く私の中で理解が追いつかない……。
私の能力は《コピー》じゃなかったのか?
そしてこの少女はさっき私達の龍力って言ってたけど、どういう意味なの?
他にもこいつの仲間がいるの……?
私がそう頭の中でぐるぐる考えていると、少女は口を開いた。
「仲間じゃないならさ~手加減してあげる必要はないね! あははは!!」
そう言うと少女は高笑いをしながら私の方へ向かってくる。
そして少女の腕が影と化しその影が私とリズを包んだ。
私は影に包まれる瞬間に片手を挙げスキルを発動する。
《コピーッッ!》
――――――――――――――――――――――
《影》がコピーされました。
あなたが使用できるスキル一覧
・《コピー》
・《ポイズン》
・《ブリザード》
・《影》NEW!
――――――――――――――――――――――
そう言った瞬間私の片手から禍々しい魔力のオーラが発射される。
そして少女の影と衝突し、激しい音と共に魔力が拡散してしまう。
「あはは! そんなんじゃ私に傷はつけられないよ?」
少女は黒い煙に包まれながらも無傷な様子であった。
これはきつすぎる。
そう思った時、少女の後ろから声が発される。
「そこまでだ」
声を発した先には男の剣士が立っており、黄色い前髪が揺れた気がする。
すると少女が口を開く。
「ちぇ~もう着いちゃったか~」
少女はそう言うと黒い煙が晴れた。
私は少し驚き少女の顔を見ると少女はニコッと笑いかけている。
そこで男の剣士が口を開く。
「君は何者だ」
その言葉を聞いても笑顔の止まらない少女だったが、私の顔を見て一言呟く。
「じゃあ、またね」
そう言って少女は影の中へと消えていった。
男剣士は私の方へ近づいてくる。
「君達大丈夫か?」
その問いかけに私は緊張の糸が途切れ少し声を発してしまう。
「はい……」
男剣士はその言葉を聞き安心してくれたみたいだった。
「私は王国騎士団長、リスタだ」
「私は……冒険者ラゼルです」
私が名乗り終えると男は納得したようで更に口を開く。
「君の仲間はある程度治癒魔法をかけておいたから安静にしていれば治るはずだ。」
私は驚いてリズを見ると体の傷が回復し始めている。
近くには黄色のような精霊が飛んでいるのが見える。
精霊騎士かな……と思っているとリスタは口を再び開いた。
「ラゼル、先ほどの少女についてなにか知っているか?」
「すみません、あの少女については何も知らないです……。ただ〈影〉の龍力を取り込んだとか言っていました」
「〈影〉の龍力か……情報感謝する」
そう言うとリスタは剣を握りしめ驚異的な速さで走りだし魔物を次々と殲滅し始めたのだった。
11
お気に入りに追加
669
あなたにおすすめの小説
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
金貨増殖バグが止まらないので、そのまま快適なスローライフを送ります
桜井正宗
ファンタジー
無能の落ちこぼれと認定された『ギルド職員』兼『ぷちドラゴン』使いの『ぷちテイマー』のヘンリーは、職員をクビとなり、国さえも追放されてしまう。
突然、空から女の子が降ってくると、キャッチしきれず女の子を地面へ激突させてしまう。それが聖女との出会いだった。
銀髪の自称聖女から『ギフト』を貰い、ヘンリーは、両手に持てない程の金貨を大量に手に入れた。これで一生遊んで暮らせると思いきや、金貨はどんどん増えていく。増殖が止まらない金貨。どんどん増えていってしまった。
聖女によれば“金貨増殖バグ”だという。幸い、元ギルド職員の権限でアイテムボックス量は無駄に多く持っていたので、そこへ保管しまくった。
大金持ちになったヘンリーは、とりあえず念願だった屋敷を買い……スローライフを始めていく!?
無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~
桜井正宗
ファンタジー
元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。
仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。
気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?
クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?
桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」
その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。
影響するステータスは『運』。
聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。
第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。
すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。
より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!
真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。
【簡単な流れ】
勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ
【原題】
『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中
無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います
長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。
しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。
途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。
しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。
「ミストルティン。アブソープション!」
『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』
「やった! これでまた便利になるな」
これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。
~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる