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1章

第1話 異世界転移したら第三王女に助けてもらった!?

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 ・《精霊使い》NEW!
 
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 (あれ? 俺は何をしてたんだっけ......)
 
 目が覚めると俺は見覚えのない場所にいた。
 
 俺は確か家に帰ってたはずなんだけど......ここどこだ?
 
 周りを見渡すと平原が広がっている。

 自然がとても美しく俺の目に映った。
 
 最後に覚えているのは大学の講義が終わって家に帰ろうと歩いて……そこから思い出せねえ。
 
 「もしや、もしかして! 異世界転移!?」
 
 俺はテンションが上がって、つい大きな声を出してしまった。

 でも、これが周りに誰もいないから何の問題もないわけで。
 
 アニメとか小説でもこんなシチュエーションがあった気もするな。

 だとしたら、俺の現世での人生はこれから勇者として始まるってわけだ。
 
 「てことはどこかに王都があるのか?」
 
 周りを見渡すが建物らしき影も見当たらない。

 ここにずっといるわけにもいかないので俺は歩くことにした。
 
 「意外と暑くないな」
 
 今の気温は20°Cほどだろうか。寒くもなく暑くもない。
 
 湿気は感じられないので転移前の蒸し暑い夏からは解放されている。

 こんな機会は滅多にないので、冒険を楽しみたいというワクワク感が増した気がする。
 
 草原を進んで数分経つと何かが見える。
 
 「何だあれ? 動物?」
 
 俺の先には動物らしきものがいる。

 いや、俺は違うと思った。

 本来俺が知っているような動物ではない。

 何だあれ?もしかして魔物か? 狼のような黒い四足獣がこちらを見ている。
 
 てか魔物だよねあれ。え、やばいじゃん。どうすればいいんだ?武器は?魔法とか使えるのかな俺? すると魔物がこちらに歩み寄ってくる。
 
 「ガァァァァァ!!!!」
 
 「やべえぇえええ!」
 
 俺は無我夢中で走り出し、逃げる。

 というかそれ以外に選択肢がない。

 魔物もこちらに向かってきて、更に距離が縮まってしまう。
 
 「死ぬ! 死ぬ!! マジで死んじゃう!!」
 
 腰が抜けてしまってほぼ這いつくばるような状態の時、近くで声が聞こえた。
 
 誰の声かを確認することは出来なかった。

 なぜなら、この一瞬で俺の人生が終わったかのように感じたからだ。
 
 「なにしてんのよ」
 
 声のする方を見ると女の子が俺の横でしゃがんでいる。

 今魔物に襲われている状況で言えることではないが、可愛かった。

 凄く可愛いかった。容姿は緑髪ショートでお嬢様のような感じ。

 俺が思うお嬢様ってこんな感じだろうなと思うほどの美しさだった。
 
 「まったく......」
 
 そう言うと少女は目の前の魔物と対峙する。

 少女は剣を鞘から抜き、剣を魔物に向かって振るう。
 
 少女の振るった剣は魔物の心臓を貫いていた。

 たった一撃で魔物を倒して見せた。

 信じられない光景だけどこの少女がやったのは間違いないだろう。

 え、今何が起こった?マジで早すぎて見えなかったんだけど。
 
 ていうか強すぎだろこの子!
 
 すると少女はこちらに向き直る。
 
 「あなた何してるの、冒険者じゃないの?」
 
 「俺は......異世界転移したばっかで……」
 
 俺は一切嘘をつくことが出来なかった。

 だって本当のことだし、こんな嘘ついても信じてくれると思えなかったし。
 
 その言葉を聞いた少女は目をまるくしていた。
 
 「い、いせかい? そんなワード聞いたこともないんだけど」
 
 どうやらこの世界は俺がいた世界と本当に違うらしい。

 どうすればいい?てかなんで言葉が通じるんだ? 動揺が顔に出る。
 
 「あの......ここってどこなんだ? さっきまでいた魔物って?」
 
 「ここは王都の外れよ、知らないの? あなたこそどうしてここにいるの」
 
 「いやそれが俺も全く分らなくて......」
 
 少女は呆れた顔をして俺のことを見ている。

 それも、よく考えてみれば美少女にじっと見られているということだ。

 嬉し恥ずかしなんだけど! そんなことを思っていると少女は口を開く。
 
 「もう用は済んだわね」
 
 すると少女が歩きだして、離れていく。

 やばいと思い俺は咄嗟に声をかけてしまう。
 
 「俺を王都に連れて行ってくれないでしょうか......」
 
 ここで何も食べなければ俺の人生が終わる。

 こっちの世界に来てまだ3分も経ってないんだぞ?あまりにも急すぎねえか。

 そんなことを思っていると少女が立ち止まり口を開く。
 
 「はぁ......仕方ないわね」
 
 「まじかよ! ありがとうございます!」
 
 少女はため息混じりでそう言うと俺の方に来る。
 
 「ついてきなさい」
 
 少女はそう言うと剣を鞘にしまい歩き出した。

 俺もその横について歩く。

 この時俺はまだ知らなかった。

 俺の横で歩いてる少女がローレスト王国の第三王女、ソフィア・アントニー・ローレスだということを。
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