最弱王子なのに辺境領地の再建任されました!?無気力領主と貧困村を救ったら、いつの間にか国政の中心になってた件について~

空月そらら

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1章

第21話 スライム畑を耕す

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「皆んな集まったな?」

 俺は領民が集まった事を確認すると、ルドルフは持っていた紙を皆に配る。

 この紙には、スライムの分泌液を計算し、肥料としての畑に適したデータをまとめた紙だ。

 そうして、領民達に行き渡ると、領民は声を上げる。

「で、殿下、まさかここまでしてくれたのですか?」

「俺だけじゃない、スライムもだ」

 俺がそう言うと、嬉しそうにスライムは跳ねる。

 俺はスライムを優しく撫でながら、口を開いた。

「だが、このスライム畑は継続しづらいという欠点がある。つまり、このスライム畑は領地の農地が復活するまでの延長線と思って貰いたい」

「分かりました」

 俺がそう言うと、領民は納得したように頷く。

「では農夫の指示に従い、畑を耕そうと思うんだが……」

「私にお任せ下さい!」

 そう言って、農夫は道具一式を揃えて持ってくる。

 俺はあまり農業の勉強していなかったから、ここは専門家らしき人達に任せた方が良いだろう。

「殿下、まずは畑の土を耕します。横で休んで見てて下さ……」

「いや、俺もやるぞ、農夫よ」

 そう言って、農夫は俺を静止してくるが、俺はそれに反対する。

 だが、それでも農夫は口を開いた。

「ですが殿下はここまでのデータを集めて下さったり、この領地の為に様々な働きをしてくれています。これ以上殿下の負担を増やす訳にはいきません。もし殿下に何かあればもう……」

「一応俺は王族だ、ある程度鍛錬はしているから大丈夫だ」

「殿下……」

 俺はそう無理に農夫を説得させる。

 まあ、王族は鍛錬してはいるが、怠惰な第五王子は鍛錬なんてしていなかったがな。

 俺はそう思っていると、近くの領民たちが突然声を上げる。

「殿下がここまでして下さるんだ、俺達も頑張るぞ! なあ皆?」

「おう!」

 そう言って、領民達が奮起する。

 俺もその雰囲気に乗りながら、手に鍬を持ち、領民達と共に畑を耕す。

 農業において土壌の質は極めて重要であり、適切な耕作養分の分布を均一にし、作物の成長を促進する。

「殿下、ここに肥料を撒いてもよろしいでしょうか?」

「ああ、しっかりと混ぜるぞ」

 スライムの分泌液を使った肥料は、従来の肥料と比べて即効性がある事が特徴だ。

 スライムの分泌液には豊富な栄養素が含まれており、短期間で作物の成長を促す効果が期待できる。

 ただし、その分継続的な施用が必要となる為、手間も増えるんだがな。

「よし、良い感じに出来てきたな」

 そして数時間後、畑の一部がスライムの分泌液で覆われる。

 領民たちは疲れを見せながらも、満足げな表情を浮かべているようだ。

「これで最初の段階は終わりだな。次は、種子を植え付ける工程だ」

「承知しました、殿下」

 そうして、俺たちは畑の各所にスライムの肥料に適した作物の種子を植えていく。

 今回植えたのはトマト、ピーマン、キュウリと言った栽培が簡単な作物だ。

「植え付けが完了しました、殿下」

「よし、それじゃあ分泌液をもう一度撒くぞ。さっきよりは少量でな」

 俺はスライムの分泌液をもう一度畑全体に散布する。

 種子を植え付けた後、追加の施肥によって、作物の成長を促進するための効果が高まる。

 そうして俺たちは量に注意をしながら、分泌液を撒く。

「これで一旦今日の仕事は終わりだ。また数日後に、このスライム畑に集合するぞ」

「お疲れ様です、殿下!」

 そうして、俺はスライム畑の耕しの段階は終わるのだった。

 ★

 そして数日後、俺達はスライム畑の様子を見に行く。

 すると、スライムの分泌液の効果が得られたのだろう。

 畑には数日前植えた種子が、作物にと変化していた。

 実際に育った作物を目のあたりにすると、俺はスライムの分泌液に秘めた効果を実感する。

 本来、前世の世界だとこんなに早く作物が育つなんてあり得なかったからな。

 作物は繊細であり、もっとも難しいと俺は思っている。

 「す、凄いです!」

 横にいた領民が声を上げる。

 俺達が数日前に植えた種子が、既に立派な作物と化しているのだ。

 その光景を目にすれば、誰もが驚くだろう。

 俺自身も、この光景を見て、思わず息を吞んでしまう。

 あの実験は、無駄では無かったと、結果を目の前にして、そう俺は実感する。

「これが、スライムの分泌液の力か」

 俺はそう言いながら、成長した作物に手を伸ばす。

 トマトは鮮やかな赤色に、ピーマンは瑞々しい緑色、そしてキュウリは見事に太く長く育っている。

 俺は成長した作物に感動していると、近くにいた農夫が口を開いた。

「殿下、こちらは回収してもよろしいでしょうか?」

「ああ、どんどん回収するぞ」

 俺達は育った作物を次々に回収していく。

 皆手には籠を持ち、作物をそれぞれ回収する。

 これぐらいの量を商人に売れば、資金もどんどん回収する事が出来るだろう。

 俺はそう思いながら、手を動かして作物を回収していく。

「殿下のお陰です、本当にありがとうございます!」

「いや、皆のお陰だよ。これは皆の協力があって出来た畑なのだから」

 俺がそう言うと、領民達は尊敬のまなざしを俺に向ける。

 俺はそんな眼差しを受けながら、ルドルフの方を見る。

「この作物らを商人に売って資金を集めてくれないか、ルドルフよ」

 俺は収穫した作物を見ながら、そう呟く。

 ルドルフには以前、俺が討伐したオークの魔石を商人に売る為に、ルドルフに任せた事がある。

 そしてルドルフは見事にその魔石を高値で売る事が出来た実績があるしな。

 俺はルドルフにまた取引に関する事を任せたいと思う。

 そう思っていると、ルドルフが嬉しそうな顔をし、口を開いた。

「承知しました殿下。前回の魔石の件により、商人たちとは信頼関係が築けていますので、お任せください」

 そうして、ルドルフは自信満々に答えると、作物を取っていき、準備に取り掛かる。

 俺は次に行動に移すために、周りの領民達に呼びかける。

「さて皆! 次は普通の畑を作るぞ! あくまでこのスライム畑は延長線でしかないからな」

「はい!」

 俺の声に応じて、領民達は力強く応える。

 延長線になる理由として、スライム畑は即効性があり、非常に便利な畑となってはいるが、その反面、継続的には続けづらいデメリットがあるからだ。

「まずは土壌を整えるぞ! この土地をしっかりと耕して、良質な作物を育てられるようにするのだ」

 俺がそう言うと、領民、そして農夫たちは鍬を持ち、さっそく準備に取り掛かる。

 スライムの分泌液を使わないということもあり、地道な作業が必要となってくるが、その分やり甲斐も感じるようになるだろう。

「殿下、この土はどうでしょうか?」

 農夫は耕した土を俺に見せて来る。

 俺はその土を取り、触り心地を確認した。

 フカフカすぎず硬すぎず、良い感じの土だな。

 もし土が柔らかすぎると、隙間が沢山あり、土壌の質は悪い事が分かる。

 この土は良い感じの硬さみたいだ。

「うん、この調子で進めてくれ」

 俺たちは協力しながら、少しずつ畑を整えていく。

 その間、ルドルフは商人たちと取引をし、領地の資金を着実に増やすよう、準備に取り掛かっている。

「良い感じに出来て来たな」

 俺はそう呟き、新たな畑作りに精を出すのだった。
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