記憶の破片に悩まされる令息

ぺこ

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2日ほど休んで、すっかり元気になった僕は、ヘディとティータイムを楽しんでいた。

「ゼシィが倒れたって聞いた時は、物凄く焦ったよ。無理をさせてしまったみたいで申し訳ない。」
本当に申し訳無さそうに眉を少し下げてへディが言う。

はぁっ…僕の婚約者可愛いすぎる…!何か犬の耳が生えてるんじゃないこれっ!
やばぃ…しゅんってしてるの可愛い…!

「ヘディは悪くないよ。それに、すぐ駆けつけてくれたし、看病もつきっきりでしてくれたでしょ。とても嬉しかったよ。」
心の中のヘディの可愛さに悶えている僕を押し込めて答える。

「看病をつきっきりにしてたのは、僕がゼシィと一緒に居たかったからだよ。」

はぁわぁーー!!かわいぃぃ…!
少し照れたようにはにかんで言うヘディ可愛い!

「嬉しいことを言ってくれるね。僕勘違いしちゃうかも。」
少し冗談で言ってみる。

「ははっ。良いんだよ?勘違いしても。」
あらまぁびっくりっ!ヘディも冗談で返してくれたっ!てかいいの?本当に勘違いするよっ!

「ふふっ、じゃあちゃんと僕をお嫁に貰ってね。」

「もちろんだよ。末永く宜しく。」
差し出された手に自分の手を重ねる。

ちゅ

「っふゎ、」
急に手にキスをされ、顔を赤らめてしまう。

「ははっ、ゼシィ可愛い。真っ赤だね。」
うわわ、きっと今耳まで真っ赤だなこれ。
てか破壊力がっ…

「あんまり僕をからかわないでよっ…」

「ごめんね、ゼシィ可愛いんだもん。」

どうせ僕をからかってるだけだと分かっていても心は高鳴って期待してしまう。

本当は僕のことが幼馴染としてじゃなく、愛しい人として好きなんじゃないかって。

いつまでも一方通行なこの想いは、いつ報われるのかな…とか、小説の中のヒロインみたいな悩み方をしてしまう。

まぁ、そんなことを考えて悩んでいることも、ヘディには多分伝わっていないのだろう。

ヘディは僕の変化には直ぐ気付くくせに、僕の想いには全然気付いてくれないんだから…
でも、そんなところも、ヘディの良いところってやつなのだろう。

「やっぱり、好きだな…」
頭で考えていたはずの言葉がぽつりと零れてしまったが。

「今何か言った?ゼシィ。」
ヘディらしく、聞こえていなかったらしい。

「ううん、何でもないよ。今日のディナーについて考えていたら頭の中の言葉が出ちゃったみたい。」

「はははっ、変なゼシィ。」

その後もヘディと他愛のない話をしながら、

ゆっくり1日は過ぎていって。

僕は疲れているわけではないけどすぐ眠ってしまった。
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