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果ての場所

旧友

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次元の中へ飛び込んだエメレッタは驚いた

一瞬、暗転した世界に踏み込んでしまったと思ったが、杞憂で周囲は壮大な星空が広がっており、至る所に数メートルもあろうというほどの巨大な星形の物が存在している

何とも言えない絶景に息を呑んでしまう

一歩進むと自身の足が少し沈んだ事に気づき、見下ろすと小さな星の砂で足元が埋め尽くされていた

自身の現状についていけず戸惑う

「ここは最果て、星の墓場にゃ」

エメレッタの様子を見たぎんたは鼻高々に話す

「は、墓場!?」

墓場というパワーワードに驚くエメレッタ

「ぎんた、エメレッタ、おいてくよ」

ラクシスにしては珍しく2人を急かす

「「えっ?あっはい」にゃ」

慌ててラクシスの後ろへとついてく2人

ラクシスの先導の元、歩を進める3人、遠く離れた所で流れ星が落ちたりとこの世と思えぬ情景が続いてエメレッタは時折、目を奪われそうになってしまう

その度、ぎんたが腕を引っ張り引き戻す・・・そんな状態が何度か続き自身がどこへ来てどこまで進んだのか分からないくらい進んだ頃

少し離れた場所に明らかに場違いな建物が建っている

星の砂辺に星空、そしてお菓子の家?

明らかに変である

クッキーをベースにした壁に筒状のお菓子で敷き詰められた屋根、宝石を模したであろうお菓子が積み重なって出来た煙突

窓は水あめ?で表現されているこだわりようだ

それをみたラクシスはハァ・・・と珍しくため息をつく

お菓子の家を見たぎんたは一瞬、目を輝かせたが何かを思いだしたようでラクシス同様、ため息をついた

エメレッタは摩訶不思議な情景に頭が付いてきていないようだ

ため息をつく2人に困惑するエメレッタ、その様子を見てエメレッタの真似をする女性

「えっ!?」

「にゃっ!?出たにゃ!!」

存在に気づかなかったエメレッタは驚き、ぎんたは指を差し驚く

胸をぱっくり開けた黒と紫の基調にしたコートを着た妖艶な大人の女性は左右前後に1本ずつ大きな三つ編みをしており、表情が読み取れない

「もうやっと来たわね。ラクシスちゃん!」

妖艶な姿をした女性は2人を気にすることなくラクシスの後ろから抱き着いて離れようとしない

「それで、何の用なの?」

「もう、そうやってす~ぐ結論を急ぐぅ!まぁまぁ私の家に入ってね」

あのラクシスをズルズル引きずってお菓子の家へと連れていく女性

目の間で繰り広げられる信じられない光景について行けず2人はハッ!と我に返り慌ててついて行く

板チョコで出来たドアを開け中へ入ると丸いビスケットで敷き詰められた床に外見より広い印象の部屋

細かなこだわりが見受けられるお菓子の家が童話の国へ迷い込んだようで好奇心がくすぐられる

「まぁまぁ座って」

女性の促す声で部屋の中央に置かれたぐるぐるキャンディーで出来た円卓にロールケーキのような椅子が人数分置かれており、それぞれ座る

未だ女性の腕の中から脱出が出来ないラクシスはさておき、なぜ呼ばれたのかで疑問符を浮かべる2人

「それで何の用にゃ!」

女性に問うぎんた

「もぉ~ぎんたちゃんも急かしすぎだよ!何か飲む?」

女性が何かを入れる仕草をすると手にはポットが現れクリーミーな匂いをさせた紅茶が流れ落ち何もなかった机からは飴細工のようなカップが出現し、それを受け止める

エメレッタは目を丸くし困惑している

「ふふふ、そこのあなたはついて来ていないけど、直に慣れるわ」

右手で注ぎつつも左手で口元を抑え笑いかける女性

「は、はぁ~そうですかね??」

首を傾げつつ眉をひそめ疑問を持つエメレッタ

「ふふふ、最初はそんなものよ」

エメレッタの横にぎんたと同様の紅茶を入れる

「さぁ、召し上がって」

女性の優しく掛けられた声にエメレッタは返事をし温かい紅茶をいただく

「・・・う~ん!美味しいですね!」

紅茶の味に思わず、舌鼓を鳴らすエメレッタ

「それは喜んでもらって良かったわ。」

女性の好意に甘え堪能するエメレッタ

もはや置き物状態のラクシス

「おっと、私ったらいけないわ。久々の客人に自己紹介をするの忘れていたわ」

思いだした女性は口元に手をやり、慌てて自己紹介をする

「私はこの世の星と魔を司る世界の魔女ラビリンスエッタ、ラクシスちゃんの魔導と少し違うのよ」

女性の口から出た単語にゆっくりとくつろいでいたエメレッタは飛び上がり驚いた

「ふぁ、えっ!?えぇえ・・・・・・!!」

この世界でこの女性の逸話はいくつもあり、絵本や文献など様々なものも存在するほどの超有名人

物語上に出てくる空想上の人物と思っていたほどで、まさか本人が存在していたなんて露ほど思わないのだ

もう腰を抜かし何をどうしていいのか、身体を震わせ感動の涙が止まらないエメレッタ

「あら?まだ私の事って知られてるのね?ふふふ」

首を傾げ恥ずかしそうにあらやだ~と言いたげなラビリンスエッタだった


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