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果ての場所
・捜索・
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人々は大慌てで村中を探し周り娘の行方を捜す・・・
しばらく探すが、もちろん村の中には姿はない
「まさか・・・外へ出ていったのかしら・・・・」
エメリナは絶望した表情で最悪の事態が頭を過った
「ま、まさか・・・な」
村人が、薄々感づきながらも信じたくない気持ちが零れる
「しかし、これだけ探したんだ・・・外も考えるしかあるまい。」
歯を食いしばり、不安を抱えつつ村長は答えを導き出す
「そ、そうね。ね、念のため、狩人たちにも協力してもらって探してみましょう」
エメリナは震えた身体で言葉を振り絞る
村長の指示の元、狩人を中心にした捜索隊が編成され、エメリナの娘を探すこととなった
最初こそエメリナ自身も捜索隊に参加しようとしたが、周囲に反対されて渋々捜索に参加する事を諦める事となった
捜索隊が戻るまでの一分一秒を争う時間が気の遠くなるほどの時間に感じてしまう・・・
もどかしい・・・あぁ私の可愛い子よ、あなたはどこへ・・・
だが、残酷にも時間は過ぎ捜索開始時に上がっていた太陽も少しずつ傾いていく
明るく照らされていた周囲も薄暗く包まれていく
だめだ・・・このままでは私の子が・・・
「私も、行くわ」
鬼気迫るエメリナの表情は止める周囲を黙らせ、足早に村の外へと向かうと、エメリナの目に映ったのは溶け切らない雪があちらこちらに残る道、そして所々に顔を出す動植物だった
気づけば、白銀世界だった風景は一変として鮮やかな風景に早変わりしていた
まだ幼い子にとってはこの世界は好奇心に誘われるのも頷ける
ぼそっ(落ち着いて・・・エメリナ。あの子なら、どこに向かう・・・?)
目を閉じることで自身を無理やり落ち着けさせる
この土地で育った私にとって庭のようなもの
・・・大丈夫、必ず見つかる
!?
「そうだ!あそこかもしれない!」
目を閉じて落ち着いたエメリナがある一つの事を思い出す
大寒波期の時・・・あの子と話していたフローズンビィの蜜が食べたいと・・・
あそこなら確かに村からも近いし、匂いにおびき寄せられるのも頷けられる
甘い香りはあの子にとって十分すぎる理由になる
そう考えたエメリナは一目散にフローズンビィが巣食うだろう場所へと足早に向かった
フローズンビィが好む場所は崖付近に生えた巨木で大雪にも耐えることが出来るため巣食う事が多く
昔よりこの地に住む獣人族たちに好まれていた
「ハァ、ハァ・・・やっぱり居た」
全身汗だくになりながらも、必死に探し出した愛おしの我が子を視界に捉えたエメリナ
温厚な習性のフローズンビィが巣食う巨木の根本で今もよじ登ろうとする我が子に一安心するエメリナ
「・・・」
ふと、エメリナの口が我が子を呼ぶ動きをしそうになるのを慌てて両手で抑え気づく
視界の端に捉えてしまった冠熊の存在に
冠熊は見た目に反して肉食よりフローズンビィの蜜が好みである
それもこの地に住むものなら周知の事実で誰もが知っている
こちらはエメリナ・・・ひとり
どうする?
幸い小柄な我が子は巨木に隠れて冠熊に気づかれていない
しかし、気づかれるのは時間の問題・・・迷っている暇なんてない
例え蜜が目的であっても娘がターゲットにならないとは限らない
正直、恐怖に身体が言う事を聞かない
でも、我が子を失うなんて・・・考えられない。
動け私、身震いする自身の身体を強い想いが無理やり動かす
タッタッタッと駆け出す音に気づく、冠熊と娘
お願い間に合って・・・と必死に駆けつける
ドンッ!ザシュッ、ズサァ・・・
「う”ぅ・・・」
勢いよく飛び掛かる音と共に肉が切り裂いた音が周囲に響く・・・
「ママ・・・?」
エメリナの心配する娘
「・・・大丈夫よ。エメリオーネ、ママは少し転んだだけよ?」
苦痛を耐え精一杯に笑うエメリナ
ボロボロと涙を零すエメリナの子、エメリオーネ
「だって、だって、ママ・・・脚が・・・」
そう、冠熊がエメリオーネに振り下ろした腕が空を切り、エメリナの脚を切り裂いていたのだ
血で真っ赤に染まった脚を見るエメリオーネに心配させまいとするエメリナ
「やっと見つけた。もう心配させないの。」
苦痛に耐えつつも、我が子を優しく抱きしめ頭を撫でるエメリナ
思い通りにならなかった冠熊は再度、エメリナとエメリオーネに向かい腕を振りかざす
ザシュッ
ヴォオオオ!?
2人に振りかざした爪は空振りに終わり、冠熊の頭には無数の矢が刺さっていた
そう、最初の音にたまたま居た狩人が気づいて冠熊に矢を放ったのだ
よかった・・・助かった
狩人を視界に捉えたエメリナは安心し気が緩む
止めを刺す為、狩人たちは全力で冠熊を仕留める
グラッ・・・ドンッ
ヴォォォ・・・・
「えっ!?」
冠熊の断末魔とエメリナの不意を突いた事が漏れた
バキッ「キャッーーー!」
倒れた冠熊に押されるように突き飛ばされたエメリナは崖へと飛んでいく
その勢いのまま
手から離れる娘・・・エメリオーネは崖の下へと転落する
目の前から離れた娘、まだ腕に残る温もり
「あ”あぁああああ・・・・・・」
愛おしの娘を失い足も治療せず、自身を憎んだエメリナは戒めに耐えきれず、自らの視界を閉ざした
しばらく探すが、もちろん村の中には姿はない
「まさか・・・外へ出ていったのかしら・・・・」
エメリナは絶望した表情で最悪の事態が頭を過った
「ま、まさか・・・な」
村人が、薄々感づきながらも信じたくない気持ちが零れる
「しかし、これだけ探したんだ・・・外も考えるしかあるまい。」
歯を食いしばり、不安を抱えつつ村長は答えを導き出す
「そ、そうね。ね、念のため、狩人たちにも協力してもらって探してみましょう」
エメリナは震えた身体で言葉を振り絞る
村長の指示の元、狩人を中心にした捜索隊が編成され、エメリナの娘を探すこととなった
最初こそエメリナ自身も捜索隊に参加しようとしたが、周囲に反対されて渋々捜索に参加する事を諦める事となった
捜索隊が戻るまでの一分一秒を争う時間が気の遠くなるほどの時間に感じてしまう・・・
もどかしい・・・あぁ私の可愛い子よ、あなたはどこへ・・・
だが、残酷にも時間は過ぎ捜索開始時に上がっていた太陽も少しずつ傾いていく
明るく照らされていた周囲も薄暗く包まれていく
だめだ・・・このままでは私の子が・・・
「私も、行くわ」
鬼気迫るエメリナの表情は止める周囲を黙らせ、足早に村の外へと向かうと、エメリナの目に映ったのは溶け切らない雪があちらこちらに残る道、そして所々に顔を出す動植物だった
気づけば、白銀世界だった風景は一変として鮮やかな風景に早変わりしていた
まだ幼い子にとってはこの世界は好奇心に誘われるのも頷ける
ぼそっ(落ち着いて・・・エメリナ。あの子なら、どこに向かう・・・?)
目を閉じることで自身を無理やり落ち着けさせる
この土地で育った私にとって庭のようなもの
・・・大丈夫、必ず見つかる
!?
「そうだ!あそこかもしれない!」
目を閉じて落ち着いたエメリナがある一つの事を思い出す
大寒波期の時・・・あの子と話していたフローズンビィの蜜が食べたいと・・・
あそこなら確かに村からも近いし、匂いにおびき寄せられるのも頷けられる
甘い香りはあの子にとって十分すぎる理由になる
そう考えたエメリナは一目散にフローズンビィが巣食うだろう場所へと足早に向かった
フローズンビィが好む場所は崖付近に生えた巨木で大雪にも耐えることが出来るため巣食う事が多く
昔よりこの地に住む獣人族たちに好まれていた
「ハァ、ハァ・・・やっぱり居た」
全身汗だくになりながらも、必死に探し出した愛おしの我が子を視界に捉えたエメリナ
温厚な習性のフローズンビィが巣食う巨木の根本で今もよじ登ろうとする我が子に一安心するエメリナ
「・・・」
ふと、エメリナの口が我が子を呼ぶ動きをしそうになるのを慌てて両手で抑え気づく
視界の端に捉えてしまった冠熊の存在に
冠熊は見た目に反して肉食よりフローズンビィの蜜が好みである
それもこの地に住むものなら周知の事実で誰もが知っている
こちらはエメリナ・・・ひとり
どうする?
幸い小柄な我が子は巨木に隠れて冠熊に気づかれていない
しかし、気づかれるのは時間の問題・・・迷っている暇なんてない
例え蜜が目的であっても娘がターゲットにならないとは限らない
正直、恐怖に身体が言う事を聞かない
でも、我が子を失うなんて・・・考えられない。
動け私、身震いする自身の身体を強い想いが無理やり動かす
タッタッタッと駆け出す音に気づく、冠熊と娘
お願い間に合って・・・と必死に駆けつける
ドンッ!ザシュッ、ズサァ・・・
「う”ぅ・・・」
勢いよく飛び掛かる音と共に肉が切り裂いた音が周囲に響く・・・
「ママ・・・?」
エメリナの心配する娘
「・・・大丈夫よ。エメリオーネ、ママは少し転んだだけよ?」
苦痛を耐え精一杯に笑うエメリナ
ボロボロと涙を零すエメリナの子、エメリオーネ
「だって、だって、ママ・・・脚が・・・」
そう、冠熊がエメリオーネに振り下ろした腕が空を切り、エメリナの脚を切り裂いていたのだ
血で真っ赤に染まった脚を見るエメリオーネに心配させまいとするエメリナ
「やっと見つけた。もう心配させないの。」
苦痛に耐えつつも、我が子を優しく抱きしめ頭を撫でるエメリナ
思い通りにならなかった冠熊は再度、エメリナとエメリオーネに向かい腕を振りかざす
ザシュッ
ヴォオオオ!?
2人に振りかざした爪は空振りに終わり、冠熊の頭には無数の矢が刺さっていた
そう、最初の音にたまたま居た狩人が気づいて冠熊に矢を放ったのだ
よかった・・・助かった
狩人を視界に捉えたエメリナは安心し気が緩む
止めを刺す為、狩人たちは全力で冠熊を仕留める
グラッ・・・ドンッ
ヴォォォ・・・・
「えっ!?」
冠熊の断末魔とエメリナの不意を突いた事が漏れた
バキッ「キャッーーー!」
倒れた冠熊に押されるように突き飛ばされたエメリナは崖へと飛んでいく
その勢いのまま
手から離れる娘・・・エメリオーネは崖の下へと転落する
目の前から離れた娘、まだ腕に残る温もり
「あ”あぁああああ・・・・・・」
愛おしの娘を失い足も治療せず、自身を憎んだエメリナは戒めに耐えきれず、自らの視界を閉ざした
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