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出生の土地
・足跡・
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しばらく2人は泣きじゃくりながら抱き合ってお互いの生存を噛み締め合い落ち着くまで続けた
エレメッタの父曰く、目元は父親譲りで雰囲気は母親にそっくりだという
「それにしても使者から聞いたが、末恐ろしいお方のおかげで、来れたんだな」
ふと我に帰ったエレメッタの父はラクシスのことを思い出す
当たり前だが、エレメッタひとりでこの国に来れるわけではないので軽くでもラクシスのことを聞いたのだろう
「私としても、ぜひお会いしたいものだ」
微笑みかける父はエレメッタに催促する
「あっそうですね!す、すいません。部屋の外で待たせています」
慌てるエレメッタに「それは大変だ」とあたふたする父の姿はどこか似ている
ガチャッ
「す、すいません。ラクシスさん。お待たせしましたぁ!」
「ん?大丈夫だよ」
そんなエレメッタの様子を気にすることなくラクシスは部屋へと案内され中に入る
「あっ!すいません。エレメッタの父です。名はルットクと言います。」
ラクシスに気づいたエレメッタの父は深々と頭を下げる
「はじめまして。ラクシスです。」
軽く会釈するラクシス
「ささ、本だらけの狭いところですが、お入り下さい。」
ぎこちなく中へラクシスを通す父ルットクは部屋の奥から小さな丸椅子を2脚引っ張り出して2人に座ってもらう
「ラクシスさん、使者から聞きました。私と娘を会わせてくれてありがとうございます。」
ルットクはラクシスに頭を下げ改めて感謝を述べた
「うん。気にしないで」
ラクシスは気にせず、微笑み返す
「それでお、おとぅ・・・ゴホンッ、ルットクさん」
エメレッタはまだ抵抗があるのかお父さんではなく名前で呼ぶ
「ふふふ、お父さんと呼んでくれるなら、自分のタイミングでいいよ」
ルットクは小恥ずかしそうに微笑む
「えっはい。では・・・お、お父さん。母とのなれ染めを聞かせてください」
エメレッタは照れつつも気になることを尋ねる
ゴホンッ「そ、そうだね。今日はこの後、授業もないことですし、私と彼女の話をゆっくり話させていただきましょう」
ルットクは照れ隠しの咳払いをして目を薄め思い出しながら2人に語っていく
ーーーーー16年前、4つの下界に降りる鎖の1つ極寒の神殿、入り口
「ルットク様、此度の名誉ある役目!素晴らしい限りです!」
竜人語で話すこの男は長年王家に仕える竜人族のひとりリベルト
「あぁ、そうだな。この国のため必ず下界の共通語を習得し、この国の文化を知ってもらおう」
拳を自身の前で作り気合を入れる、若き日のルットク
現在と違いルットクは黒い髪を刈り上げ凛々しい姿をしている
「はい、私リベルトもついて参りますので、互いに学んで参りましょう」
リベルトとルットクの2人は厚着をして下界に降りるべく長い間交流のある極寒の神殿へと向かうべく鎖に触れ、降りていく
ルットクは王位継承権は持たないものの王族のひとりとしてリベルトはその側近として下界にテレポートしていく
ヒュンッ
「ここが・・・極寒の神殿なのか?」
ルットクが目を開けるとそこは先ほどまで居た場所とは違う景観で青白い石壁が周囲を埋め尽くしている
「・・・そのようです。」
リベルトは周囲を見渡すと見知らぬ獣人族と亜人族が数人跪いている
「これはこれは竜人族の2人方、お待ちしておりました。ようこそ、極寒の神殿へ」
跪いている中央のフードを被った年老いた亜人が頭を上げ歓迎する
「これは驚いた、竜人語で話している・・・」
目を見開き驚くルットク
「えぇ・・・私どもの族長はだいだい竜人語を学んでおります。村人も多少ですが、お話しすることが出来ます。」
フードの老人が微笑む
「・・・なるほど、しかしなぜ我々がここに来ることをご存じで?」
リベルトは疑問をぶつける
「フォフォフォ、それは我が神殿に仕える者には預言者がおりますので、本日という事は知っておりました。」
右手を顎に触れ微笑みかける
「なっ、なんと・・・下界は凄いな」
ルットクは驚きを隠せない
「おっと、すいません。私はこの神殿と村の長をしている者です。そして私の隣に居るのが・・・」
村長の隣に居た女性が頭をあげて「エメリナと申します。私がここでのお世話をさせていただきます。」と自己紹介をする
見た目は黒柴の獣人族で美しい黒髪をした美しい女性だ
「ほぉ・・・それは助かる。私はルットクという。そして隣に居るのが側近の・・・」
ルットクは会釈をして隣のリベルトを紹介する
リベルトは「リベルトと申します。」と深く頭を下げる
「おぉ、これはこれはご丁寧にありがとうございます。ささ、お寒いでしょう。こちらへどうぞ。」
村長は頭を軽くさげ立ち上がり2人を外へ案内する
2人を連れた村長は神殿の中を通り外に出て村へと連れ歩く
神殿を出て外を歩く途中、ルットクが空を見上げるとそこに広がるのは幻想的な空に思わず、息を呑んでしまう
ゴクリっ「なんだこの美しい空は・・・」
天空の国とまた違った空に感動するルットク
「左様ですね・・・」
ルットクの言葉に気づいたリベルトも絶景に息を呑む
「ふふふ、気に入っていただいたようで何よりです。」
2人の声に気づいた族長は足を止めて振り返って微笑みかける
「ささ、この地域はまだまだ寒うございます。私の家へどうぞ」
族長は2人を先導して村長の家へと改めて案内する
エレメッタの父曰く、目元は父親譲りで雰囲気は母親にそっくりだという
「それにしても使者から聞いたが、末恐ろしいお方のおかげで、来れたんだな」
ふと我に帰ったエレメッタの父はラクシスのことを思い出す
当たり前だが、エレメッタひとりでこの国に来れるわけではないので軽くでもラクシスのことを聞いたのだろう
「私としても、ぜひお会いしたいものだ」
微笑みかける父はエレメッタに催促する
「あっそうですね!す、すいません。部屋の外で待たせています」
慌てるエレメッタに「それは大変だ」とあたふたする父の姿はどこか似ている
ガチャッ
「す、すいません。ラクシスさん。お待たせしましたぁ!」
「ん?大丈夫だよ」
そんなエレメッタの様子を気にすることなくラクシスは部屋へと案内され中に入る
「あっ!すいません。エレメッタの父です。名はルットクと言います。」
ラクシスに気づいたエレメッタの父は深々と頭を下げる
「はじめまして。ラクシスです。」
軽く会釈するラクシス
「ささ、本だらけの狭いところですが、お入り下さい。」
ぎこちなく中へラクシスを通す父ルットクは部屋の奥から小さな丸椅子を2脚引っ張り出して2人に座ってもらう
「ラクシスさん、使者から聞きました。私と娘を会わせてくれてありがとうございます。」
ルットクはラクシスに頭を下げ改めて感謝を述べた
「うん。気にしないで」
ラクシスは気にせず、微笑み返す
「それでお、おとぅ・・・ゴホンッ、ルットクさん」
エメレッタはまだ抵抗があるのかお父さんではなく名前で呼ぶ
「ふふふ、お父さんと呼んでくれるなら、自分のタイミングでいいよ」
ルットクは小恥ずかしそうに微笑む
「えっはい。では・・・お、お父さん。母とのなれ染めを聞かせてください」
エメレッタは照れつつも気になることを尋ねる
ゴホンッ「そ、そうだね。今日はこの後、授業もないことですし、私と彼女の話をゆっくり話させていただきましょう」
ルットクは照れ隠しの咳払いをして目を薄め思い出しながら2人に語っていく
ーーーーー16年前、4つの下界に降りる鎖の1つ極寒の神殿、入り口
「ルットク様、此度の名誉ある役目!素晴らしい限りです!」
竜人語で話すこの男は長年王家に仕える竜人族のひとりリベルト
「あぁ、そうだな。この国のため必ず下界の共通語を習得し、この国の文化を知ってもらおう」
拳を自身の前で作り気合を入れる、若き日のルットク
現在と違いルットクは黒い髪を刈り上げ凛々しい姿をしている
「はい、私リベルトもついて参りますので、互いに学んで参りましょう」
リベルトとルットクの2人は厚着をして下界に降りるべく長い間交流のある極寒の神殿へと向かうべく鎖に触れ、降りていく
ルットクは王位継承権は持たないものの王族のひとりとしてリベルトはその側近として下界にテレポートしていく
ヒュンッ
「ここが・・・極寒の神殿なのか?」
ルットクが目を開けるとそこは先ほどまで居た場所とは違う景観で青白い石壁が周囲を埋め尽くしている
「・・・そのようです。」
リベルトは周囲を見渡すと見知らぬ獣人族と亜人族が数人跪いている
「これはこれは竜人族の2人方、お待ちしておりました。ようこそ、極寒の神殿へ」
跪いている中央のフードを被った年老いた亜人が頭を上げ歓迎する
「これは驚いた、竜人語で話している・・・」
目を見開き驚くルットク
「えぇ・・・私どもの族長はだいだい竜人語を学んでおります。村人も多少ですが、お話しすることが出来ます。」
フードの老人が微笑む
「・・・なるほど、しかしなぜ我々がここに来ることをご存じで?」
リベルトは疑問をぶつける
「フォフォフォ、それは我が神殿に仕える者には預言者がおりますので、本日という事は知っておりました。」
右手を顎に触れ微笑みかける
「なっ、なんと・・・下界は凄いな」
ルットクは驚きを隠せない
「おっと、すいません。私はこの神殿と村の長をしている者です。そして私の隣に居るのが・・・」
村長の隣に居た女性が頭をあげて「エメリナと申します。私がここでのお世話をさせていただきます。」と自己紹介をする
見た目は黒柴の獣人族で美しい黒髪をした美しい女性だ
「ほぉ・・・それは助かる。私はルットクという。そして隣に居るのが側近の・・・」
ルットクは会釈をして隣のリベルトを紹介する
リベルトは「リベルトと申します。」と深く頭を下げる
「おぉ、これはこれはご丁寧にありがとうございます。ささ、お寒いでしょう。こちらへどうぞ。」
村長は頭を軽くさげ立ち上がり2人を外へ案内する
2人を連れた村長は神殿の中を通り外に出て村へと連れ歩く
神殿を出て外を歩く途中、ルットクが空を見上げるとそこに広がるのは幻想的な空に思わず、息を呑んでしまう
ゴクリっ「なんだこの美しい空は・・・」
天空の国とまた違った空に感動するルットク
「左様ですね・・・」
ルットクの言葉に気づいたリベルトも絶景に息を呑む
「ふふふ、気に入っていただいたようで何よりです。」
2人の声に気づいた族長は足を止めて振り返って微笑みかける
「ささ、この地域はまだまだ寒うございます。私の家へどうぞ」
族長は2人を先導して村長の家へと改めて案内する
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