上 下
27 / 69
フリード帝国

城内

しおりを挟む
闘技場で起きた些細な事があったラクシスは気にすることもなく目的のひとつであるドルチェゲイスを裁くことができたので、次の目的である魔導石の研究をしているだろうフリード帝国の中心部へと向かう

途中、轟音がした闘技場方面へと向かっていく野次や状況確認をしようと駆けていく人族と獣人奴隷がチラホラとすれ違っていく

その様子を見たラクシスは1人思う

やはりこの世界に奴隷制度なんかあってはならないと・・・早く目的を達成させなければならないんだと改めて決意をする


フリード帝国は円形型の街となっており、現在ラクシスがいるのは中央街セントラルの繁華街を過ぎた所

さらに中心の最深部・・・つまり皇帝が住まう城へと行かなければならないが、ラクシスには伝手がないため

少し思慮し・・・思いつく

「う~ん。あんまり呼びたくなかったんだけど・・・まぁ、仕方がないね」

ラクシスほどの存在が躊躇うほどの存在とは・・・?


周りを見渡し少し狭い路地を見つけそこへ向かって歩き出す

「よし、ここなら大丈夫かな?」

ふぅっと息を吐き気合を入れ手を地面に付け詠唱をする

「闇より深き暗闇よりも鮮やかで・・・憎悪よりも濃い想いよ・・・ラクシス=オリジンの名の下、集え!闇御津羽神クラミツハの眷属・・・シャドウキャッt」バチンッ

クッ

やっぱり・・・

突如、フリード帝国の空が徐々に雲に覆われ・・・轟音と共に深淵のような一閃の黒い光(?)柱がラクシスの前に
現れた

やがてその柱は人を模した形へと変わり青い髪に闇のような黒い眼をしモデルのような体型の眼のやり場に困る恰好をした女性が立っていた

「主様・・・連れないじゃないですか?我が眷属なんぞ、呼ばずに我を呼んでくれても良いものを・・・ふふふ」

妖艶な姿をした浅黒い肌をし竜のような角を生やした女性はラクシスの頬に手を触れうっとりと見つめる・・・

「・・・そんな気はしてたよ闇御津羽神クラミツハ

「で?我と主様との時間を邪魔する下等な生物は?・・・なるほど、フリード帝国ここを闇に飲ませたら良いのじゃな?」

「・・・うーん。待ってね?まず皇帝さんの所へ行って確認しないと・・・だから君じゃなくてシャドウキャットを呼ぼうとしたんだ」

「なっ!」

衝撃を受けた表情をする闇御津羽神クラミツハ

「それに・・・ここまで目立って来ちゃったら、人が集まっちゃうから」

「それなら帝国ごと催眠で代わりの記憶を改ざん・・・」

「ダメだって・・・」

珍しく慌てるラクシス

どうやらラクシスとって闇御津羽神クラミツハは唯一、調子を狂わされる相手のようだ

「さ、ささ!いったん戻ってシャドウキャットを呼んでね?」

頬膨らませ明らかに拗ねる闇御津羽神クラミツハ

「・・・嫌じゃ・・・」

「ちゃんと後で呼ぶから・・・ね?」

「むぅ・・・仕方あるまい」

闇御津羽神クラミツハが手をパチンッと鳴らすと地面から丸い影が現れ真っ黒な影ができシャドウキャットが現れた


「では主様を頼んだぞ?」シュンッ

「にゃ~」

闇御津羽神クラミツハが消え代わりにシャドウキャットが現れ暗くなった空は通常に戻った


「じゃよろしくね?」「にゃっ」

ラクシスはシャドウキャットに手を出し頭を撫でてラクシスと一緒に影の中へと消えた

シャドウキャットの特性である影移動で皇帝がいる城内を自由に移動することができる


「な、なんだったんだ!?」「一瞬暗くなったよな!?」「急にもどっちまった!」などと繁華街でちょっとした騒ぎになったのは言うまでもない・・・




ーーーフリード帝国城内のとある一室

冷たい空気の漂う研究室のような場所で至る所に本棚やホルマリンで漬けられた部位が飾らせている

もさっ毛の天然パーマと白髪混じりの無精髭が印象的な男が一箇所に集められた獣人族へ向かって一歩、一歩進んでいく

「フヒヒヒッ、さて、今日も我々のためにぃ君たちには貢献してもらいますかね!」


手に持つ青白く反射する刃物が恐怖をそそる

「お、俺たちが犠牲になれば、ほ、他の仲間には手を出さないんだな?ちゃんと衣食住を確保してもらえるんだな!?」

「あぁ!もちろんですよ?私は嘘を付きませんから!ウヒヒッちゃんと獣人族あなたたちが石の研究の為に犠牲さえなってくれれば、他の人たちに手は出しません!・・・私はね?ウヒヒッ」

!?

「どういう事だ!?き、聞いていた話と違うじゃないか!俺ら獣人の面倒を見てくれるんじゃないのか!?」

「失礼ですね?ちゃんと言いましたよ?私はあなたたち以外は手を出さない!とね?他の奴は知りませんがね?ウヒヒッ」

帝国兵の鎧を着た男が獣人に怒鳴る

「誰が貴様ら獣人なんぞの面倒なんか見るんだよ?お前たちはフリード帝国の繁栄となることに感謝するがよい!」フハハハッ

もさっ毛の天然パーマと白髪混じりの無精髭の男が冷たそうな視線を帝国兵に送り

「品がないですねぇ・・・まぁ良いでしょう!確かに獣人族かれらはただの魔導石の糧になる程度の存在・・・ウヒヒッ我々フリード帝国のためになれるのだから感謝しかないですがね!」


ザシュッ!












しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

私の召喚獣が、どう考えてもファンタジーじゃないんですけど? 〜もふもふ? いいえ……カッチカチです!〜

空クジラ
SF
 愛犬の死をキッカケに、最新VRMMOをはじめた女子高生 犬飼 鈴 (いぬかい すず)は、ゲーム内でも最弱お荷物と名高い不遇職『召喚士』を選んでしまった。  右も左も分からぬまま、始まるチュートリアル……だが戦いの最中、召喚スキルを使った鈴に奇跡が起こる。  ご主人様のピンチに、死んだはずの愛犬コタロウが召喚されたのだ! 「この声? まさかコタロウ! ……なの?」 「ワン」  召喚された愛犬は、明らかにファンタジーをぶっちぎる姿に変わり果てていた。  これはどこからどう見ても犬ではないが、ご主人様を守るために転生した犬(?)と、お荷物職業とバカにされながらも、いつの間にか世界を救っていた主人公との、愛と笑いとツッコミの……ほのぼの物語である。  注意:この物語にモフモフ要素はありません。カッチカチ要素満載です! 口に物を入れながらお読みにならないよう、ご注意ください。  この小説は『小説家になろう』『カクヨム』にも投稿しています。

【書籍化確定、完結】私だけが知らない

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

仮想戦記:蒼穹のレブナント ~ 如何にして空襲を免れるか

サクラ近衛将監
ファンタジー
 レブナントとは、フランス語で「帰る」、「戻る」、「再び来る」という意味のレヴニール(Revenir)に由来し、ここでは「死から戻って来たりし者」のこと。  昭和11年、広島市内で瀬戸物店を営む中年のオヤジが、唐突に転生者の記憶を呼び覚ます。  記憶のひとつは、百年も未来の科学者であり、無謀な者が引き起こした自動車事故により唐突に三十代の半ばで死んだ男の記憶だが、今ひとつは、その未来の男が異世界屈指の錬金術師に転生して百有余年を生きた記憶だった。  二つの記憶は、中年男の中で覚醒し、自分の住む日本が、この町が、空襲に遭って焦土に変わる未来を知っってしまった。  男はその未来を変えるべく立ち上がる。  この物語は、戦前に生きたオヤジが自ら持つ知識と能力を最大限に駆使して、焦土と化す未来を変えようとする物語である。  この物語は飽くまで仮想戦記であり、登場する人物や団体・組織によく似た人物や団体が過去にあったにしても、当該実在の人物もしくは団体とは関りが無いことをご承知おきください。    投稿は不定期ですが、一応毎週火曜日午後8時を予定しており、「アルファポリス」様、「カクヨム」様、「小説を読もう」様に同時投稿します。

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜

白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。 舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。 王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。 「ヒナコのノートを汚したな!」 「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」 小説家になろう様でも投稿しています。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

処理中です...