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アーサット王国
現状
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馬車で王城へ向かう途中
グラム大臣がどれほど慕われているのかが改めて分かる
小さな子や大人たちまで馬車に向かって親しげに手を振って優しい声が馬車内にも聞こえている
それに応えられないグラム大臣は申し訳なさそうな表情をしつつもラクシスたちにアーサット王国が現在、置かれている状況を話す
「証明書は助かったよ。ラクシス君・・・いえ、英雄ラクシスと呼んだ方が良いかな?」
「いや、滅相もない。私はたまたまあの時通りがかっただけだよ。」
目を丸くするグラム大臣
「・・・なんと!やはりあなたでしたか、もう随分と月日がたっているにも関わらず風貌が少年のままだったので、まだ半信半疑の部分はありました。いや・・・申し訳ない。」
「ふふふ、気にしないで。私はもう歳を重ねる事ができないんだよ。」
「そうにゃ!ラクシス様はずっとラクシス様にゃ!」
グラム大臣は目をパチクリさせ、信じがたいと言いたそうな表情をしているが、
目の前の姿が事実なので、何も言い出せず言葉を飲み込むしかない。
「・・・その不老のラクシス君には王と謁見してもらいこの国の現状を把握した上、力を貸していただきたい。」
頭を深々とさげ願う
「・・・もちろん。微力ながら助力するよ」
「そうにゃ!ラクシス様に何でも任せるにゃ!だから頭あげるにゃ!」
ぎんたは下げたグラム大臣の頭を前足でポンポンと軽く叩く
「・・・はい。助かります。」
「それにしても、私が昔来た時より随分と綺麗で活気あふれる街並みになったね」
「そうですね。私含め・・・民もそうですが、前王が尽力を尽くしましたので今となってはここまで繁栄できて誇りですね。」
「ん?前王?え、あっアルフォードさんじゃないのかー通りで変わるわけだね。」
「えぇ、そうです。現王はアルフォード様の御子息のアーサット様になります。そして後継されたおりに国名も他国へ示す意味も込めて改名を致しました。」
「あーなるほど、そうだったんだね。」
ちなみにぎんたは興味なさげにそっぽを向いている
「それで此度、ご足労願うのはラクシス様にも縁のある前王の現状についてです。」
・・・?
「話は少し遡るのですが、アルフォード様が退く少し前の話です。当初異変に気づいたのは世話係で・・・
・・・コンコン
「うむ・・・入れ」
「・・・失礼します。アルフォード様、湯浴みの定刻となりました。いかがなさいますでしょうか?」
「・・・そうか、もうそんな時間か。分かった。」
「それでは侍女も付き添い致します。」
コクと頷きアルフォードは日課の湯浴みを世話係と侍女と共に湯浴み場へと向かう
着いた湯浴み場では王が着用している衣服を侍女たちが丁寧に慣れた手付きで一枚一枚シュルシュルと脱がしていく
その身体は年老いても尚、衰えを知らない鍛え抜かれた肉体で歴戦の英雄のように美しく彫刻のようだ
それに見慣れた侍女がふと異変に気づき声をかける
「アルフォード様・・・その・・・」
察したアルフォードが応える
「よい、なんだ」
「ありがとうございます。アルフォード様の左腰に見慣れない痣のような蛇に似た形の物が見受けします。存じておりますか?」
「・・・痣?」
「はい。写鏡がございますので確認をしていただきたく・・・」
侍女は写鏡にアルフォードを連れて行く
「確かに・・・にしてもこれはわしも覚えない。打ち身にしても怪しい。分かった。感謝する。」
「はい。ありがとうございます。して治癒師に診せましょうか?」
「・・・うむ。呼んで診せるか。」
「それでは一度、このまま作業を致します。」
「うむ、分かった。」
日課の湯浴みを終えアルフォードはお抱えの治癒師をその日のうちに呼び診せた
「・・・で、どうみる?」
少し間を空け苦い顔をし応える治癒師
「・・・これは、呪いの類でございます。」
普段表情を表に出さない王が身を丸くし驚く
「・・・呪い!?」
「はい。それも稀有で・・・治癒師では手のつけようも・・・ございません。」
申し訳なく悔やむ治癒師の姿は哀れで致し方ない
そうか・・・と深く息を吐き少し沈黙する王
目を閉じ手を顔を当てて重い口をあける
「・・・立場上辛いものよのぉ治癒師よ。」
小さく小刻みに震えて泣いているようにも見える姿は痛々しくも辛そうだ
・・・
「で、私はいつまで保つと思う?」
「・・・恐れながら今は初期段階な上にこの類は読みづらく首に達した時が最後、2年から3年を見ればと推測致します。」
「・・・そうか、満を喫してアーサットに譲りたかったのだがな。早計に託すか・・・」
「それでアルフォード様、私が治癒師の全てを掛け遅延させることも難しいですが、痛覚などの症状の緩和・・・いえ、誤魔化しはできると心得ます。」
「・・・そうか、打つ手がないのなら仕方あるまい。」
・・・アルフォードは治癒師から出来る範囲全てを聞き入れて
今後の周りへの秘匿レベルと配慮を通達させた後、アルフォード王は次世代であるアーサットへと少しずつ引き継いでいった。
グラム大臣がどれほど慕われているのかが改めて分かる
小さな子や大人たちまで馬車に向かって親しげに手を振って優しい声が馬車内にも聞こえている
それに応えられないグラム大臣は申し訳なさそうな表情をしつつもラクシスたちにアーサット王国が現在、置かれている状況を話す
「証明書は助かったよ。ラクシス君・・・いえ、英雄ラクシスと呼んだ方が良いかな?」
「いや、滅相もない。私はたまたまあの時通りがかっただけだよ。」
目を丸くするグラム大臣
「・・・なんと!やはりあなたでしたか、もう随分と月日がたっているにも関わらず風貌が少年のままだったので、まだ半信半疑の部分はありました。いや・・・申し訳ない。」
「ふふふ、気にしないで。私はもう歳を重ねる事ができないんだよ。」
「そうにゃ!ラクシス様はずっとラクシス様にゃ!」
グラム大臣は目をパチクリさせ、信じがたいと言いたそうな表情をしているが、
目の前の姿が事実なので、何も言い出せず言葉を飲み込むしかない。
「・・・その不老のラクシス君には王と謁見してもらいこの国の現状を把握した上、力を貸していただきたい。」
頭を深々とさげ願う
「・・・もちろん。微力ながら助力するよ」
「そうにゃ!ラクシス様に何でも任せるにゃ!だから頭あげるにゃ!」
ぎんたは下げたグラム大臣の頭を前足でポンポンと軽く叩く
「・・・はい。助かります。」
「それにしても、私が昔来た時より随分と綺麗で活気あふれる街並みになったね」
「そうですね。私含め・・・民もそうですが、前王が尽力を尽くしましたので今となってはここまで繁栄できて誇りですね。」
「ん?前王?え、あっアルフォードさんじゃないのかー通りで変わるわけだね。」
「えぇ、そうです。現王はアルフォード様の御子息のアーサット様になります。そして後継されたおりに国名も他国へ示す意味も込めて改名を致しました。」
「あーなるほど、そうだったんだね。」
ちなみにぎんたは興味なさげにそっぽを向いている
「それで此度、ご足労願うのはラクシス様にも縁のある前王の現状についてです。」
・・・?
「話は少し遡るのですが、アルフォード様が退く少し前の話です。当初異変に気づいたのは世話係で・・・
・・・コンコン
「うむ・・・入れ」
「・・・失礼します。アルフォード様、湯浴みの定刻となりました。いかがなさいますでしょうか?」
「・・・そうか、もうそんな時間か。分かった。」
「それでは侍女も付き添い致します。」
コクと頷きアルフォードは日課の湯浴みを世話係と侍女と共に湯浴み場へと向かう
着いた湯浴み場では王が着用している衣服を侍女たちが丁寧に慣れた手付きで一枚一枚シュルシュルと脱がしていく
その身体は年老いても尚、衰えを知らない鍛え抜かれた肉体で歴戦の英雄のように美しく彫刻のようだ
それに見慣れた侍女がふと異変に気づき声をかける
「アルフォード様・・・その・・・」
察したアルフォードが応える
「よい、なんだ」
「ありがとうございます。アルフォード様の左腰に見慣れない痣のような蛇に似た形の物が見受けします。存じておりますか?」
「・・・痣?」
「はい。写鏡がございますので確認をしていただきたく・・・」
侍女は写鏡にアルフォードを連れて行く
「確かに・・・にしてもこれはわしも覚えない。打ち身にしても怪しい。分かった。感謝する。」
「はい。ありがとうございます。して治癒師に診せましょうか?」
「・・・うむ。呼んで診せるか。」
「それでは一度、このまま作業を致します。」
「うむ、分かった。」
日課の湯浴みを終えアルフォードはお抱えの治癒師をその日のうちに呼び診せた
「・・・で、どうみる?」
少し間を空け苦い顔をし応える治癒師
「・・・これは、呪いの類でございます。」
普段表情を表に出さない王が身を丸くし驚く
「・・・呪い!?」
「はい。それも稀有で・・・治癒師では手のつけようも・・・ございません。」
申し訳なく悔やむ治癒師の姿は哀れで致し方ない
そうか・・・と深く息を吐き少し沈黙する王
目を閉じ手を顔を当てて重い口をあける
「・・・立場上辛いものよのぉ治癒師よ。」
小さく小刻みに震えて泣いているようにも見える姿は痛々しくも辛そうだ
・・・
「で、私はいつまで保つと思う?」
「・・・恐れながら今は初期段階な上にこの類は読みづらく首に達した時が最後、2年から3年を見ればと推測致します。」
「・・・そうか、満を喫してアーサットに譲りたかったのだがな。早計に託すか・・・」
「それでアルフォード様、私が治癒師の全てを掛け遅延させることも難しいですが、痛覚などの症状の緩和・・・いえ、誤魔化しはできると心得ます。」
「・・・そうか、打つ手がないのなら仕方あるまい。」
・・・アルフォードは治癒師から出来る範囲全てを聞き入れて
今後の周りへの秘匿レベルと配慮を通達させた後、アルフォード王は次世代であるアーサットへと少しずつ引き継いでいった。
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