ひとりの獣人と精霊

わんコロ餅

文字の大きさ
上 下
27 / 66
剣と宗と森の民

現状

しおりを挟む
中央にそびえ立つ巨木の中をくり抜いたような家屋は、他とは少し違う豪華な造りとなっている

「長!いらっしゃいますか?」

扉の前で問いかける

「うむ・・・入りたまえ」

扉の中から声が聞こえる

ガチャッ

「失礼致します。」

「お邪魔するにゃ」

「失礼しま・・・す」

使者、ぎんた、エメレッタの順番で部屋に入って行く

「遠路はるばるよくぞ来たもんじゃ・・・ささ、座ってくれ」

部屋に入ると奥に1人の使者が座っており、3人を歓迎する

長に促されるまま3人は座る

「まずは・・・!?ぎ、ぎんた!?そなたはぎんたではないか!!わしじゃよ。わしルリラビエルじゃよ!」

「にゃ!?久しぶりだにゃ!」

「え?ぎんたさん知り合いだったんですか!?」

2人が知り合いだったことに驚くエメレッタ

「昔、ラクシスと来た事あるにゃ!」

「えぇえ!?」

「フォフォフォフォッその節は世話になったのぉ・・・して、そちらの女子おなごは?」

懐かしむ族長ルリラビエル

「えっ、あっはい。エメレッタと言います。今はぎんたさんの召喚者です。」

自己紹介をするエメレッタ

「ん!?そうなのか・・・という事はラクシス様は居らぬのか・・・」

察する族長

「にゃ・・・そのための旅だにゃ・・・」

申し訳なく応えるぎんた

「・・・そうか。変な事を聞いてしもうたのぉ。いや、しかし今回はちと、守り神様にあってもらいたくてのぉ。」

話を変える族長

「にゃ?そうにゃのか?」

「え??守り神様ですか?」

それぞれ反応する2人

「ふむ・・・実はな少し・・・守り神様に異変が起こってのぉ。それで、一度、会ってもらいたいのじゃよ。頼む。」

族長ルリラビエルは頭を下げる

「分かったにゃ!とにかく会えばいいんだにゃ?」

鼻をフンッと鳴らし自信ありげに応える

「そ、そうですね。私もお会いしたいです。」

対してエメレッタは自信なさげに応える

「ふふふ、よろしく頼んだ。」

族長ルリラビエルは使者に指示する

「ハッ、責任持ってご案内します。」

使者は族長に一礼して、2人を連れて後にした

族長の家を出て里の奥へと進んで行く3人

道中、チラホラと里の者を見かけたたが、畑仕事など様々な作業をしていて声を掛けられることもなく、里のさらに奥へ歩み続ける

入り組んだ道を進んでしばらくすると急に視界が晴れた

そして目に飛び込んできたのはなんとも言えない光景だった・・・

真ん中に島がある巨大なドーナツ状の池に、桟橋がかけられていてそこから水面に浮かぶ蒼白い不可思議な焔が左右に灯っている、幻想的で不思議な感じだ・・・

「ひ、ひぇ・・・」

目を見開き圧倒されるエメレッタ

「にゃ・・・相変わらず凄いにゃ・・・」

2回目のぎんたも目を輝かせ興奮する

「では、参りましょう。」

使者はぎんたたちを先導する

「分かったにゃ!」

「あっはい。」

ぎんたの後をついて行くエメレッタ

桟橋を渡り水面に浮かぶ青白い炎がだんだんと近づいてきた

「ふふふ、どうやって向こう岸へ渡るのかにゃ?って思っているかにゃ?」

エメレッタをチラッと見て尋ねるぎんた

「えっ?そう、そうですよね!?どうやって行くんですか!?」

言われてて初めて気づくエメレッタ

「歩くんにゃ!」

「へっ!?」

ぎんたの言葉に尻尾をビーンッと伸ばし驚くエメレッタ

「言葉通り、歩くんにゃ!ほら、付いてくるにゃ!」

そう言いながらぎんたは水辺にそっと足をつけてそのまま歩き始めた

「えっ!!」

驚きを隠せないエメレッタ

「ふふふ、理屈は簡単、この炎を媒体にして見えない道の結界を作っているだけの侵入者対策だにゃ!」

使者の後で誇らしげに話すぎんた、その後を恐る恐るついて行くエメレッタ

3人は島へ上陸するとそこには巨大な御社が建っており、使者が入口の前で何やら呪文を唱えているようだ

「守り神よ・・・#$%&#%#%!」

ギィという音と共に扉が開くと・・・その先には木枝のようなツノを生やし細く短い髭をちょんと生やした爬虫類のような顔、頭には獅子のようなたてがみが目立つ出立ちの姿があった

身体は蛇のようなのに鳥類のような腕はまさに竜種・・・

「私はエルフの守り神と呼ばれる大地の精霊と空の精霊の落し子、竜種であるとされている。そして、名はない」

「!?」

その美しさに驚愕し反応することが出来ないエメレッタ

「久しぶりだにゃ!」

少し大きめの竜種で若く見える

「ほぉ・・・そなたは・・・ぎんた殿ではないか。」

目を一瞬、カッと見開き驚いたが、守り神は次第に優しい目になった

「何か異変があったって聞いたから来たにゃ!」

ボソッ「ちょっぎ、ぎんたさん!」

「はっはっはっはっ!良い良いぎんた殿、相変わらずの反応で良いではないか。」

守り神は盛大に笑った

「それでどうしたかにゃ?」

「そ、そうですよ。守り神様に異変があると伺いました。」

ぎんたとエメレッタは守り神に尋ねる

「あぁ、すまない。すまない。実はここ最近・・・力が弱まってしまってね」

守り神は目を少し細め悲しそうにして自身の尾をぎんたに見せる

「にゃ?にゃんか黒いにゃね?」

ぎんたが見た尾の先は黒く変色していた

「少しずつ、変色し始めてね。このままだと、結界の維持ができなくなってしまう。」

身体が小刻みに震えて辛そうにする守り神

「だ、大丈夫かにゃ?」

「大丈夫ですか?」

ぎんたとエメレッタは心配する

「ふふふ、ありがとう。まだ大丈夫。君たちが来てくれたからね。原因を調べてくれるかい?」

守り神は頭を下げる

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

不遇幼女テイマーに召喚された古竜、未開の秘境で幼女のパパになる。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:352

神獣転生のはずが半神半人になれたので世界を歩き回って第二人生を楽しみます~

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:142pt お気に入り:1,410

ひよっこ召喚師モフモフの霊獣に溺愛される

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:773

お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:426pt お気に入り:7,500

おちこぼれ召喚士見習いだけどなぜかモフモフにモテモテです

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:67

異世界のんびり冒険日記

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:78pt お気に入り:1,776

処理中です...