ひとりの獣人と精霊

わんコロ餅

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追憶

理由

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「え?蛇?」

ぎんたの後ろからひょっこりと顔をのぞかせ、相手の姿を確認するエメレッタ

その相手はぎんたから向けられた籠手に舌で警戒音をシャーッと出し尻尾の先は小刻みに震え続けている

「何にゃ!お前!」

右手の籠手を上下に振り仰ぐぎんた

「オ前等コソ、何者ダ!」

蛇はぎんたに感情をぶつける

「ぎんたたちに攻撃したお前は何者「ちょ、ちょっと待って下さい」にゃ!」

ぎんたに被せてエメレッタは抑止の言葉を吐く

「何にゃ!邪魔しないで欲しいにゃ!」

抑止したエメレッタにぎんたは不満をぶつける

「私たちは原因を調査しに来たのにぶつかってどうするんですか?」

エメレッタの正論にぎんたは思い出し手をポーンと叩く

「そうだったにゃ!」

気づいたぎんたとエメレッタは祠に居た蛇に色々尋ねて

最初は蛇も威嚇をしていたが、話を聞く意思もあったようで徐々に威嚇体制も解いてくれることになった

「・・・なるほど、そういうことだったんですね」

「ソウダ」

「つまり元々、この祠は昔からあったけど、数年前から瘴気が濃くなり、気が付いたら意思が現れ蛇として自覚したということでしょうか?」

エメレッタは思考しつつ話を振り返った

「・・・ソウダ」

蛇はエメレッタの話に頷きさらに話を続ける

「自我が目覚めてもここを護っていたのに突如、人が現れたので警戒し攻撃をしようとしたら力が湧き出てあのような事が出来る事に気が付いた・・・というのですか?」

エメレッタの問いに頷き続ける蛇

「それで、調査にきた衛兵たちを攻撃したという・・・?」

「・・・」

祠を護るためといえ、調査に来た衛兵を攻撃した蛇をエメレッタは険しい表情で見つめる

「別に悪意を持って攻撃してきたわけじゃにゃいのになぜ攻撃したにゃ?」

「・・・ウルサイ、しかたがないダロ!?」

ぎんたとエメレッタの問い詰めに豹変する蛇

「ウ”ゥ・・・ちからが制御デキナイノダカラ!ナニモしらないクセニ、クセニクセニクセニ!!」

そして激昂しだす蛇

目が光、身体の模様が光始め周囲の空気が歪み蛇の力が突如、暴走する

「なっ!?」「にゃ!?」

2人が驚くも間もなく

蛇から放たれた衝撃波が地面を切り裂き周囲と2人を巻き込んでいく

ぎんたは半実体化をする事で衝撃波それ
を回避する

しかし、エメレッタは不運にも回避できずに衣服を切り裂かれ吹き飛ばされ尻餅をつく

ザシュッゴロゴロン・・・どんっ

「痛ぅ・・・」

唐突の事に防御の魔を展開しようとするが・・・間に合う事もなく

ベチョ・・・エメレッタの肩から胸にかけ生暖かい血が付く

幸いにもローブを着込んでいたために軽傷で済んだものの

見た目よりもエメレッタにとっては痛く辛いだろう・・・

その証拠に手に纏わりついた血とぐったりとした表情が見るもの痛々しい

「エメレッタ!大丈夫かにゃ!?」

エメレッタを心配するぎんた

その間も蛇から放たれる力は容赦なく周囲を巻き込んでいく

エメレッタはさらに追い討ちをかけて放たれる衝撃波に合わせ防御展開する

ピシィッ

「ハァハァ、間、間に合った・・・」

片手を前に突き出し発動した防御膜は雪の結晶のように展開した

慌てて駆けつけたぎんたはエメレッタの背後に回り込み実体化する

「にゃんにゃあいつ・・・」

ぎんたは何処からか出した鞄から治療薬を取り出しながらエメレッタに話しかける

「ゔぅ・・・」

痛みに耐えながらも自身とぎんたを守るエメレッタ

それに対して応急処置をこなすぎんた

「自分の力が暴走して意識なさげにゃ」

チラッと確認して現状を把握したぎんた

エメレッタの事を考えると長期戦は難しい

ぎんたは少しの間、思考を巡らせ作戦を練る

「くぅ、辛くなってきました」

防御膜を張りながらだんだん衰弱していくエメレッタ

意を決したぎんたは再び精霊の力を使い実体化を辞めて

蛇に立ち向かう

近づけば、近づくほど力は増していく

その最中、ぎんたは蛇を倒す為に攻撃を仕掛けた
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