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追憶
疑心の森
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柔らかな日差しに照らされ、優雅な朝を迎えるエメレッタ
超高級ベッドから這い出ようと身体を起こすと「なっ!?」とある事件が起きた
「ぎ、ぎんたさん!!」
「にゃ~、朝からうるさいエメレッタにゃ、にゃ!?」
エメレッタの声に目覚めたぎんたも同様、布団から這い出ようと上体を起こす
「こ、これは実体化してると起きれにゃいにゃ!?」
超高級ベッドに使用されている布団が良すぎて身体が埋もれたまま起きれないというのだ
ぎんたは実体化を一瞬だけ解いてベッドの下からモソモソと現れた
「ちょっとエメレッタ!!今助けるから待つにゃ!」
ぎんたは両手(?)でエメレッタをひっぺ返しゴロゴロと転がす形で脱出させた
コテッ
「痛てて・・・?あれ?痛くないです」
ベッドから転げ落とされ絨毯に落ちたはずのエメレッタは痛みではなく心地よい肌触りを感じていた
「うわぁ・・・高級宿って恐ろしいですね・・・」
「にゃ!?エメレッタ、何やってるにゃ!今日の目的を忘れたかにゃ!?早く出ないとだめにゃ!!」
ぎんたが気づくと大の字で横たわるエメレッタを慌てて急かす
「えっ??もう行くんですか??」
人としてダメになりそうなエメレッタはだらけながらぎんたに応える
「今日中に調査して終わらせにゃいとどうなるか分からにゃいにゃ!!だからサッサと支度するにゃ!!」
毛を逆立ててエメレッタへ必死に話すぎんた
その様子を見て自身の状況を察したエメレッタはガバッと起き上がり慌てて支度をし始める
「そ、そうでした!すいません。つい居心地が良すぎて・・・」
ばつの悪そうな顔をしつつ、謝るエメレッタ
「そ、そんなことどうでもいいにゃ!早くするにゃ!」
心なしかぎんたが兄のようなしっかりした精霊に見える
バタバタと慌てながらも準備を終え超高級宿を出た2人は気持ちを切り替えて目的地である”疑心の森”へと歩を進める
アーサット王国から南東に少し向かった先にある”疑心の森”はかつてそのような場所ではなかった
自然豊かで色鮮やかな森は巷でも有名な場所だった
自然に発生する魔力と微精霊が集う稀有な土地でその中心地には小さな祠が遥か昔より祀られていた
しかし、ここ数年・・・突如、微精霊は居なくなり、魔力が濃く見慣れない霧が発生するようになったのだ
そこで、何度か調査隊を編成し繰り出したアーサット王は報告を待っていたのだが、それは空振りに終わりしびれを切らしかけた所に今回の2人が現れ依頼する形となったのだ
「にゃ・・・何だか嫌な感じがするにゃ・・・」
「な、なんですかね・・・この感じ・・・」
目的地の”疑心の森”へと変貌した場所へ辿り着いた2人は息をのんだ
身体に纏わりつく霧のようなものにシメジメとした雰囲気が空気を重くする
「わ、私たちでだ、大丈夫でしょうか!?」
不安げな表情しぎんたに尋ねるエメレッタ
「だ、大丈夫にゃ!仮にもぎんたは精霊にゃ!」
さほど根拠のない理由ではあったが、エメレッタはぎんたにすがるしかないので・・・渋々納得する
重苦しい空気の中、勇気を振り絞って一歩、一歩と中へと歩を進めていくぎんた
それを置いて行かれないようにエメレッタも身を震え上がらせついて行く
中へと入り少し進んだ2人は徐々に慣れたのか思っていたより楽だったのか定かではないが表情が楽になっていた
「ぎ、ぎんたさん!た、大した事ないですね??」
「そうにゃね・・・思っていた感じとは違ったにゃね・・・まぁ、先に向かったはずの調査兵を探して帰るにゃ」
生い茂った草木を装着した籠手でバッタバッタ切り裂くぎんたと両手根をブンブン振り回しこれで使い方あってるのか?と思えてしまうやり方で獣道を整地しながら進んでいるエメレッタ
「おっ、あれは聞いてた祠に続く広場かにゃ!?」
ぎんたの目先に逆光の中で少し見えた開けた場所は恐らく祠を祀ってある広場だろうと高まる気持ちを抑え足早に進んでいく
「ぎんたさん!ほ、ほんとうですね!!じゃきっとそこに調査兵もいるはずです!」
嫌な雰囲気の木々にいち早く区切りを付けたいエメレッタもぎんたに釣られ後をついて行く
パァッ!と広がる美しい広場は先ほどまでの重苦しくも纏わりつく霧もなく見た事もないパステルカラーの植物があちらこちら生えている場所へと繋がっていた
「あれ??」「にゃ!?」
思っていた場所と違うところへ出てしまった2人は慌てて後ろへ振り返る
「にゃ!!??」「へっ!?」
先ほどまで居たはずの森は無く、パステルカラーの大判の花が咲き誇っていた
「ど、どういうことですか??これ!?」
「にゃ??ぎんたが聞きたいにゃ!?」
クスクス・・・
「にゃ?エメレッタ、急に笑うにゃよ!びっくりするにゃ!」
「へ?私、笑ってなんかいないですよ??ってぎんたさんこそさっきから私の尻尾、触らないでくださいよ!?」
「にゃ!?失礼にゃ!ぎんたは他人の尻尾にゃんか触らにゃいにゃ!!」
「へ?じゃさっきから私の尻尾を触っているのは・・・」
恐る恐る自身の尻尾を見るエメレッタ
「きゃあああああああああああああ!!!」
超高級ベッドから這い出ようと身体を起こすと「なっ!?」とある事件が起きた
「ぎ、ぎんたさん!!」
「にゃ~、朝からうるさいエメレッタにゃ、にゃ!?」
エメレッタの声に目覚めたぎんたも同様、布団から這い出ようと上体を起こす
「こ、これは実体化してると起きれにゃいにゃ!?」
超高級ベッドに使用されている布団が良すぎて身体が埋もれたまま起きれないというのだ
ぎんたは実体化を一瞬だけ解いてベッドの下からモソモソと現れた
「ちょっとエメレッタ!!今助けるから待つにゃ!」
ぎんたは両手(?)でエメレッタをひっぺ返しゴロゴロと転がす形で脱出させた
コテッ
「痛てて・・・?あれ?痛くないです」
ベッドから転げ落とされ絨毯に落ちたはずのエメレッタは痛みではなく心地よい肌触りを感じていた
「うわぁ・・・高級宿って恐ろしいですね・・・」
「にゃ!?エメレッタ、何やってるにゃ!今日の目的を忘れたかにゃ!?早く出ないとだめにゃ!!」
ぎんたが気づくと大の字で横たわるエメレッタを慌てて急かす
「えっ??もう行くんですか??」
人としてダメになりそうなエメレッタはだらけながらぎんたに応える
「今日中に調査して終わらせにゃいとどうなるか分からにゃいにゃ!!だからサッサと支度するにゃ!!」
毛を逆立ててエメレッタへ必死に話すぎんた
その様子を見て自身の状況を察したエメレッタはガバッと起き上がり慌てて支度をし始める
「そ、そうでした!すいません。つい居心地が良すぎて・・・」
ばつの悪そうな顔をしつつ、謝るエメレッタ
「そ、そんなことどうでもいいにゃ!早くするにゃ!」
心なしかぎんたが兄のようなしっかりした精霊に見える
バタバタと慌てながらも準備を終え超高級宿を出た2人は気持ちを切り替えて目的地である”疑心の森”へと歩を進める
アーサット王国から南東に少し向かった先にある”疑心の森”はかつてそのような場所ではなかった
自然豊かで色鮮やかな森は巷でも有名な場所だった
自然に発生する魔力と微精霊が集う稀有な土地でその中心地には小さな祠が遥か昔より祀られていた
しかし、ここ数年・・・突如、微精霊は居なくなり、魔力が濃く見慣れない霧が発生するようになったのだ
そこで、何度か調査隊を編成し繰り出したアーサット王は報告を待っていたのだが、それは空振りに終わりしびれを切らしかけた所に今回の2人が現れ依頼する形となったのだ
「にゃ・・・何だか嫌な感じがするにゃ・・・」
「な、なんですかね・・・この感じ・・・」
目的地の”疑心の森”へと変貌した場所へ辿り着いた2人は息をのんだ
身体に纏わりつく霧のようなものにシメジメとした雰囲気が空気を重くする
「わ、私たちでだ、大丈夫でしょうか!?」
不安げな表情しぎんたに尋ねるエメレッタ
「だ、大丈夫にゃ!仮にもぎんたは精霊にゃ!」
さほど根拠のない理由ではあったが、エメレッタはぎんたにすがるしかないので・・・渋々納得する
重苦しい空気の中、勇気を振り絞って一歩、一歩と中へと歩を進めていくぎんた
それを置いて行かれないようにエメレッタも身を震え上がらせついて行く
中へと入り少し進んだ2人は徐々に慣れたのか思っていたより楽だったのか定かではないが表情が楽になっていた
「ぎ、ぎんたさん!た、大した事ないですね??」
「そうにゃね・・・思っていた感じとは違ったにゃね・・・まぁ、先に向かったはずの調査兵を探して帰るにゃ」
生い茂った草木を装着した籠手でバッタバッタ切り裂くぎんたと両手根をブンブン振り回しこれで使い方あってるのか?と思えてしまうやり方で獣道を整地しながら進んでいるエメレッタ
「おっ、あれは聞いてた祠に続く広場かにゃ!?」
ぎんたの目先に逆光の中で少し見えた開けた場所は恐らく祠を祀ってある広場だろうと高まる気持ちを抑え足早に進んでいく
「ぎんたさん!ほ、ほんとうですね!!じゃきっとそこに調査兵もいるはずです!」
嫌な雰囲気の木々にいち早く区切りを付けたいエメレッタもぎんたに釣られ後をついて行く
パァッ!と広がる美しい広場は先ほどまでの重苦しくも纏わりつく霧もなく見た事もないパステルカラーの植物があちらこちら生えている場所へと繋がっていた
「あれ??」「にゃ!?」
思っていた場所と違うところへ出てしまった2人は慌てて後ろへ振り返る
「にゃ!!??」「へっ!?」
先ほどまで居たはずの森は無く、パステルカラーの大判の花が咲き誇っていた
「ど、どういうことですか??これ!?」
「にゃ??ぎんたが聞きたいにゃ!?」
クスクス・・・
「にゃ?エメレッタ、急に笑うにゃよ!びっくりするにゃ!」
「へ?私、笑ってなんかいないですよ??ってぎんたさんこそさっきから私の尻尾、触らないでくださいよ!?」
「にゃ!?失礼にゃ!ぎんたは他人の尻尾にゃんか触らにゃいにゃ!!」
「へ?じゃさっきから私の尻尾を触っているのは・・・」
恐る恐る自身の尻尾を見るエメレッタ
「きゃあああああああああああああ!!!」
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