地獄までいっしょ

確信

翌日、鮫島を適当な空き教室に連れ込んでいつものようにポケットから財布を抜き取る。

そうだ、毎度無駄に金を持っているのにも腹が立つ。

財布を取られるのが分かっていて万札を入れてくるなんてよほどの馬鹿なのか、はたまた家が資産家のお坊ちゃまなのか。

目元が隠れているせいで考えていることがいまひとつ分からない。

不快感に任せて蹴りをいれると、奴はよろめいて尻餅をついた。ださくて笑える。


…つーか、こいつほとんど毎日殴られてるのに体調悪くなるとかねえのか。
普通熱出すとか寝込むとかするだろ。


無駄に図体がでかいからそういったことがないのか、なににせよ気味が悪い。


まあ良い。
今日は昨日のアレ、直接聞いてやろうと思ってたんだった。まだ尻餅をついて動かない奴の前に、俺はゆっくりとしゃがみ込んで目線を合わせた。


「…お前ってさァ、マゾなわけ？」


そうゆっくりと嫌悪をのせて蔑むように聞くと、鮫島はびくりと体を揺らした。あまりにも分かりやすいその反応に、笑みがこぼれる。

俺はまた口を開いた。

それなら、と。
俺は自身の上履きの先を、下を俯いて動かなくなった奴の前に突き出した。


「…マゾなんだろ？ほら、なめてみろよ。」