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67 目標、空母翔鶴
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ガラハー大尉の攻撃隊が発見したのは、第五航空戦隊の翔鶴、瑞鶴を中心とする陣形であった。
飛龍を中心とする部隊とは十浬ほど離れており、しかもこの時、飛龍とガラハー隊の間に運良く雲が存在し、その存在をガラハー隊の視界から覆い隠していたのである。
そして、翔鶴の電探はエンタープライズ攻撃隊の接近を距離三万六〇〇〇メートルの地点で捕捉することに成功していた。
この報告を受けた見張り員は、断雲の中に隠れて西に向かおうとするガラハー隊の姿を発見している。その後、見張り員の視界からはガラハー隊が消えてしまったが、それでも翔鶴の電探はガラハー隊を捉え続けていた。
五航戦以下の艦艇は速力を三〇ノットにまで上げて、米軍機の来襲に備える。
そして、五航戦の零戦搭乗員たちは、午前中の攻撃から米軍攻撃隊が太陽方向から奇襲をかけてくる可能性を考えて、事前に高度七五〇〇メートルにまで上昇していた。
そうして零戦隊が待ち構えている中に、ガラハー隊は飛び込んでしまったのである。
逆落としに突っ込んで二〇ミリ機銃を放つと、敵ドーントレス艦爆の主翼がパッと火を噴いた。そのまま錐揉み状態になって落下していく。
午前中と同じく、岩本徹三一飛曹は上空直掩の任務に就いていた。
操縦桿を引き、降下の勢いを乗せたまま機体を再び上に向かせる。その先に、胴体下部を晒しているドーントレスの姿があった。
岩本は操縦桿を巧みに操って上昇をかけながらその敵機に二〇ミリ機銃弾の一連射を浴びせる。曳光弾が、星印の描かれた機体に吸い込まれていく。
そのまま姿勢を崩した敵機が白煙を引きながら落ちていくの確認して、岩本は新たな目標を探すべく首を巡らした。
二十機以上の零戦がドーントレスの編隊に突入し、敵機の隊列を掻き回している。米軍の編隊は、完全に乱れていた。
しかし、一部の敵機が降下をかけている。
「くっ……」
それに、岩本は歯噛みした。零戦はその構造上、急降下に制限がかかっている。強度の問題から、時速六二九キロを超えると空中分解の危険性があったのである。
敵機に急降下に入られてしまうと、追撃が難しいという欠点があった。
岩本は、まだ降下に入っていない敵機を素早く見定めて、これ以上のドーントレスの突破を阻止しなければならなかった。
これでは、午前中の二の舞であった。
ガラハーは機体を降下させてジークの追撃を振り切りつつ、内心で罵声を上げていた。編隊は崩れ、最早、統制された急降下爆撃は望めない。各機が個別に、目標に爆弾を叩き付けるしかないのだ
「付いてこられる奴だけでいい! とにかく俺に付いてこい!」
ガラハーはそれでも隊長機としての義務に忠実であろうとした。自分が、部下たちを嚮導しなければならない。
目標を左翼前端に捉えての教範通りの急降下とはいかないが、やむを得ない。午前中は、それでも命中弾を与えたのだ。今は、自分と部下の技量を信じるしかない。
ダイヴブレーキを展開し、機体を急降下させる。ダイヴブレーキの穴を空気が通過する特徴的な音が、エンジンの轟音の中に混じり始めた。
飛龍を中心とする部隊とは十浬ほど離れており、しかもこの時、飛龍とガラハー隊の間に運良く雲が存在し、その存在をガラハー隊の視界から覆い隠していたのである。
そして、翔鶴の電探はエンタープライズ攻撃隊の接近を距離三万六〇〇〇メートルの地点で捕捉することに成功していた。
この報告を受けた見張り員は、断雲の中に隠れて西に向かおうとするガラハー隊の姿を発見している。その後、見張り員の視界からはガラハー隊が消えてしまったが、それでも翔鶴の電探はガラハー隊を捉え続けていた。
五航戦以下の艦艇は速力を三〇ノットにまで上げて、米軍機の来襲に備える。
そして、五航戦の零戦搭乗員たちは、午前中の攻撃から米軍攻撃隊が太陽方向から奇襲をかけてくる可能性を考えて、事前に高度七五〇〇メートルにまで上昇していた。
そうして零戦隊が待ち構えている中に、ガラハー隊は飛び込んでしまったのである。
逆落としに突っ込んで二〇ミリ機銃を放つと、敵ドーントレス艦爆の主翼がパッと火を噴いた。そのまま錐揉み状態になって落下していく。
午前中と同じく、岩本徹三一飛曹は上空直掩の任務に就いていた。
操縦桿を引き、降下の勢いを乗せたまま機体を再び上に向かせる。その先に、胴体下部を晒しているドーントレスの姿があった。
岩本は操縦桿を巧みに操って上昇をかけながらその敵機に二〇ミリ機銃弾の一連射を浴びせる。曳光弾が、星印の描かれた機体に吸い込まれていく。
そのまま姿勢を崩した敵機が白煙を引きながら落ちていくの確認して、岩本は新たな目標を探すべく首を巡らした。
二十機以上の零戦がドーントレスの編隊に突入し、敵機の隊列を掻き回している。米軍の編隊は、完全に乱れていた。
しかし、一部の敵機が降下をかけている。
「くっ……」
それに、岩本は歯噛みした。零戦はその構造上、急降下に制限がかかっている。強度の問題から、時速六二九キロを超えると空中分解の危険性があったのである。
敵機に急降下に入られてしまうと、追撃が難しいという欠点があった。
岩本は、まだ降下に入っていない敵機を素早く見定めて、これ以上のドーントレスの突破を阻止しなければならなかった。
これでは、午前中の二の舞であった。
ガラハーは機体を降下させてジークの追撃を振り切りつつ、内心で罵声を上げていた。編隊は崩れ、最早、統制された急降下爆撃は望めない。各機が個別に、目標に爆弾を叩き付けるしかないのだ
「付いてこられる奴だけでいい! とにかく俺に付いてこい!」
ガラハーはそれでも隊長機としての義務に忠実であろうとした。自分が、部下たちを嚮導しなければならない。
目標を左翼前端に捉えての教範通りの急降下とはいかないが、やむを得ない。午前中は、それでも命中弾を与えたのだ。今は、自分と部下の技量を信じるしかない。
ダイヴブレーキを展開し、機体を急降下させる。ダイヴブレーキの穴を空気が通過する特徴的な音が、エンジンの轟音の中に混じり始めた。
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