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24 第十六任務部隊の攻撃隊
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千代田六号機の報告によって、日本側はようやくこの時、米空母艦隊が二群に分かれていることを察知したのである。
とはいえ、千代田六号機が最後の通信を送った時点では、一航艦はその攻撃隊を羽黒機の発見した米空母部隊に差し向けてしまっていた。
この時、羽黒機が発見した米空母部隊がフレッチャー少将率いる第十七任務部隊であり、千代田機が遭遇した編隊がスプルーアンス少将率いる第十六任務部隊を発進した攻撃隊であった。
スプルーアンス率いるエンタープライズ、ホーネットの二空母が第一航空艦隊を攻撃圏内に捉え、攻撃隊を発進させたのはレキシントン、サラトガの攻撃隊発進から一時間近くが経過した〇七〇四時(日本時間:七月五日〇四〇四時)のことである。
しかし攻撃隊発進は、順調には進まなかった。
ホーネットの艦載機の発艦は円滑に行われたのであるが、エンタープライズでは整備員たちの手違いなど人為的な要因によって艦爆隊発進後、戦闘機隊、雷撃隊の発進準備が迅速に行われなかったのである。
このためスプルーアンス提督は、すでに上空に上がっているエンタープライズ艦爆隊率いるクラレンス・マクラスキー少佐に対して、残りの攻撃隊の発進を待たずジャップ艦隊に向けて進撃するよう命じた。
結局、マクラスキー隊がエンタープライズの視界から消え、残りの戦闘機隊、雷撃隊の発進が終わったのは、ようやく〇七四〇時を過ぎてからのことであった。
ホーネットから発艦したのは、F4F十機、SBD三十五機、TBF十五機の計六十機、エンタープライズから発艦したのはF4F十機、SBD三十三機、TBF十四機の計五十七機である。
また、スプルーアンスは攻撃隊の発進に合せて、自らの率いる艦隊を二つに分けるよう命じている。
エンタープライズ、ホーネットでそれぞれ輪形陣を分けようとしたのである。
エンタープライズには戦艦ワシントン、重巡ノーザンプトン、駆逐艦五、ホーネットには残りの艦艇を護衛に付け、それぞれに別の針路を取らせた。
インド洋でのイギリス東洋艦隊のように、一挙に空母が撃沈されることを防ぐためである。
二空母には、上空直掩用のF4Fワイルドキャットと対潜警戒用のSBDドーントレスが残されているだけで、持てる全力をジャップ空母に向けていた。
「……航空戦とは、こういうものなのだな」
自分の下した命令が一通り遂行されると、エンタープライズ艦橋でスプルーアンスはぽつりと漏らした。
「水上艦の戦いであれば、私の視界の中で戦闘が行われる。その場の戦況に応じて、私も臨機応変に命令を下すことが出来る。だが、今は攻撃隊にただジャップの空母に向かうよう命じただけだ。あとのすべては、搭乗員たちの判断にかかっている」
「それが、空母の指揮官というものです」
当然とばかりに、ブローニング参謀長が言う。前任指揮官のハルゼーはパイロットの養成訓練を受け、ブローニングもまた戦闘機搭乗員としての経歴がある。
だが、スプルーアンスにはそのような経験がない。
その違いが、指揮官としての心構えの違いに現れているのかもしれなかった。
「パールハーバーを空襲した時のナグモも、アカギの艦橋で私のような思いをしていたのだろうか?」
とはいえ、千代田六号機が最後の通信を送った時点では、一航艦はその攻撃隊を羽黒機の発見した米空母部隊に差し向けてしまっていた。
この時、羽黒機が発見した米空母部隊がフレッチャー少将率いる第十七任務部隊であり、千代田機が遭遇した編隊がスプルーアンス少将率いる第十六任務部隊を発進した攻撃隊であった。
スプルーアンス率いるエンタープライズ、ホーネットの二空母が第一航空艦隊を攻撃圏内に捉え、攻撃隊を発進させたのはレキシントン、サラトガの攻撃隊発進から一時間近くが経過した〇七〇四時(日本時間:七月五日〇四〇四時)のことである。
しかし攻撃隊発進は、順調には進まなかった。
ホーネットの艦載機の発艦は円滑に行われたのであるが、エンタープライズでは整備員たちの手違いなど人為的な要因によって艦爆隊発進後、戦闘機隊、雷撃隊の発進準備が迅速に行われなかったのである。
このためスプルーアンス提督は、すでに上空に上がっているエンタープライズ艦爆隊率いるクラレンス・マクラスキー少佐に対して、残りの攻撃隊の発進を待たずジャップ艦隊に向けて進撃するよう命じた。
結局、マクラスキー隊がエンタープライズの視界から消え、残りの戦闘機隊、雷撃隊の発進が終わったのは、ようやく〇七四〇時を過ぎてからのことであった。
ホーネットから発艦したのは、F4F十機、SBD三十五機、TBF十五機の計六十機、エンタープライズから発艦したのはF4F十機、SBD三十三機、TBF十四機の計五十七機である。
また、スプルーアンスは攻撃隊の発進に合せて、自らの率いる艦隊を二つに分けるよう命じている。
エンタープライズ、ホーネットでそれぞれ輪形陣を分けようとしたのである。
エンタープライズには戦艦ワシントン、重巡ノーザンプトン、駆逐艦五、ホーネットには残りの艦艇を護衛に付け、それぞれに別の針路を取らせた。
インド洋でのイギリス東洋艦隊のように、一挙に空母が撃沈されることを防ぐためである。
二空母には、上空直掩用のF4Fワイルドキャットと対潜警戒用のSBDドーントレスが残されているだけで、持てる全力をジャップ空母に向けていた。
「……航空戦とは、こういうものなのだな」
自分の下した命令が一通り遂行されると、エンタープライズ艦橋でスプルーアンスはぽつりと漏らした。
「水上艦の戦いであれば、私の視界の中で戦闘が行われる。その場の戦況に応じて、私も臨機応変に命令を下すことが出来る。だが、今は攻撃隊にただジャップの空母に向かうよう命じただけだ。あとのすべては、搭乗員たちの判断にかかっている」
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当然とばかりに、ブローニング参謀長が言う。前任指揮官のハルゼーはパイロットの養成訓練を受け、ブローニングもまた戦闘機搭乗員としての経歴がある。
だが、スプルーアンスにはそのような経験がない。
その違いが、指揮官としての心構えの違いに現れているのかもしれなかった。
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