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第十一章 流血の皇都編
202 惑う者たち
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歩兵第一連隊附となっている伊丹直信にとって、この日始まった事態は彼個人の立場ではどうすることも出来ないものであった。
彼はまだ兵学寮を卒業してから半年程度しか経っておらず、皇都勤務であったことから実戦経験も皆無であり、軍事的・政治的実績のない直信は単なる“伊丹正信公の孫”という以上の政治的求心力を持たなかったのである。
歩兵第一連隊が属する第一師団司令部に、氷州鉄道皇都支社爆破の第一報が入ったのは、事件発生から約四十分後のことであったという。
時刻は、あと十数分で午後三時を迎えようとしている頃である。
第一報をもたらしたのは、兵部省陸軍軍務局長・畑秀之助少将であった。
氷州鉄道皇都支店は宮城南東、兵部省庁舎や皇都中央公園などに近い響谷の地に建てられており、兵部省庁舎からは爆破の煙が見えたとも言われている。畑秀之助少将から第一師団司令部に事件の第一報が告げられたのは、このためであった。
直信は後から知ったことであるが、この時、畑少将からの報せは、同時に攘夷思想を抱いている者が多い歩兵第一、第三連隊の状況を報告させるためのものであったという。
畑少将は伊丹家家臣団出身の将官であるが、同時に結城家家臣団出身の軍監本部長・川上荘吉少将とは兵学寮同期の間柄であった。その川上は景紀が歩兵第一連隊の蹶起を懸念していたことを覚えており、だからこそ畑秀之助少将もまた歩兵第一、第三連隊の動向に注意を払っておく必要性を感じていたのである。
要するに、この爆殺事件に歩兵第一連隊が何らかの形で関与しているのではないかと彼らは疑っていたわけである。単なる牢人が、建物一つ吹き飛ばせるほどの爆薬を用意出来るはずがないからだ。
しかし、結果としてこれは逆効果となってしまった。
第一師団司令部から氷州鉄道皇都支店の爆破を知らされた歩兵第一連隊長・渋川清綱大佐はただちに連隊将兵に非常呼集をかけた。
さらに渋川大佐は特に攘夷思想の強い将校、下士官を連隊長室に集め、氷州鉄道皇都支店で爆破事件が起こったこと、今日は長尾憲隆公が出席しての北満洲経営委員会の発足式が開かれていたことなどを説明した。
その上で、長尾公の生死は現時点では不明なれども、いずれかの志士がこの義挙を行ったに違いない、この行動を無駄にしないためにも今こそ蹶起して伊丹公を中心とする挙国一致の攘夷派政権を樹立し、さらに長尾家が利権を持つ氷州の統治を攘夷派政権の下に移すことで対ルーシー戦役に備えた万全の国防体制を築き上げる必要性などを力説した。
そこからの動きは、最早直信の手の及ばないところであった。
攘夷思想を強く抱いていた中隊長級の青年将校たちを中心に、ただちに伊丹・一色両公のために奸賊どもを排除すべしという意見でまとまってしまったのである。
連隊兵器庫係の下士官に拳銃を突き付けて武器弾薬を運び出し、それを各中隊の下士卒たちに交付、彼らに対して蹶起の趣意を説明した後、まず一個中隊が多銃身砲を持ち出して急ぎ有馬家皇都屋敷へと向かい、営門を出た。
有馬頼朋翁は不在とはいえ、貞朋公は中央政府の有馬閥のまとめ上げられるだけの存在だと見なされたのである。
ここで、取り逃がすわけにはいかなかった。
さらに首相官邸、兵部省、内務省、警視庁などを襲撃・占拠する部隊などが次々に出発していく。同時に、衛戍地の近い近衛歩兵第三連隊、近衛騎兵連隊にも蹶起を促す使者を送る。
「伊丹少尉」
一通り同志の将校たちに指示を下し終わった渋川大佐が、直信に言った。
「何でしょうか?」
「少尉はただちに正信公の元に行き、この蹶起趣意書と直訴状を届けて欲しい。私は同じものを、皇都鎮台司令官であらせられる刑部宮殿下にお届けする」
そう言って渋川連隊長が金庫から取り出し、直信に渡してきたのは、達筆な墨書で書かれた二通の書状であった。
「……」
それを見て、直信は何も言えなくなった。
墨は完全に乾いていて、どう考えてもこの数十分の間に書き上げたものとは思えない。つまり、渋川大佐を始めとする攘夷派将校たちは、あらかじめ蹶起計画や要人・政府施設の襲撃計画を立てていたということか。
それを直信にも知らせなかったということは、まだまだ自分は若すぎると見られていたためだろうか。
いずれにせよ、この義理の叔父は自分のことも攘夷決行のために利用するつもりだったのだろう。
「……承知いたしました。ただちに、祖父に伝えます」
出来れば祖父の口から攘夷派将校たちの急進的な行動を諫めるような言葉が出てきて欲しいと思いながら、直信は将校として自分に付けられた従兵などを護衛にして伊丹家皇都屋敷へと向かうのであった。
◇◇◇
伊丹直信が屋敷に到着すると、すでに一色公直公が祖父への面会を求めてやって来ていたようであった。
その上、攘夷派浪士たちまでが屋敷の周囲に集まってきていた。
さらなる不穏な気配を感じつつも、祖父の居室で直信は二人と対面した。
「爺様、渋川大佐より、このようなものを預かってまいりました」六家の少年は、二通の書状を祖父に差し出した「大佐は同じ書状を、皇都鎮台司令官である宮殿下にも届けると言っております」
伊丹正信と一色公直公の表情は険しかった。その表情のまま正信は孫から差し出された書状を広げ、一読する。
そこには攘夷派に共通する対外観が述べられ、蹶起趣意書の紙面の上には外侮外患の激化によって皇国は肇国以来の危機に瀕している、御稜威を遮り攘夷を阻止せんとする奸臣佞臣を誅滅して大義を成す必要がある、など扇情的な文句が踊っていた。
そして直訴状には、現下の情勢は対外的に大英断を要すべき時であり、皇国が挙国一致、攘夷に邁進すべく伊丹正信公に断乎たる決意を求める、という主旨のことが書かれていた。
「……要するに、儂に立てということか。まずは儂に相談してから蹶起するのが筋であろうに、清綱めが……」
義理の息子の先走った行動に、正信は苦い声を出した。そのまま、蹶起趣意書と直訴状を公直に回す。
祖父の様子を見て、どうやら蹶起計画や襲撃計画は祖父たちの与り知らぬところで作られたものだと直信は思った。
だが、続く一色公直公の言葉でそれは否定されることになる。
「……どうにも、有馬の老人や結城の小倅が蜂起した場合の皇都防衛計画を逆さまにしたもの、といったところですね」
「……」
直信は、有馬貞朋翁や兵学寮先輩の結城景紀が皇都を占領する陰謀を企てていたということを初めて聞いた。つまり、祖父や歩兵第一連隊は先手を打って皇都を掌握しよう計画していたということなのだろうか。
祖父や一色公直公と結城景紀が対立していたことは知っているが、まさか互いが軍事的手段に訴えてまで相手を排除しようと考えていたとは、直信には信じがたかった。
いや、信じたくないだけなのかもしれない。
兵学寮で同期生の介錯をした記憶は、未だ彼の心の根底に存在し続けている。
最早、何もかもが判らなかった。
「正信公、これは好機と見るべきでしょう」
そして、何も言わない直信を無視して、公直が口を開いた。
「歩兵第一連隊は確かに先走った行動に出たとは言え、挙国一致の攘夷派政権を樹立するという目的では我らと一致しています。ここは速やかに、彼らを統制する意味でも閣下が立たれるという決意を表明すべきでしょう」
「確かに、そうであるな」
正信は公直の言葉に頷いた。
「直信」
そこで、祖父は孫の名を呼んだ。
「はい」
「歩一が有馬家の襲撃に向かったということだが、他の六家の屋敷についてはどうなのだ?」
「いえ、何しろ急なことでしたので、とにかくまずは有馬貞朋公を討ち取ることと、政府要人と施設の襲撃・占拠を優先して、準備の出来た中隊から進発させた形です」
「何とも泥縄式だな。清綱めは結城景紀の存在を甘く見ておる。いや、景忠公の最近の腑抜け具合を見ればそれも当然か」
祖父は、直信の回答に満足していないようであった。
「閣下」再び、一色公直が口を開く。「有馬貞朋公と共に、最低限、結城景紀も討ち取る必要がありましょう。いえ、今すぐ討ち取らずとも景忠公に圧力をかけ、廃嫡に追い込めさえすれば後はどうとでもあの小倅を料理出来ます」
「直信の言葉を聞いておると、歩一も歩三もまだ完全に準備が整ったわけではなさそうだ。表に集まってきておる牢人どもを使うか?」
「はい。ここで功績を挙げれば御家や我が一色家が家臣として雇い入れると言えば、連中の士気も上がりましょう。それに、これは今まで勝手な行動をとってきた攘夷派浪士の、公への忠誠心を試す機会にもなります」
急くような口調で、一色公直は力説する。
「ただ、一つ警戒すべきはあの小僧の側にいる術者の娘です。陽鮮の倭館、遼河平原、紫禁城でのことを思えば、牢人どもを結城家皇都屋敷にけしかけるだけでは不安が残ります。早々に部隊を差し向けるべきです。もしあの娘が呪術で陸軍部隊を攻撃するようなことになれば犠牲は大きいでしょうが、結城景紀を糺弾する口実になります。陛下のおわす皇都を守る部隊を攻撃したのです。結城の若君は妖狐の娘に魅入られて過ぎた野心に取り付かれたとか、奴を貶める口実が得られましょう。もちろん、こちらも術者を待機させておくべきであるとは考えますが」
「うむ、そうだな」
一色公直は、対斉戦役での葛葉冬花の行動もあり、戦において呪術師を積極的に活用することに否定的な意見を持っている。葛葉冬花の存在が結城景紀を討ち取る際の障害になると判りつつも、最初から術者を差し向けることに消極的であった。
「爺様」
そこでようやく、直信は口を挟んだ。
「何だ、直信?」
「表の牢人たちは何なのですか?」
屋敷の門をくぐる時にも不穏なものを感じていた牢人たちの集団について、直信は尋ねた。
「連中は氷州鉄道皇都支店の爆破の報を聞いて、警察による弾圧を恐れて儂の元に保護を求めにきた連中だ」
「結局、誰が爆破を実行したのですか?」
「判らんが、それはこれから調査すればよかろう」
それだけ言って孫の疑問を退けた正信は、立ち上がった。実際、爆破からまだ一時間と少ししか経っていないのだから犯人を特定することなど出来はしない。
「儂に一言告げることもなく蹶起した連中に思うところがないわけではないが、これは我ら攘夷派が権力を掌握する好機であることには違いない。直信よ」
「はい」
「お前の活躍にも、期待しておるぞ」
「……」
それは祖父が純粋に孫の勇姿を見てみたいという願いの表れなのだろうが、直信は素直に返事をすることが出来なかった。活躍するということは、同じ秋津人たちをこの手にかけるということなのだから。
結局、彼には祖父と一色公直が去っていく背中をどこか呆然と見つめていることしか出来なかった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
氷州鉄道皇都支店爆破事件を知った長尾家皇都屋敷は、喧噪の中にあった。
北満洲経営委員会発足式に参加していた者たちの安否について、どこまで公にするのかを残された者たちで議論していたからだ。
すでに長尾家皇都屋敷には、長尾憲隆公と嫡男・憲実が死亡したという報告が届けられていた。その他、式典に出席していた長尾家家臣団なども多数、死傷しているという。
憲隆・憲実両名の死を公にすれば、長尾家だけでなく六家全体が混乱する。さらに二人の死亡を口実に、ようやく手にすることが出来た北満洲の利権を六家の共同管理下に置かれてしまうかもしれない。そして、それが氷州の植民地利権にまで拡大してしまうことを、残された者たちは恐れていた。
憲隆公の正室および次男、三男は領地である妙州におり、皇都で家臣団の混乱を収拾出来る立場にはない。さらに憲実正室・勤子も混乱しており、事件を次期当主の地位を狙っている夫・憲実の異母弟たちや氷州や北満洲の利権を狙っている他の六家の仕業だの何だのとわめき立てていた。
さらにそこに、歩兵第一、第三連隊が蜂起して他の六家皇都屋敷や政府要人を襲撃しているだの、不逞浪士たちが皇都内の大店などに押し入って略奪をほしいままにしているなどの真偽不明な情報が舞い込んできて、屋敷内の混乱はさらに酷くなっていた。
一部の家臣団たちは、襲撃に備えて屋敷の門を閉じて武器弾薬を配布するなど立て籠もる用意を進めようとしている。
「……」
長尾憲隆の娘・多喜子はそうした混乱から逃れるように、屋敷奥の自室へと向かった。
義姉である勤子は、多喜子にも当たり散らしていたからだ。兄・憲実とは政略結婚で結ばれた勤子は、それほど憲実に愛情を抱いているわけではなかった。あるのは、正室としての義務感と自尊心だけであった。
景紀と宵との関係と比べると、随分と対照的だと多喜子は内心で嗤う。
しかし、六家の後継者たる男児を産んだ勤子は、だからこそ、その子に深い愛情を注ぎ込むことになった。いずれは長尾家を継ぐべき者として、大切に育ててきたのだ。
しかし、今や我が子を庇護してくれる義父・憲隆も夫・憲実もいなくなってしまった。未だ幼い我が子に長尾家が継げるはずもなく、憲実の弟たちが長尾家を継ぐ可能性が高くなってしまったのだ。
それは、勤子には耐え難いことであった。
だからこそ、周囲の者にわめき散らしてしまっているのだろう。
「まあ、これで長尾家も落ち目になっていくのは確実でしょう」
淡々と、多喜子は普段の彼女からは想像もつかないくらい感情のない声で呟く。
「この騒乱の中で、生き残るのは誰でしょうねぇ……」
自室に辿り着いた少女は、廊下に背を向ける形で座った。
「まあ、出来れば景紀に勝ち抜いてもらいたいところですけれど、そうなると将来的に宵姫との子が天下を統べる光景を見ることになるでしょうし、それはちょっと癪なんですよねぇ……」
彼女は宵が懐妊したことを知らないが、それでももうそろそろあの二人が子を授かってもおかしくはない頃だろうとは思っている。
それが何だか、多喜子を憂鬱にさせていた。
必ずしも宵が男児を生むとは限らず、乳児死亡率の高いこの時代であれば確実に宵の子が結城家を継ぐと決まったわけではないのだが、やはり景紀を想う女としての納得出来ない感情があるのだ。
「まあ、あとは皆さんにお任せということで」
どこかおどけたように独りごちて、多喜子は懐に手を入れた。
金属製の、小さな筒が出てくる。その蓋を開け、中の錠剤を手に収める。
「……」
一瞬だけその錠剤を見つめた多喜子は、それを口の中に入れた。
「てめぇ、何やってるんだ?」
だが、それを噛み砕く前に背後から声がかかった。ここ一年ほど、ずっと多喜子と共に長尾家皇都屋敷にいた有力分家の青年・千坂隆房の声であった。
「見て判るでしょうに」
振り向かず、多喜子は答えた。
「毒物飲んで自決、ってか? まだ屋敷が襲撃されてもいないのに、気の早いことだな」
馬鹿にするような声だった。そのまま足音荒く多喜子に近付いた彼は、彼女の髪を掴むと躊躇わずにその口に指を突っ込んだ。
「もがっ……!?」
反射的な呻きを漏らす多喜子を無視して、隆房は喉の奥まで指を入れる。苦痛で咳き込んだ多喜子の口から、錠剤がこぼれ落ちた。
「かはっ、げほっ、げほっ……」
息荒く、多喜子はしばらく咳き込んでいた。
「なに、するんですか……?」
苦痛のあまり涙目になった多喜子は、恨めしげに幼馴染でもある有力分家の嫡男を睨んだ。
「てめぇに殊勝な自決なんて似合わないだろうがっ!」
怒りもあらわな口調で、隆房は多喜子を見下ろしていた。
「こんな状況でも、不敵に笑っているのは長尾多喜子って女だろうが! こっちだって父上が死んでんだよ! なのにてめぇの方は腑抜けた顔ぁ見せやがって!」
「……もう少し、死のうとしている女の子に優しい言葉をかけられないのですか?」
あまりの発言に、思わず多喜子は笑ってしまった。せめて、自分のことを想っているから止めたとでも言って欲しかった。女としての意地が、どこか傷付けられたような感じがする。
「お前に優しい言葉をかける義理が、俺にあるのか?」
幼少期の多喜子の仕打ちを、隆房は未だ許していない。ただし、自決を止める程度の情は抱いているということか。
「それもそうですね」
呼吸を落ち着けた多喜子は、妙に納得する思いであった。
「それで、私が死ぬのを止めて、隆房はどうしたいんですか?」
「逃げるに決まってるだろ? このまま屋敷に留まっていても、身の危険に晒されるだけだ」
「逃げて、その後は? まさか、落人みたいに身を潜めて私に暮らせと?」
「天下を取ろうって誘いをかけてきたのはお前だろうが」
舌打ちしそうな表情で、隆房は言う。
「だったら落人みたいな状況になっても、それをひっくり返してみせろ。お前はそのために、子供の頃から手駒が欲しかったんだろうが」
「ふふっ、何だか口説かれているみたいですね」
こんな状況だというのに、思わず多喜子は笑ってしまった。だが、隆房は不愉快そうに顔を歪めただけだ。
この青年にとってみれば、多喜子は自分勝手な理由で自分を利用しようとして、今また自分勝手な理由で死のうとしているように見えるのだろう。
多喜子の所為で幼少期に辛い目に遭わされたからこそ、多喜子がすべてから逃げだそうとしていることが許せないのだ。
やっぱり自分がこの青年に目を付けたのは、間違いではなかった。そんな残酷な満足感を、多喜子は覚えていた。
「判りました。あなたを巻き込んだ責任は、取りましょう。その代わり、地獄の底まで付いてきてもらうことになるかもしれませんよ? あなたにとっては、この混乱に紛れて私を殺してしまった方が本当は溜飲が下がるかもしれないですよ?」
「土壇場でてめぇを裏切った方が、よっぽどすっきりするだろうよ」
本気の口調で、隆房は言った。
子供の頃から多喜子が欲していた、景紀にとっての冬花のような存在とは似ても似つかない相手ではあるが、それでも土壇場までは付き合ってくれるらしい。
ならば、それもまた一興だろう。
多喜子は立ち上がった。その瞳に、再び活動的な光が宿っていた。
「それじゃあ、まずは御用場に行きましょうか。右往左往している連中に、私たちで活を入れてやりましょう」
彼はまだ兵学寮を卒業してから半年程度しか経っておらず、皇都勤務であったことから実戦経験も皆無であり、軍事的・政治的実績のない直信は単なる“伊丹正信公の孫”という以上の政治的求心力を持たなかったのである。
歩兵第一連隊が属する第一師団司令部に、氷州鉄道皇都支社爆破の第一報が入ったのは、事件発生から約四十分後のことであったという。
時刻は、あと十数分で午後三時を迎えようとしている頃である。
第一報をもたらしたのは、兵部省陸軍軍務局長・畑秀之助少将であった。
氷州鉄道皇都支店は宮城南東、兵部省庁舎や皇都中央公園などに近い響谷の地に建てられており、兵部省庁舎からは爆破の煙が見えたとも言われている。畑秀之助少将から第一師団司令部に事件の第一報が告げられたのは、このためであった。
直信は後から知ったことであるが、この時、畑少将からの報せは、同時に攘夷思想を抱いている者が多い歩兵第一、第三連隊の状況を報告させるためのものであったという。
畑少将は伊丹家家臣団出身の将官であるが、同時に結城家家臣団出身の軍監本部長・川上荘吉少将とは兵学寮同期の間柄であった。その川上は景紀が歩兵第一連隊の蹶起を懸念していたことを覚えており、だからこそ畑秀之助少将もまた歩兵第一、第三連隊の動向に注意を払っておく必要性を感じていたのである。
要するに、この爆殺事件に歩兵第一連隊が何らかの形で関与しているのではないかと彼らは疑っていたわけである。単なる牢人が、建物一つ吹き飛ばせるほどの爆薬を用意出来るはずがないからだ。
しかし、結果としてこれは逆効果となってしまった。
第一師団司令部から氷州鉄道皇都支店の爆破を知らされた歩兵第一連隊長・渋川清綱大佐はただちに連隊将兵に非常呼集をかけた。
さらに渋川大佐は特に攘夷思想の強い将校、下士官を連隊長室に集め、氷州鉄道皇都支店で爆破事件が起こったこと、今日は長尾憲隆公が出席しての北満洲経営委員会の発足式が開かれていたことなどを説明した。
その上で、長尾公の生死は現時点では不明なれども、いずれかの志士がこの義挙を行ったに違いない、この行動を無駄にしないためにも今こそ蹶起して伊丹公を中心とする挙国一致の攘夷派政権を樹立し、さらに長尾家が利権を持つ氷州の統治を攘夷派政権の下に移すことで対ルーシー戦役に備えた万全の国防体制を築き上げる必要性などを力説した。
そこからの動きは、最早直信の手の及ばないところであった。
攘夷思想を強く抱いていた中隊長級の青年将校たちを中心に、ただちに伊丹・一色両公のために奸賊どもを排除すべしという意見でまとまってしまったのである。
連隊兵器庫係の下士官に拳銃を突き付けて武器弾薬を運び出し、それを各中隊の下士卒たちに交付、彼らに対して蹶起の趣意を説明した後、まず一個中隊が多銃身砲を持ち出して急ぎ有馬家皇都屋敷へと向かい、営門を出た。
有馬頼朋翁は不在とはいえ、貞朋公は中央政府の有馬閥のまとめ上げられるだけの存在だと見なされたのである。
ここで、取り逃がすわけにはいかなかった。
さらに首相官邸、兵部省、内務省、警視庁などを襲撃・占拠する部隊などが次々に出発していく。同時に、衛戍地の近い近衛歩兵第三連隊、近衛騎兵連隊にも蹶起を促す使者を送る。
「伊丹少尉」
一通り同志の将校たちに指示を下し終わった渋川大佐が、直信に言った。
「何でしょうか?」
「少尉はただちに正信公の元に行き、この蹶起趣意書と直訴状を届けて欲しい。私は同じものを、皇都鎮台司令官であらせられる刑部宮殿下にお届けする」
そう言って渋川連隊長が金庫から取り出し、直信に渡してきたのは、達筆な墨書で書かれた二通の書状であった。
「……」
それを見て、直信は何も言えなくなった。
墨は完全に乾いていて、どう考えてもこの数十分の間に書き上げたものとは思えない。つまり、渋川大佐を始めとする攘夷派将校たちは、あらかじめ蹶起計画や要人・政府施設の襲撃計画を立てていたということか。
それを直信にも知らせなかったということは、まだまだ自分は若すぎると見られていたためだろうか。
いずれにせよ、この義理の叔父は自分のことも攘夷決行のために利用するつもりだったのだろう。
「……承知いたしました。ただちに、祖父に伝えます」
出来れば祖父の口から攘夷派将校たちの急進的な行動を諫めるような言葉が出てきて欲しいと思いながら、直信は将校として自分に付けられた従兵などを護衛にして伊丹家皇都屋敷へと向かうのであった。
◇◇◇
伊丹直信が屋敷に到着すると、すでに一色公直公が祖父への面会を求めてやって来ていたようであった。
その上、攘夷派浪士たちまでが屋敷の周囲に集まってきていた。
さらなる不穏な気配を感じつつも、祖父の居室で直信は二人と対面した。
「爺様、渋川大佐より、このようなものを預かってまいりました」六家の少年は、二通の書状を祖父に差し出した「大佐は同じ書状を、皇都鎮台司令官である宮殿下にも届けると言っております」
伊丹正信と一色公直公の表情は険しかった。その表情のまま正信は孫から差し出された書状を広げ、一読する。
そこには攘夷派に共通する対外観が述べられ、蹶起趣意書の紙面の上には外侮外患の激化によって皇国は肇国以来の危機に瀕している、御稜威を遮り攘夷を阻止せんとする奸臣佞臣を誅滅して大義を成す必要がある、など扇情的な文句が踊っていた。
そして直訴状には、現下の情勢は対外的に大英断を要すべき時であり、皇国が挙国一致、攘夷に邁進すべく伊丹正信公に断乎たる決意を求める、という主旨のことが書かれていた。
「……要するに、儂に立てということか。まずは儂に相談してから蹶起するのが筋であろうに、清綱めが……」
義理の息子の先走った行動に、正信は苦い声を出した。そのまま、蹶起趣意書と直訴状を公直に回す。
祖父の様子を見て、どうやら蹶起計画や襲撃計画は祖父たちの与り知らぬところで作られたものだと直信は思った。
だが、続く一色公直公の言葉でそれは否定されることになる。
「……どうにも、有馬の老人や結城の小倅が蜂起した場合の皇都防衛計画を逆さまにしたもの、といったところですね」
「……」
直信は、有馬貞朋翁や兵学寮先輩の結城景紀が皇都を占領する陰謀を企てていたということを初めて聞いた。つまり、祖父や歩兵第一連隊は先手を打って皇都を掌握しよう計画していたということなのだろうか。
祖父や一色公直公と結城景紀が対立していたことは知っているが、まさか互いが軍事的手段に訴えてまで相手を排除しようと考えていたとは、直信には信じがたかった。
いや、信じたくないだけなのかもしれない。
兵学寮で同期生の介錯をした記憶は、未だ彼の心の根底に存在し続けている。
最早、何もかもが判らなかった。
「正信公、これは好機と見るべきでしょう」
そして、何も言わない直信を無視して、公直が口を開いた。
「歩兵第一連隊は確かに先走った行動に出たとは言え、挙国一致の攘夷派政権を樹立するという目的では我らと一致しています。ここは速やかに、彼らを統制する意味でも閣下が立たれるという決意を表明すべきでしょう」
「確かに、そうであるな」
正信は公直の言葉に頷いた。
「直信」
そこで、祖父は孫の名を呼んだ。
「はい」
「歩一が有馬家の襲撃に向かったということだが、他の六家の屋敷についてはどうなのだ?」
「いえ、何しろ急なことでしたので、とにかくまずは有馬貞朋公を討ち取ることと、政府要人と施設の襲撃・占拠を優先して、準備の出来た中隊から進発させた形です」
「何とも泥縄式だな。清綱めは結城景紀の存在を甘く見ておる。いや、景忠公の最近の腑抜け具合を見ればそれも当然か」
祖父は、直信の回答に満足していないようであった。
「閣下」再び、一色公直が口を開く。「有馬貞朋公と共に、最低限、結城景紀も討ち取る必要がありましょう。いえ、今すぐ討ち取らずとも景忠公に圧力をかけ、廃嫡に追い込めさえすれば後はどうとでもあの小倅を料理出来ます」
「直信の言葉を聞いておると、歩一も歩三もまだ完全に準備が整ったわけではなさそうだ。表に集まってきておる牢人どもを使うか?」
「はい。ここで功績を挙げれば御家や我が一色家が家臣として雇い入れると言えば、連中の士気も上がりましょう。それに、これは今まで勝手な行動をとってきた攘夷派浪士の、公への忠誠心を試す機会にもなります」
急くような口調で、一色公直は力説する。
「ただ、一つ警戒すべきはあの小僧の側にいる術者の娘です。陽鮮の倭館、遼河平原、紫禁城でのことを思えば、牢人どもを結城家皇都屋敷にけしかけるだけでは不安が残ります。早々に部隊を差し向けるべきです。もしあの娘が呪術で陸軍部隊を攻撃するようなことになれば犠牲は大きいでしょうが、結城景紀を糺弾する口実になります。陛下のおわす皇都を守る部隊を攻撃したのです。結城の若君は妖狐の娘に魅入られて過ぎた野心に取り付かれたとか、奴を貶める口実が得られましょう。もちろん、こちらも術者を待機させておくべきであるとは考えますが」
「うむ、そうだな」
一色公直は、対斉戦役での葛葉冬花の行動もあり、戦において呪術師を積極的に活用することに否定的な意見を持っている。葛葉冬花の存在が結城景紀を討ち取る際の障害になると判りつつも、最初から術者を差し向けることに消極的であった。
「爺様」
そこでようやく、直信は口を挟んだ。
「何だ、直信?」
「表の牢人たちは何なのですか?」
屋敷の門をくぐる時にも不穏なものを感じていた牢人たちの集団について、直信は尋ねた。
「連中は氷州鉄道皇都支店の爆破の報を聞いて、警察による弾圧を恐れて儂の元に保護を求めにきた連中だ」
「結局、誰が爆破を実行したのですか?」
「判らんが、それはこれから調査すればよかろう」
それだけ言って孫の疑問を退けた正信は、立ち上がった。実際、爆破からまだ一時間と少ししか経っていないのだから犯人を特定することなど出来はしない。
「儂に一言告げることもなく蹶起した連中に思うところがないわけではないが、これは我ら攘夷派が権力を掌握する好機であることには違いない。直信よ」
「はい」
「お前の活躍にも、期待しておるぞ」
「……」
それは祖父が純粋に孫の勇姿を見てみたいという願いの表れなのだろうが、直信は素直に返事をすることが出来なかった。活躍するということは、同じ秋津人たちをこの手にかけるということなのだから。
結局、彼には祖父と一色公直が去っていく背中をどこか呆然と見つめていることしか出来なかった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
氷州鉄道皇都支店爆破事件を知った長尾家皇都屋敷は、喧噪の中にあった。
北満洲経営委員会発足式に参加していた者たちの安否について、どこまで公にするのかを残された者たちで議論していたからだ。
すでに長尾家皇都屋敷には、長尾憲隆公と嫡男・憲実が死亡したという報告が届けられていた。その他、式典に出席していた長尾家家臣団なども多数、死傷しているという。
憲隆・憲実両名の死を公にすれば、長尾家だけでなく六家全体が混乱する。さらに二人の死亡を口実に、ようやく手にすることが出来た北満洲の利権を六家の共同管理下に置かれてしまうかもしれない。そして、それが氷州の植民地利権にまで拡大してしまうことを、残された者たちは恐れていた。
憲隆公の正室および次男、三男は領地である妙州におり、皇都で家臣団の混乱を収拾出来る立場にはない。さらに憲実正室・勤子も混乱しており、事件を次期当主の地位を狙っている夫・憲実の異母弟たちや氷州や北満洲の利権を狙っている他の六家の仕業だの何だのとわめき立てていた。
さらにそこに、歩兵第一、第三連隊が蜂起して他の六家皇都屋敷や政府要人を襲撃しているだの、不逞浪士たちが皇都内の大店などに押し入って略奪をほしいままにしているなどの真偽不明な情報が舞い込んできて、屋敷内の混乱はさらに酷くなっていた。
一部の家臣団たちは、襲撃に備えて屋敷の門を閉じて武器弾薬を配布するなど立て籠もる用意を進めようとしている。
「……」
長尾憲隆の娘・多喜子はそうした混乱から逃れるように、屋敷奥の自室へと向かった。
義姉である勤子は、多喜子にも当たり散らしていたからだ。兄・憲実とは政略結婚で結ばれた勤子は、それほど憲実に愛情を抱いているわけではなかった。あるのは、正室としての義務感と自尊心だけであった。
景紀と宵との関係と比べると、随分と対照的だと多喜子は内心で嗤う。
しかし、六家の後継者たる男児を産んだ勤子は、だからこそ、その子に深い愛情を注ぎ込むことになった。いずれは長尾家を継ぐべき者として、大切に育ててきたのだ。
しかし、今や我が子を庇護してくれる義父・憲隆も夫・憲実もいなくなってしまった。未だ幼い我が子に長尾家が継げるはずもなく、憲実の弟たちが長尾家を継ぐ可能性が高くなってしまったのだ。
それは、勤子には耐え難いことであった。
だからこそ、周囲の者にわめき散らしてしまっているのだろう。
「まあ、これで長尾家も落ち目になっていくのは確実でしょう」
淡々と、多喜子は普段の彼女からは想像もつかないくらい感情のない声で呟く。
「この騒乱の中で、生き残るのは誰でしょうねぇ……」
自室に辿り着いた少女は、廊下に背を向ける形で座った。
「まあ、出来れば景紀に勝ち抜いてもらいたいところですけれど、そうなると将来的に宵姫との子が天下を統べる光景を見ることになるでしょうし、それはちょっと癪なんですよねぇ……」
彼女は宵が懐妊したことを知らないが、それでももうそろそろあの二人が子を授かってもおかしくはない頃だろうとは思っている。
それが何だか、多喜子を憂鬱にさせていた。
必ずしも宵が男児を生むとは限らず、乳児死亡率の高いこの時代であれば確実に宵の子が結城家を継ぐと決まったわけではないのだが、やはり景紀を想う女としての納得出来ない感情があるのだ。
「まあ、あとは皆さんにお任せということで」
どこかおどけたように独りごちて、多喜子は懐に手を入れた。
金属製の、小さな筒が出てくる。その蓋を開け、中の錠剤を手に収める。
「……」
一瞬だけその錠剤を見つめた多喜子は、それを口の中に入れた。
「てめぇ、何やってるんだ?」
だが、それを噛み砕く前に背後から声がかかった。ここ一年ほど、ずっと多喜子と共に長尾家皇都屋敷にいた有力分家の青年・千坂隆房の声であった。
「見て判るでしょうに」
振り向かず、多喜子は答えた。
「毒物飲んで自決、ってか? まだ屋敷が襲撃されてもいないのに、気の早いことだな」
馬鹿にするような声だった。そのまま足音荒く多喜子に近付いた彼は、彼女の髪を掴むと躊躇わずにその口に指を突っ込んだ。
「もがっ……!?」
反射的な呻きを漏らす多喜子を無視して、隆房は喉の奥まで指を入れる。苦痛で咳き込んだ多喜子の口から、錠剤がこぼれ落ちた。
「かはっ、げほっ、げほっ……」
息荒く、多喜子はしばらく咳き込んでいた。
「なに、するんですか……?」
苦痛のあまり涙目になった多喜子は、恨めしげに幼馴染でもある有力分家の嫡男を睨んだ。
「てめぇに殊勝な自決なんて似合わないだろうがっ!」
怒りもあらわな口調で、隆房は多喜子を見下ろしていた。
「こんな状況でも、不敵に笑っているのは長尾多喜子って女だろうが! こっちだって父上が死んでんだよ! なのにてめぇの方は腑抜けた顔ぁ見せやがって!」
「……もう少し、死のうとしている女の子に優しい言葉をかけられないのですか?」
あまりの発言に、思わず多喜子は笑ってしまった。せめて、自分のことを想っているから止めたとでも言って欲しかった。女としての意地が、どこか傷付けられたような感じがする。
「お前に優しい言葉をかける義理が、俺にあるのか?」
幼少期の多喜子の仕打ちを、隆房は未だ許していない。ただし、自決を止める程度の情は抱いているということか。
「それもそうですね」
呼吸を落ち着けた多喜子は、妙に納得する思いであった。
「それで、私が死ぬのを止めて、隆房はどうしたいんですか?」
「逃げるに決まってるだろ? このまま屋敷に留まっていても、身の危険に晒されるだけだ」
「逃げて、その後は? まさか、落人みたいに身を潜めて私に暮らせと?」
「天下を取ろうって誘いをかけてきたのはお前だろうが」
舌打ちしそうな表情で、隆房は言う。
「だったら落人みたいな状況になっても、それをひっくり返してみせろ。お前はそのために、子供の頃から手駒が欲しかったんだろうが」
「ふふっ、何だか口説かれているみたいですね」
こんな状況だというのに、思わず多喜子は笑ってしまった。だが、隆房は不愉快そうに顔を歪めただけだ。
この青年にとってみれば、多喜子は自分勝手な理由で自分を利用しようとして、今また自分勝手な理由で死のうとしているように見えるのだろう。
多喜子の所為で幼少期に辛い目に遭わされたからこそ、多喜子がすべてから逃げだそうとしていることが許せないのだ。
やっぱり自分がこの青年に目を付けたのは、間違いではなかった。そんな残酷な満足感を、多喜子は覚えていた。
「判りました。あなたを巻き込んだ責任は、取りましょう。その代わり、地獄の底まで付いてきてもらうことになるかもしれませんよ? あなたにとっては、この混乱に紛れて私を殺してしまった方が本当は溜飲が下がるかもしれないですよ?」
「土壇場でてめぇを裏切った方が、よっぽどすっきりするだろうよ」
本気の口調で、隆房は言った。
子供の頃から多喜子が欲していた、景紀にとっての冬花のような存在とは似ても似つかない相手ではあるが、それでも土壇場までは付き合ってくれるらしい。
ならば、それもまた一興だろう。
多喜子は立ち上がった。その瞳に、再び活動的な光が宿っていた。
「それじゃあ、まずは御用場に行きましょうか。右往左往している連中に、私たちで活を入れてやりましょう」
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