224 / 250
第十章 未完の新秩序編
194 従兄弟の確執
しおりを挟む「直勝は日に焼けたなあ。久々すぎて誰かわからなかったぞ?」
氏政は隣に座る直勝の肩を叩きながら話しかけた。周りのメンバーも気心の知れた連中ばかりなので近況を話しながら時間を潰し始めていた。
「若殿も昔に比べて大きくなられて感無量にございまするぞ。」
「そうだな…昔から直勝には助けてもらっていた。今も手が回らない水軍関係を直勝には任せてしまっている状態だからな。助かっている。」
「そう思われるのでしたらもう少し無茶振りを減らしてもらってもよろしいでしょうか?」
氏政が神妙そうな顔をしながら感謝の言葉を投げているが口元が途中でピクピクしているのに気づいた直勝は白々しいといった表情で苦言を呈する。
「はっはっはっ、来年再来年は我も海に力を入れるつもりだから許してくれ。陸の方は今年までで大分落ち着かせる事ができた。これ以上は父たちに放り投げても大丈夫だ。」
この言葉を聞いていた近くの綱成や幻庵 康虎はゲンナリしていた。確かに氏政がいなくてもこのまま北条で培ってきたノウハウで他の新しい土地も回せるだろうし大きな計画や砦については氏政達が決めるだろうが、実際には激務が待っているのだ。そこで氏政が担当していた地域がごっそりとこちらに回ってくるとなってくれば来年の忙しさは想像したくもない。となっていた。
「それは有難い事ですが、何をされるつもりで?」
直勝は氏政が単に手伝いに来ただけでは無いことを理解していた。新しい船を開発するのか、どこかに攻め込むのか。はたまた予想もできないことをしてくるのか謎である。
「なに、それは父上が来てから皆の前で話そうぞ。それに、新しいことを始めるにしても直勝の仕事は減るはずだ。港と文官達の滑らかなやりとりができるように整備したりこちらでできることは大体やろう。むしろ任せたいのは実働の方だからな。」
「はっ、私としては有難いですが。」
ガラッと音がして氏康が入ってきたことで皆が話をやめ姿勢を正した。
「はぁ、疲れたわ。茶をくれ。それと皆のものも楽にせい。ここでは本心で話し合う場所じゃ、堅苦しいのは後で良い。」
氏康が片足を上げて胡座をかき楽な体勢で茶をしばき始めた為皆も少し楽にして会話を再開し始めた。
「父上も大変そうですね。」
「誰のせいじゃ、ここ数年で挨拶にくるものが一気に増えた為年末年始がさらに忙しくなった為に今年からは年末の挨拶と新年の挨拶で各家や使者を出す勢力ごとに分けたのだぞ?」
「それは申し訳ないですがまあ、我らの悲願に近づいた証拠だと思って耐えてくだされ。」
ニコニコ顔で返す息子を見て何を言ってもダメだと思ったのだろうか一息はぁといって茶を啜っていた。
「ですが、実際年末と年始で分けるのは大切だと思いますがね。後は、北条家は年末年始より少し早めと遅めにきてもらうとかですかね。これは必要なことなので受け入れてもらえることでしょう。その分、年末年始は近くの直属の城に集まって宴会させればよろしいかと。」
「成程、来年からはそうしてみるか。」
「それと、そろそろ競馬場も整備され普及し始めましたし、世代交代が起きたり血統が分かれてきた為面白いことになっていますが報告は行っていますか?」
「ああ!あれは面白いな。各外国馬と日本の馬毎の家系図を作り新しく生まれた馬達の特色や特性を纏めることで掛け金や利息が変わるのは良くできているな。ちなみに私の推している馬は春風号系列だな。」
春風号とは輸入してきた外国馬同士でできたガタイがよくパワフルな走りをする牡馬の事だ。この馬は各競馬場の重賞を勝ち、その産駒も春風の力を受け継ぐように同じような走りを見せる事で最近巷を賑わせている。
氏政は隣に座る直勝の肩を叩きながら話しかけた。周りのメンバーも気心の知れた連中ばかりなので近況を話しながら時間を潰し始めていた。
「若殿も昔に比べて大きくなられて感無量にございまするぞ。」
「そうだな…昔から直勝には助けてもらっていた。今も手が回らない水軍関係を直勝には任せてしまっている状態だからな。助かっている。」
「そう思われるのでしたらもう少し無茶振りを減らしてもらってもよろしいでしょうか?」
氏政が神妙そうな顔をしながら感謝の言葉を投げているが口元が途中でピクピクしているのに気づいた直勝は白々しいといった表情で苦言を呈する。
「はっはっはっ、来年再来年は我も海に力を入れるつもりだから許してくれ。陸の方は今年までで大分落ち着かせる事ができた。これ以上は父たちに放り投げても大丈夫だ。」
この言葉を聞いていた近くの綱成や幻庵 康虎はゲンナリしていた。確かに氏政がいなくてもこのまま北条で培ってきたノウハウで他の新しい土地も回せるだろうし大きな計画や砦については氏政達が決めるだろうが、実際には激務が待っているのだ。そこで氏政が担当していた地域がごっそりとこちらに回ってくるとなってくれば来年の忙しさは想像したくもない。となっていた。
「それは有難い事ですが、何をされるつもりで?」
直勝は氏政が単に手伝いに来ただけでは無いことを理解していた。新しい船を開発するのか、どこかに攻め込むのか。はたまた予想もできないことをしてくるのか謎である。
「なに、それは父上が来てから皆の前で話そうぞ。それに、新しいことを始めるにしても直勝の仕事は減るはずだ。港と文官達の滑らかなやりとりができるように整備したりこちらでできることは大体やろう。むしろ任せたいのは実働の方だからな。」
「はっ、私としては有難いですが。」
ガラッと音がして氏康が入ってきたことで皆が話をやめ姿勢を正した。
「はぁ、疲れたわ。茶をくれ。それと皆のものも楽にせい。ここでは本心で話し合う場所じゃ、堅苦しいのは後で良い。」
氏康が片足を上げて胡座をかき楽な体勢で茶をしばき始めた為皆も少し楽にして会話を再開し始めた。
「父上も大変そうですね。」
「誰のせいじゃ、ここ数年で挨拶にくるものが一気に増えた為年末年始がさらに忙しくなった為に今年からは年末の挨拶と新年の挨拶で各家や使者を出す勢力ごとに分けたのだぞ?」
「それは申し訳ないですがまあ、我らの悲願に近づいた証拠だと思って耐えてくだされ。」
ニコニコ顔で返す息子を見て何を言ってもダメだと思ったのだろうか一息はぁといって茶を啜っていた。
「ですが、実際年末と年始で分けるのは大切だと思いますがね。後は、北条家は年末年始より少し早めと遅めにきてもらうとかですかね。これは必要なことなので受け入れてもらえることでしょう。その分、年末年始は近くの直属の城に集まって宴会させればよろしいかと。」
「成程、来年からはそうしてみるか。」
「それと、そろそろ競馬場も整備され普及し始めましたし、世代交代が起きたり血統が分かれてきた為面白いことになっていますが報告は行っていますか?」
「ああ!あれは面白いな。各外国馬と日本の馬毎の家系図を作り新しく生まれた馬達の特色や特性を纏めることで掛け金や利息が変わるのは良くできているな。ちなみに私の推している馬は春風号系列だな。」
春風号とは輸入してきた外国馬同士でできたガタイがよくパワフルな走りをする牡馬の事だ。この馬は各競馬場の重賞を勝ち、その産駒も春風の力を受け継ぐように同じような走りを見せる事で最近巷を賑わせている。
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
身体だけの関係です‐原田巴について‐
みのりすい
恋愛
原田巴は高校一年生。(ボクっ子)
彼女には昔から尊敬している10歳年上の従姉がいた。
ある日巴は酒に酔ったお姉ちゃんに身体を奪われる。
その日から、仲の良かった二人の秒針は狂っていく。
毎日19時ごろ更新予定
「身体だけの関係です 三崎早月について」と同一世界観です。また、1~2話はそちらにも投稿しています。今回分けることにしましたため重複しています。ご迷惑をおかけします。
良ければそちらもお読みください。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/500699060
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
私は、忠告を致しましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。
ロマーヌ様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる