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幕間 姫君たちの皇都
2 宗家と分家
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宵が嫁いだ結城公爵家は、関東一円に領地を持つ将家華族である。
その領地は、皇都の北側に位置する彩城国(彩州。首府は河越)を本領(直轄領)とし、北側に上鞍国、北西に下鞍国、南西に総野国(総州)、そして皇都とそれに隣接する中央政府直轄県である久良岐県を挟んで相柄国(相州)の五国に及んでいる。
この内、下鞍国と総野国は泰平洋に面しており、沿岸部には製鉄所を中心とする工業地帯が形成されていた。この下鞍国と総野国に跨がる泰平洋沿岸工業地帯と、総野国の皇湾沿岸に築かれた工業地帯が、結城家領内における二大工業地帯であった。
その他にも、彩城国北部と上鞍国では養蚕を中心とした農業、あるいはそれによる軽工業が盛んであり、これもまた結城家にとって重要な税収源となっていた。
さらに相柄国には内地最大級の金山の一つが存在し、結城家が利権を持つ新南嶺島の金山と合せて、結城家の財政基盤を支えている。
南洋群島や新南嶺島など泰平洋南洋植民地の利権を独占している結城家は、さらにここに海底電信線の被覆材となるガタパーチャ(ゴムの木の一種)の販売による収益も加わり(正確には国策会社かつ結城家の御用商人でもある南海興発の収益であるが)、六家の中では比較的財政基盤が安定している家であった。
とはいえ、これだけ広大な領地と植民地を当主である景忠公一人が直接統治することは不可能である。
そのため、歴代当主の直轄領とされてきた彩州以外の領国、その郡、町、村については、当主が任命した代官を派遣して統治するという形態をとっている。
中央政府直轄県の行政長官が「県令」と呼称されるのに対し、こうした将家当主から領国統治を委ねられた代官は「知事」と称される。
こうした知事に任命されるのは、主として当主の兄弟ないしは分家当主であることが多かった。ただし、領国統治を委任されているとはいえ、知事にはその下の郡長や町長などへの命令権はあるが任免権は与えられていなかった。
知事に任命された者が独立を企てぬよう、その権限は限定されていたのである。
知事は律令制時代の国司などと違い、行政権のみを担い、軍事と司法権については依然として当主が握っていたのである。つまり、知事はあくまで行政官であった。
宵が皇都屋敷で遭遇した小山朝康の父である小山朝綱は、現在、下鞍国知事を務めている。
この結城家分家は、戦国時代の末期に皇主を盟主とする盟約を有馬、伊丹、一色、長尾、斯波の五家と共に結んだ当時の結城家当主・景宗の次男・景朝を祖とする家系であった。
景宗は盟約によって戦乱の世を終わらせると共に、南洋群島などへの海外進出を果たして現在の結城家の基礎を築いた人物として「結城家中興の祖」と称されており、その次男が興した分家である小山子爵家は結城家一族の中でも最も格式の高い分家であった。
現在、景宗の血を引く男系子孫は結城家宗家と分家の小山家しか残っていないことから、分家筆頭ともいえる家柄でもあった。
その分家筆頭の次期当主が自身の境遇に対して不満を抱いているのであるから、これは結城家内の統制上、重大な問題であった。
そして結城家内の統制をさらに混乱させかねない要因は、以前、河越城で里見善光にも言われたように、宗家直系の男子が景忠公には景紀しか存在しないことであった。
傍系という意味でなら、景忠公には景秀、景恒という二人の弟がいる。
家督を継ぐことが出来ない次男以降の男子は、基本的には領内に知行を分け与えられて分家を興すか、あるいは側室や愛妾の子であれば母方の実家を継ぐことなどもある。
ただ、産業革命の進展によって工業化が進展していく現在の皇国では、平民に移籍して自ら(あるいは当主に命じられて)事業を興したりする者も目立っている。
景忠公の弟であり先代結城家当主の側室の子である結城景秀は現在、相柄国知事に任じられている。ただし、異母兄である景忠公との兄弟仲はそれほど良くないらしく、金山がある重要な地域とはいえ結城家領の飛び地となっている相柄国に実質的に押し込められているといえた。
景忠公が息子である景紀への円滑な代替わりを望んでいるのも、こうした事情が影響しているという。
また、宵が景紀から聞いた話ではあるが、景秀の子・景保(景紀より三歳年上とのこと)は幼少期に冬花を虐めていた者の一人らしい。景紀自身も、あまり景秀親子とは関わり合いになりたくないようだった。
その景保は現在、南洋独立守備隊に配属されて父親と引き離されており、結城家からは遠ざけられている。
景忠公のもう一人の弟である景恒は、元服後は兵学寮ではなく学士院に進み、卒業後は第一高等中学校、皇都大学経済学部を経て、現在は結城家の領営銀行である第八十五銀行(本店所在地は河越)の理事に就任している。すでに平民籍に移籍しており、平民出の大蔵官僚の娘を娶ってそれなりの暮らしを送っているという。
産業革命の進展と高等教育の充実に伴って、将家内では「下級武士より一高出の平民」という言葉が生まれている。これは、血筋よりも個人の能力を重視して人物を登用すべしという価値観を表わしたもので、それだけ国政や領政における平民の相対的地位が高まっていることの現れでもあった。
流石に将家当主が平民の娘をそのまま正室として娶るという事例は稀であるが、景恒のように平民移籍した後に平民と結婚するか、あるいは平民の娘を適当な華族・士族の養子とした上で当主の弟、あるいは重臣が娶るという事例は、すでにいくつか存在している。
それによって優秀な平民を将家が囲い込むことが出来るというわけである。
「まあ、こんなところですか」
宵は自室にて、現在の結城家内の主要人物に関する相関関係図を描いていた。
景忠公と景紀の関係、景忠公と家臣団との関係、重臣と景忠側近の用人との関係、景忠公と二人の弟との関係、結城家宗家と分家との関係。
図にしてみると、やはり頭の中が整理出来る。
現状、結城家内において問題となっているのは重臣と景忠公側近との関係だろう。景忠公側用人・里見善光を中心とする側近勢力が、結城家の意思決定過程から重臣勢力を極力排除してその影響力低下を狙っている。最終的には、景忠公からの信を失っているとして、現在の執政・参与の失脚を目論んでいるのだろう。
里見善光を始めとする景忠公側近は、明らかに結城家が代替わりしたときに備えようとしている。
彼らは、あくまで景忠公に個人的に取り立てられただけであるので、景忠公が隠居ないし死去すれば、自然とその地位は消滅してしまう。最悪の場合、次の当主によって前当主の影響力を排除するために粛清されてしまうことすらあり得た。
その意味では、景忠公が病に倒れ、その後遺症を引き摺り続けている現状は、側近勢力にとって危機感を覚えるのに十分なものだろう。
特に景紀は冬花を寵愛している。そして里見善光を始め、側近の中には冬花の存在を疎んじる者たちも多い。だからこそ、彼らは景紀が当主を継いだ場合に自分たちが排除されてしまう可能性を考えてしまう。
このあたりは、景紀の悪い部分かもしれないと宵は思う。
確かに、本来であれば家政を担当すべき用人がその領分を越えて領政に携わることそのものにも問題がある。官僚系家臣団と用人系家臣団の境目が曖昧である将家という組織がこうした権力闘争を生み出している以上、職制を根本的に改革すべきだという景紀の意見は確かに正しい。代替わりが、その職制改革の好機だという意見にも、宵は賛成である。
しかし一方で、性急な改革は既得権益を持つ者たちの激烈な反発を呼ぶだろう。そうした既得権益を持つ者たち(この場合は里見善光を中心とする景忠公側近勢力)への配慮を、景紀は欠いているような気もするのだ。
特に景紀自身が冬花という用人出身の家臣を重用している以上、景忠公側近勢力から冬花が政敵と見なされても仕方のない状況となっている。
冬花はあくまで補佐官の分を弁えているため、自分たちの職分を犯してこないとして重臣勢力からの反発はそれほどないようであるが、「当主の側近」という地位を奪い合うことになる用人系家臣団からは警戒されているということだろう。
「やはり、これは難題ですね」
筆を置き、宵は小さく息をついた。
里見善光たちは冬花の排除が不可能と判った場合、次にどのような行動をとってくるだろうか。
景紀はまだ若いとして、景忠公の弟・景秀を中継ぎの当主として擁立してくるだろうか。
その可能性は否定出来ないものの、景秀にも側近がいる以上、結局は冬花の代わりに景秀側近を排除しなければならなくなる。
それに、景紀は景忠公が病に倒れている間、領内を問題なく統治していた。今さら、景紀の若さを理由に叔父である景秀を擁立しても、説得力はないだろう。
それに、河越城での里見善光の言葉を振り返ってみれば、彼は宵に男子を産んでもらいたいようだった。つまり彼は、円滑な代替わり(もちろん、自身が政治的権力を維持出来る形での)こそ望んでいるが、傍系や分家を巻き込んだ泥沼の後継者争いそのものは避けたいのだろう。
むしろ、政争が発生した時点で景忠公側近は排除される危険性が高くなってしまう。
となると現在、里見善光ら景忠公側近勢力が行っているように、領国統治に自分たちの存在が必要不可欠であると示し、益永忠胤ら重臣勢力を失脚させて、その地位を守るしかない。冬花もそうだったが、当主の補佐官である側用人は家内の文書管理も行っている。
蓄積された公文書は、それだけで権力の源になり得る。領内の農業生産高、工業生産高、地域別の税収など、領国統治に関わるありとあらゆる情報が列記されているからだ。
「景紀様がどう思われるかは判りませんが、景忠公側近の排除ではなく取り込みを狙ってみましょうか」
宵が思い出したのは、かつて景紀から伝えられた兵部大臣・坂東友三郎の言葉だ。
戦争の時代が始まる。
そして動員令が発令された今、景紀は補佐官である冬花を伴って出征してしまった。
残された宵は未だ次期当主の正室という立場であるが、結城家内の問題から、家臣団への統率能力を発揮しなければならない立場にある。だというのに、自分を政治的に補佐してくれる存在は誰もいない。
斉との戦争だけでなく、ルーシー帝国やヴィンランド合衆国との戦争までもが発生するような事態になれば、そして宵が当主の正室という立場になれば、今以上に景紀不在中の結城家内を統制する必要に迫られるだろう。
その時に、自分を政治的に補佐してくれる存在が必要だ。
景忠公側近を宵が取り込むことで、景紀が結城家を継いだ後の彼らの不安を払拭し、結城家家臣団同士の対立に一定の区切りを付けることが出来るかもしれない。
問題は、景紀と宵との間で二重権力状態が生じかねないことであった。
そこは自分と景紀で上手く調整するしかないだろう、と宵は思う。
少なくとも、伊丹・一色両家と景紀が対立している以上、彼の権力基盤である結城家が分裂状態に陥るわけにはいかないのである。
「……姫様、よろしいでしょうか?」
不意に庭に面した廊下から、菖蒲の声が掛かった。
「何か?」
「小山子爵閣下が、公爵閣下ならびに姫様にお目通り願いたいと屋敷に参っております」
昨日は分家次期当主に遭遇したと思ったら、今日はその父親である現当主か。
「如何いたしましょうか?」
「ちなみに、どのような用件で?」
「昨日の朝康殿の不始末に付き、姫様に直接謝罪を申し上げたいと」
なるほど、と宵は思った。慎重な小山家現当主・朝綱子爵だけあって、行動が早い。突然、結城家皇都屋敷に乗り込み、次期当主の正室に対して暴言を吐いた息子の行動が宗家で問題視される前に、事態を沈静化させようというのだろう。
「なお、公爵閣下はご体調が優れないため、対応は姫様に一任するとの伝言を里見様より預かっております」
景忠公が本当に体調不良かどうかは判らないが(あえて朝綱子爵と会わないことによって、宗家当主の怒りを示そうとしている可能性もある)、少なくとも里見善光は分家に対して宵の権威を示すことを望んでいるのだろう。宵の次期当主正室としての地位が向上すれば、相対的に愛妾と見られている冬花の地位は低下する。
目的は違えど、宵自身も里見善光も、宵の結城家内での影響力拡大を狙っていることには変わりがないようであった。
「……判りました。お会いいたしましょう」
宵自身としては、昨日の朝康の発言を大事にしようとは思っていない。あくまで彼女が目指しているのは、結城家内の統制である。分家にしても、混乱を引き起こさないのであれば本気で取り潰そうとは思わない。
宵は景紀から預かった呪術仕掛けの硯箱に相関図を入れると、打掛の裾を翻して部屋を後にした。
◇◇◇
「この度の愚息の不始末に付き、姫様には何卒、ご寛恕頂きたく」
公的な引見を行うための接見の間ではなく、私的な会談部屋として造られた屋敷奥の応接の間にて、一人の男性が畳の上に平伏していた。
上座に座るのは、宵とその警護役である菖蒲、そして景忠側用人の里見善光である。
下座で平伏する小山子爵家当主・朝綱の斜め後ろには、同じように平伏している青年がいた。ひたすらに恐懼している父親と違い、どうにも不承不承といった気配を感じる平伏ではあったが。
「朝綱殿、朝康殿、面を上げて下さい」
「ははっ」
「……」
分家の親子が顔を上げた瞬間、宵は皮肉な納得を覚えてしまった。
「……そちらの朝康殿は、昨日とは随分と印象が変わられたようですね」
小山朝康の顔には、何発も殴られたような跡があったのだ。そしてそんな息子の顔を、父親である朝綱はわざわざ宵に見せるようにしている。
その狙いは明らかだった。
すでに父親によって相応の仕置きはなされていると、宵を始めとする結城家宗家とその家臣団に見せつけるためだ。
「こやつは未だ一介の武弁。戦場での槍働きしか頭にない愚か者にございます。公爵閣下や若君のごとき深慮は持ち合わせてございませぬ」
「朝綱殿」
必死に弁明の言葉を重ねようとする朝綱を遮って、宵は言った。一瞬、彼の顔が強ばる。
「この非常時局にあたり、領内の秩序を乱すが如き言動は、厳に慎まねばなりません」
「……」
「であるにも関わらず、朝康殿の言動は子爵家嫡男としても、また軍人としても軽率であると言わざるを得ません」
「……親として、息子の教育が至りませんでしたこと、弁明のしようもございません。すべて、私の責任です」
どうやら、朝綱は息子の宵に対する暴言の咎を自身が引き受けるつもりのようだった。
「卿のこれまでの宗家に対する忠節は、景忠公や景紀様より聞き及んでおります。また、昨日の件は私的な場面でのこと。私も必要以上にことを荒立てるつもりはありません。卿の謝罪は受け取りましょう。しかし、あのような言動を見過ごすこともまた、他の者に示しがつかないでしょう」
「おっしゃられる通りでございます」
淡々とした宵の声とは対照的に、朝綱の声は恐懼と緊張がありありと表れた固いものであった。
「御家に対する仕置きは、景忠公とも相談の上、申し渡すことと致しましょう。さしあたって、朝康殿は当面、騎兵第二旅団駐屯地の敷地外への外出を禁止させて頂きます」
「承知致しました」
もう一度、朝綱は平伏した。
宵がちらりと朝康の方に視線を向けると、ふて腐れたような表情がギクリと強張り、慌てて父に倣って平伏する。
その表情の変化を見て、実は昨日の脅しがかなり効いているのではないかと宵は思った。
実の父を破滅させた女、か……。
たとえこの青年に悪女と認識されようとも、それによって結城家内の統制が取れるのならば問題はない。
血の気が多そうなこの分家嫡男にはなお警戒が必要だろうが、とりあえず脅しが効いているようで、宵としてはひとまず安堵しておくことにした。
◇◇◇
「小山家への仕置きは、宗家から分家へ支払われている俸禄の一時的な減額でよいでしょう」
屋敷の廊下を歩きながら、宵は里見善光に対してそう言った。
「しかし姫様、くどいようですが御身は結城家次期当主ご正室であらせられます」
だが、それに対してこの景忠側用人は渋い顔をした。
「その姫様に暴言を吐いておいて減俸程度で済ませるのは、御身を軽んじておられるようにも感じます。もう少し、姫様ご自身のご威信を示されてもよろしいかと」
やはり、里見善光は結城家内における宵の権威を確立させたいようだった。
「特に朝綱殿が領内において失政を犯したわけでもないでしょう。転封するほどの処罰は逆に過大となります」
立ち止まり、宵は感情の籠っていない視線で里見の顔を見上げる。
「それに私はあくまで、次期当主たる景紀様の室。現当主である景忠公や景紀様を差し置いて、分家に厳しい処分を言い渡す立場にはありません」
「……出過ぎたことを申しました」
宵があくまでも景忠公や景紀の立場を尊重する発言をすると、里見はそれで引き下がった。
結局のところ、いかに次期当主の正室とはいえ、後継者たる男子を産めていない現状では、宵に正室としての権威を確立させようにも限界があるのだ。
それは宵自身も自覚しているし、里見にしても同様だろう。
「私は自室に下がります。先の件、景忠公に宜しくお伝え下さい」
「御意。失礼いたします」
そう言って一礼してから、里見善光は宵の前から下がった。
「菖蒲殿、あなたも下がって良いですよ」
そして自室の前まで辿り着くと、気配を消して影のように付き従っていた忍の少女に向かっても、宵はそう言った。
「はっ、失礼いたします」
一歩下がってサッと片膝をつく形で菖蒲が臣下の礼をとるのを見て、宵は自室へと戻る。
「……はぁ」
後ろ手に障子を閉めた宵は、重く息をついた。
そして部屋の奥から拵袋を取り出すと紐をそっと解き、中から白鞘に収められた一振りの刀を取り出した。景紀が出征した夜、彼から託され、宵が“雪椿”と号を付けた刀。
鞘から刀身を半分ほど出し、そこに自分を映し出す。ただ、刀身に移る少女の瞳は、どこか遠くを見ているようであった。
そうしてぽつりと、誰かに語りかけるように宵は独りごちた。
「景紀様、私は上手くやれているでしょうか……?」
その領地は、皇都の北側に位置する彩城国(彩州。首府は河越)を本領(直轄領)とし、北側に上鞍国、北西に下鞍国、南西に総野国(総州)、そして皇都とそれに隣接する中央政府直轄県である久良岐県を挟んで相柄国(相州)の五国に及んでいる。
この内、下鞍国と総野国は泰平洋に面しており、沿岸部には製鉄所を中心とする工業地帯が形成されていた。この下鞍国と総野国に跨がる泰平洋沿岸工業地帯と、総野国の皇湾沿岸に築かれた工業地帯が、結城家領内における二大工業地帯であった。
その他にも、彩城国北部と上鞍国では養蚕を中心とした農業、あるいはそれによる軽工業が盛んであり、これもまた結城家にとって重要な税収源となっていた。
さらに相柄国には内地最大級の金山の一つが存在し、結城家が利権を持つ新南嶺島の金山と合せて、結城家の財政基盤を支えている。
南洋群島や新南嶺島など泰平洋南洋植民地の利権を独占している結城家は、さらにここに海底電信線の被覆材となるガタパーチャ(ゴムの木の一種)の販売による収益も加わり(正確には国策会社かつ結城家の御用商人でもある南海興発の収益であるが)、六家の中では比較的財政基盤が安定している家であった。
とはいえ、これだけ広大な領地と植民地を当主である景忠公一人が直接統治することは不可能である。
そのため、歴代当主の直轄領とされてきた彩州以外の領国、その郡、町、村については、当主が任命した代官を派遣して統治するという形態をとっている。
中央政府直轄県の行政長官が「県令」と呼称されるのに対し、こうした将家当主から領国統治を委ねられた代官は「知事」と称される。
こうした知事に任命されるのは、主として当主の兄弟ないしは分家当主であることが多かった。ただし、領国統治を委任されているとはいえ、知事にはその下の郡長や町長などへの命令権はあるが任免権は与えられていなかった。
知事に任命された者が独立を企てぬよう、その権限は限定されていたのである。
知事は律令制時代の国司などと違い、行政権のみを担い、軍事と司法権については依然として当主が握っていたのである。つまり、知事はあくまで行政官であった。
宵が皇都屋敷で遭遇した小山朝康の父である小山朝綱は、現在、下鞍国知事を務めている。
この結城家分家は、戦国時代の末期に皇主を盟主とする盟約を有馬、伊丹、一色、長尾、斯波の五家と共に結んだ当時の結城家当主・景宗の次男・景朝を祖とする家系であった。
景宗は盟約によって戦乱の世を終わらせると共に、南洋群島などへの海外進出を果たして現在の結城家の基礎を築いた人物として「結城家中興の祖」と称されており、その次男が興した分家である小山子爵家は結城家一族の中でも最も格式の高い分家であった。
現在、景宗の血を引く男系子孫は結城家宗家と分家の小山家しか残っていないことから、分家筆頭ともいえる家柄でもあった。
その分家筆頭の次期当主が自身の境遇に対して不満を抱いているのであるから、これは結城家内の統制上、重大な問題であった。
そして結城家内の統制をさらに混乱させかねない要因は、以前、河越城で里見善光にも言われたように、宗家直系の男子が景忠公には景紀しか存在しないことであった。
傍系という意味でなら、景忠公には景秀、景恒という二人の弟がいる。
家督を継ぐことが出来ない次男以降の男子は、基本的には領内に知行を分け与えられて分家を興すか、あるいは側室や愛妾の子であれば母方の実家を継ぐことなどもある。
ただ、産業革命の進展によって工業化が進展していく現在の皇国では、平民に移籍して自ら(あるいは当主に命じられて)事業を興したりする者も目立っている。
景忠公の弟であり先代結城家当主の側室の子である結城景秀は現在、相柄国知事に任じられている。ただし、異母兄である景忠公との兄弟仲はそれほど良くないらしく、金山がある重要な地域とはいえ結城家領の飛び地となっている相柄国に実質的に押し込められているといえた。
景忠公が息子である景紀への円滑な代替わりを望んでいるのも、こうした事情が影響しているという。
また、宵が景紀から聞いた話ではあるが、景秀の子・景保(景紀より三歳年上とのこと)は幼少期に冬花を虐めていた者の一人らしい。景紀自身も、あまり景秀親子とは関わり合いになりたくないようだった。
その景保は現在、南洋独立守備隊に配属されて父親と引き離されており、結城家からは遠ざけられている。
景忠公のもう一人の弟である景恒は、元服後は兵学寮ではなく学士院に進み、卒業後は第一高等中学校、皇都大学経済学部を経て、現在は結城家の領営銀行である第八十五銀行(本店所在地は河越)の理事に就任している。すでに平民籍に移籍しており、平民出の大蔵官僚の娘を娶ってそれなりの暮らしを送っているという。
産業革命の進展と高等教育の充実に伴って、将家内では「下級武士より一高出の平民」という言葉が生まれている。これは、血筋よりも個人の能力を重視して人物を登用すべしという価値観を表わしたもので、それだけ国政や領政における平民の相対的地位が高まっていることの現れでもあった。
流石に将家当主が平民の娘をそのまま正室として娶るという事例は稀であるが、景恒のように平民移籍した後に平民と結婚するか、あるいは平民の娘を適当な華族・士族の養子とした上で当主の弟、あるいは重臣が娶るという事例は、すでにいくつか存在している。
それによって優秀な平民を将家が囲い込むことが出来るというわけである。
「まあ、こんなところですか」
宵は自室にて、現在の結城家内の主要人物に関する相関関係図を描いていた。
景忠公と景紀の関係、景忠公と家臣団との関係、重臣と景忠側近の用人との関係、景忠公と二人の弟との関係、結城家宗家と分家との関係。
図にしてみると、やはり頭の中が整理出来る。
現状、結城家内において問題となっているのは重臣と景忠公側近との関係だろう。景忠公側用人・里見善光を中心とする側近勢力が、結城家の意思決定過程から重臣勢力を極力排除してその影響力低下を狙っている。最終的には、景忠公からの信を失っているとして、現在の執政・参与の失脚を目論んでいるのだろう。
里見善光を始めとする景忠公側近は、明らかに結城家が代替わりしたときに備えようとしている。
彼らは、あくまで景忠公に個人的に取り立てられただけであるので、景忠公が隠居ないし死去すれば、自然とその地位は消滅してしまう。最悪の場合、次の当主によって前当主の影響力を排除するために粛清されてしまうことすらあり得た。
その意味では、景忠公が病に倒れ、その後遺症を引き摺り続けている現状は、側近勢力にとって危機感を覚えるのに十分なものだろう。
特に景紀は冬花を寵愛している。そして里見善光を始め、側近の中には冬花の存在を疎んじる者たちも多い。だからこそ、彼らは景紀が当主を継いだ場合に自分たちが排除されてしまう可能性を考えてしまう。
このあたりは、景紀の悪い部分かもしれないと宵は思う。
確かに、本来であれば家政を担当すべき用人がその領分を越えて領政に携わることそのものにも問題がある。官僚系家臣団と用人系家臣団の境目が曖昧である将家という組織がこうした権力闘争を生み出している以上、職制を根本的に改革すべきだという景紀の意見は確かに正しい。代替わりが、その職制改革の好機だという意見にも、宵は賛成である。
しかし一方で、性急な改革は既得権益を持つ者たちの激烈な反発を呼ぶだろう。そうした既得権益を持つ者たち(この場合は里見善光を中心とする景忠公側近勢力)への配慮を、景紀は欠いているような気もするのだ。
特に景紀自身が冬花という用人出身の家臣を重用している以上、景忠公側近勢力から冬花が政敵と見なされても仕方のない状況となっている。
冬花はあくまで補佐官の分を弁えているため、自分たちの職分を犯してこないとして重臣勢力からの反発はそれほどないようであるが、「当主の側近」という地位を奪い合うことになる用人系家臣団からは警戒されているということだろう。
「やはり、これは難題ですね」
筆を置き、宵は小さく息をついた。
里見善光たちは冬花の排除が不可能と判った場合、次にどのような行動をとってくるだろうか。
景紀はまだ若いとして、景忠公の弟・景秀を中継ぎの当主として擁立してくるだろうか。
その可能性は否定出来ないものの、景秀にも側近がいる以上、結局は冬花の代わりに景秀側近を排除しなければならなくなる。
それに、景紀は景忠公が病に倒れている間、領内を問題なく統治していた。今さら、景紀の若さを理由に叔父である景秀を擁立しても、説得力はないだろう。
それに、河越城での里見善光の言葉を振り返ってみれば、彼は宵に男子を産んでもらいたいようだった。つまり彼は、円滑な代替わり(もちろん、自身が政治的権力を維持出来る形での)こそ望んでいるが、傍系や分家を巻き込んだ泥沼の後継者争いそのものは避けたいのだろう。
むしろ、政争が発生した時点で景忠公側近は排除される危険性が高くなってしまう。
となると現在、里見善光ら景忠公側近勢力が行っているように、領国統治に自分たちの存在が必要不可欠であると示し、益永忠胤ら重臣勢力を失脚させて、その地位を守るしかない。冬花もそうだったが、当主の補佐官である側用人は家内の文書管理も行っている。
蓄積された公文書は、それだけで権力の源になり得る。領内の農業生産高、工業生産高、地域別の税収など、領国統治に関わるありとあらゆる情報が列記されているからだ。
「景紀様がどう思われるかは判りませんが、景忠公側近の排除ではなく取り込みを狙ってみましょうか」
宵が思い出したのは、かつて景紀から伝えられた兵部大臣・坂東友三郎の言葉だ。
戦争の時代が始まる。
そして動員令が発令された今、景紀は補佐官である冬花を伴って出征してしまった。
残された宵は未だ次期当主の正室という立場であるが、結城家内の問題から、家臣団への統率能力を発揮しなければならない立場にある。だというのに、自分を政治的に補佐してくれる存在は誰もいない。
斉との戦争だけでなく、ルーシー帝国やヴィンランド合衆国との戦争までもが発生するような事態になれば、そして宵が当主の正室という立場になれば、今以上に景紀不在中の結城家内を統制する必要に迫られるだろう。
その時に、自分を政治的に補佐してくれる存在が必要だ。
景忠公側近を宵が取り込むことで、景紀が結城家を継いだ後の彼らの不安を払拭し、結城家家臣団同士の対立に一定の区切りを付けることが出来るかもしれない。
問題は、景紀と宵との間で二重権力状態が生じかねないことであった。
そこは自分と景紀で上手く調整するしかないだろう、と宵は思う。
少なくとも、伊丹・一色両家と景紀が対立している以上、彼の権力基盤である結城家が分裂状態に陥るわけにはいかないのである。
「……姫様、よろしいでしょうか?」
不意に庭に面した廊下から、菖蒲の声が掛かった。
「何か?」
「小山子爵閣下が、公爵閣下ならびに姫様にお目通り願いたいと屋敷に参っております」
昨日は分家次期当主に遭遇したと思ったら、今日はその父親である現当主か。
「如何いたしましょうか?」
「ちなみに、どのような用件で?」
「昨日の朝康殿の不始末に付き、姫様に直接謝罪を申し上げたいと」
なるほど、と宵は思った。慎重な小山家現当主・朝綱子爵だけあって、行動が早い。突然、結城家皇都屋敷に乗り込み、次期当主の正室に対して暴言を吐いた息子の行動が宗家で問題視される前に、事態を沈静化させようというのだろう。
「なお、公爵閣下はご体調が優れないため、対応は姫様に一任するとの伝言を里見様より預かっております」
景忠公が本当に体調不良かどうかは判らないが(あえて朝綱子爵と会わないことによって、宗家当主の怒りを示そうとしている可能性もある)、少なくとも里見善光は分家に対して宵の権威を示すことを望んでいるのだろう。宵の次期当主正室としての地位が向上すれば、相対的に愛妾と見られている冬花の地位は低下する。
目的は違えど、宵自身も里見善光も、宵の結城家内での影響力拡大を狙っていることには変わりがないようであった。
「……判りました。お会いいたしましょう」
宵自身としては、昨日の朝康の発言を大事にしようとは思っていない。あくまで彼女が目指しているのは、結城家内の統制である。分家にしても、混乱を引き起こさないのであれば本気で取り潰そうとは思わない。
宵は景紀から預かった呪術仕掛けの硯箱に相関図を入れると、打掛の裾を翻して部屋を後にした。
◇◇◇
「この度の愚息の不始末に付き、姫様には何卒、ご寛恕頂きたく」
公的な引見を行うための接見の間ではなく、私的な会談部屋として造られた屋敷奥の応接の間にて、一人の男性が畳の上に平伏していた。
上座に座るのは、宵とその警護役である菖蒲、そして景忠側用人の里見善光である。
下座で平伏する小山子爵家当主・朝綱の斜め後ろには、同じように平伏している青年がいた。ひたすらに恐懼している父親と違い、どうにも不承不承といった気配を感じる平伏ではあったが。
「朝綱殿、朝康殿、面を上げて下さい」
「ははっ」
「……」
分家の親子が顔を上げた瞬間、宵は皮肉な納得を覚えてしまった。
「……そちらの朝康殿は、昨日とは随分と印象が変わられたようですね」
小山朝康の顔には、何発も殴られたような跡があったのだ。そしてそんな息子の顔を、父親である朝綱はわざわざ宵に見せるようにしている。
その狙いは明らかだった。
すでに父親によって相応の仕置きはなされていると、宵を始めとする結城家宗家とその家臣団に見せつけるためだ。
「こやつは未だ一介の武弁。戦場での槍働きしか頭にない愚か者にございます。公爵閣下や若君のごとき深慮は持ち合わせてございませぬ」
「朝綱殿」
必死に弁明の言葉を重ねようとする朝綱を遮って、宵は言った。一瞬、彼の顔が強ばる。
「この非常時局にあたり、領内の秩序を乱すが如き言動は、厳に慎まねばなりません」
「……」
「であるにも関わらず、朝康殿の言動は子爵家嫡男としても、また軍人としても軽率であると言わざるを得ません」
「……親として、息子の教育が至りませんでしたこと、弁明のしようもございません。すべて、私の責任です」
どうやら、朝綱は息子の宵に対する暴言の咎を自身が引き受けるつもりのようだった。
「卿のこれまでの宗家に対する忠節は、景忠公や景紀様より聞き及んでおります。また、昨日の件は私的な場面でのこと。私も必要以上にことを荒立てるつもりはありません。卿の謝罪は受け取りましょう。しかし、あのような言動を見過ごすこともまた、他の者に示しがつかないでしょう」
「おっしゃられる通りでございます」
淡々とした宵の声とは対照的に、朝綱の声は恐懼と緊張がありありと表れた固いものであった。
「御家に対する仕置きは、景忠公とも相談の上、申し渡すことと致しましょう。さしあたって、朝康殿は当面、騎兵第二旅団駐屯地の敷地外への外出を禁止させて頂きます」
「承知致しました」
もう一度、朝綱は平伏した。
宵がちらりと朝康の方に視線を向けると、ふて腐れたような表情がギクリと強張り、慌てて父に倣って平伏する。
その表情の変化を見て、実は昨日の脅しがかなり効いているのではないかと宵は思った。
実の父を破滅させた女、か……。
たとえこの青年に悪女と認識されようとも、それによって結城家内の統制が取れるのならば問題はない。
血の気が多そうなこの分家嫡男にはなお警戒が必要だろうが、とりあえず脅しが効いているようで、宵としてはひとまず安堵しておくことにした。
◇◇◇
「小山家への仕置きは、宗家から分家へ支払われている俸禄の一時的な減額でよいでしょう」
屋敷の廊下を歩きながら、宵は里見善光に対してそう言った。
「しかし姫様、くどいようですが御身は結城家次期当主ご正室であらせられます」
だが、それに対してこの景忠側用人は渋い顔をした。
「その姫様に暴言を吐いておいて減俸程度で済ませるのは、御身を軽んじておられるようにも感じます。もう少し、姫様ご自身のご威信を示されてもよろしいかと」
やはり、里見善光は結城家内における宵の権威を確立させたいようだった。
「特に朝綱殿が領内において失政を犯したわけでもないでしょう。転封するほどの処罰は逆に過大となります」
立ち止まり、宵は感情の籠っていない視線で里見の顔を見上げる。
「それに私はあくまで、次期当主たる景紀様の室。現当主である景忠公や景紀様を差し置いて、分家に厳しい処分を言い渡す立場にはありません」
「……出過ぎたことを申しました」
宵があくまでも景忠公や景紀の立場を尊重する発言をすると、里見はそれで引き下がった。
結局のところ、いかに次期当主の正室とはいえ、後継者たる男子を産めていない現状では、宵に正室としての権威を確立させようにも限界があるのだ。
それは宵自身も自覚しているし、里見にしても同様だろう。
「私は自室に下がります。先の件、景忠公に宜しくお伝え下さい」
「御意。失礼いたします」
そう言って一礼してから、里見善光は宵の前から下がった。
「菖蒲殿、あなたも下がって良いですよ」
そして自室の前まで辿り着くと、気配を消して影のように付き従っていた忍の少女に向かっても、宵はそう言った。
「はっ、失礼いたします」
一歩下がってサッと片膝をつく形で菖蒲が臣下の礼をとるのを見て、宵は自室へと戻る。
「……はぁ」
後ろ手に障子を閉めた宵は、重く息をついた。
そして部屋の奥から拵袋を取り出すと紐をそっと解き、中から白鞘に収められた一振りの刀を取り出した。景紀が出征した夜、彼から託され、宵が“雪椿”と号を付けた刀。
鞘から刀身を半分ほど出し、そこに自分を映し出す。ただ、刀身に移る少女の瞳は、どこか遠くを見ているようであった。
そうしてぽつりと、誰かに語りかけるように宵は独りごちた。
「景紀様、私は上手くやれているでしょうか……?」
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