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第四章 半島の暗雲編
77 公主の思い
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『妾は陽鮮国王・仁宗が娘、李貞英である』
景紀ら倭館に滞在する人間たちの困惑を他所に、礼曹佐郎や付き添いの老女官たち、護衛の武官を伴ってやってきた少女はそう名乗った。
公主であることを示す緑色の唐衣に身を包んだ彼女は、倭館の大人たちよりも背が低いにも関わらず、臆することのない堂々とした態度であった。背筋を伸して王族らしく振る舞うその様には、幼いながらも一種の威厳を感じさせた。ただ、どこか背伸びしているような、子供らしい微笑ましさもあった。
もちろん、彼女の言葉は陽鮮語なので倭館の通訳官が秋津語に訳す。
倭館に詰める秋津人たちは、西館の応接広間に迎えた公主と王子に対して国王に対する礼である四拝礼を以て出迎えた。
今まで国王や王族が秋津人の前に出向いたことがないため、深見館長を始めとする館員たちもどのように応対すればいいのか判っていないようだった。
前例遵守の華夷秩序における外交体制から見れば、臨機応変ともいえる王族による見舞いは異常なことであった。
景紀だけでなく、館長や使節団の全権たちも陽鮮側がどのような思惑を持って、まだ十二歳の公主と五歳の王子を倭館に送り込んだのか、判断がつかずにいた。
四拝礼が済むと王族の対応は館長に任せ、景紀は居室に下がった。
冬花に王族の来訪を本国に報告する通信を発するように命ずると共に、貴通を呼び寄せる。
「厄介事が増えたな」
「ええ」貴通も悩ましそうな表情を浮かべていた。「王族を見舞いに派遣することで秋津側の怒りを収めるというのは妙手であるように感じますが、陽鮮政府の一致した意向であるとは思えません。あまりにも前例を無視し過ぎています。恐らく、国王の独断かと」
「そんなことをすれば、国王は攘夷派による攻撃材料を与えるだけだろうに。夷狄に阿っているだの、夷狄に自らの子供を人質に差し出しただの、批判の材料はいくらでも作れる」
「恐らく、仁宗国王もそれを覚悟しての決断だったのだと思います。だから、王家にとって一番重要な王世子を寄越さなかったのでしょう。流石に王世子を人質に差し出すような真似をすれば、より反発は激しくなるでしょうから」
「皇国との衝突を避けるための英断といえば英断だが、それが通用するのは俺たち秋津側だけというのは皮肉だな」
「使節団の中には、これを期に公主、王子を利用して宮中に伝手を作ろうとする人間が現れるかもしれません。国王との直接交渉は魅力的ではありますが、それを無理にやろうとすればやはり陽鮮の旧守派は激しく反発するでしょう」
「念の為、使節団の動向については冬花に監視させている。城内の動向についても、冬花が式を放って調査中だ」
「現状、向こう側の情報が圧倒的に不足していますね。まあ、戦場で敵側の情報が丸わかりということはあり得ないので、軍人としては当たり前といえば当たり前の状況ともいえますが」
「それにしたって、情報が不足し過ぎだろ……」景紀は腕を組んで、悩ましげな息をつく。「そもそも、公主や王子の為人すら、俺たちは把握出来ていないんだからな」
二人して腕を組んで唸っていると、本国への通信を終えたらしい冬花がやって来た。
「とりあえず、一通りの状況は本国に知らせておいたわ」
畳の上に座る二人に加わるように、冬花は正座して腰を下ろす。さっと着物の袖を翻し、膝の上で手を重ねた。
「後は、外務省からの回訓待ちってところか。兵部省の方からも、まだ何もないか?」
「ええ。敦義門での事件については外務省、兵部省ともに報告済みだから、多分、対応を協議中だと思うけど」
「有馬翁と、伊丹・一色の攘夷派がどう動くかが問題だな。あとは、国内世論が変な方向にいかないといいんだが」
「それと、陽鮮に向けて出兵を準備しているという斉軍の動静も気になります」
「正直、素直に政変が起こってくれた方がまだ楽だったかもしれないな」ぼやくように、景紀は言う。「公主と王子が倭館に来た以上、あいつらの身の安全も考えてやらなきゃならん。王族を倭館に派遣するのだって、宮中ではそれなりに反対意見があったことだろうから、もし倭館滞在中にあの二人の身に何かあれば、『やはり倭人どもは蛮族だ』と攘夷派が勢いづき、開化派国王の権威は失墜するだろうな」
「刺客が送られてくる可能性は?」
冬花が問う。
「あり得るな。それと、呪詛の可能性も考慮しておけ。むしろ、攘夷派にとってはあのガキどもが倭館の内部で害された方が、都合が良いはずだからな。あの女官や武官たちの行動も要注意だ」
「何というか、宮中の闇を感じるわね……」
うんざりと、冬花は呟く。
「まっ、どこの国でも権力闘争は真っ黒々さ。今更だろ」
どこか嗤うように、景紀は割り切った態度を示す。それくらい神経が太くないと政治の世界では生き残れないのだろうと、冬花は内心で嘆息交じりに思った。
「了解。とりあえず、あの二人にも気を配っておくわ」
「頼む」
「そもそも、いつまであの二人は倭館に留まるつもりなのでしょうね?」
貴通が首を傾げた。
「その件ですが」貴通が相手であるため、冬花は口調を変えた。「今夕、館長が饗応の宴を開くそうです」
「まあ、王族を大したもてなしもせずに帰すってのも、拙いだろうからな」
「それで今、料理掛や女中たちは大わらわよ」
冬花が厨房のある方向を見て言う。妖狐の聴覚を使って、倭館内部の様子を探っているのだろう。
「とりあえず、面倒そうな王族の接待は館長に任せて、俺たちは本国からの指示待ちだな」
溜息交じりに景紀がそう言うと、冬花がその顔をじっと見つめてきた。心なしか、哀れんでいるようにも見えた。
「何だよ」
「……その、言い辛いんだけど、面倒事を館長に押し付けるのは無理そうよ」
諦めの口調でそう言った冬花は、廊下を見た。彼女の視線を追うように、景紀と貴通も怪訝そうに廊下を見る。縁側の先に広がっているのは、秋津式の庭園である。
何かと思って見ていると、徐々に話し声が聞こえてきた。それが、こちらに向かっているのである。
秋津語ではない。
「……」
「……」
「……」
三人とも陽鮮語を解さないため、揃って互いに顔を見合わせた。
やがて、話し声は景紀の居室の前まで来てしまった。
必死に引き留めている様子の老女官を引き連れて現れたのは、陽鮮公主・李貞英であった。彼女は景紀の居室の前で立ち止まると、じっと室内を見つめた。
三人の視線と公主の視線が交差する。
徐に、公主が口を開いた。
「ここに、結城景紀と申す者はおるか?」
驚くことに、その口から飛び出したのは、拙いながらもれっきとした秋津語であった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
陽鮮では、若い女性が秋津人の男性と接触することを原則として禁止している。
例えば、倭館の居留民に対する朝市で若い村娘などが店を広げ、秋津人の男性が客として訪れただけで、その女性を「交奸」の罪、つまりは夷狄との姦通罪として処刑することもあったという。陽鮮側はその女性と接触した秋津人男性も同じく処刑することを秋津側に求め、外交問題となったこともある。
もちろん、秋津皇国においても不義密通は重罪であるが、単に異国の女性の店を訪れただけで処刑せよというのは、秋津側の法律に照らし合わせても無理のある要求であった。結局、この男性を国外追放(つまりは強制送還)とすることで、問題を収めた。
唯一の例外ともいえるのが、使節として訪れた秋津人をもてなす宴の場で伝統芸能を披露する女楽人たちであり、逆にいえばそれほどまでに陽鮮王国側は自国の女性が夷狄と接触することを恐れていたといえる。
結果として、秋津人と接触しても問題のない女性は老婆だけというのが実情であった。
その意味では、若い女性である公主を倭館に遣わすこと自体が異例中の異例であり、付き添いの女官が全員宮中務めの長い老女たちであるのは、無理からぬことであった。
そして、長年、宮中のしきたりの中で過ごしてきた老女官たちが、公主が蛮族の軍閥の首魁の息子と接触しようとするのを止めようとするのも、また無理からぬことであった。
まったく、五月蠅いものだと貞英は思う。
いかに女官たちが秋津人の東夷だの蛮族だのと蔑んでいようとも、ただ会っただけでこの身を穢されるわけでもないだろうに。
むしろ貞英としては、この機会を利用して秋津皇国における軍閥の首魁の息子と積極的に接触を持つべきだと思っている。
恐らく、今回の秋津人使節団の中で最も力を持っているのは、結城景紀とかいう男なのだ(これは完全に貞英の誤認であったのだが)。
秋津皇国は、六つの大きな軍閥が支配する国。その首魁の息子が陽鮮に出向いているというのは、つまりはこの男に最終的な判断が委ねられているからなのだろう(やはりこれも、貞英の完全なる誤解である)。
「ここに、結城景紀と申す者はおるか?」
礼曹の役人と接触して秋津語の教本などを手に入れ、ほとんど独学で学んだ秋津語を、貞英は初めて秋津人相手に使った。いつか、秋津皇国に留学する時に備えていた甲斐があったというもの。
とはいえ、秋津人に対しては初めて使うので、伝わっているといいのだが……。
深見真鋤とかいう倭館館長に居場所を聞いて訪れた部屋には、三人の男女がいた。
恐らくは、王世子である兄・李欽と同じくらいの年齢か少し下だろう彼ら。
二人は少年で、一人は白髪赤眼の少女だった。異人にはこういう髪や目の色の者もいるのかと、貞英は初めて目にする異国人の姿に妙に感心した。
『姫様、勝手に動かれては困ります』
すると、相手からの返答が来る前に、一人の男が貞英の下に駆けてきた。掛けられた言葉は、陽鮮語である。
礼曹佐郎・金光護。
父・仁宗が秋津皇国の視察のために派遣した通信使に加わり、かの国の近代化をつぶさに見てきた開化派官僚の一人である。若くして科挙に合格し、三十代前半で父に礼曹佐郎の一人として抜擢された。
流暢な秋津語を話せるため、今回、通訳としての役割もあって貞英たちに同行していた。
金は、貞英に困ったような表情を向けている。李熙の側に控えていた彼は、貞英が勝手に動いたので慌てて追ってきたのだろう。
『お主には面倒を掛けるが、妾はこの好機を逃すわけにはいかんのじゃ』
陽鮮語で答え、再び室内に視線を向ける。
「して、そなたらの内、誰が結城景紀であるか?」
拙い秋津語で、貞英は再度問いかける。
少年の内、一人が立ち上がった。
「俺が、結城景紀だが?」
そう言った彼は、視線を貞英と金の間で行き来させる。自分と金光護、どちらを対象として対応すればいいのか迷っているのだろう。
『拝礼はせずとも良いと彼らに伝えるのじゃ』
自分の秋津語にあまり自信が持てなかったため、金に通訳してもらうことにした。
「姫様は、拝礼は結構と申されております」
「御配慮いただき、公主殿下に感謝申し上げる。して、如何なる用件か」
『妾はあの男と話がしたい。そなたらは、少し下がっておるのじゃ』
貞英は老女官たちにそう言いつける。
『なりません、姫様。あのような禽獣の如き男と話をすれば、魂まで穢されてしまいます』
『しかも何ですか、あの物の怪のような容貌の娘は。あのような者を側に侍らせている者など、ますます信用がなりません』
侮蔑と嫌悪と恐れを込めた視線で、老女官たちはちらりと秋津人の三人を見る。
『責任はすべて妾が取る。これは公主としての命令じゃぞ』
そうやって貞英が女官と問答を繰り広げている間に、金光護が景紀に話しかけていた。
「姫様が貴殿と話したがっているのですが、いかんせん、女官たちは若い女性が秋津人の前に姿を晒すべきでないとの考えのようでして」
「こちらの冬花を、俺の代理として殿下に付けてもよいが?」
「それは駄目だである」
脇で二人の会話が耳に入った貞英が、老女官との問答を止めて、少し語尾の怪しい秋津語で反論した。彼女としては、直接、景紀と話すことに意味があると思っているのである。
『姫様!』
『ええい、ならばそなたらはそこで控えておればよかろう! 妾は、父上の名代としてあの男と話そうとしておるのじゃぞ!』
押し問答に嫌気の差した貞英は、父である国王の名を出した。流石に、老女官たちも怯んで口を噤んでしまう。
その隙に、貞英は履き物を脱いでさっさと館に上がり込んだ。溜息をついた金がそれに続く。
景紀が動き、部屋の中で上座に当たる位置を譲る。そして、冬花がその位置に座布団を敷いた。
貞英が王族らしい洗練された動作で、膝を立てた姿勢で座る。これが、陽鮮人女性の正しい座り方とされている。
景紀、冬花、貴通は改めて、直接畳の上に座り込んだ。
景紀と貴通は武家男性(貴通は公家出身だが、軍人である)の正式な座り方である胡座、冬花は彼らの少し後ろで再び正座する。
「私の秋津語をどう思うであるか?」
「……語尾に、いささか問題があるかと」
三人を代表して、景紀が答えた。この公主が自分と話したがっている以上、面倒ではあるが自分が対応するしかないと思っている。
『そうか……』
そして、陽鮮語で呟きしゅんと肩を落とす貞英。自分でも拙さは自覚しているとはいえ、改めて指摘されると落ち込んでしまうものである。
『姫様、ここは私が通訳を致します』
流石に意思疎通に支障があっては外交問題に発展しかねないので、金が貞英の耳元でそう言った。
『言葉に詰まったら、そうするのじゃ。妾は妾の言葉がどこまで通用するか、まずは試したい。それに、女官たちに聞かれて拙いことも話すかもしれんのじゃからな』
『はっ。その旨、この者たちに伝えても?』
『うむ』
金光護は、今の貞英との遣り取りを簡潔に景紀たちに伝えた。
「判りました」聞き終えて、景紀は頷いた。「なるべく、こちらも公主殿下のお言葉を理解するように努めます」
そうして、景紀と貞英による予期せざる会談が開始されたのだった。
「私が、父上の交渉を成功させたいのだと思っている。故に交渉の続けるのを願うのである」
「殿下、それは俺に言うのではなく、使節の全権に言うべきことでしょう」
少女のことを考えて、景紀はなるべくゆっくりとした秋津語で言う。公主の秋津語は、「てにをは」や語尾に違和感があるものの、理解出来ないほどではない。むしろ、王宮でよくここまで秋津語を習得出来たものだと感心すらしてしまう。
そして、交渉継続を願う内容の発言。父・仁宗にそう言うよう言われたのかもしれないが、秋津語を積極的に話そうとしているところからみても、この少女は開化派である父を支持しているのだろう。
また、自分がこの倭館に赴いた理由を、正確に理解するだけの頭も持っているようだ。
しかし問題は、何故、景紀にそれを言うのかという点である。
『姫様、少しよろしいですか?』
最初に貞英の認識の違いに気付いたのは、通信使として秋津皇国を訪れた経験のある金光護であった。
『姫様がもし正使ないしは副使に相当する者に、交渉の継続を訴えたいのであれば、それは結城殿ではありません』
『どういうことじゃ?』貞英は本気で怪訝そうであった。『この者は軍閥の首魁の息子であろう? それなのになぜ、決定権がないのじゃ?』
『秋津国では、外交は外交官が担います。一武官に過ぎない結城殿が、交渉についての決定権を握っているわけではないのです』
『……つまり、この者に話しても無意味、と』
自分の失態に愕然としながら、貞英は確認する。
『無意味ではないでしょうが……、少し、私の方で結城殿と話させて頂きます』
そうして、金は景紀に向き直る。
「失礼した、結城殿。姫様はどうやら、貴殿を電信敷設交渉における最高責任者であると勘違いされていたようだ」
なるほど、と景紀は思った。彼女の認識では、六家の人間である自分に交渉の最終的な判断が任されていると思っていたのか。秋津皇国を軍閥が支配する国と、表層的な理解しかしていなかったが故の錯誤だろう。
「なるほど、理解しました。しかし、自ら交渉継続を直談判しようとする公主殿下の熱意は、誠に立派であらせられると思います。俺の方からも本国や使節団の者たちに、王子殿下と公主殿下の御訪問は国王陛下の交渉継続の意思の強い表明であると伝えましょう」
「ありがとうございます。姫様だけでなく、私も交渉の継続は切に願っているところです」
開化派である金としても、せっかくの近代化の機会を失いたくなかった。
「今回の事件は、大変に不幸な出来事でありました。しかし、それが陽鮮の総意であるわけではないのです」
「俺としても、そう思っています。今回、国王陛下の御配慮によって王子殿下と公主殿下が首席全権閣下の見舞いに訪れたことは、貴国が誠意を持ってこの交渉に臨まれていることの証左であると考えます」
いささか儀礼的な遣り取りではあるが、それで二人は互いのことをある程度理解することに成功していた。
景紀は金光護という外交官(礼曹佐郎なので、そう判断していいだろう)が開化派に属していることを知ることが出来、一方の金光護もこの軍閥に属する少年が旧守派の者たちが警戒するような野蛮な東夷ではないと確信することが出来た。
「……」
一方、二人の会話が理解出来る貞英は、結城景紀という少年の為人に安心すると共に、自分の不甲斐なさに忸怩たる思いを抱いていた。
むしろ、特に父に命令されたわけでもない交渉継続の説得をしようとしたことは、完全に自分の勇み足だったのではないかとすら思っている。
いったい、自分がこの国のために出来ることは何なのだろう?
以前、抱いたのと同じ自問を、貞英は胸の内で繰り返す。
「……そなたに一つ、頼みたいことがあるのである」
だからここは、父に言いつけられた通り、まずは秋津人から学ぶことだと公主たる少女は思った。
「私に、そなたらの国のことを詳しく教えろ下さい」
景紀の口元にほんのかすかな笑みが浮かんだのは、きっと自分の秋津語が拙かったからなのだろう。
でも、恥をかいても構わないと貞英は思う。
この国のために自分一人が恥をかくことなど、大したことではないのだから。
景紀ら倭館に滞在する人間たちの困惑を他所に、礼曹佐郎や付き添いの老女官たち、護衛の武官を伴ってやってきた少女はそう名乗った。
公主であることを示す緑色の唐衣に身を包んだ彼女は、倭館の大人たちよりも背が低いにも関わらず、臆することのない堂々とした態度であった。背筋を伸して王族らしく振る舞うその様には、幼いながらも一種の威厳を感じさせた。ただ、どこか背伸びしているような、子供らしい微笑ましさもあった。
もちろん、彼女の言葉は陽鮮語なので倭館の通訳官が秋津語に訳す。
倭館に詰める秋津人たちは、西館の応接広間に迎えた公主と王子に対して国王に対する礼である四拝礼を以て出迎えた。
今まで国王や王族が秋津人の前に出向いたことがないため、深見館長を始めとする館員たちもどのように応対すればいいのか判っていないようだった。
前例遵守の華夷秩序における外交体制から見れば、臨機応変ともいえる王族による見舞いは異常なことであった。
景紀だけでなく、館長や使節団の全権たちも陽鮮側がどのような思惑を持って、まだ十二歳の公主と五歳の王子を倭館に送り込んだのか、判断がつかずにいた。
四拝礼が済むと王族の対応は館長に任せ、景紀は居室に下がった。
冬花に王族の来訪を本国に報告する通信を発するように命ずると共に、貴通を呼び寄せる。
「厄介事が増えたな」
「ええ」貴通も悩ましそうな表情を浮かべていた。「王族を見舞いに派遣することで秋津側の怒りを収めるというのは妙手であるように感じますが、陽鮮政府の一致した意向であるとは思えません。あまりにも前例を無視し過ぎています。恐らく、国王の独断かと」
「そんなことをすれば、国王は攘夷派による攻撃材料を与えるだけだろうに。夷狄に阿っているだの、夷狄に自らの子供を人質に差し出しただの、批判の材料はいくらでも作れる」
「恐らく、仁宗国王もそれを覚悟しての決断だったのだと思います。だから、王家にとって一番重要な王世子を寄越さなかったのでしょう。流石に王世子を人質に差し出すような真似をすれば、より反発は激しくなるでしょうから」
「皇国との衝突を避けるための英断といえば英断だが、それが通用するのは俺たち秋津側だけというのは皮肉だな」
「使節団の中には、これを期に公主、王子を利用して宮中に伝手を作ろうとする人間が現れるかもしれません。国王との直接交渉は魅力的ではありますが、それを無理にやろうとすればやはり陽鮮の旧守派は激しく反発するでしょう」
「念の為、使節団の動向については冬花に監視させている。城内の動向についても、冬花が式を放って調査中だ」
「現状、向こう側の情報が圧倒的に不足していますね。まあ、戦場で敵側の情報が丸わかりということはあり得ないので、軍人としては当たり前といえば当たり前の状況ともいえますが」
「それにしたって、情報が不足し過ぎだろ……」景紀は腕を組んで、悩ましげな息をつく。「そもそも、公主や王子の為人すら、俺たちは把握出来ていないんだからな」
二人して腕を組んで唸っていると、本国への通信を終えたらしい冬花がやって来た。
「とりあえず、一通りの状況は本国に知らせておいたわ」
畳の上に座る二人に加わるように、冬花は正座して腰を下ろす。さっと着物の袖を翻し、膝の上で手を重ねた。
「後は、外務省からの回訓待ちってところか。兵部省の方からも、まだ何もないか?」
「ええ。敦義門での事件については外務省、兵部省ともに報告済みだから、多分、対応を協議中だと思うけど」
「有馬翁と、伊丹・一色の攘夷派がどう動くかが問題だな。あとは、国内世論が変な方向にいかないといいんだが」
「それと、陽鮮に向けて出兵を準備しているという斉軍の動静も気になります」
「正直、素直に政変が起こってくれた方がまだ楽だったかもしれないな」ぼやくように、景紀は言う。「公主と王子が倭館に来た以上、あいつらの身の安全も考えてやらなきゃならん。王族を倭館に派遣するのだって、宮中ではそれなりに反対意見があったことだろうから、もし倭館滞在中にあの二人の身に何かあれば、『やはり倭人どもは蛮族だ』と攘夷派が勢いづき、開化派国王の権威は失墜するだろうな」
「刺客が送られてくる可能性は?」
冬花が問う。
「あり得るな。それと、呪詛の可能性も考慮しておけ。むしろ、攘夷派にとってはあのガキどもが倭館の内部で害された方が、都合が良いはずだからな。あの女官や武官たちの行動も要注意だ」
「何というか、宮中の闇を感じるわね……」
うんざりと、冬花は呟く。
「まっ、どこの国でも権力闘争は真っ黒々さ。今更だろ」
どこか嗤うように、景紀は割り切った態度を示す。それくらい神経が太くないと政治の世界では生き残れないのだろうと、冬花は内心で嘆息交じりに思った。
「了解。とりあえず、あの二人にも気を配っておくわ」
「頼む」
「そもそも、いつまであの二人は倭館に留まるつもりなのでしょうね?」
貴通が首を傾げた。
「その件ですが」貴通が相手であるため、冬花は口調を変えた。「今夕、館長が饗応の宴を開くそうです」
「まあ、王族を大したもてなしもせずに帰すってのも、拙いだろうからな」
「それで今、料理掛や女中たちは大わらわよ」
冬花が厨房のある方向を見て言う。妖狐の聴覚を使って、倭館内部の様子を探っているのだろう。
「とりあえず、面倒そうな王族の接待は館長に任せて、俺たちは本国からの指示待ちだな」
溜息交じりに景紀がそう言うと、冬花がその顔をじっと見つめてきた。心なしか、哀れんでいるようにも見えた。
「何だよ」
「……その、言い辛いんだけど、面倒事を館長に押し付けるのは無理そうよ」
諦めの口調でそう言った冬花は、廊下を見た。彼女の視線を追うように、景紀と貴通も怪訝そうに廊下を見る。縁側の先に広がっているのは、秋津式の庭園である。
何かと思って見ていると、徐々に話し声が聞こえてきた。それが、こちらに向かっているのである。
秋津語ではない。
「……」
「……」
「……」
三人とも陽鮮語を解さないため、揃って互いに顔を見合わせた。
やがて、話し声は景紀の居室の前まで来てしまった。
必死に引き留めている様子の老女官を引き連れて現れたのは、陽鮮公主・李貞英であった。彼女は景紀の居室の前で立ち止まると、じっと室内を見つめた。
三人の視線と公主の視線が交差する。
徐に、公主が口を開いた。
「ここに、結城景紀と申す者はおるか?」
驚くことに、その口から飛び出したのは、拙いながらもれっきとした秋津語であった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
陽鮮では、若い女性が秋津人の男性と接触することを原則として禁止している。
例えば、倭館の居留民に対する朝市で若い村娘などが店を広げ、秋津人の男性が客として訪れただけで、その女性を「交奸」の罪、つまりは夷狄との姦通罪として処刑することもあったという。陽鮮側はその女性と接触した秋津人男性も同じく処刑することを秋津側に求め、外交問題となったこともある。
もちろん、秋津皇国においても不義密通は重罪であるが、単に異国の女性の店を訪れただけで処刑せよというのは、秋津側の法律に照らし合わせても無理のある要求であった。結局、この男性を国外追放(つまりは強制送還)とすることで、問題を収めた。
唯一の例外ともいえるのが、使節として訪れた秋津人をもてなす宴の場で伝統芸能を披露する女楽人たちであり、逆にいえばそれほどまでに陽鮮王国側は自国の女性が夷狄と接触することを恐れていたといえる。
結果として、秋津人と接触しても問題のない女性は老婆だけというのが実情であった。
その意味では、若い女性である公主を倭館に遣わすこと自体が異例中の異例であり、付き添いの女官が全員宮中務めの長い老女たちであるのは、無理からぬことであった。
そして、長年、宮中のしきたりの中で過ごしてきた老女官たちが、公主が蛮族の軍閥の首魁の息子と接触しようとするのを止めようとするのも、また無理からぬことであった。
まったく、五月蠅いものだと貞英は思う。
いかに女官たちが秋津人の東夷だの蛮族だのと蔑んでいようとも、ただ会っただけでこの身を穢されるわけでもないだろうに。
むしろ貞英としては、この機会を利用して秋津皇国における軍閥の首魁の息子と積極的に接触を持つべきだと思っている。
恐らく、今回の秋津人使節団の中で最も力を持っているのは、結城景紀とかいう男なのだ(これは完全に貞英の誤認であったのだが)。
秋津皇国は、六つの大きな軍閥が支配する国。その首魁の息子が陽鮮に出向いているというのは、つまりはこの男に最終的な判断が委ねられているからなのだろう(やはりこれも、貞英の完全なる誤解である)。
「ここに、結城景紀と申す者はおるか?」
礼曹の役人と接触して秋津語の教本などを手に入れ、ほとんど独学で学んだ秋津語を、貞英は初めて秋津人相手に使った。いつか、秋津皇国に留学する時に備えていた甲斐があったというもの。
とはいえ、秋津人に対しては初めて使うので、伝わっているといいのだが……。
深見真鋤とかいう倭館館長に居場所を聞いて訪れた部屋には、三人の男女がいた。
恐らくは、王世子である兄・李欽と同じくらいの年齢か少し下だろう彼ら。
二人は少年で、一人は白髪赤眼の少女だった。異人にはこういう髪や目の色の者もいるのかと、貞英は初めて目にする異国人の姿に妙に感心した。
『姫様、勝手に動かれては困ります』
すると、相手からの返答が来る前に、一人の男が貞英の下に駆けてきた。掛けられた言葉は、陽鮮語である。
礼曹佐郎・金光護。
父・仁宗が秋津皇国の視察のために派遣した通信使に加わり、かの国の近代化をつぶさに見てきた開化派官僚の一人である。若くして科挙に合格し、三十代前半で父に礼曹佐郎の一人として抜擢された。
流暢な秋津語を話せるため、今回、通訳としての役割もあって貞英たちに同行していた。
金は、貞英に困ったような表情を向けている。李熙の側に控えていた彼は、貞英が勝手に動いたので慌てて追ってきたのだろう。
『お主には面倒を掛けるが、妾はこの好機を逃すわけにはいかんのじゃ』
陽鮮語で答え、再び室内に視線を向ける。
「して、そなたらの内、誰が結城景紀であるか?」
拙い秋津語で、貞英は再度問いかける。
少年の内、一人が立ち上がった。
「俺が、結城景紀だが?」
そう言った彼は、視線を貞英と金の間で行き来させる。自分と金光護、どちらを対象として対応すればいいのか迷っているのだろう。
『拝礼はせずとも良いと彼らに伝えるのじゃ』
自分の秋津語にあまり自信が持てなかったため、金に通訳してもらうことにした。
「姫様は、拝礼は結構と申されております」
「御配慮いただき、公主殿下に感謝申し上げる。して、如何なる用件か」
『妾はあの男と話がしたい。そなたらは、少し下がっておるのじゃ』
貞英は老女官たちにそう言いつける。
『なりません、姫様。あのような禽獣の如き男と話をすれば、魂まで穢されてしまいます』
『しかも何ですか、あの物の怪のような容貌の娘は。あのような者を側に侍らせている者など、ますます信用がなりません』
侮蔑と嫌悪と恐れを込めた視線で、老女官たちはちらりと秋津人の三人を見る。
『責任はすべて妾が取る。これは公主としての命令じゃぞ』
そうやって貞英が女官と問答を繰り広げている間に、金光護が景紀に話しかけていた。
「姫様が貴殿と話したがっているのですが、いかんせん、女官たちは若い女性が秋津人の前に姿を晒すべきでないとの考えのようでして」
「こちらの冬花を、俺の代理として殿下に付けてもよいが?」
「それは駄目だである」
脇で二人の会話が耳に入った貞英が、老女官との問答を止めて、少し語尾の怪しい秋津語で反論した。彼女としては、直接、景紀と話すことに意味があると思っているのである。
『姫様!』
『ええい、ならばそなたらはそこで控えておればよかろう! 妾は、父上の名代としてあの男と話そうとしておるのじゃぞ!』
押し問答に嫌気の差した貞英は、父である国王の名を出した。流石に、老女官たちも怯んで口を噤んでしまう。
その隙に、貞英は履き物を脱いでさっさと館に上がり込んだ。溜息をついた金がそれに続く。
景紀が動き、部屋の中で上座に当たる位置を譲る。そして、冬花がその位置に座布団を敷いた。
貞英が王族らしい洗練された動作で、膝を立てた姿勢で座る。これが、陽鮮人女性の正しい座り方とされている。
景紀、冬花、貴通は改めて、直接畳の上に座り込んだ。
景紀と貴通は武家男性(貴通は公家出身だが、軍人である)の正式な座り方である胡座、冬花は彼らの少し後ろで再び正座する。
「私の秋津語をどう思うであるか?」
「……語尾に、いささか問題があるかと」
三人を代表して、景紀が答えた。この公主が自分と話したがっている以上、面倒ではあるが自分が対応するしかないと思っている。
『そうか……』
そして、陽鮮語で呟きしゅんと肩を落とす貞英。自分でも拙さは自覚しているとはいえ、改めて指摘されると落ち込んでしまうものである。
『姫様、ここは私が通訳を致します』
流石に意思疎通に支障があっては外交問題に発展しかねないので、金が貞英の耳元でそう言った。
『言葉に詰まったら、そうするのじゃ。妾は妾の言葉がどこまで通用するか、まずは試したい。それに、女官たちに聞かれて拙いことも話すかもしれんのじゃからな』
『はっ。その旨、この者たちに伝えても?』
『うむ』
金光護は、今の貞英との遣り取りを簡潔に景紀たちに伝えた。
「判りました」聞き終えて、景紀は頷いた。「なるべく、こちらも公主殿下のお言葉を理解するように努めます」
そうして、景紀と貞英による予期せざる会談が開始されたのだった。
「私が、父上の交渉を成功させたいのだと思っている。故に交渉の続けるのを願うのである」
「殿下、それは俺に言うのではなく、使節の全権に言うべきことでしょう」
少女のことを考えて、景紀はなるべくゆっくりとした秋津語で言う。公主の秋津語は、「てにをは」や語尾に違和感があるものの、理解出来ないほどではない。むしろ、王宮でよくここまで秋津語を習得出来たものだと感心すらしてしまう。
そして、交渉継続を願う内容の発言。父・仁宗にそう言うよう言われたのかもしれないが、秋津語を積極的に話そうとしているところからみても、この少女は開化派である父を支持しているのだろう。
また、自分がこの倭館に赴いた理由を、正確に理解するだけの頭も持っているようだ。
しかし問題は、何故、景紀にそれを言うのかという点である。
『姫様、少しよろしいですか?』
最初に貞英の認識の違いに気付いたのは、通信使として秋津皇国を訪れた経験のある金光護であった。
『姫様がもし正使ないしは副使に相当する者に、交渉の継続を訴えたいのであれば、それは結城殿ではありません』
『どういうことじゃ?』貞英は本気で怪訝そうであった。『この者は軍閥の首魁の息子であろう? それなのになぜ、決定権がないのじゃ?』
『秋津国では、外交は外交官が担います。一武官に過ぎない結城殿が、交渉についての決定権を握っているわけではないのです』
『……つまり、この者に話しても無意味、と』
自分の失態に愕然としながら、貞英は確認する。
『無意味ではないでしょうが……、少し、私の方で結城殿と話させて頂きます』
そうして、金は景紀に向き直る。
「失礼した、結城殿。姫様はどうやら、貴殿を電信敷設交渉における最高責任者であると勘違いされていたようだ」
なるほど、と景紀は思った。彼女の認識では、六家の人間である自分に交渉の最終的な判断が任されていると思っていたのか。秋津皇国を軍閥が支配する国と、表層的な理解しかしていなかったが故の錯誤だろう。
「なるほど、理解しました。しかし、自ら交渉継続を直談判しようとする公主殿下の熱意は、誠に立派であらせられると思います。俺の方からも本国や使節団の者たちに、王子殿下と公主殿下の御訪問は国王陛下の交渉継続の意思の強い表明であると伝えましょう」
「ありがとうございます。姫様だけでなく、私も交渉の継続は切に願っているところです」
開化派である金としても、せっかくの近代化の機会を失いたくなかった。
「今回の事件は、大変に不幸な出来事でありました。しかし、それが陽鮮の総意であるわけではないのです」
「俺としても、そう思っています。今回、国王陛下の御配慮によって王子殿下と公主殿下が首席全権閣下の見舞いに訪れたことは、貴国が誠意を持ってこの交渉に臨まれていることの証左であると考えます」
いささか儀礼的な遣り取りではあるが、それで二人は互いのことをある程度理解することに成功していた。
景紀は金光護という外交官(礼曹佐郎なので、そう判断していいだろう)が開化派に属していることを知ることが出来、一方の金光護もこの軍閥に属する少年が旧守派の者たちが警戒するような野蛮な東夷ではないと確信することが出来た。
「……」
一方、二人の会話が理解出来る貞英は、結城景紀という少年の為人に安心すると共に、自分の不甲斐なさに忸怩たる思いを抱いていた。
むしろ、特に父に命令されたわけでもない交渉継続の説得をしようとしたことは、完全に自分の勇み足だったのではないかとすら思っている。
いったい、自分がこの国のために出来ることは何なのだろう?
以前、抱いたのと同じ自問を、貞英は胸の内で繰り返す。
「……そなたに一つ、頼みたいことがあるのである」
だからここは、父に言いつけられた通り、まずは秋津人から学ぶことだと公主たる少女は思った。
「私に、そなたらの国のことを詳しく教えろ下さい」
景紀の口元にほんのかすかな笑みが浮かんだのは、きっと自分の秋津語が拙かったからなのだろう。
でも、恥をかいても構わないと貞英は思う。
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