《パラレルワールド》死を見る令嬢は義弟に困惑しています 

れもんぴーる

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35 婚姻

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 シャルロットが何も口を挟めないままに、翌週には書類上の手続きが済みエリックとシャルロットの婚姻が成立した。
 シリルがだいぶん抗議したが、ジェラルドも異議を唱えることなくあっという間に王宮の敷地内の離宮で過ごすことになってしまった。
「急なことで戸惑ってると思うけど、これからゆっくり慣れてね。」
(いやいや本当ですよ。まだ殿下とお話しするだけでも緊張するのに一緒に暮らすだなんて・・・)
「はい、殿下。」

 エリックは一か月離宮で過ごしたら、モーリア邸にしばらく戻っても良いという。結婚に当たって準備や心づもりがあるだろうと言ってくれる。
 それをいうなら、同居する前に準備する期間が欲しかった!
「もう妻だから私の事はエリックと。」
「は、はい。エリック様。」
「私が婚姻を急いだのにはいろいろ事情があってね。私がまだ王族に籍にある間に君を妻に迎えたかったんだ。」
 婚姻が成立してから、どことなく話し方が柔らかい。公の時は立場に応じた話し方を演じているのだろう。
「シャルロットも王族籍に入ることになる。私が公爵を賜る時にはまた離籍することになるけど、一度でも王族になったら警備や支援において生涯考慮されるんだ。警備の点を考えてシャルロットを王族に迎えたかったんだよ。」
「そうだったんですか、ありがとうございます。」
 エリックは笑うと向かいにいるシャルロットにソファーの隣に来るように招く。

「あ・・・でも。」
 恥ずかしそうにするシャルロットの手をとり、横に座らせる。
「婚姻を急いだからお互いに早く慣れるようにしたいから。」
「は、はい。が、頑張ります。」
「ふふ。今日から3日間は丸々離宮にいることが出来るから庭や離宮内を案内するよ。私たち以外立ち入りが禁止されている区域もあるし、そこならシャルロットも安心だし、少しづつ覚えて行って欲しい。」
 そして三日間エリックは時々離宮で執務をしながらも、本当にシャルロットの側にいてくれた。おかげでエリックと顔を合わせたり、会話するのには随分と慣れた。四日目からは王宮に行く日が増えたが、シャルロットは王族しか入れない庭やサロンで人の気配に怯えることなく過ごすことが出来た。エリックのための刺繍もずいぶんとはかどった。

 そして夜、最初の一週間は別々の部屋で就寝。次の一週間は同室で、次の一週間は同寝具でと少しづつシャルロットが心の準備が出来るように進めてくれた。
 そして一か月がたつ頃、エリックはシャルロットとようやく結ばれた。

 エリックはある予測を立てており、それもあって結婚を急いだのだ。

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