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12 旅の同行者
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早速、帰宅後ジェラルドに話しをした。
ジェラルドはいい顔をしなかった。いくらニコラが事情をよく知る友人かつ仲間であっても婚約者でもない未婚の男女が泊りがけの旅など許せるものではない。
シリルもなぜか口を挟んでくる。
「姉上、だめですよ。姉上はあまり体が丈夫ではないのです、ですからそんな遠くに行かせるわけにはまいりません。」
「シリル、私は別に病弱ではありません。お父様、気兼ねなく過ごせるよう手配するとおっしゃって下さったの。」
あまり自分の望みをいうことのないシャルロットの願いは聞いてやりたい。
「シリル様も一緒なら認めよう。」
まさか父がそういうとは思わなかった。
「お父様、私一人で大丈夫ですわ。二人きりはまずいですから侍女一人お願いすることになりますが・・・シリルにも都合がありますし、迷惑をかけられませんわ。」
(いやいやいや。ないないない。せっかく羽を伸ばしに行くのに、なんでシリルと一緒に行かなきゃならないのよ。)
「いえ、姉上。僕は構いません。姉上が行きたいのならご一緒します。」
「いや、あなたには学院もあるし、お父様のお手伝いもしているでしょう。あまり長く家を離れるのは良くないわ。」
「父上がそう言ってくださるので。先日のように発作を起こしたらどうするのですか?一人では行かせませんから」
(ええ~?どうして?私の事嫌いなくせに・・・最近何なの?どうしよう・・・)
「・・・。じゃあ、もうお断りするわ。」
「そんなに僕と一緒に行くのが嫌なのですか?」
「・・・そうじゃないけど・・・」
不機嫌な顔のシリルをジェラルドが叱る。
「これまでのお前の態度は目に余る。シャルロットがお前と過ごしたくないのは当然だ。」
「いや、それはっ」
慌てたようにシリルは否定しかけて一旦口をつぐんだ。
「・・・・。噂に踊らされて姉上に最低なことをしてきたのは事実です。」
シリルは立ち上がるとシャルロットに向かって頭を下げた。
「ちょっと?!シリル?」
「姉上、これまで本当に申し訳ありませんでした。僕は真実を見ようともせず、噂を鵜吞みにして姉上に当たり散らしていました。姉上がそんな人間じゃないことは僕が一番知っていたはずなのに・・・なのにごめんなさい!」
「そんなことしなくていいわ、やめて。」
それでもシリルは頭を上げない。
「わかりました!もう謝罪は受け入れます!だから頭を上げて」
シリルに頭を上げさせると座るように言った。
「だからと言ってすぐに何もなかったようにできるかどうかはわからないわ。」
シリルはうなだれたように視線を落とす。
「でもちゃんと話をしなかった私も悪いの。自分のことが精いっぱいで周りがどう思うかなんて気にすることができなかった。気が付いたら噂が広まっていて、どうしようもなかったし、それを覆すだけの方法も判らなかったし気力もなかったの。・・・お父様やニコラ様達さえいればもうどうでもいいと思ってたの。」
「姉上っ。ごめん・・・なさい。」
「だからおあいこ。謝ってくれてありがとう・・・うれしかったわ。」
ジェラルドはそれを見てうなづいた。
「今回お前を同行させるのは・・・牽制だ。」
シャルロットはなんのことだと首をひねる。シリルはピンときたようだった。
「父上!お任せください。しっかり役目を果たしてまいります!」
妙に力の入るシリルにシャルロットはため息をついた。
そしてルコント領には3人で向かうことになってしまった。
ジェラルドはいい顔をしなかった。いくらニコラが事情をよく知る友人かつ仲間であっても婚約者でもない未婚の男女が泊りがけの旅など許せるものではない。
シリルもなぜか口を挟んでくる。
「姉上、だめですよ。姉上はあまり体が丈夫ではないのです、ですからそんな遠くに行かせるわけにはまいりません。」
「シリル、私は別に病弱ではありません。お父様、気兼ねなく過ごせるよう手配するとおっしゃって下さったの。」
あまり自分の望みをいうことのないシャルロットの願いは聞いてやりたい。
「シリル様も一緒なら認めよう。」
まさか父がそういうとは思わなかった。
「お父様、私一人で大丈夫ですわ。二人きりはまずいですから侍女一人お願いすることになりますが・・・シリルにも都合がありますし、迷惑をかけられませんわ。」
(いやいやいや。ないないない。せっかく羽を伸ばしに行くのに、なんでシリルと一緒に行かなきゃならないのよ。)
「いえ、姉上。僕は構いません。姉上が行きたいのならご一緒します。」
「いや、あなたには学院もあるし、お父様のお手伝いもしているでしょう。あまり長く家を離れるのは良くないわ。」
「父上がそう言ってくださるので。先日のように発作を起こしたらどうするのですか?一人では行かせませんから」
(ええ~?どうして?私の事嫌いなくせに・・・最近何なの?どうしよう・・・)
「・・・。じゃあ、もうお断りするわ。」
「そんなに僕と一緒に行くのが嫌なのですか?」
「・・・そうじゃないけど・・・」
不機嫌な顔のシリルをジェラルドが叱る。
「これまでのお前の態度は目に余る。シャルロットがお前と過ごしたくないのは当然だ。」
「いや、それはっ」
慌てたようにシリルは否定しかけて一旦口をつぐんだ。
「・・・・。噂に踊らされて姉上に最低なことをしてきたのは事実です。」
シリルは立ち上がるとシャルロットに向かって頭を下げた。
「ちょっと?!シリル?」
「姉上、これまで本当に申し訳ありませんでした。僕は真実を見ようともせず、噂を鵜吞みにして姉上に当たり散らしていました。姉上がそんな人間じゃないことは僕が一番知っていたはずなのに・・・なのにごめんなさい!」
「そんなことしなくていいわ、やめて。」
それでもシリルは頭を上げない。
「わかりました!もう謝罪は受け入れます!だから頭を上げて」
シリルに頭を上げさせると座るように言った。
「だからと言ってすぐに何もなかったようにできるかどうかはわからないわ。」
シリルはうなだれたように視線を落とす。
「でもちゃんと話をしなかった私も悪いの。自分のことが精いっぱいで周りがどう思うかなんて気にすることができなかった。気が付いたら噂が広まっていて、どうしようもなかったし、それを覆すだけの方法も判らなかったし気力もなかったの。・・・お父様やニコラ様達さえいればもうどうでもいいと思ってたの。」
「姉上っ。ごめん・・・なさい。」
「だからおあいこ。謝ってくれてありがとう・・・うれしかったわ。」
ジェラルドはそれを見てうなづいた。
「今回お前を同行させるのは・・・牽制だ。」
シャルロットはなんのことだと首をひねる。シリルはピンときたようだった。
「父上!お任せください。しっかり役目を果たしてまいります!」
妙に力の入るシリルにシャルロットはため息をついた。
そしてルコント領には3人で向かうことになってしまった。
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