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昔語り
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隣国の王族はじめ国の中枢を担う者の洗脳を解き、兵士たちの間を飛び回って正気に戻らせたのはイリークと、クリストフが製造した解毒剤だ。
洗脳状態がとけた後の、隣国との折衝は政の役目。
アリス達が関わることはない。
アリスとイリークは国王からエレンに尋問するよういいつかった。
魔道具に加え魔方陣でも魔力を押さえ込んでいるとはいえ、万が一のことを考えこの二人が尋問することとなった。二人のほかにエルネスト、国王、宰相がたちあっていた。その後ろには護衛たちがずらっと並んでいる。
魔族であるエレンが人族を憎み、滅ぼす動機は何なのか。
口を割らないエレンにイリークは精神干渉を試みた。しかしその抵抗はすさまじく、イリークの力をもってしても簡単にはいかなかった。
アリスはそっと、イリークの背中に手を当てて自分の魔力を流した。相性が悪いと他人の魔力を受け取ることができない、それどころか不調をきたすこともある。聖なるアリスの魔力は心地よくイリークの体をめぐりイリークの魔力と交じり合い、その魔法の効果を強めた。
そうして引き出すことに成功した内容は、王家の存在を揺るがすほどの醜聞だった。
遥か大昔、まだ人族と魔族の交流があったころの話。
ある人族の男と魔族の女が恋をした。しかし魔力もないただの人間との婚姻は許されるものではなかった。二人は考えに考え、神の国にいるといわれる聖獣に会いに行くことにした。聖獣の守護を得ると聖なる魔力が宿るという噂に一縷の望みをかけて。
神の国には人族は入ることができなかった。何の魔力のない人間には神の領域に入ることさえできなかった。追い詰められた魔族の女は一人で神の国へ入り、聖獣の幼体を捕まえると男に渡した。追手が追いついてきたとき、男は二手に分かれることを提案した。聖なる力を手にして必ず迎えに行くと約束して。
女は魔族の国に戻り、男は人族の国ナーガに戻った。
男は誠心誠意聖獣の世話を焼いた。そしてとうとう聖獣は男を契約者と認め、聖なる力を与えた。聖なる力を手に入れた男は、ナーガ国を出て、ルーナ国を建国した。魔法を駆使し、街を整備していった。旅をするものが居着きはじめ、噂を聞いた人々が越してくるようになり国ができた。
こののち、聖獣の守護の下、国王の子孫には加護が与えられた。そして時折、聖獣と直接契約をしなくても魔力を持つ者も現れ始めた。この地にいる聖獣から知らず知らず発せられる聖なる魔力が人にも影響を与えたのだと思われる。このようにして、ルーナ国には魔法が使える人々が存在するようになった。
一方、聖獣を奪われた神の国から魔族の元へ追手がかかった。魔族の女は捕らえられても人族の男の事を語ることはなかった。神の拷問は丈夫な身体を持つ魔族の女にも恐ろしく辛いものだった。死ぬ一歩手前まで痛めつけられても、すぐに回復され何度も何度も繰りかえされた。
愛する男のため、いくら拷問されても口を割らず、関係ないとしらを切り通した。
ボロボロ状態で捨てられるように解放された女は男に追手が来たと連絡をした、しかし何の返事も帰ってこなかった。
人族の男は聖獣を森の奥深くに隠し、聖獣の存在を隠匿した。そして魔族の女は魔獣をお供に連れて人族の住むユーラン大陸に上陸した。
二人は再会した。
男は女の望む通り、魔力を身にまとい国まで手にしていた。
これで二人の仲を裂くものはいないと喜んで城を訪れた。
しかし男は女を拘束した。
洗脳状態がとけた後の、隣国との折衝は政の役目。
アリス達が関わることはない。
アリスとイリークは国王からエレンに尋問するよういいつかった。
魔道具に加え魔方陣でも魔力を押さえ込んでいるとはいえ、万が一のことを考えこの二人が尋問することとなった。二人のほかにエルネスト、国王、宰相がたちあっていた。その後ろには護衛たちがずらっと並んでいる。
魔族であるエレンが人族を憎み、滅ぼす動機は何なのか。
口を割らないエレンにイリークは精神干渉を試みた。しかしその抵抗はすさまじく、イリークの力をもってしても簡単にはいかなかった。
アリスはそっと、イリークの背中に手を当てて自分の魔力を流した。相性が悪いと他人の魔力を受け取ることができない、それどころか不調をきたすこともある。聖なるアリスの魔力は心地よくイリークの体をめぐりイリークの魔力と交じり合い、その魔法の効果を強めた。
そうして引き出すことに成功した内容は、王家の存在を揺るがすほどの醜聞だった。
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ある人族の男と魔族の女が恋をした。しかし魔力もないただの人間との婚姻は許されるものではなかった。二人は考えに考え、神の国にいるといわれる聖獣に会いに行くことにした。聖獣の守護を得ると聖なる魔力が宿るという噂に一縷の望みをかけて。
神の国には人族は入ることができなかった。何の魔力のない人間には神の領域に入ることさえできなかった。追い詰められた魔族の女は一人で神の国へ入り、聖獣の幼体を捕まえると男に渡した。追手が追いついてきたとき、男は二手に分かれることを提案した。聖なる力を手にして必ず迎えに行くと約束して。
女は魔族の国に戻り、男は人族の国ナーガに戻った。
男は誠心誠意聖獣の世話を焼いた。そしてとうとう聖獣は男を契約者と認め、聖なる力を与えた。聖なる力を手に入れた男は、ナーガ国を出て、ルーナ国を建国した。魔法を駆使し、街を整備していった。旅をするものが居着きはじめ、噂を聞いた人々が越してくるようになり国ができた。
こののち、聖獣の守護の下、国王の子孫には加護が与えられた。そして時折、聖獣と直接契約をしなくても魔力を持つ者も現れ始めた。この地にいる聖獣から知らず知らず発せられる聖なる魔力が人にも影響を与えたのだと思われる。このようにして、ルーナ国には魔法が使える人々が存在するようになった。
一方、聖獣を奪われた神の国から魔族の元へ追手がかかった。魔族の女は捕らえられても人族の男の事を語ることはなかった。神の拷問は丈夫な身体を持つ魔族の女にも恐ろしく辛いものだった。死ぬ一歩手前まで痛めつけられても、すぐに回復され何度も何度も繰りかえされた。
愛する男のため、いくら拷問されても口を割らず、関係ないとしらを切り通した。
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人族の男は聖獣を森の奥深くに隠し、聖獣の存在を隠匿した。そして魔族の女は魔獣をお供に連れて人族の住むユーラン大陸に上陸した。
二人は再会した。
男は女の望む通り、魔力を身にまとい国まで手にしていた。
これで二人の仲を裂くものはいないと喜んで城を訪れた。
しかし男は女を拘束した。
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