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番外編 5 <パロディ> カティ太郎

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*本編と一切関係なく息抜きに書いたお話です(*´▽`*)
 完全に別物でパロディなので要注意!一行目でテイストがわかると思いますので、遠慮なくぺしっと閉じてください<m(__)m>



 昔々ある所に、カティ太郎という桃から生まれた可愛い女の子がいました。
 カティ太郎はミンミ婆とレオ爺に大切に育てられました。カティ太郎が15歳になったころある噂が届きます。
 鬼畜ヶ島に大人も子供も攫われているというのです。
 幼いころから魔力が高く、「将来正義の味方になるの!」といっていたカティ太郎は、ミンミ婆とレオ爺の心配をよそに鬼畜退治に旅立ちました。
 ミンミ婆は旅立つカティ太郎に、栗のお山をたくさん持たせたのでした。

「にんにき〇き○き、にんにき○き○き、ににんが三蔵。にんにきに〇に〇、にんにきに○に○、にしんが悟空♪」
ご機嫌よく歌いながらカティ太郎は西へと向かう、夢の国ならぬ鬼畜ヶ島へ!

 道すがら栗のお山をかじってると、
「嬢ちゃん嬢ちゃん。栗のお山をくれたらわし、お供になってもええぞ。」
 見知らぬ老人から声をかけられた。
 カティ太郎はさっと大切な栗のお山を懐に隠すと走って逃げた。
「え?ちょ?!嬢ちゃん!すまん!頼む、分けてくれんかのう。わし、貧しい子供たちに全部やってしもうて食べるものがないんじゃ。」
「・・・本当?」
 カティ太郎は足を止め、哀れを誘うようなじじいに栗のお山を分け与えた。
「ふう、生き返ったわい。嬢ちゃんはどこにいくんじゃ?」
「鬼畜ヶ島に鬼畜退治に行くの!」
「ほうほう。あの鬼畜ヶ島へ。皆帰ってこないと聞くのう。」
「やっぱり!」
「よし、嬢ちゃん一人では心配じゃ。わしも微力ながら力になろう。魔術師のエンヤじゃ。」
「本当?じゃあよろしくね。」

 カティに仲間が増えた!

 その後も、寒い夜に教会で少年を温めていそうな犬と、口から超音波を発射するかのような甲高い鳴き声の鳥が一羽仲間になった。
 4人は鬼畜退治の為に意気揚々と西へ向かった。

 そしてなぜか今、鬼畜ヶ島の邸宅で豪華料理のおもてなしを受けている。
(これは!鬼畜ヶ島に連れてこられた人達から盗った財産や、強制労働させた報酬でぜいたくな生活をしているのね!やはり退治案件!)
 カティ太郎はエンヤとアイコンタクトを取ろうと視線をあげると
「いやあ、エドヴァルド殿。こんなもてなしを受けてすまんのう。」
 エンヤは相好を崩して酒を飲んでいた。
(腐れじじいめ!はっ!パトラッシュとロプロスは?!)
 パトラッシュは尻尾をフリフリ鬼畜の部下におやつをお貰い、怪鳥ロプロスは止まり木に水飲み場をこしらえてもらいご機嫌で甲高く「ぴーっぴーっ」と鳴いている。
「・・・全員裏切りやがった・・・。」
 無表情でこちらを見つめるエドヴァルドは
「カティ太郎殿は食が進んでいないようだ。何か話があると聞いたが先に聞いた方がよいか?」
「い、いえ。」
 目の前の料理にごくりと喉をならす。
(見たこともないごちそう・・・こ、これで懐柔しようたってそうはいかないのよ!正義の鉄槌を下してやる!・・・でもまあ懐柔された振りをして敵の懐に飛びこむというのも・・・うん、そのためには食べるしかないな、うん。)

「いっただきま~す。」
 カティ太郎は食べたこともない美味しい料理を、感激しながら食べ、食後にはふわふわ生地に白い甘いクリームと果物をたくさん使ったケーキまでいただいた。
(もう懐柔されちゃおうかな・・・)
 うっかりそう思うほど美味しい食事だった。
 しかしその直後、急な眠気に襲われた。
(しまった!・・・薬・・・盛られた・・・卑怯者・・)
 意識が遠くなり、こちらに近づいてくる鬼畜の姿がぼやけていくのを感じつつカティ太郎は意識を失った。

 意識が戻るとふかふかのベッドに寝かされていた。
 何やら外から大声が聞こえてくる。
 覗くと大勢の男たちが並ばされて運動を強いられている。違う集団は木剣を持たされ、めちゃくちゃに打ち込まれ倒れ込む者もいる。
(やっぱり!虐待や暴行が!)

 カティ太郎は部屋を飛び出し、庭に出ようとする途中である部屋の扉が開いているのに気が付いた。
 そこには多くの人間が座らされ、逃げるな!やれ!と怒号が飛び交っている。脅されながら皆が机に向かい何かの作業をやらされているようだ。
(やはりこの屋敷は鬼畜の巣窟。鬼畜の親玉を退治して皆を助けなくっちゃ!)

 カティ太郎は屋敷中を歩き回り、エドヴァルドを探した。
 すると、屋敷の敷地内の森で子供たちが木を切り、運ぶなど重労働をさせられているのを見た。また窯のようなところで火を焚き、熱い所での作業もさせられている。
(完全に黒だ・・・子供からも搾取しているとはなんて鬼畜だ!これは許せん!)

「一つ、人の世の生き血をすすり、二つ、不埒な悪行三昧、三つ、醜い浮世の鬼を退治てくれようカティ太郎!えい!」
 カティ太郎は杖を振り、魔法で鬼畜を拘束しようとした。
 しかし反撃してきたエドヴァルドの殺気を伴った強い冷気に蔦は切られ、驚いている間に、剣が突き付けられた。
「何の真似だ。」
「ひ、卑怯者!」
「卑怯とは聞き捨てならない。突然現れたお前たちをもてなしてやったというのにこれはどういうことだ。」
「食事に薬を盛ったくせに!」
「薬?そんなものは盛っていない。食べ過ぎて眠くなった愚か者はいたがな。」
「え?」
「子供のように食べながら眠りこけたから、部屋まで運んでやったというのに・・・お前は帰すわけにはいかん。この屋敷から出れぬと心しろ。」
「やっぱり噂は本当だったのね!ここに連れ込まれた者は出てこれないって!みんなから搾取してるんでしょ?だから退治しに来たのよ!」

 エドヴァルドは剣を治めるとため息をつき、カティをある部屋に連れて行った。そこにはカティと同じ年頃の令嬢が何人か集められていた。
「こんな女の子たちまで・・・なんて卑劣な!えいっ!」
 再び魔法で攻撃をしようとするが、エドヴァルドの魔力に押さえつけられる。
「ぐぬぬぬ・・・」
「お前も今日からここでマナーと常識を学べ。それが身につくまで返さないからそのつもりで。」
「え?!どういう・・・」
 エドヴァルドはさっさと出て行った。

 そしてカティは知る。
 この鬼畜ヶ島には、社会で問題を起こしたり、親の手に負えないもの等が送り込まれ再び社会に適応できるように厳しく教育される場所だと。
 それまで社会をなめ切っていた者ばかりが集まるため、それはそれは厳しい対応となる。しかし、ただ厳しく体罰をしているのではなく腕に職をつけるための職業訓練の一環も担っているという。
 先ほど森や窯で見たのはそういう職業を学ぶために、強制枠とは別に自ら進んで来た特別な子供たちであったようだ。
 鬼畜ヶ島を出た人間たちから、または送り込む人間を脅すために鬼畜ヶ島の恐ろしいうわさが流されたようだった。

 カティ太郎は全くマナーがなっていないということでそれはそれは厳しい特訓を受けることになった。
 お供に一緒にやってきたパトラッシュは鬼畜ヶ島に来ている子供たちの心を慰め、実は魔鳥であったロプロスは逃亡者を空から見張ったり、超音波で攻撃する役目を担った。魔術師のエンヤも鬼畜ヶ島を気に入って講師側になり、魔法を使ってビシビシ鍛えたという。

 カティ太郎は、その正義感と魔力の多さと一生懸命さが鬼畜の親玉に気に入られ、娶られることになる。
 鬼畜の親玉はミンミ婆とレオ爺も呼び寄せてくれて、カティ太郎は鬼畜ヶ島で生涯幸せに暮らしましたとさ。

 
 めでたし、めでたし。



*楽しんでいただけたでしょうか(*´▽`*)
 昔話とコラボしている作品にあこがれ、どうしても一度はチャレンジしたかったのです。お粗末さまでした(〃ノωノ)
(女の子なのに太郎?というクレームは・・・お許しください( ´艸`))

次話からは本編に続く物語です。数話程度になると思いますがよろしくお願いします。
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