85 / 98
連載
番外編 2 ヴィクトルにもたらされたもの
しおりを挟む
カティはローテーブルの前に立ち、ぎりぎり届くテーブルで手紙を書いている。
「私のせいでお部屋がなくなってごめんなさい。探検誘ってもらってとても楽しかった、私は大丈夫なので心配しないでください。っと。よし。」
まだ伝令はエドヴァルドにしか届かないので、手紙を書いてレオに出してもらう。
あの探検中の事故が引き金となりエドヴァルドに王宮が破壊され、修理が終わるまでヴィクトルは離宮に住まうことになったらしい。国王夫妻にも叱られ元気がないと聞く。
「とう様、ヴィー・・・クトル殿下のこと怒ってますか?」
「お前が元気なのだからもうよい。」
代わりに国王から謝罪と慰謝料を得て、なかなか押し通せなかった条例に署名ももらった。
心情的にはまだ思う所があるが、これ以上引きずっていても仕方がない。
「じゃあ・・・遊びに来てもらってもいい?」
エドヴァルドの眉が少し寄る。
「殿下もまだ子供だし・・責任感じて可哀そうだから。じゃ、じゃなくて!殿下と仲良くしておいた方がのちのち公爵家にも利があると思いますので!」
途中、レオが横に首を振るのを見て言い換えた。
エドヴァルドの中にはヴィクトルが可哀想などという思いはないらしい。カティを危険にさらした愚王子という認識だ。
「末端の王子の威光など欠片も必要はないが、お前は招待したいのか?」
「はい!」
「では構わぬ。」
ヴィクトルが側にいれば護衛や影が必然的にカティをも保護対象にする。くわえて、王族と懇意になることも悪くはないと打算的に考え、愚王子だが友人になることを許可した。
ヴィクトルは王族だというのに平身低頭エドヴァルドに再度謝罪した。カティの命を危険にさらしたにもかかわらずこうして交流を許可してくれたことへの感謝も込めてなかなか手に入らない貴重な高級菓子と茶葉を持参した。
「ふ~っ。良かった、公爵に許してもらえて。」
「とう様、もう全然気にしてないって言ってたよ。」
「・・・そう?」
(いやいや、絶対にそんなことないよ。二度目はないというあの威圧感と冷気・・・。)
全く笑っていないエドヴァルドを思い出してヴィクトルは身震いする。
「手紙ありがとう。」
「ヴィーが陛下に怒られたって聞いたの。ヴィーだけが悪いんじゃないって言ったのに聞いてもらえなかったの。ごめんなさい。」
「カティは悪くないよ、僕が良く知りもしないのに君を連れて入ってしまったから・・・ごめん。怖い目に合わせ て。」
やはり元気がない。
今日はせっかく一緒に第三回カティぐち探検隊の計画をしようと思っていたのに無理そうだ。
ヴィクトルを元気づける方が先だと思ったカティは、
「よ~し!今日は金魚すくい競争します!」
「え?金魚すくいって?」
「負けた方は顔中に落書きされます!そして一日その顔で過ごすの。」
「ええ?!なにそれ?経験あるカティが有利じゃない?」
「大丈夫、大丈夫。」
そう言いつつ、勝利間違いなし!とカティは確信し、にんまりした。
顔にたくさん落書きを書かれたヴィーは吹っ切れて元気になるだろう。
「なんで?」
何度も自主トレをしているカティを差し置いて、運動神経がいいヴィクトルは初めてにも関わらず、金魚すくいをあっという間に見切り、圧勝した。
実はカティは集中すればするほどポイを通してターゲットの魚に癒しの魔法が発動され、お魚が元気に跳ねまくりポイから脱出するのだ。それに気が付かないカティがこの勝負で勝つことはない。
「むうう・・・では、お願いします。」
「え?本当に描くの?」
初めは遠慮してカティの顔に小さい丸しか付けられなかったが、カティがこうするのよ!と自分の眉毛と眉毛を線でつなぎ、瞼の上にも目を描き込んだ。
噴き出したヴィーは吹っ切れたようにカティの顔に色々書き込んだ。
仏のような顔で落書きを受け止めながら、内心穏やかではない。
有利なはずの勝負に負けて、ヴィクトルを励ますために始めたことをすっかりカティは忘れていた。
「ぐぬぬぬ・・・こんなはずでは・・・あ!あれにしよう!あれなら私の方が絶対有利。」
いずれ表に出そうと思っていた遊び道具。
「ヴィー!次の勝負よ!」
部屋に戻ってヴィクトルは丸く切り抜いた木片に色を塗らされている。
片面だけ黒くぬること64片。カティは板に線を引き、64個の升目を描いている。
「できた!」
「何するの?」
「オセロって言ってね・・・」
カティは落書きだらけの顔で至極真面目にゲームのルールを説明した。
(これなら精神年齢、実質上で経験者の私が有利!)
何度かルールを教えながら対戦した後、
「いざ勝負!!」
最終盤上を眺めてカティはぱったり倒れた。
ヴィクトルの圧勝だった。
「あ・・・なんかごめんね。」
ヴィクトルは申し訳なさそうに言う。
「・・・いいのよ。初心者に花を持たせただけだし!ほっほっほ。」
カティは立ち直れないほどの傷を心に負いながら、
「武士に二言はないわ!さ、どうぞ!」
と顔を差し出した。
そしてカティの顔にちょび髭やもみあげが増えていく・・・
「ね、カティ。このゲームって前世の?すごく簡単だけどとても深くて面白い。これ大人でも楽しめるよ。これ、商品にしない?」
「え?」
「きっと売れる。楽しいだけじゃなくてすごく頭を使うだろ?考える力とか集中力や相手の考えを読むとかいろいろ鍛えられると思うんだ。」
(あ?そうなの?ただの遊びなんだけど?)
四隅さえとればいいとしか思っていないカティと、初めてにも関わらずいろんなパターンを考えるヴィクトル。そこがカティとヴィクトルの勝敗を分ける。
「商品にするんだったらちょっと考えがあるんだけど・・・。」
カティは自分の思いを打ち明けた。
思う存分ヴィクトルと遊んだカティは目いっぱい落書きされた顔で応接室でお茶をする。一日これで過ごすとルールを決めたのはカティだ。
お茶会にはエドヴァルドもおり、カティはエドヴァルドの膝に乗せられていたが、カティと目が合うたびにヴィクトルは噴き出しそうになるのを堪える。
おかげで公爵に対する罪悪感や畏怖をそれほど感じなくて済んでいる。
しかも、カティの顔に落書きをしたことを叱られるかと思ったが
「殿下、カティはこのように想像つかない事ばかりするのです。いずれ殿下も巻き込まれて被害にあうかもしれません。お気を付けください。」
そう言いながらカティの頭を撫でている。
カティは口を尖らしてむくれているが、エドヴァルドがお菓子を口元にもっていくとすぐに機嫌がよくなりもぐもぐと食べている。
それがまた面白くて可愛らしい。
カティの命を危険にさらした後悔と責任感で苦しかったが、カティのおかげでいつのまにか心の重りが取れて元気を取り戻していた。
そして数日後、ヴィクトルの離宮に侍女に抱かれたカティがやってきた。
「でんか。」
カティがヴィクトルに手を伸ばす。
ヴィクトルがカティを抱くとミンミは頭を下げて出て行く。
「え?いいの?」
「うん。ミンミは私の事知らないから、とう様が殿下に預けたら下がるようにいってくれたの。帰る時は護衛さんととう様の執務室に戻ればいいの。」
「そう。宰相がちゃんと指示してくれたんだ、ありがとう。」
カティをソファーに降ろすと、お茶の用意を言いつけた。
「ヴィー今度孤児院に行くんでしょ?」
「うん。」
「そっか、いよいよね。上手くいけば嬉しい。それで孤児院って子供たちの遊ぶものって何かあるの?」
「貴族から寄付された人形、絵本だとか木剣かな。」
「そうか。これどうかなあって持ってきたの。」
カティは色とりどりの紙をレオに正方形に切ってもらったものを持ってきた。
そしてその一枚を小さいむちっとした手で折り始めた。
「じゃーん!」
と鶴を折って見せた。
「え?!すごい!一枚の紙からこんなのできるの?綺麗!まるで魔法だよ。」
「折り紙っていうの、いろんな動物とかお花とか折れるんだよ。飛行機とか男の子も喜ぶよ。」
カティは紙飛行機もヴィクトルに教えた。
「飛ばしっこするの。」
「負けたらまた顔に落書き?」
「ううん。これはただ楽しい時間を過ごしてほしいだけ。孤児院ってなかなか一人一人愛情受けにくいと思うし・・・楽しい時間少ないと思うから。他にもね・・・」
紐を使ったあやとりというものや、筒を使った吹き矢などもカティは教えてくれた。
ただ楽しいだけじゃない。頭も使うし、想像力も養えそうだ。
「この間のオセロといい、カティの世界の遊びはすごいね。」
「そうかな?あまりお金のかからないもので、みんなで遊べるものがいいかと思って。皆が笑顔だったら幸せがやってくると思うの。」
先日のオセロの件では、オセロを広めたいというヴィクトルに、オセロの商品化は孤児院の収入源として孤児院に依頼できないかと頼んできた。
孤児院の子供たちの幸せにも心を砕くカティにヴィクトルはカティに心を掴まれた。
この間の金魚すくいの日から自分でも気が付いていた、いつのまにかカティに恋をしていた。僕の初恋だ。でも見かけは赤ちゃん、口に出すわけにはいかないけど。
ああ、でもカティの前にはとてつもなく大きくて手ごわい壁が立ちはだかっている。宰相に認めてもらうには生半可な努力じゃ駄目だな。
(カティ、君にふさわしい、宰相が文句のつけようのない男になるから待っててね。)
その日から、ヴィクトルは勉強や剣術、そして執務に至るまでこれまで以上に真剣に取り組んだ。
そして将来を担うであろう子供たちの教育にも関心を持ち、孤児院へも施しだけではなく教育や職業訓練、そして何より笑顔になるための支援をした。
そしてそれはいずれ一国の国王になるヴィクトルに大変役に立ったという。
「私のせいでお部屋がなくなってごめんなさい。探検誘ってもらってとても楽しかった、私は大丈夫なので心配しないでください。っと。よし。」
まだ伝令はエドヴァルドにしか届かないので、手紙を書いてレオに出してもらう。
あの探検中の事故が引き金となりエドヴァルドに王宮が破壊され、修理が終わるまでヴィクトルは離宮に住まうことになったらしい。国王夫妻にも叱られ元気がないと聞く。
「とう様、ヴィー・・・クトル殿下のこと怒ってますか?」
「お前が元気なのだからもうよい。」
代わりに国王から謝罪と慰謝料を得て、なかなか押し通せなかった条例に署名ももらった。
心情的にはまだ思う所があるが、これ以上引きずっていても仕方がない。
「じゃあ・・・遊びに来てもらってもいい?」
エドヴァルドの眉が少し寄る。
「殿下もまだ子供だし・・責任感じて可哀そうだから。じゃ、じゃなくて!殿下と仲良くしておいた方がのちのち公爵家にも利があると思いますので!」
途中、レオが横に首を振るのを見て言い換えた。
エドヴァルドの中にはヴィクトルが可哀想などという思いはないらしい。カティを危険にさらした愚王子という認識だ。
「末端の王子の威光など欠片も必要はないが、お前は招待したいのか?」
「はい!」
「では構わぬ。」
ヴィクトルが側にいれば護衛や影が必然的にカティをも保護対象にする。くわえて、王族と懇意になることも悪くはないと打算的に考え、愚王子だが友人になることを許可した。
ヴィクトルは王族だというのに平身低頭エドヴァルドに再度謝罪した。カティの命を危険にさらしたにもかかわらずこうして交流を許可してくれたことへの感謝も込めてなかなか手に入らない貴重な高級菓子と茶葉を持参した。
「ふ~っ。良かった、公爵に許してもらえて。」
「とう様、もう全然気にしてないって言ってたよ。」
「・・・そう?」
(いやいや、絶対にそんなことないよ。二度目はないというあの威圧感と冷気・・・。)
全く笑っていないエドヴァルドを思い出してヴィクトルは身震いする。
「手紙ありがとう。」
「ヴィーが陛下に怒られたって聞いたの。ヴィーだけが悪いんじゃないって言ったのに聞いてもらえなかったの。ごめんなさい。」
「カティは悪くないよ、僕が良く知りもしないのに君を連れて入ってしまったから・・・ごめん。怖い目に合わせ て。」
やはり元気がない。
今日はせっかく一緒に第三回カティぐち探検隊の計画をしようと思っていたのに無理そうだ。
ヴィクトルを元気づける方が先だと思ったカティは、
「よ~し!今日は金魚すくい競争します!」
「え?金魚すくいって?」
「負けた方は顔中に落書きされます!そして一日その顔で過ごすの。」
「ええ?!なにそれ?経験あるカティが有利じゃない?」
「大丈夫、大丈夫。」
そう言いつつ、勝利間違いなし!とカティは確信し、にんまりした。
顔にたくさん落書きを書かれたヴィーは吹っ切れて元気になるだろう。
「なんで?」
何度も自主トレをしているカティを差し置いて、運動神経がいいヴィクトルは初めてにも関わらず、金魚すくいをあっという間に見切り、圧勝した。
実はカティは集中すればするほどポイを通してターゲットの魚に癒しの魔法が発動され、お魚が元気に跳ねまくりポイから脱出するのだ。それに気が付かないカティがこの勝負で勝つことはない。
「むうう・・・では、お願いします。」
「え?本当に描くの?」
初めは遠慮してカティの顔に小さい丸しか付けられなかったが、カティがこうするのよ!と自分の眉毛と眉毛を線でつなぎ、瞼の上にも目を描き込んだ。
噴き出したヴィーは吹っ切れたようにカティの顔に色々書き込んだ。
仏のような顔で落書きを受け止めながら、内心穏やかではない。
有利なはずの勝負に負けて、ヴィクトルを励ますために始めたことをすっかりカティは忘れていた。
「ぐぬぬぬ・・・こんなはずでは・・・あ!あれにしよう!あれなら私の方が絶対有利。」
いずれ表に出そうと思っていた遊び道具。
「ヴィー!次の勝負よ!」
部屋に戻ってヴィクトルは丸く切り抜いた木片に色を塗らされている。
片面だけ黒くぬること64片。カティは板に線を引き、64個の升目を描いている。
「できた!」
「何するの?」
「オセロって言ってね・・・」
カティは落書きだらけの顔で至極真面目にゲームのルールを説明した。
(これなら精神年齢、実質上で経験者の私が有利!)
何度かルールを教えながら対戦した後、
「いざ勝負!!」
最終盤上を眺めてカティはぱったり倒れた。
ヴィクトルの圧勝だった。
「あ・・・なんかごめんね。」
ヴィクトルは申し訳なさそうに言う。
「・・・いいのよ。初心者に花を持たせただけだし!ほっほっほ。」
カティは立ち直れないほどの傷を心に負いながら、
「武士に二言はないわ!さ、どうぞ!」
と顔を差し出した。
そしてカティの顔にちょび髭やもみあげが増えていく・・・
「ね、カティ。このゲームって前世の?すごく簡単だけどとても深くて面白い。これ大人でも楽しめるよ。これ、商品にしない?」
「え?」
「きっと売れる。楽しいだけじゃなくてすごく頭を使うだろ?考える力とか集中力や相手の考えを読むとかいろいろ鍛えられると思うんだ。」
(あ?そうなの?ただの遊びなんだけど?)
四隅さえとればいいとしか思っていないカティと、初めてにも関わらずいろんなパターンを考えるヴィクトル。そこがカティとヴィクトルの勝敗を分ける。
「商品にするんだったらちょっと考えがあるんだけど・・・。」
カティは自分の思いを打ち明けた。
思う存分ヴィクトルと遊んだカティは目いっぱい落書きされた顔で応接室でお茶をする。一日これで過ごすとルールを決めたのはカティだ。
お茶会にはエドヴァルドもおり、カティはエドヴァルドの膝に乗せられていたが、カティと目が合うたびにヴィクトルは噴き出しそうになるのを堪える。
おかげで公爵に対する罪悪感や畏怖をそれほど感じなくて済んでいる。
しかも、カティの顔に落書きをしたことを叱られるかと思ったが
「殿下、カティはこのように想像つかない事ばかりするのです。いずれ殿下も巻き込まれて被害にあうかもしれません。お気を付けください。」
そう言いながらカティの頭を撫でている。
カティは口を尖らしてむくれているが、エドヴァルドがお菓子を口元にもっていくとすぐに機嫌がよくなりもぐもぐと食べている。
それがまた面白くて可愛らしい。
カティの命を危険にさらした後悔と責任感で苦しかったが、カティのおかげでいつのまにか心の重りが取れて元気を取り戻していた。
そして数日後、ヴィクトルの離宮に侍女に抱かれたカティがやってきた。
「でんか。」
カティがヴィクトルに手を伸ばす。
ヴィクトルがカティを抱くとミンミは頭を下げて出て行く。
「え?いいの?」
「うん。ミンミは私の事知らないから、とう様が殿下に預けたら下がるようにいってくれたの。帰る時は護衛さんととう様の執務室に戻ればいいの。」
「そう。宰相がちゃんと指示してくれたんだ、ありがとう。」
カティをソファーに降ろすと、お茶の用意を言いつけた。
「ヴィー今度孤児院に行くんでしょ?」
「うん。」
「そっか、いよいよね。上手くいけば嬉しい。それで孤児院って子供たちの遊ぶものって何かあるの?」
「貴族から寄付された人形、絵本だとか木剣かな。」
「そうか。これどうかなあって持ってきたの。」
カティは色とりどりの紙をレオに正方形に切ってもらったものを持ってきた。
そしてその一枚を小さいむちっとした手で折り始めた。
「じゃーん!」
と鶴を折って見せた。
「え?!すごい!一枚の紙からこんなのできるの?綺麗!まるで魔法だよ。」
「折り紙っていうの、いろんな動物とかお花とか折れるんだよ。飛行機とか男の子も喜ぶよ。」
カティは紙飛行機もヴィクトルに教えた。
「飛ばしっこするの。」
「負けたらまた顔に落書き?」
「ううん。これはただ楽しい時間を過ごしてほしいだけ。孤児院ってなかなか一人一人愛情受けにくいと思うし・・・楽しい時間少ないと思うから。他にもね・・・」
紐を使ったあやとりというものや、筒を使った吹き矢などもカティは教えてくれた。
ただ楽しいだけじゃない。頭も使うし、想像力も養えそうだ。
「この間のオセロといい、カティの世界の遊びはすごいね。」
「そうかな?あまりお金のかからないもので、みんなで遊べるものがいいかと思って。皆が笑顔だったら幸せがやってくると思うの。」
先日のオセロの件では、オセロを広めたいというヴィクトルに、オセロの商品化は孤児院の収入源として孤児院に依頼できないかと頼んできた。
孤児院の子供たちの幸せにも心を砕くカティにヴィクトルはカティに心を掴まれた。
この間の金魚すくいの日から自分でも気が付いていた、いつのまにかカティに恋をしていた。僕の初恋だ。でも見かけは赤ちゃん、口に出すわけにはいかないけど。
ああ、でもカティの前にはとてつもなく大きくて手ごわい壁が立ちはだかっている。宰相に認めてもらうには生半可な努力じゃ駄目だな。
(カティ、君にふさわしい、宰相が文句のつけようのない男になるから待っててね。)
その日から、ヴィクトルは勉強や剣術、そして執務に至るまでこれまで以上に真剣に取り組んだ。
そして将来を担うであろう子供たちの教育にも関心を持ち、孤児院へも施しだけではなく教育や職業訓練、そして何より笑顔になるための支援をした。
そしてそれはいずれ一国の国王になるヴィクトルに大変役に立ったという。
361
お気に入りに追加
8,117
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
卒業パーティーで魅了されている連中がいたから、助けてやった。えっ、どうやって?帝国真拳奥義を使ってな
しげむろ ゆうき
恋愛
卒業パーティーに呼ばれた俺はピンク頭に魅了された連中に気づく
しかも、魅了された連中は令嬢に向かって婚約破棄をするだの色々と暴言を吐いたのだ
おそらく本意ではないのだろうと思った俺はそいつらを助けることにしたのだ
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。