転生赤ちゃんカティは諜報活動しています そして鬼畜な父に溺愛されているようです

れもんぴーる

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闇夜の灯火

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 それからさらに3年が経過し、カティは15歳になった。
 年に一度のエドヴァルドの捜索に訪れて、カティはその風景を見て佇んだ。
 小さいながらも湖が出来、木々は成長している。自然は力強く復活していた。

「私ももう・・・区切りをつけるね。」
 一緒に来てくれていたレオとヴィクトルにそう告げた。
「・・・かしこまりました。」
 レオは静かにそう言った。
 ヴィクトルも
「前に約束しただろ?毎年会いにこよう。」
「うん・・・うん。」
 ヴィクトルは優しくカティを抱き寄せた。

 明日、バートランド国を旅立つという夜。
 カティは心の中を整理しきれず、一人でそっと火山に転移した。
 月明りの中、初めて見る夜の景色。
 黒々とした地面に力強く立ち上がる草木のシルエット。
 この下にエドヴァルドがいる、そう思うとこの草木一本ずつがエドヴァルドにつながる気がして愛しくなる。
 全て探索しきれなかった広大な黒い大地、目に焼き付けて去ろうとしたとき遠くの湖の一角がぼんやりと発光しているのが見えた。

「殿下!夜分に申し訳ありません。」
 レオはヴィクトルの部屋のドアを叩いた。
「どうした?何かあったのか?」
「カティ様から伝令が届いたのですが・・・もしかしたらカティ様は気の病に・・・」
「どういうことだ?!カティはどこにいる!」
「火山です。一人で火山に行かれたようで・・・エドヴァルド様を保護したと、馬車で迎えに来るように連絡がありました。そして医師を呼んで迎える準備をしてほしいと。」
「カティ・・・」
 エドヴァルド捜索断念がそこまで彼女の心を追い詰め、壊してしまったのかと二人は苦しく思った。
「どちらにしても、こんな夜更けに一人であんな場所に置いておけない。すぐに迎えに出るぞ!用意を!」
「かしこまりました!」
 レオは部屋を飛び出していった。

 暗い道にランプをかざして馬車を急がせる。
 到着すると暗闇の一角が明るく光ってカティの場所を示していた。
「カティ!!」
 ヴィクトルとレオは遠目に大きな魔獣の遺骸を確認した。
 そしてその大きな魔物の陰で十三年前と全く変わらない姿を保ったエドヴァルドの身体を、滂沱の涙を流すカティが抱きしめているのを見たのであった。
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