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カティ 女王になる
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カティはこの国の儀式を受けた。
このバートランド国の正式な国王となると、その証拠に手の甲に薔薇の紋章が浮かび上がる。
「恥ず・・・中二病・・」
自分の手の甲を見て、ぼそっと言うカティには気が付かず、第一王子は国民の前でカティのこの文様を掲げた。
「ただいまより、正式にカティ王女がこの国の女王となる。」
騒めく国民をおさえて第一王子は告げた。
そして、現女王カティからのお言葉を伝えた。
一つ、国王選定の方法を正す
一つ、女王として、バートランド国がローベンス国の属国になることを承諾する。治政は国王に冷遇されていた派閥に任せる
一つ、わたくしカティは王位を放棄する。次代の王はローベンス国に一任する
一つ、二度とこのような過ちがおこらないよう、儀式の洞窟は破壊する、と。
再び騒めく国民だったが、山の方で地響きと砂煙、そして山が崩落をするのを見て呆けてしまった。何百年と続いてきた国王承認の儀式の舞台が破壊されたのだ。
トルスティ代理国王らは王宮の広場で公開でさらし者にされた。
顔に書かれた標語に笑うもの、前王太子殺害に憤るもの、それでもかばうものなど様々だった。
しかし、魔獣を集めて共食いをさせ生き残った魔獣を使役し、たった一人の赤子を殺すためにローベンス国を攻撃するつもりだったと聞き、眉をひそめた。
そしてそれを防ぐために若き宰相が命を懸けて魔獣を退治し、その宰相が女王となったカティの義父だと知ると、国を失う原因を作ったトルスティ代理国王の罪の深さを憎んだ。
何より正統な王位継承者である王太子を殺害していたことが事実だと判明すると人々の憎しみは増大し、石や罵詈雑言を投げつけた。
「もういい。」
カティは一日でこの刑罰をやめて欲しいといった。
どんな悪人でもあんな残酷なことをされるのを見ていられない。
そして知らなかったから仕方がないとはいえ、それまで自国民の事は守り、敬愛していたはずのトルスティに手の平を返すように、投石までする国民も見ていて気分が良いものではなかった。
「・・・かしこまりました。では、彼らは強制労働させることでよろしいでしょうか。」
「うん。償って・・・償う事なんてできないけど、少しでも悪かったって思って欲しい。」
カティはミンミに抱っこされながら王宮広場を後にした。
カティが去るのを見届けると、第一王子とレオは公開を中止した。
広場に繋がれていた者は石畳の地下に連れていかれると、体を震わせた。
かすれるような声で
「・・・罰は強制労働なんだろ?」
といった。
第一王子はさっと手を上げるとローベンスの騎士たちは剣を構えた。
「お前たちが下らぬことをせず前王太子が国王になっておれば幸せであったであろう。恨むのならこの愚かな男を恨め。止めず、従った己を悔め。」
そして手を振り下ろすと、騎士たちの剣は罪人たちを貫いた。
「あの子供が・・・あれさえいなければ!何故だ!なぜ私が死なねばならぬ!」
一人残されたトルスティが叫ぶ。
「お前は手を出してはいけない方に手を出したのだ。」
エドヴァルドにとってのカティ、カティにとってのエドヴァルド。お互いを守るため、仇を取るために動き、結果、トルスティを追い詰めることになったのだから。
レオは剣を振り上げると、自らの手でトルスティの息の根を止めた。
このバートランド国の正式な国王となると、その証拠に手の甲に薔薇の紋章が浮かび上がる。
「恥ず・・・中二病・・」
自分の手の甲を見て、ぼそっと言うカティには気が付かず、第一王子は国民の前でカティのこの文様を掲げた。
「ただいまより、正式にカティ王女がこの国の女王となる。」
騒めく国民をおさえて第一王子は告げた。
そして、現女王カティからのお言葉を伝えた。
一つ、国王選定の方法を正す
一つ、女王として、バートランド国がローベンス国の属国になることを承諾する。治政は国王に冷遇されていた派閥に任せる
一つ、わたくしカティは王位を放棄する。次代の王はローベンス国に一任する
一つ、二度とこのような過ちがおこらないよう、儀式の洞窟は破壊する、と。
再び騒めく国民だったが、山の方で地響きと砂煙、そして山が崩落をするのを見て呆けてしまった。何百年と続いてきた国王承認の儀式の舞台が破壊されたのだ。
トルスティ代理国王らは王宮の広場で公開でさらし者にされた。
顔に書かれた標語に笑うもの、前王太子殺害に憤るもの、それでもかばうものなど様々だった。
しかし、魔獣を集めて共食いをさせ生き残った魔獣を使役し、たった一人の赤子を殺すためにローベンス国を攻撃するつもりだったと聞き、眉をひそめた。
そしてそれを防ぐために若き宰相が命を懸けて魔獣を退治し、その宰相が女王となったカティの義父だと知ると、国を失う原因を作ったトルスティ代理国王の罪の深さを憎んだ。
何より正統な王位継承者である王太子を殺害していたことが事実だと判明すると人々の憎しみは増大し、石や罵詈雑言を投げつけた。
「もういい。」
カティは一日でこの刑罰をやめて欲しいといった。
どんな悪人でもあんな残酷なことをされるのを見ていられない。
そして知らなかったから仕方がないとはいえ、それまで自国民の事は守り、敬愛していたはずのトルスティに手の平を返すように、投石までする国民も見ていて気分が良いものではなかった。
「・・・かしこまりました。では、彼らは強制労働させることでよろしいでしょうか。」
「うん。償って・・・償う事なんてできないけど、少しでも悪かったって思って欲しい。」
カティはミンミに抱っこされながら王宮広場を後にした。
カティが去るのを見届けると、第一王子とレオは公開を中止した。
広場に繋がれていた者は石畳の地下に連れていかれると、体を震わせた。
かすれるような声で
「・・・罰は強制労働なんだろ?」
といった。
第一王子はさっと手を上げるとローベンスの騎士たちは剣を構えた。
「お前たちが下らぬことをせず前王太子が国王になっておれば幸せであったであろう。恨むのならこの愚かな男を恨め。止めず、従った己を悔め。」
そして手を振り下ろすと、騎士たちの剣は罪人たちを貫いた。
「あの子供が・・・あれさえいなければ!何故だ!なぜ私が死なねばならぬ!」
一人残されたトルスティが叫ぶ。
「お前は手を出してはいけない方に手を出したのだ。」
エドヴァルドにとってのカティ、カティにとってのエドヴァルド。お互いを守るため、仇を取るために動き、結果、トルスティを追い詰めることになったのだから。
レオは剣を振り上げると、自らの手でトルスティの息の根を止めた。
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