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カティ 風雲ヴィー城に忍び込む
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エドヴァルドが旅立って二ヶ月、何の便りもなかった。
カティは暗殺者ほいほいで捕まえた奴らを風雲ヴィー城に送り、それを眺めて憂さを晴らしていたが徐々に心配が上回り暗殺者に直接尋問したくなった。
しかし、いくら魔法が優れていようとも赤ん坊のカティにそんなことは許可してもらえない。
カティは転移を使って夜中にヴィー城に忍び込んだ。
そして疲れ切って廊下にうずくまる暗殺者の前に立つと見えない蔦で束縛した。
「な!お前・・まさかカティとかいう子供か?」
「こんなか弱くてかわいい女の子を殺そうとするなんて・・・本当に理由くらい教えて欲しい。」
急にこのからくり屋敷に現れ、その話し方に不気味なものを感じた暗殺者は
「まさか、あの落とし穴はお前の仕業か?」
「あれはただのゴミ捨て場です。他人が勝手に人の敷地に入り込んで落ちるので迷惑しています。」
「そんなわけあるか!」
暗殺者はそう突っ込みながらも、もしかしたら外に繋がる隠し通路があるのかもしれない、こんな子供一人上手く誑かせば脱出できると内心笑った。
「そうだよな、俺も君のようなかわいい子がターゲットとは知らなかったんだ。」
カティはうんうんとうなづく。
「俺は反省している。知っていることを全部話すから王宮に連れて行ってくれないかな。」
「知ってることって?」
「それは大人に話すよ。君のような子供には聞かせられないような話なんだ。だから、ね?ここからでる方法を教えてくれないか。」
「ここの見張り番に言えばいいじゃない。」
「彼らは聞く耳を持ってくれないんだ。私たちが死ぬのを楽しみにしている恐ろしい奴らだよ。」
「そんなことないよ!後で奴隷になって働かせるって言ってたもん!」
暗殺者はしめたと思った。同情を買えば、助けてくれる気になるかもしれない。
「違う、ずいぶん仲間は殺されている。だからここからこっそり出してほしい。代わりに君のことは俺が守ってやる。」
「本当?」
「ああ!」
よし、かかった!と暗殺者は思った。
「でも残念ね、私守ってもらうほど弱くないの。それにそんな馬鹿な話に引っかかるとでも?馬鹿じゃないの?本当に暗殺者?暗殺者は馬鹿にでもできるの?というかバカにしかできないのかも。」
「くそがきがっ!」
「あら?どこかにくそがきがいるのかしら?」
わざときょろきょろして暗殺者をあおってみる。
「あ、いたいた。」
暗殺者を見てにやりと笑う。
暗殺者は顔を真っ赤にして怒っている。
「あなたも下っ端だった?こんなにお馬鹿なんだもの何も知らされないはずよね。残念、せっかく来たのに無駄足。」
「貴様!トルスティ様が絶対に仕留めてくれるわ!お前のせいでトルスティ様のお立場は!お前など生まれなければよかったのに!」
カティの最も触れてはいけない心の傷。それを思い切り抉り取った暗殺者。
スッとカティの顔から表情が消え去る。
「あなたたちのような卑怯な人間に負けない。現にこんな赤ん坊にいい様にされているあなたたちには。」
「むかつくくそがきめ!もうすぐ魔獣がお前を殺しにやってくるからな!この国ごとめちゃくちゃになるがいい。お前のせいでこの国も巻き込まれるなんて災難だな!全部お前のせいだ、お前がさっさと殺されていれば誰も死なずに済んだのにな!」
暗殺者は馬鹿にされた苛立ちを、カティを傷つけることで仕返しをしようとした。
カティは表情が抜け落ちたままの顔でその場から消えた。
「おい!ほどけ!!くそがき!」
カティは見えない蔦で拘束したことを忘れたまま転移した。そして暗殺者はそのままそこから一歩も動くことなく叫び、死んでいく運命となる。
**ここまでもシリアスが続いておりましたが、終盤に向かいこの先もう少しシリアス要素強めになっていきます(m´・ω・`)m ゴメン…
あんなこと、こんなこと起こりますが以前、感想欄に書いた通り「○○〇しか書けない病」には変わりありませんのでこの先も楽しんでいただけたら嬉しいです(*´▽`*)
カティは暗殺者ほいほいで捕まえた奴らを風雲ヴィー城に送り、それを眺めて憂さを晴らしていたが徐々に心配が上回り暗殺者に直接尋問したくなった。
しかし、いくら魔法が優れていようとも赤ん坊のカティにそんなことは許可してもらえない。
カティは転移を使って夜中にヴィー城に忍び込んだ。
そして疲れ切って廊下にうずくまる暗殺者の前に立つと見えない蔦で束縛した。
「な!お前・・まさかカティとかいう子供か?」
「こんなか弱くてかわいい女の子を殺そうとするなんて・・・本当に理由くらい教えて欲しい。」
急にこのからくり屋敷に現れ、その話し方に不気味なものを感じた暗殺者は
「まさか、あの落とし穴はお前の仕業か?」
「あれはただのゴミ捨て場です。他人が勝手に人の敷地に入り込んで落ちるので迷惑しています。」
「そんなわけあるか!」
暗殺者はそう突っ込みながらも、もしかしたら外に繋がる隠し通路があるのかもしれない、こんな子供一人上手く誑かせば脱出できると内心笑った。
「そうだよな、俺も君のようなかわいい子がターゲットとは知らなかったんだ。」
カティはうんうんとうなづく。
「俺は反省している。知っていることを全部話すから王宮に連れて行ってくれないかな。」
「知ってることって?」
「それは大人に話すよ。君のような子供には聞かせられないような話なんだ。だから、ね?ここからでる方法を教えてくれないか。」
「ここの見張り番に言えばいいじゃない。」
「彼らは聞く耳を持ってくれないんだ。私たちが死ぬのを楽しみにしている恐ろしい奴らだよ。」
「そんなことないよ!後で奴隷になって働かせるって言ってたもん!」
暗殺者はしめたと思った。同情を買えば、助けてくれる気になるかもしれない。
「違う、ずいぶん仲間は殺されている。だからここからこっそり出してほしい。代わりに君のことは俺が守ってやる。」
「本当?」
「ああ!」
よし、かかった!と暗殺者は思った。
「でも残念ね、私守ってもらうほど弱くないの。それにそんな馬鹿な話に引っかかるとでも?馬鹿じゃないの?本当に暗殺者?暗殺者は馬鹿にでもできるの?というかバカにしかできないのかも。」
「くそがきがっ!」
「あら?どこかにくそがきがいるのかしら?」
わざときょろきょろして暗殺者をあおってみる。
「あ、いたいた。」
暗殺者を見てにやりと笑う。
暗殺者は顔を真っ赤にして怒っている。
「あなたも下っ端だった?こんなにお馬鹿なんだもの何も知らされないはずよね。残念、せっかく来たのに無駄足。」
「貴様!トルスティ様が絶対に仕留めてくれるわ!お前のせいでトルスティ様のお立場は!お前など生まれなければよかったのに!」
カティの最も触れてはいけない心の傷。それを思い切り抉り取った暗殺者。
スッとカティの顔から表情が消え去る。
「あなたたちのような卑怯な人間に負けない。現にこんな赤ん坊にいい様にされているあなたたちには。」
「むかつくくそがきめ!もうすぐ魔獣がお前を殺しにやってくるからな!この国ごとめちゃくちゃになるがいい。お前のせいでこの国も巻き込まれるなんて災難だな!全部お前のせいだ、お前がさっさと殺されていれば誰も死なずに済んだのにな!」
暗殺者は馬鹿にされた苛立ちを、カティを傷つけることで仕返しをしようとした。
カティは表情が抜け落ちたままの顔でその場から消えた。
「おい!ほどけ!!くそがき!」
カティは見えない蔦で拘束したことを忘れたまま転移した。そして暗殺者はそのままそこから一歩も動くことなく叫び、死んでいく運命となる。
**ここまでもシリアスが続いておりましたが、終盤に向かいこの先もう少しシリアス要素強めになっていきます(m´・ω・`)m ゴメン…
あんなこと、こんなこと起こりますが以前、感想欄に書いた通り「○○〇しか書けない病」には変わりありませんのでこの先も楽しんでいただけたら嬉しいです(*´▽`*)
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