転生赤ちゃんカティは諜報活動しています そして鬼畜な父に溺愛されているようです

れもんぴーる

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カティ 存在意義を得心する

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「でもあいつらの財産は盗んできたものだから、お八つ代にできず・・・くたびれもうけだったの。イラついたので全員頭の真ん中だけ永遠に髪が生えない魔法をかけてきてやりました。あ、ちょっと生えるんだけど。まだらに。」
 この世界にない魔法を作り出すとんでもない力があるというのに、カティはカティだったなとエドヴァルドは思わず笑みを浮かべた。
 あまりにも強い魔獣と戦った後は、慣れないこともあり寝込むこともあった。そういう時は瞬間移動など出来ず、膨大な魔力を使うには心身ともに安定していることが大切だということも分かったとカティは言った。

「私、無敵になりました!だから迷惑かけるかもしれないけど・・・けど・・・ミンミもお師匠様もとう様も守ります!だから・・・側に・・・側にずっといてもいい?」
 無敵になったとは思えないほど、心細そうな顔をしてそう聞くカティにエドヴァルドは
「もちろんだ。お前が無力であっても側にいていい。そんなものは関係ない、カティがカティだから私の側にいればいい。」
 そう言ってカティの額にキスをした。
 カティは泣き声を押し殺すようにエドヴァルドにしがみついて泣いた。

「じいじ~!」
 カティは厩舎にミンミと歩いて行った。
「カティ様!」
「じいじ、げんき?」
「ええ、ありがとうございます。」
「じいじにお八つ。いっしょに食べる。」
「それはなりません。私は使用人でございますので。」
「いいの、とう様もいいって。」
 ミンミも頷く。初めはカティ誘拐犯の一味として、警戒していたが本当にカティを想い、今は使用人に徹しているところを見て警戒を解くようになった。
「では、ありがたくお受けいたします。」

 ミンミがお茶を入れるとカティはカバンから栗のお山を出した。
「じいじ、これおいしい。」
 一緒にテーブルに着くと元ハハト子爵はお礼を言いながら
「カティ様、屋敷内とはいえ以前の事がございます。護衛も一緒だとはいえ、エドヴァルド様がご一緒でないときはここへは来られませんよう。」
 カティの身を心配した。ここで襲撃を受けたことがあると聞いたようだ。
「だいじょうぶなの。」
「ですが・・・」
「エドヴァルド様も承知されておりますので心配はありません。」
 カティがエドヴァルドの結界に自分の結界を重ね掛けをした結果、これまでの数倍の力が発動した。屋敷の敷地内での心配はなくなったが、吹聴するわけもいかず一部の者しか知らない。

 カティは使用人の態度を崩さず、お八つを口にしない祖父に眉を下げた。
「じいじ、抱っこ。」
「ええ?!それは・・・ならないのです。カティ様、そのお言葉だけで私はもう幸せでございます。」
 元ハハト子爵は肩を落とす。嬉しいが、もうカティとは身内として接することは出来ない。エドヴァルドに存在を許してもらえた以上弁えないといけない。
 カティは椅子から滑り降りると、祖父の膝に登りついた。
「カ、カティ様!」
 そしてスプーンで掬った栗のお山を祖父の口に突っ込んだ。
「おいしい?」
「お、美味しいですが・・・いけません。」
「ちゃんと抱っこ。おっこちちゃう~。」
 わざとふらついて見せると、元ハハト子爵はやっとカティの身体に手をまわしてくれた。
 元ハハト子爵の目から涙が止まらない。
「はい、じいじ。いっぱいたべて。」
 スプーンで掬って何度も食べさせてくれる。
「じいじ・・・じいじ大好き。じいじはカティを好き?」
「もちろん・・・もちろんです!カティ様は私の一番大切な宝物です!」
 カティは涙をためると
「よかった・・・じいじ、ありがとう。」

 エドヴァルドはカティの魔法が発動できなかった原因を聞き、元ハハト子爵との交流を許すことにしたのだ。それでカティの精神が安定し、魔法の制御能力が上がるのなら、カティの身を守ることにつながる。
「お礼を言うのはこちらです、ありがとうございます。」
 元ハハト子爵はもう一度カティを抱きしめて、涙を落した。
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