45 / 98
連載
カティの真価
しおりを挟む
カティは久しぶりの至れり尽くせり生活に、酔いしれていた。
皆が甘やかしてくれ、お八つ食べ放題の後、ふわふわの布団にくるまれてぷかぷかお昼寝をしていた。
修行に出る前のように、うなされるようなことはもうなかった。
エドヴァルドは、カティを連れて地下室に来た。
「うわ~。地下室!すごい!」
そこは石で囲まれた広い部屋になっていた。他には何もない。
カティは楽しそうにトテトテと走りまわった。
「老師からおおよそは聞いたが、この世界にはない魔法が使えるようになったと聞いた。見せてくれるか?ここなら秘密は守られるし、思い切り力を出せるからな。」
「はい!」
魔法は魔力以外に感情や、適性、想像力を具体的に形にする能力など複数の要素が絡み合って発揮される。
そういう分野の物語に溢れている世界にいたカティは、この世界にはない属性に関係のない魔法を作り出すことが出来た。
カティは人差し指を立てて自分の鼻を左右にこすった。
同時に、カティの周りに透明な球形の膜が張ったのが見えた。
「これはバリアといいます。全方向対応防御壁です。これを広範囲に設定もできるの。」
そう言って、そのバリアの中にエドヴァルドもいれた。膜の内に入ったエドヴァルドは目を瞠った。
「・・・凄いな。我々の防御壁とはまた異なるものだな。」
「このまま水にも入れるの。」
「そうか・・・。」
エドヴァルドは大きく息を吐きだした。
「次ね!」
カティは、高い所にある窓枠に乗せてもらった。そしてふいにそこから飛び降りた。
エドヴァルドはヒヤリとしたが急に自分の胸に重さを感じて、何かを咄嗟に抱き留めた。
「!!」
「えへへへ。瞬間移動です!!」
そう言ってエドヴァルドに抱き着いた。
エドヴァルドはあまりにもの驚愕に珍しく胸が震えた。このような魔法など聞いたことはない。カティが見せる魔法はどの属性にも当てはまらず思いもよらないものばかりだ。
「前の世界の物語にはいっぱいあったの。転移っていうの。」
「お前は・・・」
ぎゅっとカティを抱きしめるとその額に口づけた。
(・・・。うん。まあ、もう慣れよ慣れ・・・)
「このような力を身につけるとは本当によく頑張ったな。もちろん、警備もするが、これでお前の身の安全は保障されたも同然だ。」
ホッとしたようにエドヴァルドは再び頭のてっぺんに何度もキスを落とす。
「・・・。で、でもすごく魔力を使うので、調子が悪い時は出来ませんっ!」
カティは頭のてっぺんキス連打が気になり、動揺する。
「体調でも崩したのか?」
「それはもう鬼のようなお師匠様ですから!こんな幼気な子供相手にですよ?!あのじじい、魔物と戦わせるんですよ?!具合も悪くなりますよ!」
皆が甘やかしてくれ、お八つ食べ放題の後、ふわふわの布団にくるまれてぷかぷかお昼寝をしていた。
修行に出る前のように、うなされるようなことはもうなかった。
エドヴァルドは、カティを連れて地下室に来た。
「うわ~。地下室!すごい!」
そこは石で囲まれた広い部屋になっていた。他には何もない。
カティは楽しそうにトテトテと走りまわった。
「老師からおおよそは聞いたが、この世界にはない魔法が使えるようになったと聞いた。見せてくれるか?ここなら秘密は守られるし、思い切り力を出せるからな。」
「はい!」
魔法は魔力以外に感情や、適性、想像力を具体的に形にする能力など複数の要素が絡み合って発揮される。
そういう分野の物語に溢れている世界にいたカティは、この世界にはない属性に関係のない魔法を作り出すことが出来た。
カティは人差し指を立てて自分の鼻を左右にこすった。
同時に、カティの周りに透明な球形の膜が張ったのが見えた。
「これはバリアといいます。全方向対応防御壁です。これを広範囲に設定もできるの。」
そう言って、そのバリアの中にエドヴァルドもいれた。膜の内に入ったエドヴァルドは目を瞠った。
「・・・凄いな。我々の防御壁とはまた異なるものだな。」
「このまま水にも入れるの。」
「そうか・・・。」
エドヴァルドは大きく息を吐きだした。
「次ね!」
カティは、高い所にある窓枠に乗せてもらった。そしてふいにそこから飛び降りた。
エドヴァルドはヒヤリとしたが急に自分の胸に重さを感じて、何かを咄嗟に抱き留めた。
「!!」
「えへへへ。瞬間移動です!!」
そう言ってエドヴァルドに抱き着いた。
エドヴァルドはあまりにもの驚愕に珍しく胸が震えた。このような魔法など聞いたことはない。カティが見せる魔法はどの属性にも当てはまらず思いもよらないものばかりだ。
「前の世界の物語にはいっぱいあったの。転移っていうの。」
「お前は・・・」
ぎゅっとカティを抱きしめるとその額に口づけた。
(・・・。うん。まあ、もう慣れよ慣れ・・・)
「このような力を身につけるとは本当によく頑張ったな。もちろん、警備もするが、これでお前の身の安全は保障されたも同然だ。」
ホッとしたようにエドヴァルドは再び頭のてっぺんに何度もキスを落とす。
「・・・。で、でもすごく魔力を使うので、調子が悪い時は出来ませんっ!」
カティは頭のてっぺんキス連打が気になり、動揺する。
「体調でも崩したのか?」
「それはもう鬼のようなお師匠様ですから!こんな幼気な子供相手にですよ?!あのじじい、魔物と戦わせるんですよ?!具合も悪くなりますよ!」
349
お気に入りに追加
8,091
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
【完結・全3話】不細工だと捨てられましたが、貴方の代わりに呪いを受けていました。もう代わりは辞めます。呪いの処理はご自身で!
酒本 アズサ
恋愛
「お前のような不細工な婚約者がいるなんて恥ずかしいんだよ。今頃婚約破棄の書状がお前の家に届いているだろうさ」
年頃の男女が集められた王家主催のお茶会でそう言ったのは、幼い頃からの婚約者セザール様。
確かに私は見た目がよくない、血色は悪く、肌も髪もかさついている上、目も落ちくぼんでみっともない。
だけどこれはあの日呪われたセザール様を助けたい一心で、身代わりになる魔導具を使った結果なのに。
当時は私に申し訳なさそうにしながらも感謝していたのに、時と共に忘れてしまわれたのですね。
結局婚約破棄されてしまった私は、抱き続けていた恋心と共に身代わりの魔導具も捨てます。
当然呪いは本来の標的に向かいますからね?
日に日に本来の美しさを取り戻す私とは対照的に、セザール様は……。
恩を忘れた愚かな婚約者には同情しません!
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。