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カティの真価

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 カティは久しぶりの至れり尽くせり生活に、酔いしれていた。
 皆が甘やかしてくれ、お八つ食べ放題の後、ふわふわの布団にくるまれてぷかぷかお昼寝をしていた。
 修行に出る前のように、うなされるようなことはもうなかった。

 エドヴァルドは、カティを連れて地下室に来た。
「うわ~。地下室!すごい!」
 そこは石で囲まれた広い部屋になっていた。他には何もない。
 カティは楽しそうにトテトテと走りまわった。
「老師からおおよそは聞いたが、この世界にはない魔法が使えるようになったと聞いた。見せてくれるか?ここなら秘密は守られるし、思い切り力を出せるからな。」
「はい!」
 魔法は魔力以外に感情や、適性、想像力を具体的に形にする能力など複数の要素が絡み合って発揮される。
 そういう分野の物語に溢れている世界にいたカティは、この世界にはない属性に関係のない魔法を作り出すことが出来た。

 カティは人差し指を立てて自分の鼻を左右にこすった。
 同時に、カティの周りに透明な球形の膜が張ったのが見えた。
「これはバリアといいます。全方向対応防御壁です。これを広範囲に設定もできるの。」
 そう言って、そのバリアの中にエドヴァルドもいれた。膜の内に入ったエドヴァルドは目を瞠った。
「・・・凄いな。我々の防御壁とはまた異なるものだな。」
「このまま水にも入れるの。」
「そうか・・・。」
 エドヴァルドは大きく息を吐きだした。
「次ね!」
 カティは、高い所にある窓枠に乗せてもらった。そしてふいにそこから飛び降りた。
 エドヴァルドはヒヤリとしたが急に自分の胸に重さを感じて、何かを咄嗟に抱き留めた。
「!!」
「えへへへ。瞬間移動です!!」
 そう言ってエドヴァルドに抱き着いた。

 エドヴァルドはあまりにもの驚愕に珍しく胸が震えた。このような魔法など聞いたことはない。カティが見せる魔法はどの属性にも当てはまらず思いもよらないものばかりだ。
「前の世界の物語にはいっぱいあったの。転移っていうの。」
「お前は・・・」
 ぎゅっとカティを抱きしめるとその額に口づけた。
(・・・。うん。まあ、もう慣れよ慣れ・・・)
「このような力を身につけるとは本当によく頑張ったな。もちろん、警備もするが、これでお前の身の安全は保障されたも同然だ。」
 ホッとしたようにエドヴァルドは再び頭のてっぺんに何度もキスを落とす。
「・・・。で、でもすごく魔力を使うので、調子が悪い時は出来ませんっ!」
 カティは頭のてっぺんキス連打が気になり、動揺する。
「体調でも崩したのか?」
「それはもう鬼のようなお師匠様ですから!こんな幼気な子供相手にですよ?!あのじじい、魔物と戦わせるんですよ?!具合も悪くなりますよ!」
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