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国王サイド
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「まだ、アンジェリーヌ嬢を殺そうとした犯人は見つからんのか!」
小さなころから何の反応も見せなかった娘のヴァランティーヌ。いつか必ず元気になってくれると思っていた娘はそのまま成人を迎えてしまった。もうあきらめていたところ、評判のミレーヌに歌を提供しているM.アッサンの話を聞いた。
縁戚のナリスの話を聞くと、M.アッサンは歌で公爵家騎士団の士気をあげてくれたそうだ。
国中にその名をとどろかせた歌が、せめて娘の慰めになるかと呼び寄せた。
それ以外の目的は何もなかった。まあ、自分も噂の歌を聞きたかったのは確かだったが。
それが、アンジェリーヌの姿を見たとたん、視線が動き手を伸ばした。そして歌を聞き、涙を流した愛娘。
恐れ多いと顔を真っ青にして断る令嬢に、今後も通ってくれるよう懇願した。
そして次の訪問を心待ちにしていたところ、アンジェリーヌ転落事件の報告があった。
悲しみに崩れた王妃を目にした国王は、直ちにこの事件を解決するよう騎士団に命じ、影も動かしたのだった。
それなのにいまだに何の情報も上がってこなかった。
何より、彼女の事情を聴くとアンヌとして狙われたのか、アンジェリーヌ嬢として狙われたのか、もしかしたらアッサンとしてなのかわからないのだ。
しかも、双方とも狙われるような理由はない。しいて言えば、アッサンだけは妬みや行き過ぎた愛情からなど動機は考えられるが、彼女がアッサンだと知る者はごくわずかであり、その中にアッサンに恨みを持つようなものはいなかった。
国王が、報告を聞いて何の進展もないことに落胆していた時、王妃付きの侍女が急いでやって来た。
「陛下、直ちにヴァランティーヌ王女の元へいらしてくださいませ!」
「ティーヌがどうした!?」
「奇跡が・・・奇跡が・・・」
侍女は動転しており涙を落としながら上手く言葉を紡げず、とにかく急いで王女の部屋へといざなうだけだった。
陛下は急ぎヴァランティーヌ王女の部屋へ飛び込んだ。
そこにはベッドに座った王女の身体を抱きしめて泣いている王妃の姿があった。
一体何があったのだと戸惑い、娘を見た国王は驚いた。
はにかむような笑顔の娘と目が合ったのだ。
「ティーヌ・・・」
国王は走り寄り、娘の手を取った。
「・・・あの・・・お父様、ご心配をお掛けして申し訳ありませんでした」
その言葉を聞いた国王も、恥も外聞もなく涙を落とし、娘の身体を強く抱きしめたのだった。
そして皆の感情がひとまず落ち着いた時、
「お父様・・・お願いがあります。」
「なんだ? なんでもいいなさい」
「・・・ロッシュ家のナリス様にお会いしたいのです。いつでもいいので・・・」
すると国王は驚いたように
「どうしてナリスの事を知っている? ずっとこれまでのこと分かっていたのか?」
反応がなかっただけで、全て理解していたのかと思ったのだ。
「そうではありませんが・・・」
困ったように俯いてしまったヴァランティーヌに、国王は慌てて
「いや、すまぬ。そのようなこと、これからゆっくりでよい、。まずはナリスだな」
「いえ、今でなくともいつでも・・・」
「いや、大丈夫だ。すぐに来させる」
「では・・・また変装して劇場に連れて行ってくださいと・・・伝言してもらえますか?」
意味の分からない伝言に困惑したような顔をした国王だったが、側近を呼ぶとすぐにナリスを登城させるように命じた。
小さなころから何の反応も見せなかった娘のヴァランティーヌ。いつか必ず元気になってくれると思っていた娘はそのまま成人を迎えてしまった。もうあきらめていたところ、評判のミレーヌに歌を提供しているM.アッサンの話を聞いた。
縁戚のナリスの話を聞くと、M.アッサンは歌で公爵家騎士団の士気をあげてくれたそうだ。
国中にその名をとどろかせた歌が、せめて娘の慰めになるかと呼び寄せた。
それ以外の目的は何もなかった。まあ、自分も噂の歌を聞きたかったのは確かだったが。
それが、アンジェリーヌの姿を見たとたん、視線が動き手を伸ばした。そして歌を聞き、涙を流した愛娘。
恐れ多いと顔を真っ青にして断る令嬢に、今後も通ってくれるよう懇願した。
そして次の訪問を心待ちにしていたところ、アンジェリーヌ転落事件の報告があった。
悲しみに崩れた王妃を目にした国王は、直ちにこの事件を解決するよう騎士団に命じ、影も動かしたのだった。
それなのにいまだに何の情報も上がってこなかった。
何より、彼女の事情を聴くとアンヌとして狙われたのか、アンジェリーヌ嬢として狙われたのか、もしかしたらアッサンとしてなのかわからないのだ。
しかも、双方とも狙われるような理由はない。しいて言えば、アッサンだけは妬みや行き過ぎた愛情からなど動機は考えられるが、彼女がアッサンだと知る者はごくわずかであり、その中にアッサンに恨みを持つようなものはいなかった。
国王が、報告を聞いて何の進展もないことに落胆していた時、王妃付きの侍女が急いでやって来た。
「陛下、直ちにヴァランティーヌ王女の元へいらしてくださいませ!」
「ティーヌがどうした!?」
「奇跡が・・・奇跡が・・・」
侍女は動転しており涙を落としながら上手く言葉を紡げず、とにかく急いで王女の部屋へといざなうだけだった。
陛下は急ぎヴァランティーヌ王女の部屋へ飛び込んだ。
そこにはベッドに座った王女の身体を抱きしめて泣いている王妃の姿があった。
一体何があったのだと戸惑い、娘を見た国王は驚いた。
はにかむような笑顔の娘と目が合ったのだ。
「ティーヌ・・・」
国王は走り寄り、娘の手を取った。
「・・・あの・・・お父様、ご心配をお掛けして申し訳ありませんでした」
その言葉を聞いた国王も、恥も外聞もなく涙を落とし、娘の身体を強く抱きしめたのだった。
そして皆の感情がひとまず落ち着いた時、
「お父様・・・お願いがあります。」
「なんだ? なんでもいいなさい」
「・・・ロッシュ家のナリス様にお会いしたいのです。いつでもいいので・・・」
すると国王は驚いたように
「どうしてナリスの事を知っている? ずっとこれまでのこと分かっていたのか?」
反応がなかっただけで、全て理解していたのかと思ったのだ。
「そうではありませんが・・・」
困ったように俯いてしまったヴァランティーヌに、国王は慌てて
「いや、すまぬ。そのようなこと、これからゆっくりでよい、。まずはナリスだな」
「いえ、今でなくともいつでも・・・」
「いや、大丈夫だ。すぐに来させる」
「では・・・また変装して劇場に連れて行ってくださいと・・・伝言してもらえますか?」
意味の分からない伝言に困惑したような顔をした国王だったが、側近を呼ぶとすぐにナリスを登城させるように命じた。
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