31 / 34
一肌脱いじゃう 7
しおりを挟む
朝になり、エヴェリーナの体調が良いことを確認するとステファンは王宮に戻った。
「ステファン!戻ってきてくれたか!」
「・・・。ムーラン嬢を拷問してでも吐かせましょう。本当は犯人など見てはいないのではないですか?」
「なんだ?いきなり。」
「あの女は信用なりません。もし何か話しても信頼できる情報とは思えないので。」
「どういうことだ?」
ステファンはあの令嬢がしでかしたことを報告した。
「・・・そうか。あの令嬢がそんなことを・・・夫人は大丈夫なのか?お前が帰ってから、お前にまとわりつかぬようきつく言い含めて、他のものに事情聴取を任せたがはかどらん。だが高位貴族に対する名誉棄損と虚偽、奥方を害した罪で罰する必要があるな。馬鹿な令嬢だ。」
「私に良い考えがあります。」
ステファンはある計画を伝えた。
「・・・お前の報復を兼ねた作戦にしか思えないのだがな。だが私も同じようなことを考えていたところだ。」
王太子はその作戦に乗ることにしたのだった。
「隣国のスパイが王宮にいる」
そう言う噂が王宮内を駆け巡った。
先日、侵入者と内通者との密会を目撃した下働きの子爵令嬢が王宮にて保護されている。
はっきりと顔を見た彼女は犯人探しに協力していると。
「殿下!一体どういうことですの?私の事が噂になっておりますわ。私が目撃者などと知られたら身が危ないではありませんか!」
ドリスが王太子に泣きつく。
「いや、本当にどこからバレたのかな。だが、君が茶会や個人の屋敷に王家の護衛を引き連れて出歩くから目立ったのだろう。子爵令嬢がなぜゆえにと、まあ皆が探りたくもなるだろう。」
そもそも、侵攻に備えた準備をしてる時点で相手はどこからか情報が漏れたと警戒していたはずだ。
そして今回の事でターゲットが誰か伝わった事だろう。
「私のせいというのですか?協力しているのに・・・」
「確かに君のおかげで隣国の人間とつながる内通者がいると判明した。感謝している。」
「だったら!もっと大切にしてください。ここにいては危険です。ステファン様のお屋敷に参ります!」
「だから護衛をつけて大切にしているじゃないか。さっさと犯人が分かれば身の危険は無くなる。もう一度王宮を隅から隅まで歩いて探してくれないか?前回は怖がってはっきりと確認できていなかっただろ?」
「そんな・・そんなのひどいです!犯人と顔を合わせたら危険じゃないですか。」
「出歩く暇があれば、さっさと犯人を捜してほしかったよ。そうすればこんなことになる前に犯人を見つけられたのだけどね。嫌なら仕方がないね、帰宅を認めるよ。」
「わ、私がいなければ内通者を見つけられません!」
「ここにいても見つけられないようだからね。役立たずにうちの大事な側近や護衛をつけるほど暇ではないんだ。役に立つところを見せてくれれば別だけどね。」
自分が目撃者だと広まった今、自宅に帰るなど死にに帰るようなものだ。
「一生懸命探します!ですからもう少しここに置いてくださいませ!」
「そう?まあ、いいけど。期限は後5日。よろしくね。」
形勢逆転してしまった。
自分の証言が必要とされる限り、大事にされるとばかり思っていた。実際にそうであったのに、自分は何かを間違ってしまったのだ。
こうなると命がけで内通者を探さねば自分の身が危うい。
ドリスは前回と違い、今回は必死で王宮内を歩き回り、見覚えのある顔や姿、声を探し歩いた。
それを冷ややかに見つめる目が二対あった。
「今日も駄目だった・・・どうしよう。」
ドリスは、だんだん自信がなくなってきていた。
会えばわかると思っていたが、騎士などみんな同じに見えてきた。背が高いしっかりした体格、月明りで金髪に見えた顔の整った男。そんな騎士は王宮にはごろごろいた。
「このままだと・・・殺されてしまう。」
護衛が外され、王宮から放り出されるとすぐに殺されるかもしれない。
「・・・そうだ。誰でもいいから犯人っていえば、真犯人は安心するわ、私の事ももうほっておいてくれるに違いない!」
ドリスは名案を思いついて、興奮した。
明日、生贄になる騎士を探せばいいと久々に元気を取り戻し、夕食を摂る元気が出た。だが一人ぼっちの夕食は味気がなかった。
以前はステファンや他の者が一緒に食事を摂ってくれていた。しかし、エヴェリーナへの言動がばれて以来、誰も話しかけてくれなくなった。食事も部屋に用意されるだけだ。
ため息をつきながらスプーンを取ろうとすると
「ん?」
スプーンに何か乗っているように見える。
「汚れ?え?きゃあ?!」
よく見るとトカゲが乗っていた。
叫び声をあげても誰も見にきてくれない。
襲われていたらどうするつもりだと苛立つが、トカゲをまずは追い払いたい。
トカゲはするっとスープ皿に近づくと、コクコクト数口のみ、今度は小さな口で肉に齧り付き、丁寧にナプキンで口元と手を拭くと、チロチロと舌を出してドリスを見た。
「誰か!誰か来て!」
その声に反応したように、トカゲはするすると床に降り、ドリスの方に近づいて来た。
「やだっ!こ、来ないでよ!」
ピタッとトカゲが歩みを止め、ドリスはほっとした。
瞬間、トカゲはどんどん巨大化し、ドリスを超える大きさになると、口をぱっくりと開けドリスの頭に齧り付いたのだった。
「ステファン!戻ってきてくれたか!」
「・・・。ムーラン嬢を拷問してでも吐かせましょう。本当は犯人など見てはいないのではないですか?」
「なんだ?いきなり。」
「あの女は信用なりません。もし何か話しても信頼できる情報とは思えないので。」
「どういうことだ?」
ステファンはあの令嬢がしでかしたことを報告した。
「・・・そうか。あの令嬢がそんなことを・・・夫人は大丈夫なのか?お前が帰ってから、お前にまとわりつかぬようきつく言い含めて、他のものに事情聴取を任せたがはかどらん。だが高位貴族に対する名誉棄損と虚偽、奥方を害した罪で罰する必要があるな。馬鹿な令嬢だ。」
「私に良い考えがあります。」
ステファンはある計画を伝えた。
「・・・お前の報復を兼ねた作戦にしか思えないのだがな。だが私も同じようなことを考えていたところだ。」
王太子はその作戦に乗ることにしたのだった。
「隣国のスパイが王宮にいる」
そう言う噂が王宮内を駆け巡った。
先日、侵入者と内通者との密会を目撃した下働きの子爵令嬢が王宮にて保護されている。
はっきりと顔を見た彼女は犯人探しに協力していると。
「殿下!一体どういうことですの?私の事が噂になっておりますわ。私が目撃者などと知られたら身が危ないではありませんか!」
ドリスが王太子に泣きつく。
「いや、本当にどこからバレたのかな。だが、君が茶会や個人の屋敷に王家の護衛を引き連れて出歩くから目立ったのだろう。子爵令嬢がなぜゆえにと、まあ皆が探りたくもなるだろう。」
そもそも、侵攻に備えた準備をしてる時点で相手はどこからか情報が漏れたと警戒していたはずだ。
そして今回の事でターゲットが誰か伝わった事だろう。
「私のせいというのですか?協力しているのに・・・」
「確かに君のおかげで隣国の人間とつながる内通者がいると判明した。感謝している。」
「だったら!もっと大切にしてください。ここにいては危険です。ステファン様のお屋敷に参ります!」
「だから護衛をつけて大切にしているじゃないか。さっさと犯人が分かれば身の危険は無くなる。もう一度王宮を隅から隅まで歩いて探してくれないか?前回は怖がってはっきりと確認できていなかっただろ?」
「そんな・・そんなのひどいです!犯人と顔を合わせたら危険じゃないですか。」
「出歩く暇があれば、さっさと犯人を捜してほしかったよ。そうすればこんなことになる前に犯人を見つけられたのだけどね。嫌なら仕方がないね、帰宅を認めるよ。」
「わ、私がいなければ内通者を見つけられません!」
「ここにいても見つけられないようだからね。役立たずにうちの大事な側近や護衛をつけるほど暇ではないんだ。役に立つところを見せてくれれば別だけどね。」
自分が目撃者だと広まった今、自宅に帰るなど死にに帰るようなものだ。
「一生懸命探します!ですからもう少しここに置いてくださいませ!」
「そう?まあ、いいけど。期限は後5日。よろしくね。」
形勢逆転してしまった。
自分の証言が必要とされる限り、大事にされるとばかり思っていた。実際にそうであったのに、自分は何かを間違ってしまったのだ。
こうなると命がけで内通者を探さねば自分の身が危うい。
ドリスは前回と違い、今回は必死で王宮内を歩き回り、見覚えのある顔や姿、声を探し歩いた。
それを冷ややかに見つめる目が二対あった。
「今日も駄目だった・・・どうしよう。」
ドリスは、だんだん自信がなくなってきていた。
会えばわかると思っていたが、騎士などみんな同じに見えてきた。背が高いしっかりした体格、月明りで金髪に見えた顔の整った男。そんな騎士は王宮にはごろごろいた。
「このままだと・・・殺されてしまう。」
護衛が外され、王宮から放り出されるとすぐに殺されるかもしれない。
「・・・そうだ。誰でもいいから犯人っていえば、真犯人は安心するわ、私の事ももうほっておいてくれるに違いない!」
ドリスは名案を思いついて、興奮した。
明日、生贄になる騎士を探せばいいと久々に元気を取り戻し、夕食を摂る元気が出た。だが一人ぼっちの夕食は味気がなかった。
以前はステファンや他の者が一緒に食事を摂ってくれていた。しかし、エヴェリーナへの言動がばれて以来、誰も話しかけてくれなくなった。食事も部屋に用意されるだけだ。
ため息をつきながらスプーンを取ろうとすると
「ん?」
スプーンに何か乗っているように見える。
「汚れ?え?きゃあ?!」
よく見るとトカゲが乗っていた。
叫び声をあげても誰も見にきてくれない。
襲われていたらどうするつもりだと苛立つが、トカゲをまずは追い払いたい。
トカゲはするっとスープ皿に近づくと、コクコクト数口のみ、今度は小さな口で肉に齧り付き、丁寧にナプキンで口元と手を拭くと、チロチロと舌を出してドリスを見た。
「誰か!誰か来て!」
その声に反応したように、トカゲはするすると床に降り、ドリスの方に近づいて来た。
「やだっ!こ、来ないでよ!」
ピタッとトカゲが歩みを止め、ドリスはほっとした。
瞬間、トカゲはどんどん巨大化し、ドリスを超える大きさになると、口をぱっくりと開けドリスの頭に齧り付いたのだった。
133
お気に入りに追加
2,416
あなたにおすすめの小説
呪われ侯爵のお嫁様★嫁いだら溺愛が始まるなんて聞いてない★
cyaru
恋愛
呪われ侯爵として有名なブレッドマン侯爵家のジンジャーの元に嫁ぐ事になったパプンキン子爵家のホリー。
ホリーの父親が賭け事をするのに借りた金が原因でホリーが嫁ぐ事になってしまった。
「すまない!」詫びる父にホリーは「謝ったところで父さんの涙と謝罪に銅貨1枚だって払ってくれる人はいないわ」と腹を括る。
このブレッドマン侯爵は王家も必要最低限しか王城に呼ばない悪魔に呪われた侯爵として有名で、公の場に出る時は仮面をつけている。素顔を見ると呪われると忌避されているのだが…。
生活の内情を知ってびっくり。ジンジャーの使ったものは全て廃棄していると言う。
ホリーの貧乏魂が叫ぶ。「捨てるなら、くれ!」
なのにジンジャーは「夫の使ったものを欲しがるとは」…「違ぁう!!」
ホリーは経費削減大作戦を展開しつつ、ジンジャーを見ても触れても呪いなんかないと皆に知ってもらうべく奮闘するのだが――
そして突然始まるスピンオフはジンジャー&ホリー夫婦が全力サポートする恋物語!!
(こちらのヒロインはケイトリン)
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★タグの①は本編、②はスピンオフ
★10月11日投稿開始、完結は10月14日です。
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません。
【完結】本当に私と結婚したいの?
横居花琉
恋愛
ウィリアム王子には公爵令嬢のセシリアという婚約者がいたが、彼はパメラという令嬢にご執心だった。
王命による婚約なのにセシリアとの結婚に乗り気でないことは明らかだった。
困ったセシリアは王妃に相談することにした。
政略結婚の約束すら守ってもらえませんでした。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「すまない、やっぱり君の事は抱けない」初夜のベットの中で、恋焦がれた初恋の人にそう言われてしまいました。私の心は砕け散ってしまいました。初恋の人が妹を愛していると知った時、妹が死んでしまって、政略結婚でいいから結婚して欲しいと言われた時、そして今。三度もの痛手に私の心は耐えられませんでした。
【完結】お前なんていらない。と言われましたので
高瀬船
恋愛
子爵令嬢であるアイーシャは、義母と義父、そして義妹によって子爵家で肩身の狭い毎日を送っていた。
辛い日々も、学園に入学するまで、婚約者のベルトルトと結婚するまで、と自分に言い聞かせていたある日。
義妹であるエリシャの部屋から楽しげに笑う自分の婚約者、ベルトルトの声が聞こえてきた。
【誤字報告を頂きありがとうございます!💦この場を借りてお礼申し上げます】
距離を置きましょう? やったー喜んで! 物理的にですけど、良いですよね?
hazuki.mikado
恋愛
婚約者が私と距離を置きたいらしい。
待ってましたッ! 喜んで!
なんなら物理的な距離でも良いですよ?
乗り気じゃない婚約をヒロインに押し付けて逃げる気満々の公爵令嬢は悪役令嬢でしかも転生者。
あれ? どうしてこうなった?
頑張って自身で断罪劇から逃げるつもりが自分の周りが強すぎてあっさり婚約は解消に?!
やった! 自由だと満喫するつもりが、隣りの家のお兄さんにあっさりつまずいて? でろでろに溺愛されちゃう中身アラサー女子のお話し。
更新は原則朝8時で頑張りますが、不定期になりがちです。ご了承ください(*- -)(*_ _)ペコリ
注! サブタイトルに※マークはセンシティブな内容が含まれますご注意ください。
⚠取扱説明事項〜⚠
異世界を舞台にしたファンタジー要素の強い恋愛絡みのお話ですので、史実を元にした身分制度や身分による常識等をこの作品に期待されてもご期待には全く沿えませんので予めご了承ください。成分不足の場合は他の作者様の作品での補給を強くオススメします。
作者は誤字脱字変換ミスと投稿ミスを繰り返すという老眼鏡とハズキルーペが手放せない(老)人です(~ ̄³ ̄)~マジでミスをやらかしますが生暖かく見守って頂けると有り難いです(_ _)お気に入り登録や動く栞、以前は無かった♡機能。そして有り難いことに動画の視聴。ついでに誤字脱字報告という皆様の愛(老人介護)がモチベアップの燃料です(人*´∀`)。
*゜+
途中モチベダウンを起こし、低迷しましたので感想は完結目途が付き次第返信させていただきます。ご了承ください。
皆様の愛を真摯に受け止めております(_ _)←多分。
9/18 HOT女性1位獲得シマシタ。応援ありがとうございますッヽ(*゚ー゚*)ノ
文字数が10万文字突破してしまいました(汗)
短編→長編に変更します(_ _)短編詐欺です申し訳ありませんッ(´;ω;`)ウッ…
【完結】悪女を押し付けられていた第一王女は、愛する公爵に処刑されて幸せを得る
甘海そら
恋愛
第一王女、メアリ・ブラントは悪女だった。
家族から、あらゆる悪事の責任を押し付けられればそうなった。
国王の政務の怠慢。
母と妹の浪費。
兄の女癖の悪さによる乱行。
王家の汚点の全てを押し付けられてきた。
そんな彼女はついに望むのだった。
「どうか死なせて」
応える者は確かにあった。
「メアリ・ブラント。貴様の罪、もはや死をもって以外あがなうことは出来んぞ」
幼年からの想い人であるキシオン・シュラネス。
公爵にして法務卿である彼に死を請われればメアリは笑みを浮かべる。
そして、3日後。
彼女は処刑された。
【完結済】恋の魔法が解けた時 ~ 理不尽な婚約破棄の後には、王太子殿下との幸せな結婚が待っていました ~
鳴宮野々花@初書籍発売中【二度婚約破棄】
恋愛
侯爵令嬢のクラリッサは、幼少の頃からの婚約者であるダリウスのことが大好きだった。優秀で勤勉なクラリッサはダリウスの苦手な分野をさり気なくフォローし、助けてきた。
しかし当のダリウスはクラリッサの細やかな心遣いや愛を顧みることもなく、フィールズ公爵家の長女アレイナに心を移してしまい、無情にもクラリッサを捨てる。
傷心のクラリッサは長い時間をかけてゆっくりと元の自分を取り戻し、ようやくダリウスへの恋の魔法が解けた。その時彼女のそばにいたのは、クラリッサと同じく婚約者を失ったエリオット王太子だった。
一方様々な困難を乗り越え、多くの人を傷付けてまでも真実の愛を手に入れたと思っていたアレイナ。やがてその浮かれきった恋の魔法から目覚めた時、そばにいたのは公爵令息の肩書きだけを持った無能な男ただ一人だった─────
※※作者独自の架空の世界のお話ですので、その点ご理解の上お読みいただけると嬉しいです。
※※こちらの作品はカクヨム、小説家になろうにも投稿しています。
私のことが大嫌いらしい婚約者に婚約破棄を告げてみた結果。
夢風 月
恋愛
カルディア王国公爵家令嬢シャルロットには7歳の時から婚約者がいたが、何故かその相手である第二王子から酷く嫌われていた。
顔を合わせれば睨まれ、嫌味を言われ、周囲の貴族達からは哀れみの目を向けられる日々。
我慢の限界を迎えたシャルロットは、両親と国王を脅……説得して、自分たちの婚約を解消させた。
そしてパーティーにて、いつものように冷たい態度をとる婚約者にこう言い放つ。
「私と殿下の婚約は解消されました。今までありがとうございました!」
そうして笑顔でパーティー会場を後にしたシャルロットだったが……次の日から何故か婚約を解消したはずのキースが家に押しかけてくるようになった。
「なんで今更元婚約者の私に会いに来るんですか!?」
「……好きだからだ」
「……はい?」
いろんな意味でたくましい公爵令嬢と、不器用すぎる王子との恋物語──。
※タグをよくご確認ください※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる