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エピローグ
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エルノー伯爵は、妻と離縁した。
二人の罪は軽微なものとして大きな刑罰は課せられなかった。しかし、悪質であり社交界にはもう顔を出せないだろう。
さすがの伯爵も薬を盛ってまで既成事実を作ろうとした二人には愛想も尽き果てた。
姉の婚約者に懸想し、これまで蝶よ花よとおだてられ、何でも思い通りになっていたテューネは当然婚約者も自分のものにできると思っていた。
しかも幸いなことにエヴェリーナが行方知れずになり、チャンスだと思っていたところにのこのこ戻ってきた。
そんなエヴェリーナに腹が立ち、力づくで奪ってやろうとしたらしい。
なぜ自分の娘をないがしろにしてしまったのだろう。
新しい家族が馴染むためと言いながら、新しい妻と美しい義理の娘が自分を頼ってきてくれることがうれしくて自分の娘よりも二人を優先した。二人の尊敬のまなざしが自尊心をくすぐり、自分が男として大きくなったように錯覚をしていたのだ。
エヴェリーナにそれを見透かされて馬鹿にされるのではないかと勝手に勘ぐって、彼女たちと仲良くし優越感に浸ることで自尊心を保った。
一度そうしてしまうと今度は後ろめたさからエヴェリーナとちゃんと向き合う事ができなくなった。
だけど、心の中ではずっと実の娘として大切には思っていたのだ。
自分が間違っていた、見る目がなくあんな親子を伯爵家に入れた自分が馬鹿だったのだ。
この間違いを正して、今度こそエヴェリーナと向き合いこれまでの分彼女を大切にしなければならない、伯爵はそう思った。
伯爵は罰金刑の罰金を手切れ金代わりとし、それ以外の財産は渡さず二人を離籍し、屋敷から追い出した。
そのうえでエヴェリーナに同居を求めたが、さっさと婚姻届けを提出し王家の許可を得たステファンが返すはずがなく、またエヴェリーナも望まなかった。
伯爵は広い屋敷で孤独に暮らすこととなった。
エヴェリーナとステファンは死ぬまでお互いを慈しみ、2男1女を授かり、幸せに暮らしたという。
二人の罪は軽微なものとして大きな刑罰は課せられなかった。しかし、悪質であり社交界にはもう顔を出せないだろう。
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しかも幸いなことにエヴェリーナが行方知れずになり、チャンスだと思っていたところにのこのこ戻ってきた。
そんなエヴェリーナに腹が立ち、力づくで奪ってやろうとしたらしい。
なぜ自分の娘をないがしろにしてしまったのだろう。
新しい家族が馴染むためと言いながら、新しい妻と美しい義理の娘が自分を頼ってきてくれることがうれしくて自分の娘よりも二人を優先した。二人の尊敬のまなざしが自尊心をくすぐり、自分が男として大きくなったように錯覚をしていたのだ。
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一度そうしてしまうと今度は後ろめたさからエヴェリーナとちゃんと向き合う事ができなくなった。
だけど、心の中ではずっと実の娘として大切には思っていたのだ。
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この間違いを正して、今度こそエヴェリーナと向き合いこれまでの分彼女を大切にしなければならない、伯爵はそう思った。
伯爵は罰金刑の罰金を手切れ金代わりとし、それ以外の財産は渡さず二人を離籍し、屋敷から追い出した。
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伯爵は広い屋敷で孤独に暮らすこととなった。
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