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溺愛が止まらない
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ふと目を覚ますと、横にステファンが寝そべりこちらを見ていた。
「ス、ステファン様、あの私・・」
「大丈夫?」
「は、はい。」
恥ずかしくて顔を見ることができない。
「こうなったらすぐ結婚しよう。帰ったらすぐだよ」
嬉しそうなステファンの声にどこかほっとする。
「でも…こんな私と婚姻を結ぶのはステファン様の迷惑になります。私があなたの側にいるわけには・・・」
このまま結婚しても、家出騒ぎで世間に迷惑をかけた妻をめとったと嘲笑されるのはステファンだろう。
ステファンとデュクロ家に迷惑はかけられない。
こうして愛された思い出とこの指輪を支えに生きていける気がする。
「まだ僕の思い伝わってなかったんだ」
そういって再びステファンはエヴェリーナを抱き寄せた。
先ほどより激しく、長く隅から隅まで余すことなく愛されてしまった。
ヨハンナとお別れの時、お互いに抱き合って別れを惜しんだ。
「必ずまた来るから!」
「はい。お会いできる日を楽しみにしています。」
「ラッシュに来ることがあれば必ず会いに来てね、約束よ。」
「もちろんです。婚約者様とお幸せに!」
ステファンとエヴェリーナ、そしてロイドは馬車でラッシュ国に向かって出発した。
「・・・おい、ステファン。お前は配慮というものがないのか。エヴェリーナ嬢が困っているだろう」
出発してからずっと馬車の中でぴたりとエヴェリーナにくっつき、その手を握っているのだ。
「え?リーナ。嫌?」
「え、ええ。長旅になりますし・・・少しゆったりとした方がお互い疲れないかと。」
「逆だよ!だからこうして英気を養うんじゃないか」
わざわざ指を絡めて手をつないでくる。あの後から、リーナと愛称で呼んでくるようになった。自分のこともスタンと呼んでほしいといわれているがまだ呼べない。
ロイドは呆れたような目でステファンを見た。
「ほんっとうに、お前大丈夫か?俺の知ってるステファンではないんだが。」
「何がだ?」
「すべてだ。あんなに仕事人間だったステファンが、人前でいちゃつくわ、束縛がひどいわ、執着気質だわ‥‥怖くてしょうがない。」
「え?普通だろ?大切なリーナとやっと会えたんだから。」
ラッシュ国までの2日間面倒くさいなあとロイドは思った。
エヴェリーナは半年ぶりにラッシュ国に帰国した。
ステファンとロイドは報告のため王宮に向かわなければならないといい、エヴェリーナを先にエルノー伯爵家に送ってくれると言った。
「街でおろしてください。・・・宿を探します。」
「・・・そう。とりあえず、じゃあ王宮に一緒に向かおう」
「ええ?それは困ります。ステファン様達はお仕事ですから」
「側近は昼も夜もなく殿下の側にいることが多いから、王宮に部屋をいただいているんだ。そこで待っててくれたらいいよ。どこよりも安全安心だから。」
「でも、一般人の私が王宮に足を踏み入れるなんてことはできませんわ。危機管理上の問題があります」
「君はもう僕の妻だから」
エヴェリーナは顔を赤くしてうつむいてしまった。
「いいだろ?ロイド。」
「仕方がないだろうな。反対するとまた仕事を辞めようとするだろう。エヴェリーナ嬢、我々のためにも一緒に王宮に来ていただけませんか?」
そうして、ほぼ強引に王宮の一室に連れていかれた。
ステファンの部屋はすっきりと整理整頓されていた。
仕事をするための机と休憩するためのソファー、あとは眠るためのベッドがあるだけの簡素な部屋だった。ここで休んで、いつでも殿下の呼び出しに応えられるように備えるのだろう。
ステファンは何か勘違いしていたようだが、仕事が忙しくて会う機会が少なかったから嫌になったわけではない。
仕事の大変さは理解しているし、仕事に対するステファンの姿勢は尊敬している。
アルビンの事件でも、ラッシュ国を守るために奔走していた。
そういえば、何がきっかけでアルビンに目を付けたのだろう?ずっとお世話になっていた自分は全く気が付かなかったというのに。
(優秀な方なんですね・・・ステファン様は)
「ス、ステファン様、あの私・・」
「大丈夫?」
「は、はい。」
恥ずかしくて顔を見ることができない。
「こうなったらすぐ結婚しよう。帰ったらすぐだよ」
嬉しそうなステファンの声にどこかほっとする。
「でも…こんな私と婚姻を結ぶのはステファン様の迷惑になります。私があなたの側にいるわけには・・・」
このまま結婚しても、家出騒ぎで世間に迷惑をかけた妻をめとったと嘲笑されるのはステファンだろう。
ステファンとデュクロ家に迷惑はかけられない。
こうして愛された思い出とこの指輪を支えに生きていける気がする。
「まだ僕の思い伝わってなかったんだ」
そういって再びステファンはエヴェリーナを抱き寄せた。
先ほどより激しく、長く隅から隅まで余すことなく愛されてしまった。
ヨハンナとお別れの時、お互いに抱き合って別れを惜しんだ。
「必ずまた来るから!」
「はい。お会いできる日を楽しみにしています。」
「ラッシュに来ることがあれば必ず会いに来てね、約束よ。」
「もちろんです。婚約者様とお幸せに!」
ステファンとエヴェリーナ、そしてロイドは馬車でラッシュ国に向かって出発した。
「・・・おい、ステファン。お前は配慮というものがないのか。エヴェリーナ嬢が困っているだろう」
出発してからずっと馬車の中でぴたりとエヴェリーナにくっつき、その手を握っているのだ。
「え?リーナ。嫌?」
「え、ええ。長旅になりますし・・・少しゆったりとした方がお互い疲れないかと。」
「逆だよ!だからこうして英気を養うんじゃないか」
わざわざ指を絡めて手をつないでくる。あの後から、リーナと愛称で呼んでくるようになった。自分のこともスタンと呼んでほしいといわれているがまだ呼べない。
ロイドは呆れたような目でステファンを見た。
「ほんっとうに、お前大丈夫か?俺の知ってるステファンではないんだが。」
「何がだ?」
「すべてだ。あんなに仕事人間だったステファンが、人前でいちゃつくわ、束縛がひどいわ、執着気質だわ‥‥怖くてしょうがない。」
「え?普通だろ?大切なリーナとやっと会えたんだから。」
ラッシュ国までの2日間面倒くさいなあとロイドは思った。
エヴェリーナは半年ぶりにラッシュ国に帰国した。
ステファンとロイドは報告のため王宮に向かわなければならないといい、エヴェリーナを先にエルノー伯爵家に送ってくれると言った。
「街でおろしてください。・・・宿を探します。」
「・・・そう。とりあえず、じゃあ王宮に一緒に向かおう」
「ええ?それは困ります。ステファン様達はお仕事ですから」
「側近は昼も夜もなく殿下の側にいることが多いから、王宮に部屋をいただいているんだ。そこで待っててくれたらいいよ。どこよりも安全安心だから。」
「でも、一般人の私が王宮に足を踏み入れるなんてことはできませんわ。危機管理上の問題があります」
「君はもう僕の妻だから」
エヴェリーナは顔を赤くしてうつむいてしまった。
「いいだろ?ロイド。」
「仕方がないだろうな。反対するとまた仕事を辞めようとするだろう。エヴェリーナ嬢、我々のためにも一緒に王宮に来ていただけませんか?」
そうして、ほぼ強引に王宮の一室に連れていかれた。
ステファンの部屋はすっきりと整理整頓されていた。
仕事をするための机と休憩するためのソファー、あとは眠るためのベッドがあるだけの簡素な部屋だった。ここで休んで、いつでも殿下の呼び出しに応えられるように備えるのだろう。
ステファンは何か勘違いしていたようだが、仕事が忙しくて会う機会が少なかったから嫌になったわけではない。
仕事の大変さは理解しているし、仕事に対するステファンの姿勢は尊敬している。
アルビンの事件でも、ラッシュ国を守るために奔走していた。
そういえば、何がきっかけでアルビンに目を付けたのだろう?ずっとお世話になっていた自分は全く気が付かなかったというのに。
(優秀な方なんですね・・・ステファン様は)
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