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竜の山
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「うわ~素敵ね!すごい迫力だわ。これなら竜がすんでいるといわれても納得しちゃう」
憧れの竜の山のふもとまで無事やってきたエヴェリーナは高くそびえ立つ険しい山を見上げて感嘆の声を上げた。草木は生えず、岩でできた山のふもとには森が深く広がっている。その少し手前に、街があり観光客相手の宿や喫茶店やレストランが軒を連ね、そのどこからも竜の山が見られるようになっている。
そのうちの一つに宿をとった。その部屋から見える景色の素晴らしさに感動していた。眺めている間に竜が現れたらどうしよう!と興奮していたらノックの音が聞こえてきた。
「エヴェリーナ様、やはり山に登るのは不可能だそうですよ。森でさえ迷うし、獣も出没するため危険だそうです。観光用に少しだけは入れる区域があるそうですが」
同行を頼んだ女性護衛ヨハンナが聞いてきてくれた。彼女は有能で、護衛としてだけでなく、ささっと先を読んで必要なことを調べたり準備をしてくれる。いい人に出会えてよかったと思った、長旅で嫌な人間と一緒になるのは旅が台無しになってしまう。本当は前回の人生でも来たことがあったから知っていたのだけれど。
「そう、ありがとう。明日は森の方に行ってみましょうか。今日はこのままゆっくりするので、あなたも休んでくださいね。今日はありがとうございました」
「では失礼いたします。」
ヨハンナの方も、いちいちお礼を言うエヴェリーナに好感を抱いていた。いくら金で雇われているからといって横柄な態度や使用人代わりに使われると気分がいいものではない。この令嬢は所作から見て貴族っぽいのに、護衛の自分にも丁寧な態度で接してくれる。こちらも色々と配慮したくなるというものだ。
次の日から、森や街を散策した。憧れの竜の山を前に、何を見ても興奮してしまい、ヨハンナと二人で楽しい時を過ごした。何日かそうして過ごし、最後にもう一度森に入りたいと二人で入森許可区域に出向いた。
布を敷いて、買ってきたパンやおやつをつまみながら山を見上げた。
「あ~あ、もうお別れなのね。竜に会えなかった~」
と嘆いた。ヨハンナは笑いながら
「残念でしたね。でもとても楽しかったです、護衛させていただけて光栄でした。」
「私もヨハンナさんに同行してもらってよかったです、お友達と旅をしているようでとても楽しかったですよ。私、ここに来るまで人にお世話になりっぱなしで一人で何もできなかったのですが、ヨハンナさんと一緒にここまで来れて少し自信が付きました。」
そんな話を楽しんでいると突風が吹き、シートが捲れ上がった。それとともにその上にのせてた紅茶やお菓子も飛ばされとんでしまった。
「最後に大変なことになってしまったわ。宿で借りたカップが割れてしまったわね。せっかく竜の絵がかいてある素敵なカップだったのに」
木の根っこの方に飛んでいったカップのかけらを拾い集めたが、その木の根っこの陰に干からびたトカゲがおり、紅茶がかかったのには気が付かなかった。
旅を終えたら、アルビンさんのところは辞めることに決めた。あのままお世話になってしまうとアルビンさんにも悪いし、勘違いする人が出て、彼の婚姻の邪魔になってしまうだろう。今回の旅を経て、こちらで観光案内や通訳ができるなとおおよその目途もついた。なんだか晴れ晴れとした気分で帰途に就いた。
憧れの竜の山のふもとまで無事やってきたエヴェリーナは高くそびえ立つ険しい山を見上げて感嘆の声を上げた。草木は生えず、岩でできた山のふもとには森が深く広がっている。その少し手前に、街があり観光客相手の宿や喫茶店やレストランが軒を連ね、そのどこからも竜の山が見られるようになっている。
そのうちの一つに宿をとった。その部屋から見える景色の素晴らしさに感動していた。眺めている間に竜が現れたらどうしよう!と興奮していたらノックの音が聞こえてきた。
「エヴェリーナ様、やはり山に登るのは不可能だそうですよ。森でさえ迷うし、獣も出没するため危険だそうです。観光用に少しだけは入れる区域があるそうですが」
同行を頼んだ女性護衛ヨハンナが聞いてきてくれた。彼女は有能で、護衛としてだけでなく、ささっと先を読んで必要なことを調べたり準備をしてくれる。いい人に出会えてよかったと思った、長旅で嫌な人間と一緒になるのは旅が台無しになってしまう。本当は前回の人生でも来たことがあったから知っていたのだけれど。
「そう、ありがとう。明日は森の方に行ってみましょうか。今日はこのままゆっくりするので、あなたも休んでくださいね。今日はありがとうございました」
「では失礼いたします。」
ヨハンナの方も、いちいちお礼を言うエヴェリーナに好感を抱いていた。いくら金で雇われているからといって横柄な態度や使用人代わりに使われると気分がいいものではない。この令嬢は所作から見て貴族っぽいのに、護衛の自分にも丁寧な態度で接してくれる。こちらも色々と配慮したくなるというものだ。
次の日から、森や街を散策した。憧れの竜の山を前に、何を見ても興奮してしまい、ヨハンナと二人で楽しい時を過ごした。何日かそうして過ごし、最後にもう一度森に入りたいと二人で入森許可区域に出向いた。
布を敷いて、買ってきたパンやおやつをつまみながら山を見上げた。
「あ~あ、もうお別れなのね。竜に会えなかった~」
と嘆いた。ヨハンナは笑いながら
「残念でしたね。でもとても楽しかったです、護衛させていただけて光栄でした。」
「私もヨハンナさんに同行してもらってよかったです、お友達と旅をしているようでとても楽しかったですよ。私、ここに来るまで人にお世話になりっぱなしで一人で何もできなかったのですが、ヨハンナさんと一緒にここまで来れて少し自信が付きました。」
そんな話を楽しんでいると突風が吹き、シートが捲れ上がった。それとともにその上にのせてた紅茶やお菓子も飛ばされとんでしまった。
「最後に大変なことになってしまったわ。宿で借りたカップが割れてしまったわね。せっかく竜の絵がかいてある素敵なカップだったのに」
木の根っこの方に飛んでいったカップのかけらを拾い集めたが、その木の根っこの陰に干からびたトカゲがおり、紅茶がかかったのには気が付かなかった。
旅を終えたら、アルビンさんのところは辞めることに決めた。あのままお世話になってしまうとアルビンさんにも悪いし、勘違いする人が出て、彼の婚姻の邪魔になってしまうだろう。今回の旅を経て、こちらで観光案内や通訳ができるなとおおよその目途もついた。なんだか晴れ晴れとした気分で帰途に就いた。
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