私の婚約者はちょろいのか、バカなのか、やさしいのか

れもんぴーる

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エミリアの告白

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 両家から結婚の許しを得る頃が出来たエミリアたちは、後日改めてアルテオ国で婚姻届けを出し、夫婦としてレイノー国に移住することにした。
 エミリアは書類のみで済ませるつもりであったが、ヨハンと両親が結婚式をすると聞かず、思ったよりも盛大な式をすることになった。
 ヴィンセントにも手紙で報告し、祝福の言葉を貰った。
 今回の結婚で一番気にかかっていたのはヴィンセントの事だった。それでも彼は心から祝福してくれて、式にも参列してくれるという。その手紙に涙していると、不安そうなヨハンが室内をうろうろしている。
「ヨハン様、ヴィンセント・・・ヴィンセントお兄様がヨハン様に妹をよろしくと。」
 そう言って手紙ごと見せた。
 
 そしてヴィンセントの事はもう呼び捨てにするのはやめた。かといって「様」という関係でもない。二人の関係をはっきり示すようお兄様と呼ぶことにした。
 ヨハンは、人の手紙を見るだなんて・・そうですか?と言いながらおずおず手紙を読み、安心したように
「任せて下さいと式の時にお伝えします!」
 そう言って笑ってくれた。それでもどこかその笑いには影がある。
 ああ、そうだ。とエミリアは気が付いた。

「・・・ヨハン様。」
「・・・はい。」
「あの・・・私はヨハン様の事をお慕いしております。一緒に仕事しているうちに特別な人になったのです。ですから・・・一生お側においてください。」
 真っ赤になってヨハンに告白をした。
 ヨハンに告白をされて、お願いしますと言いはしたが、エミリアがヨハンに好きだと伝えたことはなかった。
 もしかしたらヨハンは、エミリアがいまだヴィンセントの事を好きだと不安なのかもしれないと思い至ったのだ。

 急な告白に、幻聴か?!夢か?と若干魂をとばしかけたヨハンだったが、すぐに我に返るとおずおずとエミリアの身体を抱きしめた。
「嬉しいです。一生僕の側にいてください。もう逃がしませんから・・・」
「え?」
「え?」
 最後が小声で聞き取れなかったが嬉しそうに自分を抱きしめてくれるヨハンに、きちんと伝えてよかったと思った。

それからエミリアはもう一つ大切なことをヨハンに伝えるのを忘れていた。
「ヨハン様、もう一つお詫びをしないといけないことがあります。婚姻前にお話ししないのは騙すことになってしまいますので・・・もし許せないと思われたらそうおっしゃってください。」
 エミリアは少しうつむいてそう言った。
「なんでしょう?何を聞いても僕がエミリア様との結婚を辞めることはありませんよ。」
「実は・・・私傷ものなのです。ですから・・・申し訳なくて。」
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