死を見る令嬢は義弟に困惑しています

れもんぴーる

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王子の暗殺劇 3

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「陛下、まさかの事実が発覚いたしました。フローラ妃を拘束してもよろしいでしょうか。」
「お兄様!待ってください!そんなのその男が言ってるだけですわ!それこそ濡れ衣です!お母さまがそんなことをするはずがありません!だって、だって何の得もありませんもの!それにルーフェも狙われたのですよ?自分の息子を殺そうとするはずがないではありませんか!ね?お父様!」
「ソフィー、お前は私のたった一人の可愛い娘だ。ほかの王子たちよりもかわいがってきた。甘やかしすぎたのか?それともフローラから洗脳でもされたか?それとも良かれと思って結んだ婚約のせいか?・・・残念だ。」
「お、お父さま?」

 国王が号令をかけると騎士達はソフィーを拘束し、その隣にいたはずの婚約者のアラン皇子をドアの近くで拘束した。
「何をする!私を誰だと思っている!こんなことをしてただで済むと思うな!戦争をお望みか?!」
「宣戦布告ならもう受け取っておるわ!ずいぶんなめられたものだな!」
 国王はアランのそばに立つと力いっぱい殴りつけた。
「父上!いや、陛下。人前で殴ってはいけません。」
 エリックは冷静に止めに入る。人前でなかったら存分にどうぞというように。

「私だって人の子だ。我が子を殺されそうになったのだ、許せるはずがないだろう。ヘンリーとアレクシアまで陥れて殺そうとするとはな!」
と、今度は足でアランの腹にけりを入れた。
「・・・私が何をしたというのだ!」
 エリックは体に悪いですからと、興奮状態の国王を下がらせた。
「アラン皇子、あなたが我が国を乗っ取ろうと私の暗殺を企て、その罪を兄上に擦り付けようとしたことはもうわかっているんですよ。第3王子のルーフェを王につけて傀儡にするつもりで。ご丁寧にルーフェに弱い毒まで盛って。いや、しかし全部わかっていて見る茶番は面白かったですよ、吹き出すのを我慢するのに苦労しましたよ。」
 あははと場違いに笑うエリックにイライラしたようにアランは睨む。

「この国では何の証拠もないのにこんなことが許されるのか。」
「証拠ねえ。なぜ、僕が今日の茶番を知っていたと思いますか?すべてを知っていたからこそ先手を打てたんですよ。」
「・・・」
「まあ、ご不満でしょうから。教えて差し上げましょうか。ヨゼフ君、こちらへ」
「なんだと?!」
 アランは従者のヨゼフを見た。
 真っ青な顔でおどおどした様子でヨゼフは前に出てきた。
「お前!!」
「も、申し訳ありません!私の・・・私の婚約者が人質に!」
「人質なんて人聞きの悪い。ただ、せっかくヨゼフ君がこの国に来られているのだから君名義の手紙でこちらにご招待しただけじゃないですか。大切におもてなしさせていただいておりますよ」
「貴様!それが王族のすることか!」
「やれやれ、あなたやフローラ妃がカインの家族にしたこととは違いますよ。カインに言うことを聞かなければ殺すと脅迫し、どうせことが終わればカインともども家族ごとやるつもりだったんでしょう。」

 それを聞いてカインは再び暴れようとするもその目は絶望に染まっていた。

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