8 / 21
ユマ視点
しおりを挟む
お母様が亡くなってから、ずいぶんと経ち、ようやく私は笑えるようになった。
毎日バーバラお母様がユマの側にいて優しく抱きしめ続けてくれたから。
悲しいと泣いていると一緒に眠ってくれる。元気が出るようにとリボンで髪を結ってくれたり、お話をしたり、一緒に遊んでくれたから。
お母様が亡くなった時、すぐにバーバラお母様は駆けつけてくれて、ずっと優しく寄り添ってくれた。
冷たいお爺様たちの仕打ちにもひどく傷ついていた私はバーバラお母様のおかげでなんとか乗り越えることができた。
だからお父様もバーバラお母様とオレノがこの屋敷で一緒に暮らすことを認めてくれた。そしてオレノをエーベル家の籍に入れ、正式に私の弟にしてくれたの。だからバーバラお母様もお母様になるのかと思っていた。
それなのにお父様は急にバーバラお母様に冷たくなった。
バーバラお母様が出て行くと言った時も、ずっといて欲しいとお父様にお願いをしたの。
お父様は、バーバラお母様を屋敷においてくれたけど、どれだけ願っても本当のお母様にはしてくれなかった。
私の本当のお母様は亡くなったお母様だけだからって。
それを伝えると、バーバラお母様は、「当然よ」って寂しそうに笑っていたの。
私の側にいられるだけで幸せだから「大丈夫」と言ってくれた。
本当のお母様に会えなくなって寂しくて悲しくて辛くてたまらないけど、いつかバーバラお母様が本当のお母様になってくれたらいいなあと思ってるの。
そうじゃないといつ私のそばからいなくなっちゃうかわからないから。
だから私は堂々とバーバラお母様と呼んでいるのだけど、使用人たちはバーバラお母様の事をお客様と呼ぶの。仕方がない時はバーバラ様と呼んでいるけど、本当は名前を呼ぶのも嫌みたい。
悲しそうに大丈夫よ、というバーバラお母様が可哀想。
それにこの家の後継者となるオレノが来たことでさえ誰も喜ばなかった。
この家に忠誠を誓い、エーベル家の繁栄、継続の為に心血を注いでいる執事でさえも。
それなのにお父様はそんな使用人を注意しないの。
だから私が二人の味方になってあげなくちゃいけないと思って頑張ってる。
お母様が亡くなってから本当に使用人たちは冷たくなった。やめていった人もたくさんいた。
バーバラお母様やオレノにだけじゃない。私にもとても冷たくなった。
どうしてお母様がいなくなった可哀そうな私にどうして皆冷たくするんだろう。
みんなひどいと思う。
確かにお母様はバーバラお母様の事を知って悲しんでいたけど……でも貴族の結婚ってそんなものだとバーバラお母様は言ってた。
愛人や他に子供がいるのはあたりまえだって。愛人の子を引き取って育てる妻もいるし、第二夫人として堂々と表に出る人もいる。でも、自分たちはお母様を傷つけないよういつまでも日陰にいるつもりだったと言っていたのに。
お母様も、それを知ったら仲良くできたかもしれないのに。そしたらみんな仲良く暮らせたかもしれないのに。
皆でいれば、お母様が一人になってメイドなんかに殺されることもなく今でも私の側にいてくれたはずなのに。
私はお母さまに会いたくて仕方がなかった。
毎日バーバラお母様がユマの側にいて優しく抱きしめ続けてくれたから。
悲しいと泣いていると一緒に眠ってくれる。元気が出るようにとリボンで髪を結ってくれたり、お話をしたり、一緒に遊んでくれたから。
お母様が亡くなった時、すぐにバーバラお母様は駆けつけてくれて、ずっと優しく寄り添ってくれた。
冷たいお爺様たちの仕打ちにもひどく傷ついていた私はバーバラお母様のおかげでなんとか乗り越えることができた。
だからお父様もバーバラお母様とオレノがこの屋敷で一緒に暮らすことを認めてくれた。そしてオレノをエーベル家の籍に入れ、正式に私の弟にしてくれたの。だからバーバラお母様もお母様になるのかと思っていた。
それなのにお父様は急にバーバラお母様に冷たくなった。
バーバラお母様が出て行くと言った時も、ずっといて欲しいとお父様にお願いをしたの。
お父様は、バーバラお母様を屋敷においてくれたけど、どれだけ願っても本当のお母様にはしてくれなかった。
私の本当のお母様は亡くなったお母様だけだからって。
それを伝えると、バーバラお母様は、「当然よ」って寂しそうに笑っていたの。
私の側にいられるだけで幸せだから「大丈夫」と言ってくれた。
本当のお母様に会えなくなって寂しくて悲しくて辛くてたまらないけど、いつかバーバラお母様が本当のお母様になってくれたらいいなあと思ってるの。
そうじゃないといつ私のそばからいなくなっちゃうかわからないから。
だから私は堂々とバーバラお母様と呼んでいるのだけど、使用人たちはバーバラお母様の事をお客様と呼ぶの。仕方がない時はバーバラ様と呼んでいるけど、本当は名前を呼ぶのも嫌みたい。
悲しそうに大丈夫よ、というバーバラお母様が可哀想。
それにこの家の後継者となるオレノが来たことでさえ誰も喜ばなかった。
この家に忠誠を誓い、エーベル家の繁栄、継続の為に心血を注いでいる執事でさえも。
それなのにお父様はそんな使用人を注意しないの。
だから私が二人の味方になってあげなくちゃいけないと思って頑張ってる。
お母様が亡くなってから本当に使用人たちは冷たくなった。やめていった人もたくさんいた。
バーバラお母様やオレノにだけじゃない。私にもとても冷たくなった。
どうしてお母様がいなくなった可哀そうな私にどうして皆冷たくするんだろう。
みんなひどいと思う。
確かにお母様はバーバラお母様の事を知って悲しんでいたけど……でも貴族の結婚ってそんなものだとバーバラお母様は言ってた。
愛人や他に子供がいるのはあたりまえだって。愛人の子を引き取って育てる妻もいるし、第二夫人として堂々と表に出る人もいる。でも、自分たちはお母様を傷つけないよういつまでも日陰にいるつもりだったと言っていたのに。
お母様も、それを知ったら仲良くできたかもしれないのに。そしたらみんな仲良く暮らせたかもしれないのに。
皆でいれば、お母様が一人になってメイドなんかに殺されることもなく今でも私の側にいてくれたはずなのに。
私はお母さまに会いたくて仕方がなかった。
1,324
お気に入りに追加
3,262
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
嘘をありがとう
七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」
おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。
「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」
妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。
「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
元婚約者が愛おしい
碧桜 汐香
恋愛
いつも笑顔で支えてくれた婚約者アマリルがいるのに、相談もなく海外留学を決めたフラン王子。
留学先の隣国で、平民リーシャに惹かれていく。
フラン王子の親友であり、大国の王子であるステファン王子が止めるも、アマリルを捨て、リーシャと婚約する。
リーシャの本性や様々な者の策略を知ったフラン王子。アマリルのことを思い出して後悔するが、もう遅かったのだった。
フラン王子目線の物語です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】真実の愛だと称賛され、二人は別れられなくなりました
紫崎 藍華
恋愛
ヘレンは婚約者のティルソンから、面白みのない女だと言われて婚約解消を告げられた。
ティルソンは幼馴染のカトリーナが本命だったのだ。
ティルソンとカトリーナの愛は真実の愛だと貴族たちは賞賛した。
貴族たちにとって二人が真実の愛を貫くのか、それとも破滅へ向かうのか、面白ければどちらでも良かった。
婚約者の幼馴染?それが何か?
仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた
「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」
目の前にいる私の事はガン無視である
「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」
リカルドにそう言われたマリサは
「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」
ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・
「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」
「そんな!リカルド酷い!」
マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している
この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ
タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」
「まってくれタバサ!誤解なんだ」
リカルドを置いて、タバサは席を立った
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】ええと?あなたはどなたでしたか?
ここ
恋愛
アリサの婚約者ミゲルは、婚約のときから、平凡なアリサが気に入らなかった。
アリサはそれに気づいていたが、政略結婚に逆らえない。
15歳と16歳になった2人。ミゲルには恋人ができていた。マーシャという綺麗な令嬢だ。邪魔なアリサにこわい思いをさせて、婚約解消をねらうが、事態は思わぬ方向に。
お飾り王妃の愛と献身
石河 翠
恋愛
エスターは、お飾りの王妃だ。初夜どころか結婚式もない、王国存続の生贄のような結婚は、父親である宰相によって調えられた。国王は身分の低い平民に溺れ、公務を放棄している。
けれどエスターは白い結婚を隠しもせずに、王の代わりに執務を続けている。彼女にとって大切なものは国であり、夫の愛情など必要としていなかったのだ。
ところがある日、暗愚だが無害だった国王の独断により、隣国への侵攻が始まる。それをきっかけに国内では革命が起き……。
国のために恋を捨て、人生を捧げてきたヒロインと、王妃を密かに愛し、彼女を手に入れるために国を変えることを決意した一途なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:24963620)をお借りしております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる