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第三章 アリア
第1話 婚約破棄
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「アリア、お前との婚約を破棄する。俺は真実の愛を見つけた。お前の様な悪女は、俺様に相応しく無い。俺はフローレンス・イフリート嬢と婚約する。お前が嫌がらせをしていた令嬢だ。」
「オーホッホッホッ。アリアさん。お気の毒ね。ベイスターンは私を愛してくれたみたいですわ。」
新入生歓迎会のパーティ。皇族、貴族、留学生等、帝国中央学院の生徒、関係者が集まる中で大声で、ベイスターン王子は大声で私に婚約破棄を突きつけた。
「どうした?声も出ないか?悪徳令嬢が。」
私は呆れた顔で、ゆっくり答えた。
「ベイスターン王子、お久しぶりですわ、お手紙もお返事頂けず、帝都との行き来でお寄り頂くこともなく、お顔すら忘れるところでしたわ。」
ベイスターン王子は、悪びれることなく。
「何故、俺がお前の為に手間をかけなきゃいけない。公爵の孫程度のお前に、王子たる俺がそんな手間をかける価値がどこにあるんだ。この、フローレンスの様に愛らしいなら別だがな。」
「アリアさんあなたに、そんな価値無いのよ。可愛く生まれなかった罪ね。オーホッホッホッ。」
「そうだな、可愛いぞ、フローレンス。お前は、可愛いからこんな悪徳令嬢に嫌がらせされるんだね。」
金髪ドリルのフローレンス嬢の髪を撫でながら、ベイスターン王子は、睨みつけてきた。
「ベイスターン王子、色々お伝えしないといけないことはありますが、嫌がらせって、学院に居ない私がどうやって。」
「そんなの、潜り込んでやったんじゃないのか?」
そもそも、帝国中央学院の警備は、厳重で潜り込めると思っているんだろうか?周り警備の人達が恐ろしい顔で睨みつけている。ベイスターン王子には見えて無いだろが。話を変えないと、
「潜りこむって、私先週までセイレーンにおりまして、あと、イフリート公爵令嬢とは初対面なんですが。はじめましてイフリート公爵令嬢、ご機嫌よう。ではなさそうですが。」
「はー?何故帝国貴族が帝都におらぬ。嘘を言うな嘘を。」
「そーよ。帝都で優雅に過ごしてないのよ。」
と、騒いでいる。
「と言われましても、領地持ち貴族は、帝国中央学院に入学するまでは、親元で生活するのが慣わしです。父は、祖父に代わりセイレーンの統治をしているので、セイレーンの学院で過ごしておりましたが。」
「領地の管理なんて、代官に任せておけば良いのよ。そんな部下も育てられないの。プププ。」
「そうだぞ。人が育っていないセイレーンとは、我が王国として付き合いを考えないといけないな。ガハハハハ。」
大半の貴族は、代官でなく家族、後継者が居れば後継者に領地を治めさせ、当主は帝都で政治を行うのが慣わしとなっている。多くの貴族を敵に回す発言に、引き攣った顔をしている貴族が多い。
「お考えは、分かりましたわ。バルザック王から、お祖父様が頼まれ、皇帝陛下のご指示もあって、王子との婚約を決めましたが、こんなご無体な言われ様、当家としても甘受出来ませんわ。手続きは必要ですが、婚約破棄を受け入れましょう。」
「そうか、わかった。」
「良かったですわね。ベイスターン様。よく泣かないわね、アリアさん。オーホッホッホッ。」
ここまでバカにされて受け入れましたが、帝国4大貴族の一角であるセイレーンだけでなく、皇帝陛下に逆らうことの意味が分かってられるのでしょうかこの人達は。
「ところで、婚約破棄の手続きですが、バルザック王国王子殿下、イフリート公爵令嬢、持参金の返金と、賠償金は、帝室に書類を提出するまでに必要となりますので、早めにお支払い下さい。」
「は?何を言っている?」
「当然ご存知かと思いますが、貴族や皇族、王族の婚約、結婚は契約でなされます。ベイスターンバルザック王国王子殿下と私の婚約では、持参金として、10億ゴールドお支払いしております。婚約を破棄する場合、破棄を求める者が動画の賠償金を支払えば成立知ることになっておりますので、持参金を含め20億ゴールドお支払い頂ければ、こんな場所で宣言されなくとも婚約破棄は出来ることとなっております。」
ベイスターン王子は私の説明に憮然とした顔をした。
「何故、アリアにそんな大枚を支払わなければならない?ふざけるな。」
「そうよそうよ。」
フローレンスの、怒った顔に、
「イフリート公爵家が持参金代わりにお支払い頂けても結構ですよ。」
「何ですの~。」
2人の騒ぎ様に、イフリート公爵家に近い貴族ですら、遠目から見ている。この人達は、貴族としての常識が無いらしい。結婚しなくてよかった。とりあえず、面倒だから、この場を去ろうか?
「では、これ以上は流石にパーティに参加されている方にご迷惑なので、私は帰りますね。お祖父様にご報告も必要ですので、」
「待て、アリア。」
「なんですの?バルザック王国王子殿下。」
ベイスターン殿下は、まだ気が済まないという顔をしている。
「アリア。お前の嫌がらせへの弾劾が残っているぞ。」
「そうですわよ。アリアさん。」
「先程言った通り、私は、イフリート公爵令嬢とは、今日初めてお会いしたので、そもそも嫌がらせしようがありません。あと、バルザック王国王子殿下も、イフリート公爵令嬢も、私をアリアとお呼びになるのはお辞めください。ファーストネームで呼ぶのは、家族か、親友等近しい人か、大きく格下の者を呼ぶ時に使うものです。婚約を破棄した状況で、セイレーン次期公爵の娘を呼ぶのにファーストネームで呼ぶのは、セイレーン公爵家を格下と思ってお思いか?」
「王家より、公爵家が格下なのは当然でないか。」
「格下かどうかはともかく、私は知ってるわよ、セイレーンの次期公爵様は大病を患っているとか?あなたは間も無く次期公爵の娘では無くなるわよ。」
フローレンスさんも、流石に格下と呼ばれたことは誤魔化しにきたが、大病って?
「はい?イフリート公爵令嬢。私は、先週までセイレーンにおりましたが、働きすぎではありますが、元気でしたわよ。」
「そんな嘘を、流石嘘つき悪徳令嬢だわ。セイレーンの冒険者が、セイレーン公爵家系クランの依頼でレッドドラゴンの肝を取りに来たのよ。地図だけで2億6千万ゴールド出したとか。普通に考えたら、次期公爵が死にかけているとしか考えらませんわ。」
「あー。私のクランだわ。私のクランの冒険者が意識不明だから、それに効くポーションを作るために、うちの冒険者が動いているんだわ。」
「嘘つき。冒険者のためにそんなお金を。」
「多分、予算内だったから、支払ったんじゃ?」
「予算内って、なんなの。」
「えーっと、予算と決算が来るだけだから、わからないけど、利益はもっと出てる筈だから。」
「なっなんなの?」
2人は一瞬唖然とした顔浮かべたが、私をやり込めない苛立ちに耐えきれなくなったベイスターン王子が、
「でも、まあ、セイレーンで反乱が起きてるらしいから、今頃生きてるか。」
と、叫んだ。会場が騒然となった。
「えっ、どう言うことですか?何故、私も知らないことを。」
「いや、あの、噂で、」
「ベイスターン様、そう言えば、行かなければいけないところがございましたわね。行きますわよ。アリアさん、また今度。」
「いや、」
私の話を聞かずに、そそくさと、2人は会場から消えていった。入れ替わりに、セイレーン公爵家と懇意にしている貴族、丸ハゲ侯爵こと、リバケット帝国騎士団副団長が、私に近づいてきた。
「お嬢様、お疲れ様でした、と言うか不幸中の幸いでしたな、あんなバカ王子にお嬢様は勿体ない。」
「リバケット侯。すいません。私が不甲斐なく。」
「それより、最後の。」
「はい。すぐにお祖父様にご報告、ご相談に戻ります。」
「それがよろしいでしょう。」
リバケット侯は、パチンと指を鳴らし、
「ハーベイ、リッチ。お嬢様をセイレーン公爵邸まで護衛を、ハーベイは、セイレーン公爵家の方から、現在掴めている情報を、リッチは、連絡将校としてセイレーン公爵家に残り後で送る連絡兵を使って情報連携をはかれ。ロッチ、お前は、先程の話を全て書類に起こし、今日中に各所に報告書を回せ。バース、即刻帝国参謀会議を招集しろ。さあいけ。」
「「「「はっ」」」」
リバケット侯の部下達は、散っていった。
「皆様、お騒がせしました。挨拶はまたの機会に。」
そうやって私は、護衛を受けながら、パーティ会場を後にした。
「オーホッホッホッ。アリアさん。お気の毒ね。ベイスターンは私を愛してくれたみたいですわ。」
新入生歓迎会のパーティ。皇族、貴族、留学生等、帝国中央学院の生徒、関係者が集まる中で大声で、ベイスターン王子は大声で私に婚約破棄を突きつけた。
「どうした?声も出ないか?悪徳令嬢が。」
私は呆れた顔で、ゆっくり答えた。
「ベイスターン王子、お久しぶりですわ、お手紙もお返事頂けず、帝都との行き来でお寄り頂くこともなく、お顔すら忘れるところでしたわ。」
ベイスターン王子は、悪びれることなく。
「何故、俺がお前の為に手間をかけなきゃいけない。公爵の孫程度のお前に、王子たる俺がそんな手間をかける価値がどこにあるんだ。この、フローレンスの様に愛らしいなら別だがな。」
「アリアさんあなたに、そんな価値無いのよ。可愛く生まれなかった罪ね。オーホッホッホッ。」
「そうだな、可愛いぞ、フローレンス。お前は、可愛いからこんな悪徳令嬢に嫌がらせされるんだね。」
金髪ドリルのフローレンス嬢の髪を撫でながら、ベイスターン王子は、睨みつけてきた。
「ベイスターン王子、色々お伝えしないといけないことはありますが、嫌がらせって、学院に居ない私がどうやって。」
「そんなの、潜り込んでやったんじゃないのか?」
そもそも、帝国中央学院の警備は、厳重で潜り込めると思っているんだろうか?周り警備の人達が恐ろしい顔で睨みつけている。ベイスターン王子には見えて無いだろが。話を変えないと、
「潜りこむって、私先週までセイレーンにおりまして、あと、イフリート公爵令嬢とは初対面なんですが。はじめましてイフリート公爵令嬢、ご機嫌よう。ではなさそうですが。」
「はー?何故帝国貴族が帝都におらぬ。嘘を言うな嘘を。」
「そーよ。帝都で優雅に過ごしてないのよ。」
と、騒いでいる。
「と言われましても、領地持ち貴族は、帝国中央学院に入学するまでは、親元で生活するのが慣わしです。父は、祖父に代わりセイレーンの統治をしているので、セイレーンの学院で過ごしておりましたが。」
「領地の管理なんて、代官に任せておけば良いのよ。そんな部下も育てられないの。プププ。」
「そうだぞ。人が育っていないセイレーンとは、我が王国として付き合いを考えないといけないな。ガハハハハ。」
大半の貴族は、代官でなく家族、後継者が居れば後継者に領地を治めさせ、当主は帝都で政治を行うのが慣わしとなっている。多くの貴族を敵に回す発言に、引き攣った顔をしている貴族が多い。
「お考えは、分かりましたわ。バルザック王から、お祖父様が頼まれ、皇帝陛下のご指示もあって、王子との婚約を決めましたが、こんなご無体な言われ様、当家としても甘受出来ませんわ。手続きは必要ですが、婚約破棄を受け入れましょう。」
「そうか、わかった。」
「良かったですわね。ベイスターン様。よく泣かないわね、アリアさん。オーホッホッホッ。」
ここまでバカにされて受け入れましたが、帝国4大貴族の一角であるセイレーンだけでなく、皇帝陛下に逆らうことの意味が分かってられるのでしょうかこの人達は。
「ところで、婚約破棄の手続きですが、バルザック王国王子殿下、イフリート公爵令嬢、持参金の返金と、賠償金は、帝室に書類を提出するまでに必要となりますので、早めにお支払い下さい。」
「は?何を言っている?」
「当然ご存知かと思いますが、貴族や皇族、王族の婚約、結婚は契約でなされます。ベイスターンバルザック王国王子殿下と私の婚約では、持参金として、10億ゴールドお支払いしております。婚約を破棄する場合、破棄を求める者が動画の賠償金を支払えば成立知ることになっておりますので、持参金を含め20億ゴールドお支払い頂ければ、こんな場所で宣言されなくとも婚約破棄は出来ることとなっております。」
ベイスターン王子は私の説明に憮然とした顔をした。
「何故、アリアにそんな大枚を支払わなければならない?ふざけるな。」
「そうよそうよ。」
フローレンスの、怒った顔に、
「イフリート公爵家が持参金代わりにお支払い頂けても結構ですよ。」
「何ですの~。」
2人の騒ぎ様に、イフリート公爵家に近い貴族ですら、遠目から見ている。この人達は、貴族としての常識が無いらしい。結婚しなくてよかった。とりあえず、面倒だから、この場を去ろうか?
「では、これ以上は流石にパーティに参加されている方にご迷惑なので、私は帰りますね。お祖父様にご報告も必要ですので、」
「待て、アリア。」
「なんですの?バルザック王国王子殿下。」
ベイスターン殿下は、まだ気が済まないという顔をしている。
「アリア。お前の嫌がらせへの弾劾が残っているぞ。」
「そうですわよ。アリアさん。」
「先程言った通り、私は、イフリート公爵令嬢とは、今日初めてお会いしたので、そもそも嫌がらせしようがありません。あと、バルザック王国王子殿下も、イフリート公爵令嬢も、私をアリアとお呼びになるのはお辞めください。ファーストネームで呼ぶのは、家族か、親友等近しい人か、大きく格下の者を呼ぶ時に使うものです。婚約を破棄した状況で、セイレーン次期公爵の娘を呼ぶのにファーストネームで呼ぶのは、セイレーン公爵家を格下と思ってお思いか?」
「王家より、公爵家が格下なのは当然でないか。」
「格下かどうかはともかく、私は知ってるわよ、セイレーンの次期公爵様は大病を患っているとか?あなたは間も無く次期公爵の娘では無くなるわよ。」
フローレンスさんも、流石に格下と呼ばれたことは誤魔化しにきたが、大病って?
「はい?イフリート公爵令嬢。私は、先週までセイレーンにおりましたが、働きすぎではありますが、元気でしたわよ。」
「そんな嘘を、流石嘘つき悪徳令嬢だわ。セイレーンの冒険者が、セイレーン公爵家系クランの依頼でレッドドラゴンの肝を取りに来たのよ。地図だけで2億6千万ゴールド出したとか。普通に考えたら、次期公爵が死にかけているとしか考えらませんわ。」
「あー。私のクランだわ。私のクランの冒険者が意識不明だから、それに効くポーションを作るために、うちの冒険者が動いているんだわ。」
「嘘つき。冒険者のためにそんなお金を。」
「多分、予算内だったから、支払ったんじゃ?」
「予算内って、なんなの。」
「えーっと、予算と決算が来るだけだから、わからないけど、利益はもっと出てる筈だから。」
「なっなんなの?」
2人は一瞬唖然とした顔浮かべたが、私をやり込めない苛立ちに耐えきれなくなったベイスターン王子が、
「でも、まあ、セイレーンで反乱が起きてるらしいから、今頃生きてるか。」
と、叫んだ。会場が騒然となった。
「えっ、どう言うことですか?何故、私も知らないことを。」
「いや、あの、噂で、」
「ベイスターン様、そう言えば、行かなければいけないところがございましたわね。行きますわよ。アリアさん、また今度。」
「いや、」
私の話を聞かずに、そそくさと、2人は会場から消えていった。入れ替わりに、セイレーン公爵家と懇意にしている貴族、丸ハゲ侯爵こと、リバケット帝国騎士団副団長が、私に近づいてきた。
「お嬢様、お疲れ様でした、と言うか不幸中の幸いでしたな、あんなバカ王子にお嬢様は勿体ない。」
「リバケット侯。すいません。私が不甲斐なく。」
「それより、最後の。」
「はい。すぐにお祖父様にご報告、ご相談に戻ります。」
「それがよろしいでしょう。」
リバケット侯は、パチンと指を鳴らし、
「ハーベイ、リッチ。お嬢様をセイレーン公爵邸まで護衛を、ハーベイは、セイレーン公爵家の方から、現在掴めている情報を、リッチは、連絡将校としてセイレーン公爵家に残り後で送る連絡兵を使って情報連携をはかれ。ロッチ、お前は、先程の話を全て書類に起こし、今日中に各所に報告書を回せ。バース、即刻帝国参謀会議を招集しろ。さあいけ。」
「「「「はっ」」」」
リバケット侯の部下達は、散っていった。
「皆様、お騒がせしました。挨拶はまたの機会に。」
そうやって私は、護衛を受けながら、パーティ会場を後にした。
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