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~避難民防衛編 第2章~
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[王族としての責務]
「おっほぉ~。ま~たロメリアちゃんが何か言い始めたぞ~?」
ヴァスティーソがロメリアをおちょくるように言葉を発すると、ナターシャがヴァスティーソの横腹を肘でどついて黙らせる。ヴァスティーソは『おぉ・・・今のは効いた・・・』と呟きながらその場に蹲った。
ルーストがロメリアに対して静かに質問をする。
「・・・ロメリアさんがグリュンバルド大陸に行きたいのは・・・元々同胞だった国民達を守りたいからですか?」
「・・・うん。」
ロメリアがゆっくりと頷くと、ルーストは溜息をついて彼女に言葉を続ける。
「成程・・・貴女の気持ちは良く分かりました。・・・でも貴女がサンセットフィートへ行って・・・何が出来ますか?たった1人の娘が・・・それも『もう』王族ではない只の女が・・・ぱっと出ていったところで皆が混乱するだけじゃないんですか?」
「・・・」
「もう貴女には何も権限は無い。私兵を率いる力も・・・民を従える権力は無い。誰もロメリアさんの話を聞いてくれないかもしれない・・・それどころか、何らかの逆恨みで殺されるかもしれない。向こうにいる人々の中には貴女が生きているせいでこの事態が起こったのだと言っている愚か者もいるという情報が入っていますよ?・・・それでも、彼らの下に行くつもりですか?」
ルーストが子供を諭すような優しい声でロメリアに話しかけると、ロメリアはその場に顔を俯けた。フォルト達の周囲が慌ただしくなっている中、ロメリアの周りだけ静寂に包まれていた。
しばしの沈黙の後、ロメリアが俯きながら声を発した。
「・・・確かに、私が言ったところで皆が話を聞いてくれるか分からない・・・いや、聞いてくれない可能性の方がずっと高いのは明らかだよね。それに向こうに行ったところで足手纏いにしかならないかもしれない・・・そして向こうに行けば命を狙われる・・・ここに居た方が安全って言うことは言わなくても分かるよ・・・」
ロメリアはそう言うと、円卓の上に広げられている地図に顔を向けた。ロメリアは地図の上に無造作に散らばっている報告書に視線を向ける。
「そこにある資料によると、今現場は非常に混乱している・・・指揮するべきフォルエンシュテュール家の人達は全員いなくて、誰が指揮をしているのか分からない状況だということ・・・誰かが先頭に立ってあげないと、皆が迷ってしまう・・・」
「・・・」
「私はもう王族じゃない・・・何の権限も無い、ただの娘。偉そうに説教する生意気な女だよ。・・・でも私は・・・自分が王族として生まれてきた時に授かった『責務』をここで全うしないといけないって思うの!『身分』は失っても、民を導くという『責務』は例え平民になっても果たさなければいけないと思うから!」
「だがその責務を果たすには『権力』が必要だよ?権力なき者には誰も従わない・・・そんな中、君はどう務めを果たすつもりだい?」
ルーストの言葉を受けたロメリアはルーストの方を真っ直ぐ見つめて断言した。
「そんなの決まってるッ・・・何度でも・・・皆が話を聞いてくれるまで何度でも声高々に訴えるんだよ!私の言う事を聞いてくれるまで!」
「・・・」
「おぉ・・・何というゴリ押し・・・清々しい程の脳筋思想だぁ・・・」
「もはや論理性皆無の方法だな。」
「多分それじゃあ・・・誰も話・・・聞いてくれないと・・・思います・・・」
「でももうこれしか無いよ!混乱を収めるには『今唯一安否が分かっているフォルエンシュテュール家の者』が行かないと!万が一皆が私の言う事を聞いてくれたら・・・この混乱を収められるかもしれないから!」
ロメリアがルースト達へと必死に訴える。ルースト達はロメリアに顔を背けて考えを巡らせていた。
そんな中、フォルトがロメリアの傍に近づいて話しかける。
「・・・僕はロメリアの意見に乗るよ。ロメリアがグリュンバルド大陸へ行くって言うのなら、僕も行く。」
「フォルトッ・・・!・・・ありがとう・・・」
ロメリアが嬉しそうに微笑んだ。フォルトがロメリアの方を向きながらそう告げると、ガーヴェラが話しかけてくる。
「正気か、フォルト?ロメリアが言っていることは何の根拠も無いんだぞ?向こうに行ったところで役に立てるか分からないんだ・・・」
「でもゼロじゃない。僅かでも混乱を押さえられる可能性があるのなら、僕はそれに賭けたい。」
「・・・」
「後ロメリアは貴族達にはあまり良く思われていないけど、庶民達には良い印象があると思うから案外この作戦上手くいくと思うよ?それにこんな脳筋な説得方法、ロメリアにはぴったりじゃん?」
フォルトがロメリアに対して鼻で笑うと、ロメリアは少し顔を引きつった。シャーロット達もフォルトの発言に少し小馬鹿にするようにほくそ笑む。
「ねぇ、フォルト・・・私の事ちょっと馬鹿にしてない?脳筋って・・・」
「?別に馬鹿にしてないけど?だってロメリアって猪突猛進なところあるじゃん?計画を思いついたらすぐに行動するような点とか・・・」
「うっ!」
「それにあんまり深く考えるの得意じゃないでしょ?だから皆が話を聞いてくれるまで説得するなんて脳筋丸出しな考えが出てくる訳で・・・」
「ううっ!ひ・・・否定出来ないのが・・・辛いっ!」
ロメリアが胸元に手を当てて、言葉を失っているとフォルト達の周りで大きな笑いが発生した。ロメリアは周りを見渡しながら『えへへ・・・』と何処か納得のいかない神妙な顔をしながら笑みを浮かべた。
ルーストは右手を口元に当てて頬を緩ませていると、フォルトとロメリアの方に向かって話しかけた。
「分かったよ、ロメリアさん。グリュンバルド大陸での避難民の誘導は貴女に任せていいかな?」
「っ、はい!」
「よし、なら私から君に親書を渡しておこう。この親書を持ってさえいれば、現地において古都軍の指揮が取れるのと同時に、私達の権力を発揮することが出来るだろう。一時的だが、君の身分を王族と同程度にすることで逆らう者を減らすことが出来る筈だ。・・・この親書を持っているロメリアさんを攻撃すれば、我々古都の王族に手を出したのも当然だからね。」
ルーストは懐から出した親書をロメリアに手渡すと、ロメリアは会釈をして羽織の懐に親書を忍ばせた。ルーストはロメリアが親書をしまうと、言葉を続ける。
「準備を整えたらバリストに声をかけてくれ。彼が転送魔術でロメリアさん達をサンセットフィート港へと送るよ。」
「分かりました!」
「因みにロメリアさんと行くのは・・・フォルト君だけかい?他の皆は?」
ルーストがフォルトとロメリアの後ろにいるシャーロット達に問いかけると、ケストレルとシャーロットが前に出る。
「俺も行く。こいつら2人だと危なっかしくて見てらんねぇしな。・・・それに、勝手に死なれても困る。」
「私も・・・フォルトとロメリアに付いて行きます。2人の力に・・・なりたいから・・・」
ケストレルとシャーロットがフォルトとロメリアの傍に近づいたのを見ると、ルーストはフォルト達を微笑ましく見つめた。
「・・・頼りになる仲間達が傍にいてくれて心強いですね?」
「はい!」
ロメリアが元気よく返事をすると、彼女はケストレルとシャーロットに対して微笑んだ。ケストレルは少し恥ずかしそうに顔を背けて、シャーロットも少し恥ずかしがりながらロメリアとフォルトに対して笑みを浮かべた。
するとその時、ヴァスティーソがケストレルとシャーロットの肩に手を置いて、間に入ってきた。
「俺も行くぅ~!ロメリアちゃんに付いて行くぅ~!」
「おいオッサン、人の体に勝手に触るんじゃねぇ!」
ヴァスティーソがケストレル達に絡んでいると、ナターシャがヴァスティーソに話しかける。
「叔父様!貴方は親衛部隊を率いるという大切な仕事が・・・」
「それはウィンブルがいるから大~丈~夫!あいつがいれば俺が何処かに行ってても何とかなるから!」
「何とかなるからって・・・また勝手に・・・」
「なぁルースト!俺も付いて行っていいだろ?」
「・・・どうせ止めても聞かないんだろう?・・・分かったヴァスティーソ大隊長、貴方がロメリアさん達に同行することを許可する。」
「あっり~!」
「ちょっとお父様!」
「ヴァスティーソ大隊長がロメリアさん達についていてくれれば、戦力的に申し分ない。有事の際には何とか打開してくれるだろう。こちらから余分な増援を出す必要もなく、守りに専念できる。」
「・・・知りませんわよ、どうなっても。」
ナターシャが体の前で腕を組んで顔をヴァスティーソ達から背けると、ヴァスティーソがガーヴェラに話しかける。
「ガーヴェラちゃんもどう⁉一緒に来ない?」
「私はここで遠征部隊の指揮を執らねばならんのでな・・・悪いが、付いて行くことは出来ん。・・・ロメリア、悪いな。本当はお前達に付いて行きたかったが・・・」
「ううん、仕方ないよ、ガーヴェラ・・・でもちゃんと皆無事で戻って来るから!待っててね!」
「ああ、分かっているよ。・・・フォルト、お姉ちゃんを守るんだぞ?」
ガーヴェラはフォルトに微笑んで呟いた。フォルトはガーヴェラの顔を見てはっきりと一度頷く。
フォルト達がルーストの方を振り向くと、彼は手を合わせて話しかける。
「・・・では、早速支度に入ってくれ・・・と言いたいところだったが・・・」
「何だよ、ルースト。何かあんのか?」
「ああ、1つ大事なようを思い出した。・・・君がシャーロットちゃんだね?」
ルーストの視線がフォルトの横にいるシャーロットに向けられた。シャーロットは少し警戒しながらも小さく頷くと、言葉を続ける。
「少し前にね、君に会いたいっていう人が古都にやって来たんだ。話に夢中になって会議が終わったら会わせてあげる約束をしていたのをつい忘れてしまう所だった・・・今から会わせるよ。おい、『彼女達』をお呼びしろ。」
「『達』?1人じゃないん・・・ですか?」
「ああ、そうだよ。」
ルーストに指示を受けた兵士が謁見の間を出て暫くすると、再びその兵士が謁見の間に入ってきた。再び入ってきた兵士の後ろにはフォルトとロメリア、ケストレルも見覚えのある女性2人がおり、2人共白の首元と手首にフリルのついたブラウスに黒のコルセット、腰から足のラインがはっきりと分かる黒のスキニーパンツに深紅色のブーツを履いている。ブラウスもコルセットで強く縛られているせいか体のラインがはっきりと視認でき、豊満な胸の形もくっきりしている。
その女性達がシャーロットを見つけると、大声で叫んだ。
「おっほぉ~。ま~たロメリアちゃんが何か言い始めたぞ~?」
ヴァスティーソがロメリアをおちょくるように言葉を発すると、ナターシャがヴァスティーソの横腹を肘でどついて黙らせる。ヴァスティーソは『おぉ・・・今のは効いた・・・』と呟きながらその場に蹲った。
ルーストがロメリアに対して静かに質問をする。
「・・・ロメリアさんがグリュンバルド大陸に行きたいのは・・・元々同胞だった国民達を守りたいからですか?」
「・・・うん。」
ロメリアがゆっくりと頷くと、ルーストは溜息をついて彼女に言葉を続ける。
「成程・・・貴女の気持ちは良く分かりました。・・・でも貴女がサンセットフィートへ行って・・・何が出来ますか?たった1人の娘が・・・それも『もう』王族ではない只の女が・・・ぱっと出ていったところで皆が混乱するだけじゃないんですか?」
「・・・」
「もう貴女には何も権限は無い。私兵を率いる力も・・・民を従える権力は無い。誰もロメリアさんの話を聞いてくれないかもしれない・・・それどころか、何らかの逆恨みで殺されるかもしれない。向こうにいる人々の中には貴女が生きているせいでこの事態が起こったのだと言っている愚か者もいるという情報が入っていますよ?・・・それでも、彼らの下に行くつもりですか?」
ルーストが子供を諭すような優しい声でロメリアに話しかけると、ロメリアはその場に顔を俯けた。フォルト達の周囲が慌ただしくなっている中、ロメリアの周りだけ静寂に包まれていた。
しばしの沈黙の後、ロメリアが俯きながら声を発した。
「・・・確かに、私が言ったところで皆が話を聞いてくれるか分からない・・・いや、聞いてくれない可能性の方がずっと高いのは明らかだよね。それに向こうに行ったところで足手纏いにしかならないかもしれない・・・そして向こうに行けば命を狙われる・・・ここに居た方が安全って言うことは言わなくても分かるよ・・・」
ロメリアはそう言うと、円卓の上に広げられている地図に顔を向けた。ロメリアは地図の上に無造作に散らばっている報告書に視線を向ける。
「そこにある資料によると、今現場は非常に混乱している・・・指揮するべきフォルエンシュテュール家の人達は全員いなくて、誰が指揮をしているのか分からない状況だということ・・・誰かが先頭に立ってあげないと、皆が迷ってしまう・・・」
「・・・」
「私はもう王族じゃない・・・何の権限も無い、ただの娘。偉そうに説教する生意気な女だよ。・・・でも私は・・・自分が王族として生まれてきた時に授かった『責務』をここで全うしないといけないって思うの!『身分』は失っても、民を導くという『責務』は例え平民になっても果たさなければいけないと思うから!」
「だがその責務を果たすには『権力』が必要だよ?権力なき者には誰も従わない・・・そんな中、君はどう務めを果たすつもりだい?」
ルーストの言葉を受けたロメリアはルーストの方を真っ直ぐ見つめて断言した。
「そんなの決まってるッ・・・何度でも・・・皆が話を聞いてくれるまで何度でも声高々に訴えるんだよ!私の言う事を聞いてくれるまで!」
「・・・」
「おぉ・・・何というゴリ押し・・・清々しい程の脳筋思想だぁ・・・」
「もはや論理性皆無の方法だな。」
「多分それじゃあ・・・誰も話・・・聞いてくれないと・・・思います・・・」
「でももうこれしか無いよ!混乱を収めるには『今唯一安否が分かっているフォルエンシュテュール家の者』が行かないと!万が一皆が私の言う事を聞いてくれたら・・・この混乱を収められるかもしれないから!」
ロメリアがルースト達へと必死に訴える。ルースト達はロメリアに顔を背けて考えを巡らせていた。
そんな中、フォルトがロメリアの傍に近づいて話しかける。
「・・・僕はロメリアの意見に乗るよ。ロメリアがグリュンバルド大陸へ行くって言うのなら、僕も行く。」
「フォルトッ・・・!・・・ありがとう・・・」
ロメリアが嬉しそうに微笑んだ。フォルトがロメリアの方を向きながらそう告げると、ガーヴェラが話しかけてくる。
「正気か、フォルト?ロメリアが言っていることは何の根拠も無いんだぞ?向こうに行ったところで役に立てるか分からないんだ・・・」
「でもゼロじゃない。僅かでも混乱を押さえられる可能性があるのなら、僕はそれに賭けたい。」
「・・・」
「後ロメリアは貴族達にはあまり良く思われていないけど、庶民達には良い印象があると思うから案外この作戦上手くいくと思うよ?それにこんな脳筋な説得方法、ロメリアにはぴったりじゃん?」
フォルトがロメリアに対して鼻で笑うと、ロメリアは少し顔を引きつった。シャーロット達もフォルトの発言に少し小馬鹿にするようにほくそ笑む。
「ねぇ、フォルト・・・私の事ちょっと馬鹿にしてない?脳筋って・・・」
「?別に馬鹿にしてないけど?だってロメリアって猪突猛進なところあるじゃん?計画を思いついたらすぐに行動するような点とか・・・」
「うっ!」
「それにあんまり深く考えるの得意じゃないでしょ?だから皆が話を聞いてくれるまで説得するなんて脳筋丸出しな考えが出てくる訳で・・・」
「ううっ!ひ・・・否定出来ないのが・・・辛いっ!」
ロメリアが胸元に手を当てて、言葉を失っているとフォルト達の周りで大きな笑いが発生した。ロメリアは周りを見渡しながら『えへへ・・・』と何処か納得のいかない神妙な顔をしながら笑みを浮かべた。
ルーストは右手を口元に当てて頬を緩ませていると、フォルトとロメリアの方に向かって話しかけた。
「分かったよ、ロメリアさん。グリュンバルド大陸での避難民の誘導は貴女に任せていいかな?」
「っ、はい!」
「よし、なら私から君に親書を渡しておこう。この親書を持ってさえいれば、現地において古都軍の指揮が取れるのと同時に、私達の権力を発揮することが出来るだろう。一時的だが、君の身分を王族と同程度にすることで逆らう者を減らすことが出来る筈だ。・・・この親書を持っているロメリアさんを攻撃すれば、我々古都の王族に手を出したのも当然だからね。」
ルーストは懐から出した親書をロメリアに手渡すと、ロメリアは会釈をして羽織の懐に親書を忍ばせた。ルーストはロメリアが親書をしまうと、言葉を続ける。
「準備を整えたらバリストに声をかけてくれ。彼が転送魔術でロメリアさん達をサンセットフィート港へと送るよ。」
「分かりました!」
「因みにロメリアさんと行くのは・・・フォルト君だけかい?他の皆は?」
ルーストがフォルトとロメリアの後ろにいるシャーロット達に問いかけると、ケストレルとシャーロットが前に出る。
「俺も行く。こいつら2人だと危なっかしくて見てらんねぇしな。・・・それに、勝手に死なれても困る。」
「私も・・・フォルトとロメリアに付いて行きます。2人の力に・・・なりたいから・・・」
ケストレルとシャーロットがフォルトとロメリアの傍に近づいたのを見ると、ルーストはフォルト達を微笑ましく見つめた。
「・・・頼りになる仲間達が傍にいてくれて心強いですね?」
「はい!」
ロメリアが元気よく返事をすると、彼女はケストレルとシャーロットに対して微笑んだ。ケストレルは少し恥ずかしそうに顔を背けて、シャーロットも少し恥ずかしがりながらロメリアとフォルトに対して笑みを浮かべた。
するとその時、ヴァスティーソがケストレルとシャーロットの肩に手を置いて、間に入ってきた。
「俺も行くぅ~!ロメリアちゃんに付いて行くぅ~!」
「おいオッサン、人の体に勝手に触るんじゃねぇ!」
ヴァスティーソがケストレル達に絡んでいると、ナターシャがヴァスティーソに話しかける。
「叔父様!貴方は親衛部隊を率いるという大切な仕事が・・・」
「それはウィンブルがいるから大~丈~夫!あいつがいれば俺が何処かに行ってても何とかなるから!」
「何とかなるからって・・・また勝手に・・・」
「なぁルースト!俺も付いて行っていいだろ?」
「・・・どうせ止めても聞かないんだろう?・・・分かったヴァスティーソ大隊長、貴方がロメリアさん達に同行することを許可する。」
「あっり~!」
「ちょっとお父様!」
「ヴァスティーソ大隊長がロメリアさん達についていてくれれば、戦力的に申し分ない。有事の際には何とか打開してくれるだろう。こちらから余分な増援を出す必要もなく、守りに専念できる。」
「・・・知りませんわよ、どうなっても。」
ナターシャが体の前で腕を組んで顔をヴァスティーソ達から背けると、ヴァスティーソがガーヴェラに話しかける。
「ガーヴェラちゃんもどう⁉一緒に来ない?」
「私はここで遠征部隊の指揮を執らねばならんのでな・・・悪いが、付いて行くことは出来ん。・・・ロメリア、悪いな。本当はお前達に付いて行きたかったが・・・」
「ううん、仕方ないよ、ガーヴェラ・・・でもちゃんと皆無事で戻って来るから!待っててね!」
「ああ、分かっているよ。・・・フォルト、お姉ちゃんを守るんだぞ?」
ガーヴェラはフォルトに微笑んで呟いた。フォルトはガーヴェラの顔を見てはっきりと一度頷く。
フォルト達がルーストの方を振り向くと、彼は手を合わせて話しかける。
「・・・では、早速支度に入ってくれ・・・と言いたいところだったが・・・」
「何だよ、ルースト。何かあんのか?」
「ああ、1つ大事なようを思い出した。・・・君がシャーロットちゃんだね?」
ルーストの視線がフォルトの横にいるシャーロットに向けられた。シャーロットは少し警戒しながらも小さく頷くと、言葉を続ける。
「少し前にね、君に会いたいっていう人が古都にやって来たんだ。話に夢中になって会議が終わったら会わせてあげる約束をしていたのをつい忘れてしまう所だった・・・今から会わせるよ。おい、『彼女達』をお呼びしろ。」
「『達』?1人じゃないん・・・ですか?」
「ああ、そうだよ。」
ルーストに指示を受けた兵士が謁見の間を出て暫くすると、再びその兵士が謁見の間に入ってきた。再び入ってきた兵士の後ろにはフォルトとロメリア、ケストレルも見覚えのある女性2人がおり、2人共白の首元と手首にフリルのついたブラウスに黒のコルセット、腰から足のラインがはっきりと分かる黒のスキニーパンツに深紅色のブーツを履いている。ブラウスもコルセットで強く縛られているせいか体のラインがはっきりと視認でき、豊満な胸の形もくっきりしている。
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