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~船上での修行編 第3章~
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[仲裁]
「あぁ~暇だぁ~・・・折角フォルトとお話しようと思ったのに~・・・女の子のお尻触りたい・・・おっぱい触りたぁい・・・」
ヴァスティーソは何の感情も込めず、ただ愚痴を漏らした。性欲ダダ洩れの愚痴にケストレルとシャーロットは呆れて無視する。
フォルトとロメリアがガーヴェラに連れ出されていってから、ケストレルは船内にあった男性用のファッション雑誌を。シャーロットは再び先程まで読んでいた古書を見始めた。
ヴァスティーソはシャーロットの方に顔を向ける。
「ねぇ~。シャーロットちゃ~ん?」
「・・・何・・・ですか?」
シャーロットが引き気味に返事をすると、ヴァスティーソがシャーロットの横に座った。シャーロットは咄嗟に席を離れて、向かいに座っているケストレルの横へと座り直した。
「な~んで逃げるの、シャーロットちゃん!ひどいよ~!オジサン傷ついちゃうよ~!」
「だって・・・さっき女の子のお尻触りたいとか・・・言ってましたから・・・」
「あれは冗談だって~!確かにシャーロットちゃんのお尻はとっても触りたいけど~、11歳の女の子の体触ったら僕捕まっちゃうし?社会的に俺の立場が危うくなるし?流石に俺でも揉み尽くしたい感情押さえるよ~!」
『もう既に今の発言で社会的に死んでると思うんだが・・・』
ケストレルも思わずヴァスティーソに対して心の中でツッコミを入れる。シャーロットは勿論、古書を胸に抱きしめてケストレルに身を寄せていた。
だがヴァスティーソは2人の様子を楽しむように笑みを浮かべると、シャーロットに再び声をかける。
「それよりもさ、その本、何?随分ボロボロだけど・・・」
「これは・・・古都の図書館にあった『彗星戦争』に関する本・・・です・・・」
「彗星戦争・・・はぁ~ん、今から3000年前にあったとされている戦争を記した本だったっけな?ルーストが昔頑張って読んでたなぁ~。」
「オイオイ・・・そんな本、古都の図書館から持ってきていいのかよ?」
「ナターシャさんが持って行っていいって・・・私も最初は無くしたら大変だって・・・断ったんですけど・・・大丈夫だって言ってくれていたので・・・ラステバルト語の勉強ついでに歴史を学ぼうかと・・・」
「勉強熱心何だねぇ~シャーロットちゃんは。」
ヴァスティーソが感心したように笑みを浮かべていると、ケストレルが手に持っている雑誌を机の上においてシャーロットが持っている古書に視線を移す。
「なぁ、その本誰が書いたんだ?」
「えっとぉ・・・『アウラ・ゼーレヴェ』っていう女性の方だそうです。この本の登場人物としても・・・書かれています。」
「ふ~ん。・・・で、どんな人なんだ?」
「この本に記されている中心人物の妹さんのようです。それに・・・人間と精霊のハーフって書かれているんです。」
「精霊とのハーフだと?」
「お伽話だね~。精霊何て今や神話の作り話だよ。」
「で・・・でももしかしたら本当にいるのかも・・・しれませんよ?」
「まぁ、シャーロットみたいな人間以外の種族が実在していると分かった以上、いないとは断言できないな。もしかしたら、ひっそりと森の奥深くとか人が立ち入らない所で生きているのかもしれないしな?」
「はい!」
ケストレルの言葉を受けて、シャーロットがケストレルの顔を見つめて大きく頷いた。その様子を見ていたヴァスティーソが足を組んで、窓の外へと視線を向ける。
窓の外には薄っすらと霧がかかっていたが、直ぐに消え失せて元の青々とした海と空が映る。ヴァスティーソはそのまま退屈で何の変哲もない景色を見つめ続ける。ヴァスティーソは眠気に襲われて大きく欠伸をすると、ゆっくりと目を閉じる。ケストレルとシャーロットの話し合う声が心地よく耳に入って来る。
ヴァスティーソは後もう少しで夢の世界へと入ろうとした・・・まさにその時だった。
ドォォンッ!
突如船全体が大きく揺れ、軋んだ。壁に飾られている絵画が落ち、椅子が動く。ヴァスティーソはすぐさま立ち上がり、腰に差していた刀を手に取る。ケストレルは咄嗟にシャーロットを抱きしめて、彼女を守る。
「なッ・・・何ですか⁉」
「分からねぇ!まるで大砲が着弾したみたいな揺れだったぞ⁉」
「・・・」
激しい揺れが収まると、ケストレルはシャーロットから離れる。揺れが収まっても船は謎の振動により軋み続けていた。
「大丈夫か、シャーロット?」
「は、はい。・・・ありがとう、ケストレル・・・」
シャーロットはケストレルに礼を言うと古書を机に置き、同じく机に置いていた魔術書を手に取る。ケストレルも壁に立てかけてあった大剣を手に取る。
シャーロットは先程とは別人のように眼つきが鋭くなったヴァスティーソに恐る恐る話しかける。
「ヴァスティーソ・・・さん。な・・・何で船が突然・・・」
「・・・」
「ヴァスティーソさん?」
「シャーロットちゃん、ケストレルから絶対に離れちゃダメだよ?ケストレル、彼女から目を絶対に離すな。」
ヴァスティーソは淡々とそう告げると、目にも止まらぬ速さで室内から飛び出していった。
「ヴァスティーソさん⁉何処に行くんですか⁉」
「あのオッサンどうしちまったんだ⁉突然人が変わったみたいに真剣になったな。」
「お、追いかけましょう、ケストレル!」
シャーロットはそう言うと、ケストレルを置いて部屋から飛び出していってしまった。
「待て、勝手に行くな!シャーロット!あぁもうクソ!急に何だってんだよ!」
ケストレルも部屋から飛び出し、シャーロットの背中を追いかけるように走り出した。シャーロットに追い付くと2人はヴァスティーソが向かったであろう船橋へと走る。
その頃、ヴァスティーソは船橋へ出るドアを蹴り破り、外へ出る。彼の視線の先には武器を構えたフォルトとガーヴェラ・・・そして暴走状態に陥っているロメリアの姿があった。ヴァスティーソはその光景を見ると、軽く舌を打つ。
『やっぱりさっきの揺れはこの影響だったか!』
ヴァスティーソはロメリアに視線を向ける。
『彼女・・・ますいな、このままだと体が負荷に耐えきれずに死ぬ・・・それにこの船も魔力の影響を受けて沈んでしまう可能性もある・・・そうなれば奴らに弁明しに行くどころじゃなくなる。・・・一刻も早く抑え込む必要があるな・・・』
ヴァスティーソが思考を巡らせていると、ロメリアはフォルトに向かって急接近し、棍を振るった。ヴァスティーソはフォルトが回避できず、防御の構えをとったのを確認すると、意識を集中させる。
『フォルト!お前じゃ彼女の棍は防げん!・・・『リミテッド・バースト・・・《風雷閃刃》』!』
ヴァスティーソは風を纏い、一瞬でフォルトとロメリアの間に割り込むと彼女の棍を正面から受けた。想像以上に強かった為両腕の感覚が一瞬無くなるが、歯を食いしばり耐える。
棍を受け切ると、ヴァスティーソはロメリアに囁くように語り掛ける。
「ロメリアちゃん・・・ちょっと落ち着いた方がいいんじゃない?」
「あぁ~暇だぁ~・・・折角フォルトとお話しようと思ったのに~・・・女の子のお尻触りたい・・・おっぱい触りたぁい・・・」
ヴァスティーソは何の感情も込めず、ただ愚痴を漏らした。性欲ダダ洩れの愚痴にケストレルとシャーロットは呆れて無視する。
フォルトとロメリアがガーヴェラに連れ出されていってから、ケストレルは船内にあった男性用のファッション雑誌を。シャーロットは再び先程まで読んでいた古書を見始めた。
ヴァスティーソはシャーロットの方に顔を向ける。
「ねぇ~。シャーロットちゃ~ん?」
「・・・何・・・ですか?」
シャーロットが引き気味に返事をすると、ヴァスティーソがシャーロットの横に座った。シャーロットは咄嗟に席を離れて、向かいに座っているケストレルの横へと座り直した。
「な~んで逃げるの、シャーロットちゃん!ひどいよ~!オジサン傷ついちゃうよ~!」
「だって・・・さっき女の子のお尻触りたいとか・・・言ってましたから・・・」
「あれは冗談だって~!確かにシャーロットちゃんのお尻はとっても触りたいけど~、11歳の女の子の体触ったら僕捕まっちゃうし?社会的に俺の立場が危うくなるし?流石に俺でも揉み尽くしたい感情押さえるよ~!」
『もう既に今の発言で社会的に死んでると思うんだが・・・』
ケストレルも思わずヴァスティーソに対して心の中でツッコミを入れる。シャーロットは勿論、古書を胸に抱きしめてケストレルに身を寄せていた。
だがヴァスティーソは2人の様子を楽しむように笑みを浮かべると、シャーロットに再び声をかける。
「それよりもさ、その本、何?随分ボロボロだけど・・・」
「これは・・・古都の図書館にあった『彗星戦争』に関する本・・・です・・・」
「彗星戦争・・・はぁ~ん、今から3000年前にあったとされている戦争を記した本だったっけな?ルーストが昔頑張って読んでたなぁ~。」
「オイオイ・・・そんな本、古都の図書館から持ってきていいのかよ?」
「ナターシャさんが持って行っていいって・・・私も最初は無くしたら大変だって・・・断ったんですけど・・・大丈夫だって言ってくれていたので・・・ラステバルト語の勉強ついでに歴史を学ぼうかと・・・」
「勉強熱心何だねぇ~シャーロットちゃんは。」
ヴァスティーソが感心したように笑みを浮かべていると、ケストレルが手に持っている雑誌を机の上においてシャーロットが持っている古書に視線を移す。
「なぁ、その本誰が書いたんだ?」
「えっとぉ・・・『アウラ・ゼーレヴェ』っていう女性の方だそうです。この本の登場人物としても・・・書かれています。」
「ふ~ん。・・・で、どんな人なんだ?」
「この本に記されている中心人物の妹さんのようです。それに・・・人間と精霊のハーフって書かれているんです。」
「精霊とのハーフだと?」
「お伽話だね~。精霊何て今や神話の作り話だよ。」
「で・・・でももしかしたら本当にいるのかも・・・しれませんよ?」
「まぁ、シャーロットみたいな人間以外の種族が実在していると分かった以上、いないとは断言できないな。もしかしたら、ひっそりと森の奥深くとか人が立ち入らない所で生きているのかもしれないしな?」
「はい!」
ケストレルの言葉を受けて、シャーロットがケストレルの顔を見つめて大きく頷いた。その様子を見ていたヴァスティーソが足を組んで、窓の外へと視線を向ける。
窓の外には薄っすらと霧がかかっていたが、直ぐに消え失せて元の青々とした海と空が映る。ヴァスティーソはそのまま退屈で何の変哲もない景色を見つめ続ける。ヴァスティーソは眠気に襲われて大きく欠伸をすると、ゆっくりと目を閉じる。ケストレルとシャーロットの話し合う声が心地よく耳に入って来る。
ヴァスティーソは後もう少しで夢の世界へと入ろうとした・・・まさにその時だった。
ドォォンッ!
突如船全体が大きく揺れ、軋んだ。壁に飾られている絵画が落ち、椅子が動く。ヴァスティーソはすぐさま立ち上がり、腰に差していた刀を手に取る。ケストレルは咄嗟にシャーロットを抱きしめて、彼女を守る。
「なッ・・・何ですか⁉」
「分からねぇ!まるで大砲が着弾したみたいな揺れだったぞ⁉」
「・・・」
激しい揺れが収まると、ケストレルはシャーロットから離れる。揺れが収まっても船は謎の振動により軋み続けていた。
「大丈夫か、シャーロット?」
「は、はい。・・・ありがとう、ケストレル・・・」
シャーロットはケストレルに礼を言うと古書を机に置き、同じく机に置いていた魔術書を手に取る。ケストレルも壁に立てかけてあった大剣を手に取る。
シャーロットは先程とは別人のように眼つきが鋭くなったヴァスティーソに恐る恐る話しかける。
「ヴァスティーソ・・・さん。な・・・何で船が突然・・・」
「・・・」
「ヴァスティーソさん?」
「シャーロットちゃん、ケストレルから絶対に離れちゃダメだよ?ケストレル、彼女から目を絶対に離すな。」
ヴァスティーソは淡々とそう告げると、目にも止まらぬ速さで室内から飛び出していった。
「ヴァスティーソさん⁉何処に行くんですか⁉」
「あのオッサンどうしちまったんだ⁉突然人が変わったみたいに真剣になったな。」
「お、追いかけましょう、ケストレル!」
シャーロットはそう言うと、ケストレルを置いて部屋から飛び出していってしまった。
「待て、勝手に行くな!シャーロット!あぁもうクソ!急に何だってんだよ!」
ケストレルも部屋から飛び出し、シャーロットの背中を追いかけるように走り出した。シャーロットに追い付くと2人はヴァスティーソが向かったであろう船橋へと走る。
その頃、ヴァスティーソは船橋へ出るドアを蹴り破り、外へ出る。彼の視線の先には武器を構えたフォルトとガーヴェラ・・・そして暴走状態に陥っているロメリアの姿があった。ヴァスティーソはその光景を見ると、軽く舌を打つ。
『やっぱりさっきの揺れはこの影響だったか!』
ヴァスティーソはロメリアに視線を向ける。
『彼女・・・ますいな、このままだと体が負荷に耐えきれずに死ぬ・・・それにこの船も魔力の影響を受けて沈んでしまう可能性もある・・・そうなれば奴らに弁明しに行くどころじゃなくなる。・・・一刻も早く抑え込む必要があるな・・・』
ヴァスティーソが思考を巡らせていると、ロメリアはフォルトに向かって急接近し、棍を振るった。ヴァスティーソはフォルトが回避できず、防御の構えをとったのを確認すると、意識を集中させる。
『フォルト!お前じゃ彼女の棍は防げん!・・・『リミテッド・バースト・・・《風雷閃刃》』!』
ヴァスティーソは風を纏い、一瞬でフォルトとロメリアの間に割り込むと彼女の棍を正面から受けた。想像以上に強かった為両腕の感覚が一瞬無くなるが、歯を食いしばり耐える。
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