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~帝国編 第3章~
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[~気がかり~]
「ああっ、待って君!」
ロメリアが衛兵に見つかって遠くへ走り去っていく男の子に声をかけたが、彼は反応を一切示さずに走り去っていった。
直ぐに衛兵がロメリアを無視して少年の方へと走っていく。周りが騒然とする中、ロメリアは男の子が走り去っていった方を心配そうに見つめた。
『あの子・・・大丈夫かなぁ・・・無事逃げられるかなぁ・・・』
ロメリアはあの子とは一切面識は無かった。それなのに何故かあの男の子と会ってから彼に対して妙な胸騒ぎを覚えていたのだ。
『何でこんなに胸が騒ぐんだろう・・・あの子とは初めて会ったはずなのに・・・』
ロメリアは胸騒ぎに疑問を覚えながらも男の子が走り去っていった方へ走り出した。なんで走り出したのかは彼女も良く分からなかった。
庶民街へと続く道をまっすぐと走り、彼女の体に初夏の温かい風が当たる。
ハァ、ハァ・・・と息を荒くしながら道を駆け抜けていく時でもロメリアの頭の中にはさっきの男の子の姿が浮かび上がっていた。
『何でだろう・・・あの子の事がとても気になる・・・もう一度、ゆっくりとお話をしてみたい・・・そうしたら、この胸の騒めきが何なのかが分かるかも・・・』
ロメリアは足を止めずにひたすら道を走り続けた。彼女に額に汗がスゥ・・・と幾つもの線を描いていく。
ロメリアが庶民街と貴族街を繋ぐ橋にやってきた時、橋の上では衛兵達が橋の下を流れている川を見ていた。
「くそ、あの餓鬼・・・川に飛び込みやがったな!・・・全員、今すぐに川の周囲を捜索しに行くぞ!」
橋の上にいた衛兵達が一斉に庶民街の方へと向かい、傍にある階段から下の川へと降りていった。
ロメリアは川の水が流れていく方を見る。橋の下を流れる川の水は思った以上に早く、男の子が落ちたからなのだろうか、川の水が少し汚れているように見える。
『あの子、こんな高い場所から飛び降りたのっ⁉・・・大丈夫かなぁ・・・』
ロメリアが目を凝らして橋の下を眺めていると、川の奥の方・・・この橋からギリギリ見える所に一つ、黒いモノが水面から出てきた。
『あれは・・・』
ロメリアがその黒いモノを橋から身を乗り出して凝視すると、さっきの男の子の姿を捉えた。男の子の様子を見る限りでは特に怪我をしている感じは無く、川の流れに逆らわず流されながら端の方へと泳いで行って庶民街の方から陸に上がった。
少年は頭を振って水を切ると、服を絞って水を絞り出していた。その後直ぐに近くの民家の間に入って行き、姿を消した。
『良かった・・・無事に逃げれたようだね・・・』
ロメリアは衛兵から逃げれた男の子を見ると少し微笑んだが、直ぐにはっとして目を開いた。
『ってここで突っ立っている場合じゃなかった!早くあの子を探さないとっ・・・また見失っちゃう!』
ロメリアは急いで橋を渡って庶民街へと向かった。
庶民街の大通りにつくとそこは行き交う人々で覆い尽くされており、この中からさっきの男の子を見分けるのは厳しかった。
『人が多いよ・・・こんなにいたらあの子が何処にいるのか分からない・・・』
ロメリアは人々の流れに乗りながら周囲を見渡す。何度も先程の男の子と似たような背格好の子供は見かけたが、どれも違っていた。
暫く歩いたがさっきの男の子が見つかる気配が一向に無い。ロメリアは少し顔を暗くした。
『もうどっか行っちゃったのかなぁ・・・もう一度・・・ゆっくりとお話してみたかったな・・・』
ロメリアが気を落としながらふと首を横に向ける。すると、首を向けた先にある洋服屋の傍に先程の男の子がガラス越しに服を見つめていた。
『・・・いたっ!』
ロメリアは人混みをかき分けながら男の子の方へと向かう。男の子は相変わらずガラス越しに展示されている服を見つめていた。
ロメリアの目の前を誰かが横切った。
「ごめんなさいっ!」
ロメリアが謝りながらその人を払いのけるとさっきの男の子がガラスの前から消えていた。
『何処⁉何処に行ったの⁉』
ロメリアが洋服屋の傍にある路地に視線を移すと、男の子がその路地の中へと入って行くのが見えた。その背中は何処か悲しげな雰囲気を醸し出していた。
「ま、待って!」
ロメリアが洋服屋の前に着き、路地裏への入口に着いた時には既に少年の姿は見えなくなっていた。
「し、しまったぁ・・・また見失っちゃったぁ・・・」
ロメリアが小さく溜息をつくと、ふと先程男の子がガラス越しに服を見ていたことを思い出した。
『そう言えばあの子・・・このお店の服見ていたよね・・・?』
ロメリアは店の前に移動し、ガラス越しに男の子が見ていた服を見る。12,3歳の子が着るには少し落ち着いた感じの服で、少し大人染みた雰囲気を醸し出している。
『あの子・・・こんな落ち着いた服が好きなのかなぁ・・・』
ロメリアは服が着せられているマネキンの下にある値札を見ると、40000カーツと書かれてあった。財布を開いて現在の持ち金を確認するとぴったり90000カーツ入っていた。
ロメリアは少し財布と睨めっこをした後に財布をゆっくりと閉じ、うんっと小さく頷いた。
『よしっ、あの子にこの服を買ってあげようっと!きっと喜ぶだろうなぁ~』
碌に話したことも無い初対面の男の子に高額な服を買ってあげようなど、自分でも首を傾げたくなることだとは思ったが、ロメリアはあの子が喜ぶ姿が見たいという一心でその決断を下した。
ロメリアは昔から人の笑顔を見るのが好きだった。それも他人を蔑んだり見下したりする時のような笑みではなく、一緒に遊んだり、ご飯を食べたり、買い物をした時など純粋に楽しんだり喜んだりする時の笑顔が好きだった。その人達の笑顔を見ていると自分の心も温かくなるから・・・
そしてロメリアは友人達から超が付くぐらいのお節介屋さんと言われるほど、困っている人を放っておけない性格でもあったが彼女はそんな自分を誇りにしていた。困っている人は大抵悲しい顔をしている・・・皆の笑顔が好きな彼女からすれば、ぜひ笑顔になってほしいという一途な思いがあったからだ。
ロメリアはその洋服屋のドアを開けて中に入る。ドアが開くと、店内側の方につけられている金色のベルがカランッと心地よい音を立てて客が店内に入ってきたことを告げる。
「いらっしゃいませ~」
若い女性の店員がロメリアを温かく迎えてくれた。
「あの・・・あそこに飾ってある服なんですけど・・・」
ロメリアは先程の服について店員に尋ねた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「こっちで・・・合ってるのかなぁ?」
ロメリアは先程の洋服店で服と下着を購入した後、男の子が入って行った裏路地を経由して貧困街へとやってきた。悪臭漂う中随分探し回ったがあの男の子を見つける所が有力な情報すら得られず、気が付けば陽が沈みかけて空が黒っぽい深い青に染まってきていた。
元々陽があまり差し込まない貧困街が更に暗くなり、気味の悪さが増していく。
『うう~・・・少し怖くなってきちゃった・・・』
ロメリアはそれでも男の子を探すことにした。陽が沈んでも何処かの宿に入って明日また探せばいい・・・そう思いながら足を動かす。
「あの・・・少しいいですか?」
ロメリアは近くにいた男に話しかける。髭がひどく、年が分からない。
「・・・何?」
その男がぶっきらぼうに答える。
「長髪で勿忘草色のような明るい青色の癖毛のある男の子を知りませんか?」
「さぁ、知らねえな。他所を当たりな。」
「はい・・・分かりました。・・・お時間を取らせてしまってごめんなさい・・・」
ロメリアがその男の言葉を受けてその場から立ち去ろうとしたその時、後ろから別の男の声が聞こえてきた。
「それって・・・フォルトの事かい?」
ロメリアが振り向くと、そこにはこの貧困街に似つかわしくないやけに黒光りする服を着た赤髪の男が立っていた。年齢は20代後半から30代前半ぐらいと推測できる。
「その男の子を知っているんですか?」
その男はロメリアを値定めるように顔を下に向けて睨みつけると、言葉を続けた。
「ああ、勿論さ。この貧困街で明るい青色で長髪のガキって言ったらあいつしかいねえよ。・・・あんた、その服装からして庶民街か貴族街から来たのか?」
「は、はい・・・そんな感じです・・・」
「ふ~ん・・・随分と物好きな人だな。」
その男は顔を上げて顎を擦る。ロメリアはこの男に警戒心を抱いた。
男は少し顎を擦った後、顎を擦った手でロメリアの後方にある路地を指さした。
「フォルトならその路地を行った先で昼寝していたぜ。もっとも、もう目を覚ましてどっかに行っちまってるかもしれねえが・・・あいつは自分の家が無いからな、何時も適当な所で寝てんだ。」
ロメリアは男が指をさした路地を見ると、感謝の言葉を述べた。
「ありがとうございます!」
「いいってことよ。・・・あ、そうだお嬢ちゃん。一つ言っておくが・・・あんまりあんたのような余所者の若い女が1人でこの貧困街を歩き回るんじゃねえぞ。命と心と体が惜しかったら直ぐに立ち去るんだな。」
男はそう言って口に葉巻を咥えると何処かへ行ってしまった。ロメリアはその男の言葉を胸の中に仕舞うと、男が指さしていた路地へと入って行った。
空には雲がかかり始め、黒さが増していた。
「ああっ、待って君!」
ロメリアが衛兵に見つかって遠くへ走り去っていく男の子に声をかけたが、彼は反応を一切示さずに走り去っていった。
直ぐに衛兵がロメリアを無視して少年の方へと走っていく。周りが騒然とする中、ロメリアは男の子が走り去っていった方を心配そうに見つめた。
『あの子・・・大丈夫かなぁ・・・無事逃げられるかなぁ・・・』
ロメリアはあの子とは一切面識は無かった。それなのに何故かあの男の子と会ってから彼に対して妙な胸騒ぎを覚えていたのだ。
『何でこんなに胸が騒ぐんだろう・・・あの子とは初めて会ったはずなのに・・・』
ロメリアは胸騒ぎに疑問を覚えながらも男の子が走り去っていった方へ走り出した。なんで走り出したのかは彼女も良く分からなかった。
庶民街へと続く道をまっすぐと走り、彼女の体に初夏の温かい風が当たる。
ハァ、ハァ・・・と息を荒くしながら道を駆け抜けていく時でもロメリアの頭の中にはさっきの男の子の姿が浮かび上がっていた。
『何でだろう・・・あの子の事がとても気になる・・・もう一度、ゆっくりとお話をしてみたい・・・そうしたら、この胸の騒めきが何なのかが分かるかも・・・』
ロメリアは足を止めずにひたすら道を走り続けた。彼女に額に汗がスゥ・・・と幾つもの線を描いていく。
ロメリアが庶民街と貴族街を繋ぐ橋にやってきた時、橋の上では衛兵達が橋の下を流れている川を見ていた。
「くそ、あの餓鬼・・・川に飛び込みやがったな!・・・全員、今すぐに川の周囲を捜索しに行くぞ!」
橋の上にいた衛兵達が一斉に庶民街の方へと向かい、傍にある階段から下の川へと降りていった。
ロメリアは川の水が流れていく方を見る。橋の下を流れる川の水は思った以上に早く、男の子が落ちたからなのだろうか、川の水が少し汚れているように見える。
『あの子、こんな高い場所から飛び降りたのっ⁉・・・大丈夫かなぁ・・・』
ロメリアが目を凝らして橋の下を眺めていると、川の奥の方・・・この橋からギリギリ見える所に一つ、黒いモノが水面から出てきた。
『あれは・・・』
ロメリアがその黒いモノを橋から身を乗り出して凝視すると、さっきの男の子の姿を捉えた。男の子の様子を見る限りでは特に怪我をしている感じは無く、川の流れに逆らわず流されながら端の方へと泳いで行って庶民街の方から陸に上がった。
少年は頭を振って水を切ると、服を絞って水を絞り出していた。その後直ぐに近くの民家の間に入って行き、姿を消した。
『良かった・・・無事に逃げれたようだね・・・』
ロメリアは衛兵から逃げれた男の子を見ると少し微笑んだが、直ぐにはっとして目を開いた。
『ってここで突っ立っている場合じゃなかった!早くあの子を探さないとっ・・・また見失っちゃう!』
ロメリアは急いで橋を渡って庶民街へと向かった。
庶民街の大通りにつくとそこは行き交う人々で覆い尽くされており、この中からさっきの男の子を見分けるのは厳しかった。
『人が多いよ・・・こんなにいたらあの子が何処にいるのか分からない・・・』
ロメリアは人々の流れに乗りながら周囲を見渡す。何度も先程の男の子と似たような背格好の子供は見かけたが、どれも違っていた。
暫く歩いたがさっきの男の子が見つかる気配が一向に無い。ロメリアは少し顔を暗くした。
『もうどっか行っちゃったのかなぁ・・・もう一度・・・ゆっくりとお話してみたかったな・・・』
ロメリアが気を落としながらふと首を横に向ける。すると、首を向けた先にある洋服屋の傍に先程の男の子がガラス越しに服を見つめていた。
『・・・いたっ!』
ロメリアは人混みをかき分けながら男の子の方へと向かう。男の子は相変わらずガラス越しに展示されている服を見つめていた。
ロメリアの目の前を誰かが横切った。
「ごめんなさいっ!」
ロメリアが謝りながらその人を払いのけるとさっきの男の子がガラスの前から消えていた。
『何処⁉何処に行ったの⁉』
ロメリアが洋服屋の傍にある路地に視線を移すと、男の子がその路地の中へと入って行くのが見えた。その背中は何処か悲しげな雰囲気を醸し出していた。
「ま、待って!」
ロメリアが洋服屋の前に着き、路地裏への入口に着いた時には既に少年の姿は見えなくなっていた。
「し、しまったぁ・・・また見失っちゃったぁ・・・」
ロメリアが小さく溜息をつくと、ふと先程男の子がガラス越しに服を見ていたことを思い出した。
『そう言えばあの子・・・このお店の服見ていたよね・・・?』
ロメリアは店の前に移動し、ガラス越しに男の子が見ていた服を見る。12,3歳の子が着るには少し落ち着いた感じの服で、少し大人染みた雰囲気を醸し出している。
『あの子・・・こんな落ち着いた服が好きなのかなぁ・・・』
ロメリアは服が着せられているマネキンの下にある値札を見ると、40000カーツと書かれてあった。財布を開いて現在の持ち金を確認するとぴったり90000カーツ入っていた。
ロメリアは少し財布と睨めっこをした後に財布をゆっくりと閉じ、うんっと小さく頷いた。
『よしっ、あの子にこの服を買ってあげようっと!きっと喜ぶだろうなぁ~』
碌に話したことも無い初対面の男の子に高額な服を買ってあげようなど、自分でも首を傾げたくなることだとは思ったが、ロメリアはあの子が喜ぶ姿が見たいという一心でその決断を下した。
ロメリアは昔から人の笑顔を見るのが好きだった。それも他人を蔑んだり見下したりする時のような笑みではなく、一緒に遊んだり、ご飯を食べたり、買い物をした時など純粋に楽しんだり喜んだりする時の笑顔が好きだった。その人達の笑顔を見ていると自分の心も温かくなるから・・・
そしてロメリアは友人達から超が付くぐらいのお節介屋さんと言われるほど、困っている人を放っておけない性格でもあったが彼女はそんな自分を誇りにしていた。困っている人は大抵悲しい顔をしている・・・皆の笑顔が好きな彼女からすれば、ぜひ笑顔になってほしいという一途な思いがあったからだ。
ロメリアはその洋服屋のドアを開けて中に入る。ドアが開くと、店内側の方につけられている金色のベルがカランッと心地よい音を立てて客が店内に入ってきたことを告げる。
「いらっしゃいませ~」
若い女性の店員がロメリアを温かく迎えてくれた。
「あの・・・あそこに飾ってある服なんですけど・・・」
ロメリアは先程の服について店員に尋ねた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「こっちで・・・合ってるのかなぁ?」
ロメリアは先程の洋服店で服と下着を購入した後、男の子が入って行った裏路地を経由して貧困街へとやってきた。悪臭漂う中随分探し回ったがあの男の子を見つける所が有力な情報すら得られず、気が付けば陽が沈みかけて空が黒っぽい深い青に染まってきていた。
元々陽があまり差し込まない貧困街が更に暗くなり、気味の悪さが増していく。
『うう~・・・少し怖くなってきちゃった・・・』
ロメリアはそれでも男の子を探すことにした。陽が沈んでも何処かの宿に入って明日また探せばいい・・・そう思いながら足を動かす。
「あの・・・少しいいですか?」
ロメリアは近くにいた男に話しかける。髭がひどく、年が分からない。
「・・・何?」
その男がぶっきらぼうに答える。
「長髪で勿忘草色のような明るい青色の癖毛のある男の子を知りませんか?」
「さぁ、知らねえな。他所を当たりな。」
「はい・・・分かりました。・・・お時間を取らせてしまってごめんなさい・・・」
ロメリアがその男の言葉を受けてその場から立ち去ろうとしたその時、後ろから別の男の声が聞こえてきた。
「それって・・・フォルトの事かい?」
ロメリアが振り向くと、そこにはこの貧困街に似つかわしくないやけに黒光りする服を着た赤髪の男が立っていた。年齢は20代後半から30代前半ぐらいと推測できる。
「その男の子を知っているんですか?」
その男はロメリアを値定めるように顔を下に向けて睨みつけると、言葉を続けた。
「ああ、勿論さ。この貧困街で明るい青色で長髪のガキって言ったらあいつしかいねえよ。・・・あんた、その服装からして庶民街か貴族街から来たのか?」
「は、はい・・・そんな感じです・・・」
「ふ~ん・・・随分と物好きな人だな。」
その男は顔を上げて顎を擦る。ロメリアはこの男に警戒心を抱いた。
男は少し顎を擦った後、顎を擦った手でロメリアの後方にある路地を指さした。
「フォルトならその路地を行った先で昼寝していたぜ。もっとも、もう目を覚ましてどっかに行っちまってるかもしれねえが・・・あいつは自分の家が無いからな、何時も適当な所で寝てんだ。」
ロメリアは男が指をさした路地を見ると、感謝の言葉を述べた。
「ありがとうございます!」
「いいってことよ。・・・あ、そうだお嬢ちゃん。一つ言っておくが・・・あんまりあんたのような余所者の若い女が1人でこの貧困街を歩き回るんじゃねえぞ。命と心と体が惜しかったら直ぐに立ち去るんだな。」
男はそう言って口に葉巻を咥えると何処かへ行ってしまった。ロメリアはその男の言葉を胸の中に仕舞うと、男が指さしていた路地へと入って行った。
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