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~魔皇会議編 第1話~
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[瘴気の漂う世界にて]
グレゴルド王朝・第九紀・四十五年・六月___ゲオルグラディア大陸北西部・ヴァルグ村
アフターグロウが襲撃された翌日___魔族が住む『ゲオルグラディア大陸』___瘴気渦巻く大陸の北西部にある人狼族が住む村にて・・・
「デュンケルハイト様、朝で御座います。モーニングコールに参りました。」
豪華絢爛な寝室に若い女性の声が小さく響く。ベッドの上には下着姿の男が一人布団の中で眠っていた。男は女性の声に反応し、ゆっくりと体を起こす。男には狼のような紺色の毛が生えた耳が付いており、雑に伸ばした癖の強い濃紫色の髪をしている。同時に寝室の扉が開き、中に一人のメイドが入ってきた。メイドには狼のような灰色の耳が生えており、デュンケルハイトと呼ばれる男の前に来て一礼する。
「おはようございます。本日も良い瘴気日和で御座います。」
メイドは一礼した後、部屋のカーテンを一気に開けた。空は瘴気の雲に覆われており、世界は紫色に染まっていた。瘴気は人間には猛毒だが、魔族には力の源となり、瘴気が濃ければ濃い程、力を発揮しやすい。今日も濃い霧のように瘴気があちこちに漂っていて、魔族からすればこの上ない『お散歩日和』だ。
ベッドから出ようとした時、ふと布団の中に何かがいる感覚を覚えた。布団を捲って確認すると、何と全裸の少女が彼の体に抱きついて眠っていた。少女は男と同じで濃紫色の髪で、癖の強い跳ねっ毛がある髪質をしている。腰まで長く伸ばしており、生えている耳も男と同じ、紺色の獣耳だ。
『こいつ・・・また夜の間に俺のベッドへ・・・』
デュンケルハイトはその少女を揺さぶる。少女は虚ろに瞼を開き、彼へ顔を向ける。
「お兄ちゃん・・・」
「『ヴィオラ』。何度も言っているだろう?勝手に俺のベッドの中に入って来るなって。・・・いい加減一人で寝れるようになれよ。」
「・・・やだ・・・寂しいもん・・・」
「寂しいってお前・・・もう十二歳だぞ?四歳とか五歳とかそんなガキじゃねぇだろ・・・」
ヴィオラと呼ばれる少女はデュンケルハイトの体へさらにしがみつこうとする。彼は妹を無理やり体から離すとベッドから起き上がり、傍の机の上へ無造作に置いていたバスローブを身に付ける。足元に落ちていたヴィオラのバスローブと下着を手に取ると、ベッドの上で丸まっている彼女に投げ渡す。
「ほら早く着ろ。朝飯食べるぞ。」
彼の言葉を受けてヴィオラは目を擦りながらゆっくりと体を起こし、下着とバスローブを着始める。彼女が着終えると、二人は寝室を出て食堂へ向かう。二人が住む館は周りの家とは比べ物にならない程豪華だった。別に壁に金やダイヤといったものが嵌められているという訳では無いが、柱には人狼族___ヴェアウルフの雅で美しい家紋が彫られており、赤い絨毯が皴一つなく綺麗に敷かれている。天井には無数の灯りをともした蝋燭がついたシャンデリアが等間隔で配置されている。
濃い茶色の何処か重々しい木製の扉を開け、長机と無数の椅子が左右対称に並んでいる食堂へ入る。彼が適当な席に座ると、妹のヴィオラは彼の横に座った。二人が着席すると、食事が運ばれてきた。今日の食事は地元で採れる魚型の魔物の肉と人間との交易で手に入れたパン、そして純粋な処女の血だ。処女の血も人間との交易で手に入れた。かつては適当な女を殺してその血を呑んでいたが、今では向こう側で『献血』という形で血を採取し、その血を売ってもらっている。対価が必要になる代わりに半永久的に供給してもらえるので、ありがたい限りだ。だがこれらの血は大抵『四大魔族』の一角である『ヴァンパイア族』に買い占められてしまうので、中々流通してこない。今日は偶々手に入ったのだろう。・・・運が良い。
二人が食事を進めていると、一人の老執事がやって来た。デュンケルハイトはパンをちぎって口に運びながら、彼に話しかける。
「今日の予定は?」
「本日は月に一度の『魔皇会議』がございます。食事が終わり次第、魔王城へ向かいます。それ以降の予定は未定で御座います。」
「分かった。下がって良いぞ。」
デュンケルハイトがそう言うと、老執事は深く一礼し、食堂を後にした。彼は隣で血をゴクゴク呑んでいるヴィオラに話しかける。
「ヴィオラ、今の聞いたか。俺はこの後、魔王城に行ってくる。」
「うん・・・聞いた。・・・ヴィオラ・・・今回もお留守番?」
「・・・」
「ヴィオラ・・・偶にはお兄ちゃんと一緒に行きたい・・・一人でお留守番は・・・寂しいから・・・」
彼女は飲み干したワイングラスをテーブルの上に置く。デュンケルハイトは妹を諭し始めた。
「我儘を言うな。別に遊びに行くんじゃないんだぞ?前にも言ったが、俺は『四魔皇』として魔王と共に魔族を統治しないといけない。その為の会議に行くんだ。」
「・・・でも・・・寂しいものは寂しいん・・・だもん・・・」
「ヴィオラ・・・」
「ヴィオラ、お兄ちゃんの邪魔はしないから・・・いい子にしてるから・・・」
ヴィオラは唇を噛んでじっと食べ終えた皿を見つめ続ける。デュンケルハイトは溜息をついて天井を見上げる。妹のヴィオラは極度の寂しがり屋だ。少し前、妹に黙って数日家を空けた時があったのだが、ヴィオラが『お兄ちゃんがいないッ!お兄ちゃんがいなくなっちゃった!』と喚き散らして家の中を滅茶苦茶にしてしまった。会議の度に何度も説得を試みているが、今回は退く気が感じられない・・・
「分かった・・・今回だけだぞ。今回だけだからな。」
「・・・ありがとう、お兄ちゃん・・・大好き・・・」
ヴィオラはデュンケルハイトの左頬に口づけをする。この過剰に依存してくるのを何とかしたいのだが、一体どうすればいいのだろうか・・・彼はそんなことを思いながら妹共に席を立ち、食堂を後にした。
寝室へ戻って来ると、正装へ着替え始める。黒のシャツに黒のズボン、銀色のベルトに黒のブーツを履く。最期に防爆・防炎・防氷・耐衝撃・耐斬撃を兼ね備えた黒のロングコートを纏い、部屋を後にする。ロングコートの背にはヴェアウルフの家紋の刺繍が描かれており、このコートはヴェアウルフの頭領の証でもある。
家の外に出て暫く待ってると、ヴィオラがやって来た。ヴィオラは紺色のドレスを身に纏っており、黒のフリルが端についている。他には茶のレザーブーツを履いている。また頭の右側には家紋を模して造られた髪飾りをつけている。ヴィオラは頬を少し赤く染めて、兄へ尋ねる。
「どう・・・かな?似合ってる?」
「・・・いいんじゃないか?似合ってると思うぞ。」
『いつもの服と変わらない気がするが・・・』
彼の言葉にヴィオラは嬉しそうにはにかむ。彼女が笑顔を見せた直後、二人の前に迎えの馬車がやって来た。馬車を引いているのは髑髏の馬で、騎手も黒のタキシードを身に付けてはいるが、中身はスケルトンだった。二人が馬車の中に乗り込むと、馬車は魔王城に向けて出発する。ヴィオラが窓から外の景色を静かに眺めている中、声をかける。
「そう言えばヴィオラはまだディルメルガ様に会ったことは無かったな。」
「うん・・・見たことはあるけど・・・遠くからしか・・・魔王様ってどんな人?」
「どんな人・・・そうだな。威圧感があってカリスマ性を感じられるな。『この人に付いて行けばいい』って思えるような安心感を与えてくれる・・・そんな人だ。」
「・・・お兄ちゃんがそこまで言うなんて・・・凄い方なんだね・・・お兄ちゃんとどっちが強いの?」
「それは当然、ディルメルガ様の方が強いに決まってる。あの方は俺にとって強さの目標でもあり、尊敬するに値するお方だからな。」
デュンケルハイトは誇らしげに告げる。彼がそう思う理由としては、数十年前に反共生派の魔族が共生派の魔族を手当たり次第に攻撃していった事件があった。その時、人狼族の住まう里も襲撃を受けたが、その時助けてくれたのが魔王ディルメルガだった。
彼の事を反共生派の魔族は『人間如きにひれ伏した腰抜け』、『魔族の誇りを穢した反逆者』と罵ったが、魔王はこれ以上不毛な血に塗れた争いを少しでも無くすために人魔共生条約を締結しており、このことを学び、理解していたデュンケルハイトは彼の事を『魔族の繁栄を願った唯一の慈悲深い魔王』として認識していた。なので幾ら反対派から罵られようが、助けてくれた恩を返すため、魔族の繁栄の為に役に立とうと魔王軍の幹部にまで上り詰めた。
「じゃ・・・じゃあね・・・八英雄とだったら・・・どっちが強いかな?・・・魔王様・・・八英雄に負けちゃったことがあるから・・・もしお兄ちゃんが八英雄と戦ったら・・・負けちゃうのかな?・・・あの人達と戦うことは無いと思うけど・・・もし戦ったら・・・」
ヴィオラが八英雄について問いを投げかけてきた。八英雄___デュンケルハイトにとって彼らは感謝と憎悪の異なる二つの感情を抱いている相手だ。尊敬すべき魔王の命を奪わなかった事や人魔共生条約を締結させたものとして、魔族の事も考えてくれていた人間として感謝はしている。だが、魔王を倒したことや自分の祖先を殺した事実もあり、素直に彼らのことを認めることは出来ない。彼は複雑な心境を抱いたまま、ヴィオラの頭を優しく撫でた。
「心配するな、ヴィオラ。俺はディルメルガ様以外には誰にも負けねえ。特にお前に危害を加えようとした奴は誰であろうと息の根を止めてやるから安心しろ。・・・そう、誰に襲われたってお前には傷一つ、つけさせないからな。」
「お兄ちゃん・・・そんなこと言ってくれるなんて・・・嬉しい・・・」
ヴィオラがデュンケルハイトへ勢いよく抱き着いた。彼は少し呆れた顔をするが、僅かに笑みを浮かべ、妹を抱き締め返す。なんだかんだ言ってもやっぱり妹のヴィオラを甘やかしてしまうのは兄としてしょうがない事だろう。
二人を乗せた馬車は瘴気の霧を突き抜けていき、魔王城へ到着した。馬車の扉が開き、二人が馬車から降りると、城の衛兵達が中央のレッドカーペットを挟んで出迎えてくれた。
「デュンケルハイト様、ようこそ魔王城へ。この度もよくぞお越しくださいました。」
一人の山羊のようにうねった一対の角を持つ白髪の男が二人の前に現れた。彼の名前は『アルゲート』、魔王の専属執事で衛兵を率いる親衛隊の隊長を務める魔族だ。顔に深い皴があり、古参の貫禄がある。その風貌からか、ヴィオラは怖がってデュンケルハイトの後ろに隠れてしまった。アルゲートはヴィオラの方にちらりと視線を向け、直ぐに彼へ視線を戻す。
「・・・珍しいですね、今回はヴィオラ様もご出席なさるのですか?」
「ああ。こいつにも会議の様子や四大貴族としての振る舞い方を覚えてもらう必要があるからな。・・・ヴィオラ、何時まで俺の後ろに隠れてやがる。挨拶しないか。」
「ご・・・ご機嫌・・・う、麗しゅう・・・ございます・・・」
ヴィオラはオドオドしながらデュンケルハイトの後ろから顔を覗かせてペコリとお辞儀をする。アルゲートは小さくお辞儀をし、ヴィオラに挨拶を返す。
「悪いな。こいつ人見知りが激しくて俺以外の他人と話すとなると緊張してどもっちまうんだ。悪気は一切ないから許してくれるとありがたい。」
「大丈夫ですよ、気にしておりませんので。・・・にしても珍しいですね。ヴェアウルフ族の女性は男勝りの性格をしているとして有名ですが、彼女はまるで正反対だ。容姿はお母様に瓜二つですので、少し違和感を覚えてしまいますね。」
「確かに他の奴らからはこいつとお袋が似てるとよく言われるが___そんなに似てるか?」
「ええ、そっくりですよ。お母様が幼い頃と全く。最も、その当時の彼女は非常に喧嘩っ早い性格をしておりましたが。眼つきもとても幼い少女とは思えませんでしたね。」
アルゲートは昔のことを思い出したようで僅かに笑みを浮かべながらそう告げる。デュンケルハイトも生前の母親をつい思い出し、納得してしまった。アルゲートははっと思い出したかのように、話を変える。
「おっと、無駄話をし過ぎましたね。さぁ、魔王城へお進みください。既に魔王様と残りの四魔皇が謁見の間にてお待ちしておりますよ。」
「・・・普通それを最初に言うべきじゃないのか?」
デュンケルハイトは思わず彼に突っ込んだ。彼が申し訳なさそうに頭を下げる中、デュンケルハイトはヴィオラを連れて魔王城の中へ入る。魔王城の中は黒と赤を基調としたデザインで、床や壁、天井は黒曜石が埋め込まれており、足元には真っ赤なカーペットが敷かれている。天井には豪華絢爛なシャンデリアの他に四代貴族の家紋が描かれた旗が皴一つない状態でぶら下がっている。壁際にはガーゴイルをモチーフにした大きな石像が左右対称に並んでおり、二人が通り過ぎる度に目線が彼らを追いかけている。
「像の目が・・・こ・・・怖い・・・」
「目が動いてるだけだ、気にするな。俺達には何もしてこないから安心しろ。『俺達には』な。」
「・・・侵入者がいたら・・・どうなるの?」
「ここの像が全部動いて殺しにかかってくるだけだ。」
ヴィオラが彼の発言で怯えてしがみついてくる。彼はビビりな妹に呆れつつ、手を繋いで廊下を先に進んでいく。暫く歩くと目の前に十メートル近くはあろう大きな石の扉が現れた。物々しい雰囲気にヴィオラが余計に怖がる中、彼は彼女に話しかける。
「いいか、今から魔王と四魔皇に会うが、決して無礼な態度をとるなよ。怖気つくのも駄目だ。常に四大貴族の一員としての自覚を持って堂々とした振る舞いを心するんだ。・・・手はもう繋がないぞ。」
「うん・・・ヴィオラ・・・頑張る・・・」
ヴィオラが返事をした直後、その大扉が『ゴゴゴゴ・・・』と音を立ててゆっくりと開いた。二人が扉の先へ進むと、広大な空間と無数の巨大な黒曜石の石柱が遥か上にある天井へと伸びている光景が広がっていた。まるで自分が小人になったような感覚を覚えるこの空間・・・いつ来ても不思議と身構えてしまう。ヴィオラは一気に雰囲気の変わった場所に来たので、動揺して辺りを見渡してしまう。それでも直ぐにぐっと両手を握りしめ、兄の傍をぴったりと歩く。
カツン・・・カツン・・・と石の床を歩く音だけを広大な空間に響かせて前へ進んでいると、奥の方に大階段があるのが見え、その階段の下には三人の人影がいることも確認できた。そしてその大階段の上には巨大な王座があり、王座には魔族を統べる魔王が頬杖をついて二人を見下ろしていた。
グレゴルド王朝・第九紀・四十五年・六月___ゲオルグラディア大陸北西部・ヴァルグ村
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「デュンケルハイト様、朝で御座います。モーニングコールに参りました。」
豪華絢爛な寝室に若い女性の声が小さく響く。ベッドの上には下着姿の男が一人布団の中で眠っていた。男は女性の声に反応し、ゆっくりと体を起こす。男には狼のような紺色の毛が生えた耳が付いており、雑に伸ばした癖の強い濃紫色の髪をしている。同時に寝室の扉が開き、中に一人のメイドが入ってきた。メイドには狼のような灰色の耳が生えており、デュンケルハイトと呼ばれる男の前に来て一礼する。
「おはようございます。本日も良い瘴気日和で御座います。」
メイドは一礼した後、部屋のカーテンを一気に開けた。空は瘴気の雲に覆われており、世界は紫色に染まっていた。瘴気は人間には猛毒だが、魔族には力の源となり、瘴気が濃ければ濃い程、力を発揮しやすい。今日も濃い霧のように瘴気があちこちに漂っていて、魔族からすればこの上ない『お散歩日和』だ。
ベッドから出ようとした時、ふと布団の中に何かがいる感覚を覚えた。布団を捲って確認すると、何と全裸の少女が彼の体に抱きついて眠っていた。少女は男と同じで濃紫色の髪で、癖の強い跳ねっ毛がある髪質をしている。腰まで長く伸ばしており、生えている耳も男と同じ、紺色の獣耳だ。
『こいつ・・・また夜の間に俺のベッドへ・・・』
デュンケルハイトはその少女を揺さぶる。少女は虚ろに瞼を開き、彼へ顔を向ける。
「お兄ちゃん・・・」
「『ヴィオラ』。何度も言っているだろう?勝手に俺のベッドの中に入って来るなって。・・・いい加減一人で寝れるようになれよ。」
「・・・やだ・・・寂しいもん・・・」
「寂しいってお前・・・もう十二歳だぞ?四歳とか五歳とかそんなガキじゃねぇだろ・・・」
ヴィオラと呼ばれる少女はデュンケルハイトの体へさらにしがみつこうとする。彼は妹を無理やり体から離すとベッドから起き上がり、傍の机の上へ無造作に置いていたバスローブを身に付ける。足元に落ちていたヴィオラのバスローブと下着を手に取ると、ベッドの上で丸まっている彼女に投げ渡す。
「ほら早く着ろ。朝飯食べるぞ。」
彼の言葉を受けてヴィオラは目を擦りながらゆっくりと体を起こし、下着とバスローブを着始める。彼女が着終えると、二人は寝室を出て食堂へ向かう。二人が住む館は周りの家とは比べ物にならない程豪華だった。別に壁に金やダイヤといったものが嵌められているという訳では無いが、柱には人狼族___ヴェアウルフの雅で美しい家紋が彫られており、赤い絨毯が皴一つなく綺麗に敷かれている。天井には無数の灯りをともした蝋燭がついたシャンデリアが等間隔で配置されている。
濃い茶色の何処か重々しい木製の扉を開け、長机と無数の椅子が左右対称に並んでいる食堂へ入る。彼が適当な席に座ると、妹のヴィオラは彼の横に座った。二人が着席すると、食事が運ばれてきた。今日の食事は地元で採れる魚型の魔物の肉と人間との交易で手に入れたパン、そして純粋な処女の血だ。処女の血も人間との交易で手に入れた。かつては適当な女を殺してその血を呑んでいたが、今では向こう側で『献血』という形で血を採取し、その血を売ってもらっている。対価が必要になる代わりに半永久的に供給してもらえるので、ありがたい限りだ。だがこれらの血は大抵『四大魔族』の一角である『ヴァンパイア族』に買い占められてしまうので、中々流通してこない。今日は偶々手に入ったのだろう。・・・運が良い。
二人が食事を進めていると、一人の老執事がやって来た。デュンケルハイトはパンをちぎって口に運びながら、彼に話しかける。
「今日の予定は?」
「本日は月に一度の『魔皇会議』がございます。食事が終わり次第、魔王城へ向かいます。それ以降の予定は未定で御座います。」
「分かった。下がって良いぞ。」
デュンケルハイトがそう言うと、老執事は深く一礼し、食堂を後にした。彼は隣で血をゴクゴク呑んでいるヴィオラに話しかける。
「ヴィオラ、今の聞いたか。俺はこの後、魔王城に行ってくる。」
「うん・・・聞いた。・・・ヴィオラ・・・今回もお留守番?」
「・・・」
「ヴィオラ・・・偶にはお兄ちゃんと一緒に行きたい・・・一人でお留守番は・・・寂しいから・・・」
彼女は飲み干したワイングラスをテーブルの上に置く。デュンケルハイトは妹を諭し始めた。
「我儘を言うな。別に遊びに行くんじゃないんだぞ?前にも言ったが、俺は『四魔皇』として魔王と共に魔族を統治しないといけない。その為の会議に行くんだ。」
「・・・でも・・・寂しいものは寂しいん・・・だもん・・・」
「ヴィオラ・・・」
「ヴィオラ、お兄ちゃんの邪魔はしないから・・・いい子にしてるから・・・」
ヴィオラは唇を噛んでじっと食べ終えた皿を見つめ続ける。デュンケルハイトは溜息をついて天井を見上げる。妹のヴィオラは極度の寂しがり屋だ。少し前、妹に黙って数日家を空けた時があったのだが、ヴィオラが『お兄ちゃんがいないッ!お兄ちゃんがいなくなっちゃった!』と喚き散らして家の中を滅茶苦茶にしてしまった。会議の度に何度も説得を試みているが、今回は退く気が感じられない・・・
「分かった・・・今回だけだぞ。今回だけだからな。」
「・・・ありがとう、お兄ちゃん・・・大好き・・・」
ヴィオラはデュンケルハイトの左頬に口づけをする。この過剰に依存してくるのを何とかしたいのだが、一体どうすればいいのだろうか・・・彼はそんなことを思いながら妹共に席を立ち、食堂を後にした。
寝室へ戻って来ると、正装へ着替え始める。黒のシャツに黒のズボン、銀色のベルトに黒のブーツを履く。最期に防爆・防炎・防氷・耐衝撃・耐斬撃を兼ね備えた黒のロングコートを纏い、部屋を後にする。ロングコートの背にはヴェアウルフの家紋の刺繍が描かれており、このコートはヴェアウルフの頭領の証でもある。
家の外に出て暫く待ってると、ヴィオラがやって来た。ヴィオラは紺色のドレスを身に纏っており、黒のフリルが端についている。他には茶のレザーブーツを履いている。また頭の右側には家紋を模して造られた髪飾りをつけている。ヴィオラは頬を少し赤く染めて、兄へ尋ねる。
「どう・・・かな?似合ってる?」
「・・・いいんじゃないか?似合ってると思うぞ。」
『いつもの服と変わらない気がするが・・・』
彼の言葉にヴィオラは嬉しそうにはにかむ。彼女が笑顔を見せた直後、二人の前に迎えの馬車がやって来た。馬車を引いているのは髑髏の馬で、騎手も黒のタキシードを身に付けてはいるが、中身はスケルトンだった。二人が馬車の中に乗り込むと、馬車は魔王城に向けて出発する。ヴィオラが窓から外の景色を静かに眺めている中、声をかける。
「そう言えばヴィオラはまだディルメルガ様に会ったことは無かったな。」
「うん・・・見たことはあるけど・・・遠くからしか・・・魔王様ってどんな人?」
「どんな人・・・そうだな。威圧感があってカリスマ性を感じられるな。『この人に付いて行けばいい』って思えるような安心感を与えてくれる・・・そんな人だ。」
「・・・お兄ちゃんがそこまで言うなんて・・・凄い方なんだね・・・お兄ちゃんとどっちが強いの?」
「それは当然、ディルメルガ様の方が強いに決まってる。あの方は俺にとって強さの目標でもあり、尊敬するに値するお方だからな。」
デュンケルハイトは誇らしげに告げる。彼がそう思う理由としては、数十年前に反共生派の魔族が共生派の魔族を手当たり次第に攻撃していった事件があった。その時、人狼族の住まう里も襲撃を受けたが、その時助けてくれたのが魔王ディルメルガだった。
彼の事を反共生派の魔族は『人間如きにひれ伏した腰抜け』、『魔族の誇りを穢した反逆者』と罵ったが、魔王はこれ以上不毛な血に塗れた争いを少しでも無くすために人魔共生条約を締結しており、このことを学び、理解していたデュンケルハイトは彼の事を『魔族の繁栄を願った唯一の慈悲深い魔王』として認識していた。なので幾ら反対派から罵られようが、助けてくれた恩を返すため、魔族の繁栄の為に役に立とうと魔王軍の幹部にまで上り詰めた。
「じゃ・・・じゃあね・・・八英雄とだったら・・・どっちが強いかな?・・・魔王様・・・八英雄に負けちゃったことがあるから・・・もしお兄ちゃんが八英雄と戦ったら・・・負けちゃうのかな?・・・あの人達と戦うことは無いと思うけど・・・もし戦ったら・・・」
ヴィオラが八英雄について問いを投げかけてきた。八英雄___デュンケルハイトにとって彼らは感謝と憎悪の異なる二つの感情を抱いている相手だ。尊敬すべき魔王の命を奪わなかった事や人魔共生条約を締結させたものとして、魔族の事も考えてくれていた人間として感謝はしている。だが、魔王を倒したことや自分の祖先を殺した事実もあり、素直に彼らのことを認めることは出来ない。彼は複雑な心境を抱いたまま、ヴィオラの頭を優しく撫でた。
「心配するな、ヴィオラ。俺はディルメルガ様以外には誰にも負けねえ。特にお前に危害を加えようとした奴は誰であろうと息の根を止めてやるから安心しろ。・・・そう、誰に襲われたってお前には傷一つ、つけさせないからな。」
「お兄ちゃん・・・そんなこと言ってくれるなんて・・・嬉しい・・・」
ヴィオラがデュンケルハイトへ勢いよく抱き着いた。彼は少し呆れた顔をするが、僅かに笑みを浮かべ、妹を抱き締め返す。なんだかんだ言ってもやっぱり妹のヴィオラを甘やかしてしまうのは兄としてしょうがない事だろう。
二人を乗せた馬車は瘴気の霧を突き抜けていき、魔王城へ到着した。馬車の扉が開き、二人が馬車から降りると、城の衛兵達が中央のレッドカーペットを挟んで出迎えてくれた。
「デュンケルハイト様、ようこそ魔王城へ。この度もよくぞお越しくださいました。」
一人の山羊のようにうねった一対の角を持つ白髪の男が二人の前に現れた。彼の名前は『アルゲート』、魔王の専属執事で衛兵を率いる親衛隊の隊長を務める魔族だ。顔に深い皴があり、古参の貫禄がある。その風貌からか、ヴィオラは怖がってデュンケルハイトの後ろに隠れてしまった。アルゲートはヴィオラの方にちらりと視線を向け、直ぐに彼へ視線を戻す。
「・・・珍しいですね、今回はヴィオラ様もご出席なさるのですか?」
「ああ。こいつにも会議の様子や四大貴族としての振る舞い方を覚えてもらう必要があるからな。・・・ヴィオラ、何時まで俺の後ろに隠れてやがる。挨拶しないか。」
「ご・・・ご機嫌・・・う、麗しゅう・・・ございます・・・」
ヴィオラはオドオドしながらデュンケルハイトの後ろから顔を覗かせてペコリとお辞儀をする。アルゲートは小さくお辞儀をし、ヴィオラに挨拶を返す。
「悪いな。こいつ人見知りが激しくて俺以外の他人と話すとなると緊張してどもっちまうんだ。悪気は一切ないから許してくれるとありがたい。」
「大丈夫ですよ、気にしておりませんので。・・・にしても珍しいですね。ヴェアウルフ族の女性は男勝りの性格をしているとして有名ですが、彼女はまるで正反対だ。容姿はお母様に瓜二つですので、少し違和感を覚えてしまいますね。」
「確かに他の奴らからはこいつとお袋が似てるとよく言われるが___そんなに似てるか?」
「ええ、そっくりですよ。お母様が幼い頃と全く。最も、その当時の彼女は非常に喧嘩っ早い性格をしておりましたが。眼つきもとても幼い少女とは思えませんでしたね。」
アルゲートは昔のことを思い出したようで僅かに笑みを浮かべながらそう告げる。デュンケルハイトも生前の母親をつい思い出し、納得してしまった。アルゲートははっと思い出したかのように、話を変える。
「おっと、無駄話をし過ぎましたね。さぁ、魔王城へお進みください。既に魔王様と残りの四魔皇が謁見の間にてお待ちしておりますよ。」
「・・・普通それを最初に言うべきじゃないのか?」
デュンケルハイトは思わず彼に突っ込んだ。彼が申し訳なさそうに頭を下げる中、デュンケルハイトはヴィオラを連れて魔王城の中へ入る。魔王城の中は黒と赤を基調としたデザインで、床や壁、天井は黒曜石が埋め込まれており、足元には真っ赤なカーペットが敷かれている。天井には豪華絢爛なシャンデリアの他に四代貴族の家紋が描かれた旗が皴一つない状態でぶら下がっている。壁際にはガーゴイルをモチーフにした大きな石像が左右対称に並んでおり、二人が通り過ぎる度に目線が彼らを追いかけている。
「像の目が・・・こ・・・怖い・・・」
「目が動いてるだけだ、気にするな。俺達には何もしてこないから安心しろ。『俺達には』な。」
「・・・侵入者がいたら・・・どうなるの?」
「ここの像が全部動いて殺しにかかってくるだけだ。」
ヴィオラが彼の発言で怯えてしがみついてくる。彼はビビりな妹に呆れつつ、手を繋いで廊下を先に進んでいく。暫く歩くと目の前に十メートル近くはあろう大きな石の扉が現れた。物々しい雰囲気にヴィオラが余計に怖がる中、彼は彼女に話しかける。
「いいか、今から魔王と四魔皇に会うが、決して無礼な態度をとるなよ。怖気つくのも駄目だ。常に四大貴族の一員としての自覚を持って堂々とした振る舞いを心するんだ。・・・手はもう繋がないぞ。」
「うん・・・ヴィオラ・・・頑張る・・・」
ヴィオラが返事をした直後、その大扉が『ゴゴゴゴ・・・』と音を立ててゆっくりと開いた。二人が扉の先へ進むと、広大な空間と無数の巨大な黒曜石の石柱が遥か上にある天井へと伸びている光景が広がっていた。まるで自分が小人になったような感覚を覚えるこの空間・・・いつ来ても不思議と身構えてしまう。ヴィオラは一気に雰囲気の変わった場所に来たので、動揺して辺りを見渡してしまう。それでも直ぐにぐっと両手を握りしめ、兄の傍をぴったりと歩く。
カツン・・・カツン・・・と石の床を歩く音だけを広大な空間に響かせて前へ進んでいると、奥の方に大階段があるのが見え、その階段の下には三人の人影がいることも確認できた。そしてその大階段の上には巨大な王座があり、王座には魔族を統べる魔王が頬杖をついて二人を見下ろしていた。
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グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。
人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
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ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
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愚父→ぐふ
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追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
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