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~魔族襲撃編 第9話~

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[奇襲]

 グレゴルド王朝・第九紀・四十五年・五月___アルヴェント大陸南部・アフターグロウ郊外

 「綺麗に入ったな。見事な腕だ。」

 街の外にあるある山の上___黒のフードを被った男が傍にいる銀髪でハーフアップに纏めている女性に声をかける。女性は白銀のドレスを身に纏っており、夜の闇の中でも月の光を受けて控えめながらも神々しく輝いている。

 「ですが仕留めきれてません。炸裂直前に情報にあった八英雄の魔術使いが結界を張りましたので。それにもう一人の八英雄・・・あの男は何故か矢の気配を感じ取っていた。中々にやりますよ。」

 「だろうな。そう簡単に倒せる奴らでないことは分かっている。」

 フードの男はくるりと踵を返した。

 「だが、我々の敵ではない。___『アルテミス』、星を落とせ。」

 フードの男が指示を出すと、アルテミスと呼ばれた女性は天に向かって一本の矢を放った。

 「《 プルウィアアストルム(雨堕ちし流星) 》」

 矢は夜空に吸い込まれた後、輝く星々の数に分裂し、アフターグロウの街へ降り注いだ。街のいたるどころで巨大な爆発と火柱が発生し、瞬く間に街は阿鼻叫喚の地獄と化した。

 「では後は任せる。五分後に何があろうとも帰還せよ。」

 「了解しました。」

 アルテミスが返事をすると、フードの男はその場から姿を消した。アルテミスは燃え盛る町を見下ろし、視線をウィルベール達がいる教会の塔の上に向ける。塔の上はまだ炎に包まれていた。

 「さて・・・お手並み拝見と行きましょうか。」

 アルテミスはそう呟き、すぅ・・・と姿を消した。
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