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~災いを呼ぶ青年編 第1話~
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[罪を犯す者]
グレゴルド王朝・第九紀・四十五年・五月___アルヴェント大陸南部・中継都市ガロック
「おらッ!早く入れ、この問題児がッ!」
ウィルベール達の故郷の村から北へ上った所にある中継都市ガロック・・・その街の下にある地下牢に怒号が響く。地下牢の通路を二人の騎士が歩いており、その騎士に拘束されている一人の青年がいる。青年は誰もいない牢屋の前に立たされると、力任せに押されて牢屋の中に倒れ込む。騎士はそのまま牢屋の扉を閉める。
すると直後、天井から落ちてきたムカデが『偶々』牢の扉を閉めた騎士の手の上に乗る。慌てて手を振って払うが、かなりの大きさだったので、針が手袋を貫通し、刺されてしまった。彼の手が酷く腫れ上がる。
「あぁ、畜生痛ぇッ!最悪だ!」
「ははっ、『ツイてない』なお前。」
「クソッ!このクソ野郎のせいだぜ全くよぉッ!」
「こいつの近くにいたら『悪運』塗れになっちまうからな。急いで離れようぜ。」
「・・・ったく、とっとと死んでくれねぇかな、マジで。何で生きてんだよ・・・他人に迷惑しかかけない癖によ。」
騎士達は青年に対し罵詈雑言を吐き捨てるように言い放ち、牢から離れて行く。青年は牢の壁にもたれ掛かると、天井を見上げる。天井の隅には大きな蜘蛛の巣が張られており、何処からか入ってきた蝶が蜘蛛の巣に引っかかっている。
「___君も、運が無いな。ご愁傷様。」
青年は蜘蛛の巣にかかっている蝶を見ながら呟く。その蝶は暫く経った後、自分が仕掛けた罠にかかった獲物を狩りに来た蜘蛛に食べられてしまった。
グレゴルド王朝・第九紀・四十五年・五月___アルヴェント大陸南部・中継都市ガロック
「おらッ!早く入れ、この問題児がッ!」
ウィルベール達の故郷の村から北へ上った所にある中継都市ガロック・・・その街の下にある地下牢に怒号が響く。地下牢の通路を二人の騎士が歩いており、その騎士に拘束されている一人の青年がいる。青年は誰もいない牢屋の前に立たされると、力任せに押されて牢屋の中に倒れ込む。騎士はそのまま牢屋の扉を閉める。
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「・・・ったく、とっとと死んでくれねぇかな、マジで。何で生きてんだよ・・・他人に迷惑しかかけない癖によ。」
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「___君も、運が無いな。ご愁傷様。」
青年は蜘蛛の巣にかかっている蝶を見ながら呟く。その蝶は暫く経った後、自分が仕掛けた罠にかかった獲物を狩りに来た蜘蛛に食べられてしまった。
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