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Episode 8 満ちる月(1)
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――そして欠けていた月は少しずつ満ちていく。二つに分かれた心が一つに戻る時、少女に朝が訪れる。
最後に話したあの夜から、昼の少女は箱庭から姿を消した。
枯れてしまった草花が少しずつ朽ちていく箱庭の中で、夜の少女は待ち続けた。一晩、二晩と、いくつか夜を明かして、上弦の月が昇る空の下で、待ち人はもう訪れることはないのだと彼女は悟った。
半分の月は、自分のようだと彼女は思った。足りないもう半分はもう一人の少女だ。
「わたしたちは、二人でひとつだった、二人でいる時初めて、わたしは自分が自分であることを感じた」
戸惑いながら彼女は呟いた。
箱庭の中、夜の世界で生きていた彼女は、ずっと人間らしさを知らなかった。
昼の少女に出会ってから、押し込められていた自分が、少しずつ零れ出していくのを感じた。感情が豊かになった。言葉を思い出した。そして、人の温もりを覚えたのだ。
そしてまた一人になった今、彼女は慣れてしまったはずの孤独に押しつぶされそうになっていた。これから先自分はずっと一人なのだろうか。いつまで? ――草花は枯れたまま、遠い星灯りだけが包み込む冷たい世界で。
その晩、彼女は生まれて初めて大声を上げて泣いた。堤防が決壊したかのように、疲れ果てて眠りに就くまで一晩中彼女は泣き続けた。
それからの彼女は生きながら死んでいるようだった。感情を押し殺して、夜中膝を抱えて蹲っていた。時々思い出したようにあの歌を歌おうとして、やはり歌えずに口を噤む。
そうして何日か経った頃、満月の夜が、待ち焦がれた来客を引き連れてやってきた。
最後に話したあの夜から、昼の少女は箱庭から姿を消した。
枯れてしまった草花が少しずつ朽ちていく箱庭の中で、夜の少女は待ち続けた。一晩、二晩と、いくつか夜を明かして、上弦の月が昇る空の下で、待ち人はもう訪れることはないのだと彼女は悟った。
半分の月は、自分のようだと彼女は思った。足りないもう半分はもう一人の少女だ。
「わたしたちは、二人でひとつだった、二人でいる時初めて、わたしは自分が自分であることを感じた」
戸惑いながら彼女は呟いた。
箱庭の中、夜の世界で生きていた彼女は、ずっと人間らしさを知らなかった。
昼の少女に出会ってから、押し込められていた自分が、少しずつ零れ出していくのを感じた。感情が豊かになった。言葉を思い出した。そして、人の温もりを覚えたのだ。
そしてまた一人になった今、彼女は慣れてしまったはずの孤独に押しつぶされそうになっていた。これから先自分はずっと一人なのだろうか。いつまで? ――草花は枯れたまま、遠い星灯りだけが包み込む冷たい世界で。
その晩、彼女は生まれて初めて大声を上げて泣いた。堤防が決壊したかのように、疲れ果てて眠りに就くまで一晩中彼女は泣き続けた。
それからの彼女は生きながら死んでいるようだった。感情を押し殺して、夜中膝を抱えて蹲っていた。時々思い出したようにあの歌を歌おうとして、やはり歌えずに口を噤む。
そうして何日か経った頃、満月の夜が、待ち焦がれた来客を引き連れてやってきた。
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