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「……はぁ」
「おはよ……ん? どうした」
翌朝、いつもの時間に家を出ると、親友の舞浜京介がため息をついていた。
玄関先で物憂げな表情を見せるソイツは、整った顔立ちも相まってか、背景に花でも舞っているような錯覚さえ起こさせる。
ま、そんなことはどうでもいいとして。
「珍しいな。なんか悩みごとか? 俺で良かったら聞くぞ」
トントンと肩を叩いてやると、まるで今気づいたかのようにこっちを振り向く京介。
少し瞳が潤んでいるのが妙に色っぽくて、ちょっと変な気分になってくる。
「悩みと言えばそうなんだけど……。麻耶にも見てもらった方が早いかな」
言うが早いか懐からスマホを取り出す。
何度か画面をタップしたのち、こちらにスマホを差し伸べてきた。
どうやらメッセージアプリのようだ。
「相手は……うげっ」
誰かと思えば、亜里沙から送られてきたもののよう。
アイツいつの間に京介と連絡先交換してたんだよ……。
手の速さに呆れつつも、とりあえずは内容の確認が先だ。
「……っ!」
画面をスクロールしていって、俺は思わず息をのんだ。
簡単に説明をすると、こんな感じである。
亜里沙「京介君、知り合いの子なんだけどちょー可愛くない?(笑)」→いつの間にやら撮られていた俺の女装姿の写真が、画面内に添付されてる。
「…………」
ふ、ざっけんじゃねぇぇぇぞ! あのクソ姉貴!
なにしてくれてんだ! 黒歴史ものの辱めを、よりにもよって親友にまで広めるか普通!?
「き、京介、これはその……なんていうか」
恥ずかしすぎて顔を上げられない。
さっきまで悩みを聞くぞとか張り切ってたけど、こればっかりはどうしようもない。
むしろ俺の悩みを聞いてほしいです。
あの姉貴マジでなんとかしてくれませんかね? シバキ倒してくれませんかね!?
だらだらと嫌な汗をかきながらも、どうにか顔を上げ、隣を見る。
京介は俯きながら、小刻みに肩を震わせていた。
まー、そうですよねー。
親友が女装しているのとか見たら、そら笑っちゃいますもんねー、あははー。
「僕、驚いたよ。まさかこんな」
京介はそこで一度、言葉を区切ると。
こちらに視線を寄越して、言った。
「綺麗な女の子が、いたなんて」
……はぇ?
「おはよ……ん? どうした」
翌朝、いつもの時間に家を出ると、親友の舞浜京介がため息をついていた。
玄関先で物憂げな表情を見せるソイツは、整った顔立ちも相まってか、背景に花でも舞っているような錯覚さえ起こさせる。
ま、そんなことはどうでもいいとして。
「珍しいな。なんか悩みごとか? 俺で良かったら聞くぞ」
トントンと肩を叩いてやると、まるで今気づいたかのようにこっちを振り向く京介。
少し瞳が潤んでいるのが妙に色っぽくて、ちょっと変な気分になってくる。
「悩みと言えばそうなんだけど……。麻耶にも見てもらった方が早いかな」
言うが早いか懐からスマホを取り出す。
何度か画面をタップしたのち、こちらにスマホを差し伸べてきた。
どうやらメッセージアプリのようだ。
「相手は……うげっ」
誰かと思えば、亜里沙から送られてきたもののよう。
アイツいつの間に京介と連絡先交換してたんだよ……。
手の速さに呆れつつも、とりあえずは内容の確認が先だ。
「……っ!」
画面をスクロールしていって、俺は思わず息をのんだ。
簡単に説明をすると、こんな感じである。
亜里沙「京介君、知り合いの子なんだけどちょー可愛くない?(笑)」→いつの間にやら撮られていた俺の女装姿の写真が、画面内に添付されてる。
「…………」
ふ、ざっけんじゃねぇぇぇぞ! あのクソ姉貴!
なにしてくれてんだ! 黒歴史ものの辱めを、よりにもよって親友にまで広めるか普通!?
「き、京介、これはその……なんていうか」
恥ずかしすぎて顔を上げられない。
さっきまで悩みを聞くぞとか張り切ってたけど、こればっかりはどうしようもない。
むしろ俺の悩みを聞いてほしいです。
あの姉貴マジでなんとかしてくれませんかね? シバキ倒してくれませんかね!?
だらだらと嫌な汗をかきながらも、どうにか顔を上げ、隣を見る。
京介は俯きながら、小刻みに肩を震わせていた。
まー、そうですよねー。
親友が女装しているのとか見たら、そら笑っちゃいますもんねー、あははー。
「僕、驚いたよ。まさかこんな」
京介はそこで一度、言葉を区切ると。
こちらに視線を寄越して、言った。
「綺麗な女の子が、いたなんて」
……はぇ?
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