二人の願い

映研小説部

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白井純恋視点

第五話

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次の日から、私と旬君は、私のやりたいことを色々やっていった。
鬼ごっこやかけっこなどの外でやる遊びから、オセロやカードゲームなどの室内でやる遊びまで、できることはほとんどやった。
旬君は、私がやりたいと言ったことを頑張って叶えてくれた。
「友達とたくさん遊ぶのって、やっぱり楽しいね」
と、私は素直に口に出した。
本当に楽しかった。
生きていた時にはほとんど出来なかったことが出来たからというより、旬君と遊ぶのが、とても楽しかった。
「楽しんでもらえてよかった、次は何がしたい?」
私は考えた。
私がしたいこと…
「うーん…授業を受けてみたいけど…さすがに無理だよね…」
「そうだね…あ、そうだ、本物は無理だけど…近いのならできるかも」
「え?できるの?」
「うん、できるだけやってみるよ、明日、誰もいなくなる時間に教室に来て、それまでに準備しとくよ」

「来たよ、旬君」
放課後、教室に誰もいなくなる時間に、旬君の待つ教室に行った。
「あ、白井さん、そこに座って」
「うん」
私が行くと、旬君はすぐに、私を真ん中の方の席に座らせた。
「さて、それじゃあ、授業を始めます、白井さん、号令をお願いします」
「っ!はい、起立、礼、着席」

そこから私達は、短い時間だけど、六個の科目を、二人だけでやった。
国語、英語、科学、歴史、地理、数学
旬君は、本当はすごい人なんだと、私は知った。
六つの教科を、短いとはいえ、一人で教えてくれて、しかも、手作りのプリントも配ってくれた。
「では、この問題を、白井さん、答えてください」
「x=5です」
「正解、すごいね、白井さん」
「旬君の教え方がわかりやすいから」
「そうかな」
「うん」
旬君との授業が楽しくて、私はずっと笑っていたと思う。
今の時間がずっと続けばいい、そう思ったけど、そんなことはなくて、
「時間だね、これで今日の授業を終わります、白井さん、号令をお願いします」
「はい、起立、礼」
絶対に、終わりの時は来てしまう。
そして、旬君との楽しい、日々も…もう直、終わろうとしていた。

「は~、楽しかった、ありがとう、旬君」
「うん、どういたしまして」
「もう満足だよ」
心からそう思った時、私の体は透けていった。
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