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新興宗教の奇天烈乱舞
6+1+1=8
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「………これは外部には絶対に漏らせないわね。私たちだけで解決を計らないと…。」
廃墟の街に映された惨劇は、暴虐無人な超能力者たちををも唸らせる。全員武装済みの若返った老人たちによる、日本への反逆行為。宗教を越えた先に、深淵は自ずとこちらを伺うのだった。
「ダメだ…。ちょっとモドしてくる…。」
凡そ人間の範疇を超えた狂気劇に、まず公正、次に海里、翔、優希、は耐えきれなかった。嗚咽がトイレに谺響する。
「会長は大丈夫で?」
「…えェ。なんとか。逆になんでそんなに平然としてられるのよ?」
「死にたくない老人が若い人間を取り込んで不死を求めるのはよくあることだ。だが…こいつらはそれで若返りを得ている。まるで吸血鬼か人喰い鬼のようだ。厄介だな。」
ハチの羽音に気がついた彼らが、それを叩き落とすと、映像は当然ながら遮断された。動物的な観察力すらも身につけているのだろうか。
「いやァ、厄介だ。軽くしか見ていねェが人質、いや、屍予定の人間も多いな。不老不死をウリにして他の組織と同盟でも組まれた日には…。」
「アンラッキーは続くものよ。関東最大の暴力団、三代目七王会の貸元頭、ようはNo.2が彼らと手を組んだという報告がある。超能力者軍隊の落ちこぼれが彼らの戦闘部隊になっているという報告もあるし…。事態は最悪ね。」
クレムリンの一角のような、広々としていて独特の雰囲気を持つ会議室は、やがて立ち直り舞い戻った超能力者たちの、やはり重い雰囲気を更に増水させるようだった。
「遊撃隊を立ち上げよう。俺たち6人を3人づつ、2枠に分けてヤツらを踏み潰す。戦力としてなら十分だと思うがな。」
実務経験のある人間からしてみれば、この程度のことで暗い色を見せる超能力者というのは不思議でならない。所詮は死にかけの老人たちが気張って若作りしているだけであり、所詮は超能力者私設軍隊から落第した負け組が最精鋭であるだけの大したことない連中の郎党なのだ。
「なんだ?まだ足りないってか?じゃあ…。山下ァ!スバルもこの件に関与してんよな?あいつも入れるぞ。」
「……。」
「ねェ。正直言ってあの子のこと気に入らなかったけど今は同情してる。」
「私も。」
共通の敵因子を作り上げることによって団結を得るのは、人間であれば誰しもが経験したことのあることであろうが、まさかこの状況になってそれを行うとは思いもしなかった女性陣である。
「……まァ。現実的に放置しとくことは出来ない。戒厳を引いて学園横浜内にも情報を隠し通すのは他愛もないが、それは俺たちが解決したらの話だ。」
「……そうだな。ここまで重苦しい展開になるとは思ってもなかったが…。仕方がないったら仕方がない。」
超能力者としての実力は、熟練して身体的にも頂点に到達している者にも引けを取らない序列第1位と第3位は腹を括ったのだった。
「あんたらが行くんなら…。」
渋々と言った所だろうか。そもそもこの円卓に乗り気ではなかった海里が覚悟を決めた時点で、彼らは一致団結を迎えたのだろう。
「えっ。あの、あた…。」
「じゃ決定だな。ただ…。スバルを含めて偶数にするにはあと1人必要だ。会長、口が固くて尚且つこの問題に関与する気になれる人はいねェか?」
「片っ端から当たってみるわ。取り敢えず、各自いつでも出れるように準備しといて。」
この世の大半は金で買えるものだ。だが時間は金では買えない。人生という一方通行車線の終わりを迎えつつある老人が、異常な道に方向を変換しただけなのだ。
廃墟の街に映された惨劇は、暴虐無人な超能力者たちををも唸らせる。全員武装済みの若返った老人たちによる、日本への反逆行為。宗教を越えた先に、深淵は自ずとこちらを伺うのだった。
「ダメだ…。ちょっとモドしてくる…。」
凡そ人間の範疇を超えた狂気劇に、まず公正、次に海里、翔、優希、は耐えきれなかった。嗚咽がトイレに谺響する。
「会長は大丈夫で?」
「…えェ。なんとか。逆になんでそんなに平然としてられるのよ?」
「死にたくない老人が若い人間を取り込んで不死を求めるのはよくあることだ。だが…こいつらはそれで若返りを得ている。まるで吸血鬼か人喰い鬼のようだ。厄介だな。」
ハチの羽音に気がついた彼らが、それを叩き落とすと、映像は当然ながら遮断された。動物的な観察力すらも身につけているのだろうか。
「いやァ、厄介だ。軽くしか見ていねェが人質、いや、屍予定の人間も多いな。不老不死をウリにして他の組織と同盟でも組まれた日には…。」
「アンラッキーは続くものよ。関東最大の暴力団、三代目七王会の貸元頭、ようはNo.2が彼らと手を組んだという報告がある。超能力者軍隊の落ちこぼれが彼らの戦闘部隊になっているという報告もあるし…。事態は最悪ね。」
クレムリンの一角のような、広々としていて独特の雰囲気を持つ会議室は、やがて立ち直り舞い戻った超能力者たちの、やはり重い雰囲気を更に増水させるようだった。
「遊撃隊を立ち上げよう。俺たち6人を3人づつ、2枠に分けてヤツらを踏み潰す。戦力としてなら十分だと思うがな。」
実務経験のある人間からしてみれば、この程度のことで暗い色を見せる超能力者というのは不思議でならない。所詮は死にかけの老人たちが気張って若作りしているだけであり、所詮は超能力者私設軍隊から落第した負け組が最精鋭であるだけの大したことない連中の郎党なのだ。
「なんだ?まだ足りないってか?じゃあ…。山下ァ!スバルもこの件に関与してんよな?あいつも入れるぞ。」
「……。」
「ねェ。正直言ってあの子のこと気に入らなかったけど今は同情してる。」
「私も。」
共通の敵因子を作り上げることによって団結を得るのは、人間であれば誰しもが経験したことのあることであろうが、まさかこの状況になってそれを行うとは思いもしなかった女性陣である。
「……まァ。現実的に放置しとくことは出来ない。戒厳を引いて学園横浜内にも情報を隠し通すのは他愛もないが、それは俺たちが解決したらの話だ。」
「……そうだな。ここまで重苦しい展開になるとは思ってもなかったが…。仕方がないったら仕方がない。」
超能力者としての実力は、熟練して身体的にも頂点に到達している者にも引けを取らない序列第1位と第3位は腹を括ったのだった。
「あんたらが行くんなら…。」
渋々と言った所だろうか。そもそもこの円卓に乗り気ではなかった海里が覚悟を決めた時点で、彼らは一致団結を迎えたのだろう。
「えっ。あの、あた…。」
「じゃ決定だな。ただ…。スバルを含めて偶数にするにはあと1人必要だ。会長、口が固くて尚且つこの問題に関与する気になれる人はいねェか?」
「片っ端から当たってみるわ。取り敢えず、各自いつでも出れるように準備しといて。」
この世の大半は金で買えるものだ。だが時間は金では買えない。人生という一方通行車線の終わりを迎えつつある老人が、異常な道に方向を変換しただけなのだ。
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